神奈川の図書自販機成人販売規制:東京新聞(中日新聞)中沢佳子記者の誤報

19日の東京新聞で気になる記事をみかたのでコメントしておきます。

東京新聞中日新聞
神奈川 有害図書自販機の摘発増加 罰金刑に抑止効果なく 中沢佳子記者
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kgw/20041019/lcl_____kgw_____000.shtml

時に表現の自由の問題とも絡めて論じられる有害図書だが、条例では成人が買うことは規制しない。「青少年の健全育成」が目的ゆえに、年齢確認ができない自販機での販売を禁じるのだ。ならば条例で年齢識別装置を義務化しては、との声もある。しかし、装置設置を義務づけた愛知県が以前、抜き打ちで調べたところ、装置部分のみ電源が切られ作動していないものが大半だった。

装置部分のみ電源が切られ作動していない自販機はたしかにあります。
しかし、電源がきられているその理由は、県当局が「青少年保護育成条例附則3条により平成14年10月1日から年齢識別装置は可罰性を阻却する要件とならないため、年齢識別装置をつけていてもいなくても条例上、摘発対象となる」という方針で、成人だけが買う自販機の取締りに動いているからです。
以下、証拠の条例。

■北の系
資料/愛知県青少年保護育成条例
http://zirr.hp.infoseek.co.jp/020133.html

自動販売機への収納の禁止)
第十一条 図書類又はがん具類を販売する者は、有害図書類又は有害がん具類を自動販売機に収納してはならない。
2 図書類を販売する者若しくは自動販売機管理者又はがん具類を販売する者は、自動販売機に収納されている図書類又はがん具類が第六条第一項又は前条第一項の規定による指定を受けたときは、直ちに当該図書類又はがん具類を当該自動販売機から撤去しなければならない。

附則(平成十三年十二月二十一日条例第六十九号)
1 この条例は、平成十四年四月一日から施行する。
3 この条例の施行の際現に青少年が購入することができない措置が講じられている自動販売機で、当該措置が引き続き講じられているものについては、新条例第十一条第一項及び第二項の規定は、平成十四年九月三十日までの間は、適用しない。

年齢識別装置をつけようがつけまいが、平成14年10月1日以降は、指定図書(包括指定図書を含む)を自販機に収納して販売してはいなくなったのですよ。年齢識別装置を作動させたって、県は条例を適用するのです。だから年齢識別装置はゴミ同然になって、電源が外されたんですよ、平成14年10月1日から!
抜き打ち検査であってもなくても、装置の電源が切られていたんですよ。つけていてもムダだから。
年齢識別装置の作動が適用除外にならず、作動させていようがいまいが指定図書(包括指定を含む)を風適法上の店舗内以外の場所にある自販機に収納しただけでアウトなのは、神奈川県も同じです。*1
つまり、実際には青少年だけではなく成人も規制を受けているのです。
 
 
成人を健全育成してどうする! 
 
 
という事実を知らないで、「条例では成人が買うことは規制しない」「装置部分のみ電源が切られ作動していないものが大半だった」と書いていたのだとしたら、記事の公平性の観点から、中沢佳子記者は記者として怠慢ですし、知っててあえて書いていたのだとしたら悪徳だと思います。

■北の系
資料/青少年保護育成条例リンク
http://zirr.hp.infoseek.co.jp/020140.html

■愛知県
青少年育成のページ
http://www.pref.aichi.jp/syakaikatsudo/seisyounen-index.html
愛知県庁内検索:青少年保護育成条例

■神奈川県県民部青少年課
http://www.pref.kanagawa.jp/sosiki/kenmin/0214/index.htm
神奈川県青少年保護育成条例
http://k-base03.pref.kanagawa.jp/d1w_savvy/HTML_TMP/svhtml1098958843.0.Mokuji.0.0.DATA.html


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*1: 神奈川県青少年保護育成条例 http://k-base03.pref.kanagawa.jp/d1w_savvy/HTML_TMP/svhtml1098958843.0.Mokuji.0.0.DATA.html 「(有害図書類及び有害がん具類の自動販売機等への収納禁止)第11条 自動販売機等により図書類又はがん具類の販売又は貸付けを営む者(以下「自動販売業者」という。)は、有害図書類又は有害がん具類を自動販売機等に収納してはならない。」