NHK番組政治家介入疑惑(10):自由民主党が逆ギレ取材拒否

NHK受信料不払い者が117万人を突破*1し、国民のNHK不祥事、番組改変への抗議の意思表示が増え続けている中、自民党による朝日新聞による「NHK番組改変」記事に関する調査プロジェクトチーム(佐田玄一郎座長)が、8月1日、国会内で行われた記者会見で、朝日新聞の中川経済産業大臣と安倍信三前自民党幹事長に対する取材について、「公式の記者会見を除き、記者懇談や個別取材など、すべて自粛していただく」との通知書を発送し与党として報道内容を根拠とする取材拒否を実施することを表明しました。
この自由民主党の新聞取材排斥措置については、法律研究者やジャーナリストなどの有志から自民党の取材排斥を批する「緊急声明」が出ています。
「緊急声明」に私は賛同します。
 

■ストレイ・ドッグ
安倍晋三カテゴリー
http://straydog.way-nifty.com/yamaokashunsuke/cat2333483/index.html
2005.08.05 『月刊現代』の「NHK番組改変」記事に対する自民党の対応に、弁護士有志等が緊急声明。本日、記者発表も
http://straydog.way-nifty.com/yamaokashunsuke/2005/08/post_30e9.html

「緊急声明文」
自民党総裁 小泉純一郎 殿
自民党幹事長 武部勤 殿
2005年8月5日
 
新聞各紙の報道によれば、自民党は、今月1日、NHKの番組改変に関する朝日新聞社の取材記録とされる資料が月刊現代9月号に掲載されたことを問題として、事実関係が明らかになるまで同党役員が朝日新聞社の取材(記者会見を除く)を拒否する旨を表明するとともに、同社に対し、同党国会議員が個別取材を拒否する旨の通知書を送付した。
自民党の上記対応は、民主主義の根幹である報道・表現の自由及び市民の知る権利に対する乱暴な挑戦であり、看過できない重大な問題である。そこで、言論・表現の自由及び知る権利の危機を憂慮するジャーナリスト・学者・弁護士有志は、自民党総裁小泉純一郎氏及び同党幹事長武部勤氏に対する緊急声明を発表する。
今回問題となった資料は、2000年12月8日から12日にわたって東京で開催された「女性国際戦犯法廷」(以下「国際法廷」という)をNHKが外部の制作会社の協力の下に取材・制作し、2001年1月30日に放送された番組について、政治家の圧力による改変があったとされる問題に関して、朝日新聞社が圧力を受けたとされる松尾武NHK放送総局長(当時)及び圧力をかけたとされる中川昭一安倍晋三衆院議員を取材した際に録音された媒体を再現したものだとされる。これまで、朝日新聞社は、録音した媒体の存在を明らかにしていなかった。
新聞各紙の報道によると、自民党は、取材拒否の理由について、1)朝日新聞記者が被取材者をだまし、隠れて無断で録音し続けている可能性があり、そうだとすれば、報道機関としての存在資格も大きく揺るぎかねない大問題である、2)朝日新聞社自身が流出に深く関与している可能性があるが謝罪をする意思がない、などの点を挙げている。
しかし、そもそも、報道機関が公人の社会的に非難される可能性のある行為をについて取材する場合、その公人もしくは行為に関係ある者に質問する際に、承諾を得ずに会話を録音することは、発話者を秘匿しなければその後の取材・報道が困難となる場合(いわゆる「取材源の秘匿」となる場合)を除いて、当然、許される行為である。なぜなら、その公人の行為は主権者たる国民が知るべき情報である一方、取材後に、取材した相手が言を翻して、報道内容を批判したりするおそれがあり、そのような場合には、報道機関としては主権者である国民から負託された知る権利にこたえて真実に迫る使命を果たすことが困難となるからである。
また、朝日新聞自身が保有する情報が外部に流出したこと自体は、情報管理の問題として、朝日新聞自身によって検証されるべき問題である。しかし、公人が取材を受けた内容が、当初予期した以外の方法で公表されたとしても、公表方法に国会議員が寄せる期待は国民の知る権利に勝るものとはいえない。本件の場合には、テープ録音があるのであれば、その反訳を朝日新聞自身が公表すべきであったともいいうるのであり、月刊誌に掲載されたことを被取材者が非難できる立場にはない。
「国家の意思は統治される市民の意思によって決定される」とすることが民主主義の基本原則である。すなわち、国会議員や政党は、その意見を国民に常に提示してその信を問うことにその存在根拠があるのである。
そして、今日のような情報化社会の中では取材力・報道力をもつ報道機関を介しての情報提供が非常に有益である。国会議員、政党自身が報道機関のその役割を排除するような姿勢を取ることは民主主義の原則を軽視するものであり、国民の権利を侵害するものである。さらに、本件の自民党の対応には、批判的な言論を封じようという意図があるという見方さえできる。
よって、私たちは、自民党に対し、朝日新聞社に対する取材拒否を撤回することを要請する。
(賛同者名省略)
*2

