改憲内容を知らずに改憲手続きを実行することは許されない

何を改正しようとしているのか、その情報を国民が知らないまま「改正」が行われてはならない。
わからないことについて判断することはできない。
わからないまま、わからせないまま、改憲しようとする動きには同意できない。
判断は情報に依存する。
ゆえに情報源の不正は不公正な判断を導く。
 

社会民主党
2006年1月20日/社民党憲法部会 
憲法改正国民投票法案」について(案)
http://www5.sdp.or.jp/central/topics/kenpou2006012001.html

《略》
国民投票制度のあり方について
 憲法第96条は、主権者たる国民の憲法制定権の行使を保障するものであり、国民投票法を制定するとする場合は、多くの国民の意思を正確に反映できるものとして行なわれなくてはならない。そのためには、最低でも以下の要件を満たすことが必要である。
《略》
[3]表現の自由国民投票にあたっては、何よりも投票者に出来る限りの情報提供がなされなくてはならない。そのためには言論・表現の自由が最大限尊重されるべきであり、マスコミに関する規制を定めるべきではない。
《略》
しかし、現在、与党が検討している国民投票法案は、国民主権の視点がまったく重視されておらず、発議・投票の方法が明確でなく、マスコミ報道や評論に過剰な規制を設けようとするなど、見過ごすことのできない問題点が存在しており、これらの要件をまったく満たしてはいない。
とくに投票方式について、一括して賛否を問う形態にするのか、「改正」条項ごとに賛否を問う方式にするのかは、改憲発議の際に決めるということになっているが、このような重要な点について曖昧にするべきではない。
さらに国民投票運動について広範な禁止規定が定められており、運用次第で過度の規制となるおそれが強い。とりわけ新聞、雑誌、テレビ等のマスコミ報道及び評論に対する制限は表現の自由を侵すものであり問題である。
憲法改正の手続法については、それ自体憲法の保障する諸原理に則っていなければならないが、与党が検討している法案では、国民の自由な議論は阻害され、真に民意を反映する投票は実施できない。しかも改憲ムードをあおり改憲のための法的基盤に格好をつけるためだけに、拙速に成立させようとしていることを許すわけにはいかない。
いずれにせよ、国民投票については議論すべき課題が多く、内容面の十分な精査が必要である。主権者が自ら責任を負った判断と権利を行使するためにも、国会のなかだけの議論で拙速に進めることは許されず、国民的にじっくりと腰を据えて議論を行なっていく必要があるのである。

表現の自由を制約する自民党改憲案

社民党
2006年1月20日/社民党憲法部会
自民党「新憲法草案」批判(案)
http://www5.sdp.or.jp/central/topics/kenpou2006012002.html

■市民の権利――公の秩序が許す範囲の「自由及び権利」
「草案」は、現行第12条に「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚しつつ」という文言を挿入し、自由や権利に「責任・義務」と名目で制限を加える根拠としようとしている。現行憲法では、自由と権利を制約する条件は「公共の福祉」のみであるが、「草案」では現13条、29条も含めこれが「公益及び公の秩序」に」置き換えられる。(22条の「公共の福祉」は削除)
これは、単なる言葉の言い換えではない。「公共の福祉」とはある人権が他人の人権と矛盾・衝突する場合の解決をはかるための調整、実質的公平の原理であり、人権に必然的に内在する制約である。これに対して、「草案」のいう「公益及び公の秩序」は、個人の権利を否定し個人を犠牲にした上での権力に対する忠誠を意味するものともなりかねないもので、外部から人権を制約するものと解される。現憲法が「侵すことの出来ない永久の権利」である基本的人権である「個人の自由と権利」が、明治憲法下での「人権保障」のような統治機構の定める秩序や法益の下位のものと位置づけられ、その許容範囲でしか存在できないものに貶められることになりかねないのである。
例えば国家の安全や、軍事目的といった公益のために、表現の自由や思想・信条の自由等が制限されることにつながり、戦争への批判を立法によって制限する根拠にもなりかねない。「草案」第9条2が自衛軍の任務として「公の秩序の維持のための活動」を規定していることからも、「公益及び公の秩序」が、軍事的要請をも含めた国家の求める秩序全般を指すことは明白である。

