司法改革に抗議する雑誌協会

雑誌協会が、裁判員制度改革に対する危機感を鮮明に出しています。

裁判員法案>日本雑誌協会チームが抗議声明
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040424-00002025-mai-pol
裁判員制度法案の衆院通過で雑誌協会が抗議声明
http://www.asahi.com/national/update/0423/033.html

既に衆議院では賛成多数で可決していますが、雑誌協会が問題視している「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案」の条文は以下の通り。

裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g15905067.htm

裁判員等を特定するに足りる情報の取扱い)
第七十二条 何人も、裁判員、補充裁判員又は裁判員候補者若しくはその予定者の氏名、住所その他の個人を特定するに足りる情報を公にしてはならない。これらであった者の氏名、住所その他の個人を特定するに足りる情報についても、本人がこれを公にすることに同意している場合を除き、同様とする。
裁判員等に対する接触の規制)
第七十三条 何人も、被告事件に関し、当該被告事件の裁判員又は補充裁判員接触してはならない。
2 何人も、裁判員又は補充裁判員が職務上知り得た秘密を知る目的で、裁判員又は補充裁判員の職にあった者に接触してはならない。

「何人も」には、ジャーナリスト、カメラマン、ルポライター、職場の同僚、知人、配偶者、親、子なども含まれています。
たとえば、自分の夫が裁判員になっても、裁判員の妻は裁判についての情報を知る目的などで接触してはいけません。もちろん日常会話やセックスが規制されるわけではありませんが、裁判の事についてやたらと話題にすることは、裁判員になっている家族に特別刑法犯罪(第七十二条)を犯させることになりかねないのでやめておいた方が無難でしょう。もちろん、現時点では参議院での審議が続いているので、仮に成立したらの話ですが。

───────────

日本雑誌協会
http://www.j-magazine.or.jp/FIPP/
2004.04.02 「東京地裁の出版禁止の仮処分決定に対する抗議声明」(PDFファイル:69kb)
http://www.j-magazine.or.jp/FIPP/FIPPJ/oshirase/pdf/040318kougi.pdf

「東京高裁の出版禁止取り消し決定に対する声明」(PDFファイル:94kb)
http://www.j-magazine.or.jp/FIPP/FIPPJ/oshirase/pdf/040331kousai.pdf

4月24日現在、雑協サイトに裁判員制度法案についての声明は掲載されていません。
今国会で衆議院を通過した司法改革法案には、事実上の取材制限が導入されており、裁判官、裁判員の不正、腐敗をチェックが以前よりも困難になっているという意味では、当然の批判です。
しかし、遅すぎました。こうなるまえにどうしてもっと早く手を打てなかったのでしょうか。