 
朝日新聞の報道内容以前の論点は、以下の通りと思われます。
私見では、いずれの論点も“否”です。
 

1 政党の取材拒否は、公人(特に公権力者)の国民に対する説明責任義務を放棄していないといえるか。
3 政党の取材拒否は、権力チェックを使命とする報道機関の報道活動を否定していないといえるか。
3 政党の取材拒否は、国民の「知る権利」の侵害ではないといえるのか。
4 政党の取材拒否の理由として、会話の録音など、報道機関の取材方法の選択を根拠とすることは妥当か否か。
5 政党の取材拒否の理由として、報道内容を根拠とすることは妥当か否か。
6 取材拒否の主体が、報道対象となった当事者だけではなく、政党幹部全員を対象に広げることは妥当か否か。
7  政党の取材拒否の理由として、報道機関が有する取材情報が外部に流出することを根拠とすることは妥当か否か。

 
私は、もとより「朝日新聞は常に正しい報道している」などと主張したことはなく、NHK番組改変の問題や政治介入の問題について朝日新聞が十分な報道をしているとは思っていません。朝日新聞は、番組改変の件に限らず、伝えるべきことを十分に伝えていないし、一部の記者を除き、政府・政治家にとって都合の良い記事を書いたり、あるいは沈黙したり、あるいは情報提供者である告発者の意思を踏みにじって官僚・政治家に「ご注進」*3し、あるいは他社の取材ができないよう取材源を独占しているのではないかとの疑惑は否定できないとの心証を持っています。*4
しかし、仮に朝日に「公権力との馴れ合い」があったとしても、そのことを批判するのはあくまでも「国民の知る権利」を持ち求めている国民自身であって、馴れ合っている(と疑われている)議員当人が弁護の根拠とすべきことではないでしょう。安倍・中川両氏と自民党の態度は、喩えるなら窃盗容疑で逮捕された泥棒が「以前、警官はオレの窃盗を不問にした。不問にしたときの証拠を出すなら罪を認めてやる。出さないなら罪を認めない」と開きなおって恫喝しているに等しい。そういう恫喝自体が、NHKの番組疑惑をさらに拡大させているということに自民党幹部や安倍・中川両人が気づいていないあたり、保守政治の低質化と凋落を見る思いがします。
 
巷で指摘されているような「録音テープ」の存在については、そのようなテープが存在するとの証拠は明らかではありませんが、仮にそのような記録があったとしても、その公開の是非はケースバイケースで判断しなければならないと考えます。
今回のケースでは、匿名の第三者告発ではなく実名を公開した本人発言ですので、自民党NHK主催のシンポジウムへの参加という形では好ましくないとは思いますが、編集権の行使として録音を公開し、安倍・中川と対決すれば良かったと思います。
「録音テープが実在しているとすれば、朝日がその録音を公開しないのは、朝日新聞社が政治家との馴れ合いを今後も続けていたいからであって、取材源の秘匿のためではなく、読者の信頼のためでもないのではないか」との読者の疑問を払拭する努力は、朝日新聞社(だけに限りませんが)には必要でしょう。
そういう「政治との馴れ合い」を批判する文脈でなら、朝日批判*5には一定の説得力がありますが、そうではない文脈で安倍議員やその取り巻きの弁護をコピー&ペーストしているだけのような批判は的外れであると考えざるを得ません。
 