都教委:軍隊化する学校 ゼッケン着用者を処分

新たな「再発防止研修」に抗議する声明
http://www.labornetjp.org/news/2006/20060120m2

本日、東京都教育委員会(都教委)は、7月の「服務事故再発防止研修」での「ゼッケン・ハチマキ・Tシャツ」着用を理由に処分した10名の教職員(処分発令12月1日。減給1/10・1ヶ月1名<中学校、ゼッケン着用・「妨害行為」>、戒告9名<ゼッケン着用7名(小学校4名、高校3名)、Tシャツ着用1名(高校)、ハチマキ着用1名(高校)>)に対する新たな「再発防止研修」を強行実施しました(うち高校教員1名は「移動教室引率」のため2月1日に期日変更)。今回の「研修」は、被処分者に執拗に「反省・転向」を迫り、繰り返して苦痛を強いるもので、まさに権力的弾圧・「いじめ」以外の何ものでもありません。また民主主義の根幹である「思想及び良心の自由」「言論・表現の自由」をないがしろにする暴挙です。私たちは、都教委のこの新たな暴挙に満腔の怒りを込めて抗議するものです。
そもそも「日の丸・君が代」処分に係わる「再発防止研修」は、「違憲違法の可能性がある」「教職員の権利を不当に侵害するものと判断される余地がある」等(東京地裁決定)と司法も鋭い警告を発しているものです。また、04年度再発防止研修処分取消等請求事件として東京地裁(中西裁判長)で係争中です(05年1月26日、第8回口頭弁論)。更に、都人事委員会では、03年度周年行事・04年3月卒業式・4月入学式の処分取消を求めて公開口頭審理が進行中です(12月より3回目審理、校長証人尋問)。しかし05年3月卒業式・4月入学式については不服審査請求を申し立てたものの都教委は準備書面も出しておらず、私たちの早期開催の要求にもかかわらず、人事委員会審理開催の見通しもたっていません。かくして、都教委は、公務員の身分の救済制度として存在する人事委員会制度上の手続き・進行を無視して重ねての処分を乱発し、「再発防止研修」を命令しているのです。
都教委は、「処分説明書」によると「研修」時の「ゼッケン」等着用を「職務専念義務違反」「信用失墜行為」であるとしています。しかし7月21日の「再発防止研修」の状況を見るとこれは全くの「言いがかり」に過ぎません。その日の「研修」では、都教委法務監察課長の「講義」に対し、研修受講者は次々と質問しましたが、都教委は質問には一切答えることなく「一方的」に「研修」打ち切ったのです。質問には答えず質問者を敵視する研修など「研修」の名に値しません。また、当日、都教委は、「ゼッケン・ハチマキ・Tシャツ」着用を「認めない」理由さえも述べていないのです。そして4ヶ月以上経過した12月1日に上記10名を処分し、本日新たな「研修」を強行したのです。
これは、受講者が一人も「反省」せず「研修」の意図を打ち砕かれた都教委の「報復」「見せしめ」であることは明らかです。
12月8日、中村教育長は都議会で卒業式・入学式の「国旗掲揚・国歌斉唱」に関して「校長の職務命令発出」の継続、教職員による生徒の「君が代」斉唱指導の強化を明言しています。本日の「再発防止研修」は、まさに本年3月卒業式・4月入学式を前にした都教委の「日の丸・君が代」強制の強化の象徴でもあり、抵抗する教職員を根絶やしにするための「見せしめ」です。
しかし都教委が「日の丸・君が代」強制などの教育の強権的支配をいかに強めようとしても、良識ある都民の批判にさらされることでしょう。各種世論調査でも批判の声が圧倒的多数です。都教委の暴走を危惧する声も確実に大きくなっています。私たちは、憲法教育基本法に基づき、東京の学校に自由を取り戻し教育の再生を実現するために、「日の丸・君が代」の強制に反対し、都教委の暴圧に屈せず最後まで闘い抜きます。

