都教委:軍隊化する学校 ゼッケン着用者を処分

新たな「再発防止研修」に抗議する声明
http://www.labornetjp.org/news/2006/20060120m2

本日、東京都教育委員会(都教委)は、7月の「服務事故再発防止研修」での「ゼッケン・ハチマキ・Tシャツ」着用を理由に処分した10名の教職員(処分発令12月1日。減給1/10・1ヶ月1名<中学校、ゼッケン着用・「妨害行為」>、戒告9名<ゼッケン着用7名(小学校4名、高校3名)、Tシャツ着用1名(高校)、ハチマキ着用1名(高校)>)に対する新たな「再発防止研修」を強行実施しました(うち高校教員1名は「移動教室引率」のため2月1日に期日変更)。今回の「研修」は、被処分者に執拗に「反省・転向」を迫り、繰り返して苦痛を強いるもので、まさに権力的弾圧・「いじめ」以外の何ものでもありません。また民主主義の根幹である「思想及び良心の自由」「言論・表現の自由」をないがしろにする暴挙です。私たちは、都教委のこの新たな暴挙に満腔の怒りを込めて抗議するものです。
そもそも「日の丸・君が代」処分に係わる「再発防止研修」は、「違憲違法の可能性がある」「教職員の権利を不当に侵害するものと判断される余地がある」等(東京地裁決定)と司法も鋭い警告を発しているものです。また、04年度再発防止研修処分取消等請求事件として東京地裁(中西裁判長)で係争中です(05年1月26日、第8回口頭弁論)。更に、都人事委員会では、03年度周年行事・04年3月卒業式・4月入学式の処分取消を求めて公開口頭審理が進行中です(12月より3回目審理、校長証人尋問)。しかし05年3月卒業式・4月入学式については不服審査請求を申し立てたものの都教委は準備書面も出しておらず、私たちの早期開催の要求にもかかわらず、人事委員会審理開催の見通しもたっていません。かくして、都教委は、公務員の身分の救済制度として存在する人事委員会制度上の手続き・進行を無視して重ねての処分を乱発し、「再発防止研修」を命令しているのです。
都教委は、「処分説明書」によると「研修」時の「ゼッケン」等着用を「職務専念義務違反」「信用失墜行為」であるとしています。しかし7月21日の「再発防止研修」の状況を見るとこれは全くの「言いがかり」に過ぎません。その日の「研修」では、都教委法務監察課長の「講義」に対し、研修受講者は次々と質問しましたが、都教委は質問には一切答えることなく「一方的」に「研修」打ち切ったのです。質問には答えず質問者を敵視する研修など「研修」の名に値しません。また、当日、都教委は、「ゼッケン・ハチマキ・Tシャツ」着用を「認めない」理由さえも述べていないのです。そして4ヶ月以上経過した12月1日に上記10名を処分し、本日新たな「研修」を強行したのです。
これは、受講者が一人も「反省」せず「研修」の意図を打ち砕かれた都教委の「報復」「見せしめ」であることは明らかです。
12月8日、中村教育長は都議会で卒業式・入学式の「国旗掲揚・国歌斉唱」に関して「校長の職務命令発出」の継続、教職員による生徒の「君が代」斉唱指導の強化を明言しています。本日の「再発防止研修」は、まさに本年3月卒業式・4月入学式を前にした都教委の「日の丸・君が代」強制の強化の象徴でもあり、抵抗する教職員を根絶やしにするための「見せしめ」です。
しかし都教委が「日の丸・君が代」強制などの教育の強権的支配をいかに強めようとしても、良識ある都民の批判にさらされることでしょう。各種世論調査でも批判の声が圧倒的多数です。都教委の暴走を危惧する声も確実に大きくなっています。私たちは、憲法教育基本法に基づき、東京の学校に自由を取り戻し教育の再生を実現するために、「日の丸・君が代」の強制に反対し、都教委の暴圧に屈せず最後まで闘い抜きます。

2006年1月19日
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会  共同代表 清川久基(前足立西高校)、星野 直之(前保谷高校
(連絡先)事務局長 近藤 徹(葛西南高校)090-5327-8318 e-mail:qq947sh9@vanilla.ocn.ne.jp (弁護団事務局)加藤 文也弁護士(東京中央法律事務所)Tel:03-3353-1991 Fax :03-3353-3420     

 
2006年1月19日、東京都教育委員会は、懲罰的な“研修”で「ゼッケン・ハチマキ・Tシャツ」を着用した教員を減給1/10・1ヶ月などの処分を決定。
ゼッケン・ハチマキ・Tシャツを着用したからといって研修ができないわけではないし、職務から離れているわけでもない。処分を受けた教師たちは、都教委の感情を逆なでしたかもしれないが、子どもを育てる“職務”には忠実だろう。とく無くとも都教委委員よりは。
都教委のメンツや感情以外、誰かに迷惑をかけているわけでもないので、研修妨害という前提認識に基づく処分は違憲無効。
今回の処分を「民主主義の根幹である思想及び良心の自由、言論・表現の自由をないがしろにする暴挙」との評価に同意。
教員は軍隊の軍人ではない。命令に逆らい自分自身の判断を命令よりも国民が求める子どもの成長を優先する態度の方が、教員としてふさわしい。命令にだけ従う軍人を育てるような教師や学校はいらない。
大事なことは、子どもがどう育つか、軍隊の命令よりも個人や家庭の平和を優先して自立した行動のとれる人格が形成されるような子どもを育てられるかどうか*1ということであって、都教委の感情や面子がどうなるかではない。



 
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*1:という教育の目的が教育基本法に書いてあります。教育基本法(昭和二十二年三月三十一日法律第二十五号)「われらは、さきに、日本国憲法 を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。ここに、日本国憲法 の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。 / 第一条 (教育の目的)  教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。 」