安倍・中川両議員と自由民主党は、市居の市民や趣味サークルではなく、国民から権力を信託された公人であり、政党助成金、議員歳費、立法権、行政権を国民から与えられている公権力者です。
安倍・中川両議員と自由民主党には、報道内容如何に関らず、公人として、国民に対し自らの立場を説明する責務があります。
公権力者としての言動を評価するのはあくまでも国民ひとりひとりであり、新聞社ではありません。また政治家は、新聞社の指示命令で動いているのではなく、国民の信義に基いて活動しているのです。
ですから、公権力者は、相手が誰であろうと、相手が黙って録音する相手であろうとなかろうと、国民の信託を傷つける言動はしてはならない。
李下に冠をたださずという言葉もありますが、メディアに圧力をかけたと国民に疑われるようなことは公権力者ははじめからしてはならないのです。疑われるようなことを言わなければいいのであって、後になって記事が悪いとあーだこーだ弁護することがおかしい。
逆に言えば、安倍中川両氏や自民党執行部には、公人としての自覚に欠けている政治家だったということが、今回の取材拒否通知からも明らかになったとも言えるのではないでしょうか。
日本という社会が民主制を採用する以上、公権力者の国民に対する説明責任は、報道機関の報道がどうであれ、公権力者である安倍・中川氏自身にあります。
いずれにせよ、報道の真実性を議論するのであれば、裁判で報道内容の取消を求めれば良いだけの話であり、真実性を争点にした裁判を自ら放棄(拒否)し、取材拒否をする態度それ自体が、安倍・中川氏と自民党執行部がNHKに圧力をかけていたのではないかとの疑惑をさらに大きくする結果となっているように感じられます。であるからこそNHKの受信料不払いが拡大し、安倍離れ・中川離れが地元で拡大しているのではないでしょうか。
 
自民党執行部や安倍氏や中川氏が焦っているのは、国民の常識的理解からかけ離れたイデオロギー色の強い思考を普段から持っていたことが失言によって国民の前に明るみになったことにより、失言で有名な森前総理のような国民の常識感覚から逸脱した保守政治家と同類の政治家だったという悪いイメージが定着することをもおそれているのだろうと思いますが、いまさら朝日を叩いても、もはや手遅れであろうと書いておきましょう。
 
安倍晋三議員と中川昭一議員のNHKへの圧力と朝日新聞の報道とその経緯については下記リンク参照。
 

朝日新聞
NHK問題
http://www.asahi.com/special/nhk/index.html
NHK番組改変問題6―当時の取材 中川昭一議員(07/25)
http://www.asahi.com/special/nhk/TKY200507250006.html

中川氏には1月10日午後、電話で取材をした。
――放送内容がどうして事前に分かったのか
「同じような問題意識をもっている仲間が知らせてくれた」
――それで放送直前の01年1月29日に野島、松尾両氏に会ったのか
「会った、会った。議員会館で」
――何と言ったのか
「番組が偏向していると言った。それでも2人は『放送する』と言うから、おかしいんじゃないかと言った。(民衆法廷は)『天皇死刑』って言っている」
――「天皇有罪」だと言っていたが
「何をやろうと勝手だが、偏向した内容を公共放送のNHKが流すのは放送法上の公正の面から言ってもおかしい。教育テレビでやりますからとか、わけのわからぬことを言う。あそこを直します、ここを直しますからやりたいと。それで、『だめだ』と」
――NHKはどこをどう直すと言ったのか
「細かいことは覚えてはいない」
――放送中止を求めたのか
「まあそりゃそうだ」
――報道や放送への介入にあたるのでは
「逆の立場からいえばそうだろうが、全然そう思わない。当然のことをやった」
――NHKの予算は通さないとは言ったのか
「『こういう大事な時期ですから』と言ってきた。それで、『予算の時期だ』と言った。自民党の部会でもこんなNHKの予算は通すべきではないと堂々と言っている」