2006年1月19日
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会  共同代表 清川久基(前足立西高校)、星野 直之(前保谷高校
(連絡先)事務局長 近藤 徹(葛西南高校)090-5327-8318 e-mail:qq947sh9@vanilla.ocn.ne.jp (弁護団事務局)加藤 文也弁護士(東京中央法律事務所)Tel:03-3353-1991 Fax :03-3353-3420     

 
2006年1月19日、東京都教育委員会は、懲罰的な“研修”で「ゼッケン・ハチマキ・Tシャツ」を着用した教員を減給1/10・1ヶ月などの処分を決定。
ゼッケン・ハチマキ・Tシャツを着用したからといって研修ができないわけではないし、職務から離れているわけでもない。処分を受けた教師たちは、都教委の感情を逆なでしたかもしれないが、子どもを育てる“職務”には忠実だろう。とく無くとも都教委委員よりは。
都教委のメンツや感情以外、誰かに迷惑をかけているわけでもないので、研修妨害という前提認識に基づく処分は違憲無効。
今回の処分を「民主主義の根幹である思想及び良心の自由、言論・表現の自由をないがしろにする暴挙」との評価に同意。
教員は軍隊の軍人ではない。命令に逆らい自分自身の判断を命令よりも国民が求める子どもの成長を優先する態度の方が、教員としてふさわしい。命令にだけ従う軍人を育てるような教師や学校はいらない。
大事なことは、子どもがどう育つか、軍隊の命令よりも個人や家庭の平和を優先して自立した行動のとれる人格が形成されるような子どもを育てられるかどうか*1ということであって、都教委の感情や面子がどうなるかではない。



 
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*1:という教育の目的が教育基本法に書いてあります。教育基本法(昭和二十二年三月三十一日法律第二十五号)「われらは、さきに、日本国憲法 を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。ここに、日本国憲法 の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。 / 第一条 (教育の目的)  教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。 」

資料:青法協:衆参両院憲法調査会の報告書に対する声明

青年法律家協会の「衆参両院憲法調査会の報告書に対する声明」を転載します。
主権者である個人が国家を管理するツールとしての憲法が、個人を管理するための国家の手段に変質するというあたりの分析に注目。
 

青年法律家協会
http://www.seihokyo.jp/
衆参両院憲法調査会の報告書に対する声明
http://www.seihokyo.jp/412.htm#8

青法協弁学合同部会
衆参両院憲法調査会の報告書に対する議長声明を発表
青法協弁学合同部会は、五月二五日、二〇〇五年四月に出された衆議院並びに参議院憲法調査会の報告書に対して、あらためてその内容の問題点を指摘し、日本国憲法の擁護を訴える議長声明を発表し、官邸・衆参両院議長、日弁連・各弁護士会、関係法律団体、マスコミ各社に送付した。
 
