石原慎太郎という芸人

読者さんが石原慎太郎芥川賞選評についてコメントしています。

http://d.hatena.ne.jp/dokusha/20040211

野球で喩えると「石原慎太郎は自打球を打った」って感じでしょうか。
アウトなのに「ヒットだヒット!」と叫びながら一塁に全速力で走って、みんながそれを呆気にとられて見ている、みたいな。
編集者は「石原さん、そりゃマズイヨ」って言えなかったのかもしれないですね。チェック入れずに石原氏の原稿を受けとってそのまま掲載、みたいな。
自打球以外にも、振り逃げとか、デッドボールとかも得意そうです、石原氏。そしてそういう芸を拍手する連中もいるのが困ったもんですよね。

ところで、石原慎太郎は高校生の時は左翼で、江口朴郎から唯物史観の勉強を受けていたり、民学同を結成して「なんとかかんとかハンターイ」とかやっていたっていう事実は、案外、知られていないみたいですね。
右も左も「石原は右翼だ」という単純な理解をしている人がいるようですけれど、どっちも不正解。
石原慎太郎はかつて左翼だったという情報を指摘している文があるのでリンク。事実に対する評価は私とは違いますが、情報源としては使えます。「障子に男根」の引用もあるし。(笑)

今週はヤケで石原慎太郎の話をする。
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Gaien/2207/2003/shuchou1222.html

使い古された言葉で言うと「転向」と言うんでしょうか。
「化石の森」は私も読みましたが、読んで、ああこれが石原慎太郎なんだな、とは思いました。
俺は化石のような連中とは違うんだと卑下し殺人さえ罪悪感無しで遂げる男の行為が、結局は化石のような連中にとって思い通りの結果を導くという皮肉を描いた小説。
5年もかかって書き上げた石原慎太郎渾身の最高傑作のわりには、だからどうしたってつっこんで終りという…。
自分では解決できなかった石原氏自身の挫折を他人にも味あわせてみようじゃないかという動機がプンプン臭う小説ですけど、私から見るとやっぱりそれがどうした、39歳にもなって今ごろそのことに気づいて大騒ぎしてんのかってね。
あ、こういうことを書くと、侮辱だ告訴だなんだと大騒ぎになるのかな。ならないか。
というわけで、石原慎太郎氏はいろんな意味でスバラシー芸を持っている芸人であるという結論を書いてペンを置きます。