改憲内容を知らずに改憲手続きを実行することは許されない

何を改正しようとしているのか、その情報を国民が知らないまま「改正」が行われてはならない。
わからないことについて判断することはできない。
わからないまま、わからせないまま、改憲しようとする動きには同意できない。
判断は情報に依存する。
ゆえに情報源の不正は不公正な判断を導く。
 

社会民主党
2006年1月20日/社民党憲法部会 
憲法改正国民投票法案」について(案)
http://www5.sdp.or.jp/central/topics/kenpou2006012001.html

《略》
国民投票制度のあり方について
 憲法第96条は、主権者たる国民の憲法制定権の行使を保障するものであり、国民投票法を制定するとする場合は、多くの国民の意思を正確に反映できるものとして行なわれなくてはならない。そのためには、最低でも以下の要件を満たすことが必要である。
《略》
[3]表現の自由国民投票にあたっては、何よりも投票者に出来る限りの情報提供がなされなくてはならない。そのためには言論・表現の自由が最大限尊重されるべきであり、マスコミに関する規制を定めるべきではない。
《略》
しかし、現在、与党が検討している国民投票法案は、国民主権の視点がまったく重視されておらず、発議・投票の方法が明確でなく、マスコミ報道や評論に過剰な規制を設けようとするなど、見過ごすことのできない問題点が存在しており、これらの要件をまったく満たしてはいない。
とくに投票方式について、一括して賛否を問う形態にするのか、「改正」条項ごとに賛否を問う方式にするのかは、改憲発議の際に決めるということになっているが、このような重要な点について曖昧にするべきではない。
さらに国民投票運動について広範な禁止規定が定められており、運用次第で過度の規制となるおそれが強い。とりわけ新聞、雑誌、テレビ等のマスコミ報道及び評論に対する制限は表現の自由を侵すものであり問題である。
憲法改正の手続法については、それ自体憲法の保障する諸原理に則っていなければならないが、与党が検討している法案では、国民の自由な議論は阻害され、真に民意を反映する投票は実施できない。しかも改憲ムードをあおり改憲のための法的基盤に格好をつけるためだけに、拙速に成立させようとしていることを許すわけにはいかない。
いずれにせよ、国民投票については議論すべき課題が多く、内容面の十分な精査が必要である。主権者が自ら責任を負った判断と権利を行使するためにも、国会のなかだけの議論で拙速に進めることは許されず、国民的にじっくりと腰を据えて議論を行なっていく必要があるのである。