衆参両院憲法調査会の報告書に対する声明
二〇〇五年四月、衆参両院の憲法調査会が報告書を提出した。両院の憲法調査会では、憲法の全分野にわたりさまざまな議論がなされたが、その経過と内容における問題点については、当部会はすでに「センセイ、本気ですか!?」「センセイ やっぱり、本気ですか!?」あるいは『「平和と人権の時代」を拓く』等を発表して、批判してきたところである。今般、報告書の提出にあたり、あらためてその内容の問題点を指摘して、基本的人権の保障および平和と民主主義を実現しようとする現行憲法を、何としても擁護すべきであることを訴える。
1 憲法調査会の目的の逸脱
憲法調査会は、一九九九年の第一四五通常国会において、国会法の改正によって設置されたものである。この憲法調査会の目的は、「日本国憲法について広範かつ総合的に調査を行う」とされているが、設置の際には、調査会が改憲策動を押し進めることがないようにするための野党側の要求により、この調査会には議案提出権がないことが申し合わされている。ところが、実際の議論の内容は、改憲派委員による憲法批判が繰り返される一方で、日本国憲法が国民の基本的人権を守り、平和を維持するためにどのような役割を果たしてきたのかの主体的な調査はきわめて不十分であった。あるいは、この憲法がどのような部分において守られず、平和と基本的人権擁護が実現されていないのかの実証的調査も、ほとんど怠られたままであった。また、地方公聴会等では、憲法九条を守れという多数の意見が述べられたが、これらの意見は反映されていない。
報告書は、自公民各党における強い改憲論を受けて、改憲への指向性を打ち出そうとするものとなっている。このようなあり方は、憲法調査会設置の目的を逸脱し、設置当時の申し合わせに反するものであり、これ自体が強く批判されるべきものといえる。
2 両院の最終報告の組み立て
参議院憲法調査会において、「共通またはおおむね共通の認識が得られたもの」とされたのは、国民主権の堅持、国際協力への積極的取り組み、象徴天皇制の堅持、九条一項の堅持と自衛のための最小限度の戦力が必要であること、女性、子ども、障害者などのマイノリティーの尊重、社会保障・教育・労働の社会権の重要性、二院制の堅持、私学助成の必要性、地方分権の推進などである。現行憲法を維持する点について意見の一致を見たものの、変えるべき点については、「すう勢である意見」としてプライバシーの権利、環境権の追加がみられるが、ほとんどは意見が分かれたとなっている。
衆議院憲法調査会では、テーマごとに出された意見が紹介され、どのような意見を述べた議員が多かったかという意見分布状況を示している。
以下には、衆議院憲法調査会の報告書にしたがって、いくつかの論点について検討する。
3 憲法九条をめぐる意見
自衛権自衛隊の合憲性に関しては多数の意見として、「憲法上の措置を執ることを否定しない」とされた。国連の集団安全保障に関しては、非軍事の分野に限らず参加すべきという意見が多数を占めたとなっている。どの範囲まで許容するのかについて議論はあるものの、自衛隊の存在を認め海外での活動を認める見解が多数を占めている。
六〇年前に、周辺諸国に甚大な被害を与えた日本の植民地支配と軍事占領が終了した。しかしながら、その被害者に対する適切な補償は何らなされておらず、今日においても多数の戦後補償裁判が継続している状況にある。このような中でかろうじて、日本が周辺諸国と友好関係を築き得たのは、過去の反省にたち再び周辺国に対する軍事的脅威とならないことを誓った憲法九条を定めたことに大きな理由がある。そうでありながら、この誓いを曖昧にすることが真に「国際貢献」になるとは考えられない。
ひとたび武力紛争が生じた場合には、武力によるコントロールは困難であるし、どのような大義があろうと、市民一人ひとりのかけがえのない命が失われることには変わりがない。紛争を回避するためには、経済文化などの包括的な紛争予防のアプローチが必要で、それに関する支援を強めるべきである。憲法前文が全世界の国民が「ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利」(平和的生存権)を有すると規定し、「専制と隷従、圧迫と偏狭を除去」する努力によって平和を維持しようと宣言しているのは、まさにこのような考えによるものといえる。自衛隊自衛権に「合憲性」を付与する必要はなく、憲法を改変することは誤りである。
4 憲法の基本原理と国家と個人の関係について
さらに、国家と個人の関係に関しては、国民の義務規定を増やすべきであるという意見や、人権保障にあたって国家の積極的役割を重視すべきという意見も述べられている。しかも、前文について、わが国固有の歴史伝統文化等を明記すべきという意見が多く述べられている。このように、憲法に義務規定を入れるべきであるとか、歴史伝統を書き込むべきというような、国家と個人の関係を「再構築」して、憲法の目的そのものを変質させようという動きがみられる。
近代憲法は、国家による市民の権利侵害を防ぐために、国家に対する規範として制定されたものである。この近代立憲の基本原理と憲法の存在意義は、今日においても何ら変わるところはない。それどころか今日においては、生活のさまざまな部分に行政が関わっており、だからこそ新たな権利保障を考えなければならない分野も増えている。このような憲法の基本原理すらも改変しようという企ては、憲法の改正どころか憲法の否定ともいうべきものである。

5 統治機構について
統治機構においては、多数を占めた意見としては、二院制の維持、首相のリーダーシップの強化、地方自治の強化などがあげられている。しかしこれらはいずれも、憲法を変えることではなく、立法によって対応できることがらである。そうした議論もなしに改憲の根拠とするのは誤りである。
また、司法が憲法判断に消極的であり憲法保障の役割を十分に果たしておらず、憲法裁判所を設置すべきであるという意見が多数を占めているが、現状で憲法裁判所を設置することは、かえって合憲のお墨付きを与える機関となるおそれが強く、慎重であるべきである。
6 結び
今後の国会においては、改憲勢力によって改憲「ムード」の作出が進められ、憲法改正を議論する常設の憲法委員会の設置や国民投票法が議論され、改憲派各党の改憲案の策定・公表が重ねられると推測される。
しかしながら先に見たとおり、現行憲法改憲する必要は何らなく、むしろ、現行憲法の理念を実現していくことこそが求められている。憲法改正を議論する常設委員会の設置や国民投票法案については、あらためて反対するものである。

二〇〇五年五月二五日
青年法律家協会弁護士学者合同部会
議長 米倉勉

 
関連リンク。
 

衆議院
衆議院憲法調査会報告書
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/houkoku.htm
衆議院憲法調査会報告書 2611KB
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/houkoku.pdf/$File/houkoku.pdf
衆議院憲法調査会報告書に関しする意見の送信

電子メールによる受付
kenpou@shugiinjk.go.jp
■封書、はがきによる受付
100-8960
東京都千代田区永田町1-7-1
衆議院憲法調査会
憲法のひろば 報告書」係 宛

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「週刊金曜日」 /暴走する国会

♪与えた議席が走り出す
行く先も解らぬまま
暗い闇の帳りの中へ
誰にも縛られたくないと
なげやりな投票で
自由になれた気がしただけの日本の9.11
 
というわけで、遅れて週金読了。共謀罪関係の情報に注目。
 

週刊金曜日
http://www.kinyobi.co.jp/Recent
10月7日 発売号目次
http://www.kinyobi.co.jp/pages/vol576/mokuji

■暴走する国会
憲法違反の悪法「共謀罪」の成立がもくろまれている(海渡 雄一)
法律に触れる行為をすることを合意したと見なされただけで、実際に準備を始めなくても処罰される
共謀罪」。
憲法の人権規定を無視したこの悪法が今、成立する危機にある。

改憲ロードマップ」作成へ
特別委員会になった憲法調査会(高田 健)
憲法調査会は特別委員会へと「昇格」し、国会では着々と改憲への準備が進んでいる。
与党が3分の2を占め、憲法改正発議が可能になったいま、国会の動静が見逃せない。

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アンチジェンフリを相対化するリンクキャンペーン

自由民主党過激な性教育ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム 安倍晋三座長 を悪魔的に応援するバナー
すでにkitanoのアレではページの表紙デザイン上からリンクしているのでお気づきのことと思いますが、アンチジェンフリキャンペーンの対抗情報等を掲載しておられたchikiさんが、ジェンダー・フリー論争の決定版とも言えるコンテンツ「ジェンダーフリーとは」というページを公開し、リンクキャンペーンを展開しておられます。
特定カルト宗教の道徳観に基く性規範をおしつける政治運動“アンチジェンダーフリー”キャンペーンや“過激な性教育”バッシングキャンペーンは、多様な私生活や性的自己決定権を保障する「個人の尊厳」を揺るがしかねません。
個人が個人として社会から承認される社会を確立するためにも、アンチジェンフリキャンペーンを相対化する情報を伝えるchikiさんのキャンペーンは、とても有意義だと思います。リンク推奨です。
 

「ジェンダーフリーとは」
http://seijotcp.hp.infoseek.co.jp/genderfreeQandA.html

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成城トランスカレッジ! ―人文系NEWS & COLUMN―
http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/
ageまショー
http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20051006

 
少数意見の尊重のため、アンチジェンフリの人たちが喜びそうな“自民党性教育キャンペーンを悪魔的に応援するパロディーバナー”も用意しました。
アンチジェンフリの人たちも、「ジェンダーフリーとは」にリンクを張って議論に参加していただければよろしいかと思います。
 

産めよ増やせ! 自民党反性教育アンチジェンフリキャンペーンを悪魔的に応援するパロディーバナー
自由民主党過激な性教育ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム 安倍晋三座長 を悪魔的に応援するパロディーバナー

 
こうしたリンクキャンペーンでは、当面の目標としてはGoogleページランク4からランク5以上を想定すればよろしいのではないかと。2年ぐらいかけてじっくりねっとりリンクを張り、確実にランクを上げましょう。
Googleページランクツールバーやこちらから調査できます。
 

Google PageRank Checker
http://pagerank.bookstudio.com/

 
余談ですが、世界的に有名なブルーリボンキャンペーン
 

ブルーリボンキャンペーン(本家。ニセモノに注意)
http://www.eff.org/br/

 
ページランクはランク9、首相官邸Yahoo! JAPANページランクはランク8です。
日本政府がどんなに声高にインターネット規制を訴えても、インターネットの自由を掲げるブルーリボンキャンペーンの方がGoogleのランクは上です。
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イラク新憲法について

反戦翻訳団がラフール・マハジャン氏の論考を掲載しています。
イラク憲法の必要性を私は否定はしませんが、イラク憲法の日程押しつけはイラク安定のためではなく米国世論向けに報道させるためとの氏の認識には、共感できます。
 

イラク憲法について】ラフール・マハジャン(2005/10/10)
http://blog.livedoor.jp/awtbrigade/archives/50077041.html

だが、1958年の革命をこの結果でもって評価するのであれば、今年1月の選挙はどうだろうか。選挙の結果生まれたのは、政府と結託した準軍事組織集団が殺人と拷問をほしいままにする(そして犠牲者の姿を国営テレビで放送する)ような、警察国家だった。政治家は宗派間の紛争にばかり没頭し、政府ができる3ヶ月前から人々が待ち望んでいたような要求にはろくに取り組もうともしない。
そして、自由のない警察国家の建設はあらたな段階に達した。民衆は無視されつづけるが、ときおり選挙が行われる。すなわち、新憲法というわけだ。
政府が作られる時点ですでに、政府内の民族・宗派集団が互いになんとか長期的に妥協できる点を見出す力量など持っていないことが明らかになっていた。3ヶ月たったあとでさえ、せいぜいできるのは難問を先送りにすることくらいだった。
無謀なことに、米国はこの反目しあう集団に憲法案を8月15日までにまとめ、10月15日に選挙で承認するよう要求した。米国支持派のクルド人政治家であるマフムード・オスマンですら、このように語っている。「時間がない?それはアメリカ人のせいだよ。彼らはいつも短い期限を押し付けてくる。まるでハンバーガーかファーストフードでも作るみたいに」
今回の米国による押し付けは、支配力を増すためではないし、イラクを安定させるためですらない。単に数日間のあいだ、メディアの注目を集め、米国内で大々的に報道させるだけのためなのだ。

 
メディアがイラク戦争に参加するかしないか。イラク憲法についての報道は、そのリスマス試験紙となり得るように思います。
イラク報道では保守メディアは「イラクは新たな段階に達しました」「大きな節目を迎えています」*1的な報道で、状況の推移を“戦争の幕ひき”として演出しようとしているようにも見えますが、現実には戦争は継続していますし、戦場は拡大し、犠牲者は増え続けています。
もし、イラク憲法の報道が、「イラクは新たな段階に達しました」的な現状を既成事実化するものとなり、その結果としてイラク戦争についての国民の認識が歪められるとすれば、メディアはある意味で誤報を報じイラク戦争に主体的に加担したことになるおそれがあります。
 
最近のイラク戦争関連報道の一部。
 

3割が英軍の即時撤退望む=「イラク攻撃は誤り」57%に−世論調査時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051013-00000188-jij-int
サマワで英軍にロケット弾
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051013-00000022-kyodo-int
イラク>軍の採用所近くで自爆テロ、30人が死亡
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051012-00000153-mai-int
北部でまた自爆、31人死亡 イラク、新兵採用施設
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051012-00000250-kyodo-int
英軍攻撃へイラク民兵訓練か=イランの革命防衛隊
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051012-00000108-jij-int
自爆相次ぎ43人死亡 国民投票控えイラク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051012-00000006-kyodo-int
イラク自爆テロ2件、60人が死亡
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051011-00000314-yom-int
バグダッドで自動車による自爆、死者少なくとも25人
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051011-00000251-reu-int
米軍15万2000人に大幅増強 イラク国民投票に備え
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051007-00000120-kyodo-int
支持率37%、就任以来最低 世論調査米大統領
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051007-00000095-kyodo-int
爆弾テロ、死者25人に イラク中部、80人以上負傷
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051006-00000031-kyodo-int
投票ボイコット呼び掛け イラク、対米攻撃拡大も
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051005-00000063-kyodo-int
イラク連続テロで85人死亡 繁華街
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050930-00000019-kyodo-int
英軍基地に迫撃弾か イラク南部サマワ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050928-00000030-kyodo-int
米首都に10万人超 イラク駐留反対訴え
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050926-00000008-san-int
イラクで反英感情噴出 英軍、地元警察に突入
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050923-00000010-san-int
米軍撤退訴え大統領に書簡 イラク戦死兵の母
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050922-00000035-kyodo-int
「無実」の兄弟殺害と抗議 米軍にイラク住民
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050819-00000022-kyodo-int
「日本の首相を非難せよ」 サマワ、金曜礼拝で
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050812-00000279-kyodo-int
陸自報じるな」と脅迫状 サマワ地元メディアに
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050808-00000212-kyodo-int

サマワ8日共同】陸上自衛隊が駐留するイラク南部サマワで、地元有力紙アッサマワとムサンナ・テレビに対し、陸自の活動を報道しないよう警告し、従わねば「社員を殺害する」などとする脅迫状が送りつけられていたことが8日分かった。両メディア関係者が明らかにした。
脅迫後、両メディアは陸自絡みの報道を一時停止。脅迫の狙いは、復興支援活動に対する市民の支持を遮断し、陸自を孤立化させることにあるとみられる。治安が不安定化する中で、陸自の活動は新たな問題に直面した。
サマワでは7日、暴徒化したデモ隊と警官隊が衝突、1人が死亡し約60人が負傷するなど不穏な情勢が続いている。
脅迫状は7月下旬に届き(1)陸自との協力停止(2)陸自の活動を称賛しない(3)陸自と英軍の活動を報じない(4)イスラム戦士の抵抗運動を「テロ」と表現しない−−ことを要求。応じなければ「社員を殺害するか拉致し、または事務所を爆破する」と脅している。(共同通信) - 8月8日

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http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/world/war_against_iraq/editorials_1.html

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*1:たとえば2005年10月14日NHK定時ニュース。