NHK番組改変問題7―当時の取材 安倍晋三議員(07/25)
http://www.asahi.com/special/nhk/TKY200507250012.html

安倍氏には1月10日夕、2人の記者が同氏宅のインターホン越しに取材をした。
――内部告発では、01年1月29日の午後、松尾、野島両氏が安倍、中川両氏に呼ばれ、「偏った内容だから放送を中止しろ」と言われたということになっているが
「心ある人が何人かの人たちに言って、伝わってきたのではないか」
――それで2人を呼んで放送中止を求めたのか
「説明を聞いたんだ」
――どのような説明か
「覚えていない」
――偏った内容でそれを流すのか、みたいなことを言ったわけか
「いや、そういうことではなくて、公平性に著しく欠けますね、と言った。そしたら『そうですね』と。それで、私の考え方が違うというのなら反論してください、と言った」
――そうすると
「それはもういい」
――告発では、政治家による放送の独立に対する事前検閲、介入にあたると主張している
「票を得て当選し、そういう委託をされていて、その代表として意見を申し上げて当然じゃないのか」

NHK番組改変  何があった
安倍(自民党幹事長代理)、中川(経済産業相)の不可解
放送数日前に会うーー隠せない政治介入   徹底検証
http://www2u.biglobe.ne.jp/~sparkjcp/sphome0812120.html

 
朝日新聞社のNHK番組改変圧力についての特集記事については、NHK受信料支払い停止運動の会が評価をしてました。
 

改編問題の朝日記事を評価 NHK受信料停止運動の会 7月27日 共同通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050727-00000246-kyodo-soci
http://www.iwate-np.co.jp/newspack/cgi-bin/newspack.cgi?national+CN2005072701003515_1
http://www.sanin-chuo.co.jp/newspack/modules/news/241082011.html
http://www4.oita-press.co.jp/news.cgi?D=CN20050727&ID=CN2005072701003515.1.N.20050727T200939&J=National&UP=20050727T200939
http://www.topics.or.jp/Gnews/news.php?id=CN2005072701003515&gid=G06
http://www.kahoku.co.jp/news/2005/07/2005072701003515.htm
http://www.shikoku-np.co.jp/news/news.aspx?id=20050727000411
http://www.toonippo.co.jp/news_kyo/news/20050727010035151.asp

NHK受信料支払い停止運動の会(醍醐聡東大教授ら共同代表)などは27日、従軍慰安婦番組の改編問題をめぐる朝日新聞の25日付朝刊の検証記事を評価する見解を発表した。
見解では、当時のNHK放送総局長との一問一答を「生々しく再現され、政治介入を裏付ける有力な証言」とする一方、NHKがニュースなどで朝日が記事全体について取材の限界を認めたように言っていると批判。安倍晋三衆院議員が特定の番組について善処を求めること自体、「放送の自立を定めた放送法に違反する」と指摘している。
同会は2月に発足。政治家に対する番組内容の事前説明の禁止などをNHKに求め、要求実現まで受信料支払いの一時停止を呼び掛けている。

■NHK受信料支払い停止運動の会
http://www.geocities.jp/shiharaiteishi/
2005年2月8日
申し入れ書(PDF:9KB)
http://www.geocities.jp/shiharaiteishi/material/050208nhk_moushiire.pdf
呼びかけ文(PDF:10KB)
http://www.geocities.jp/shiharaiteishi/material/050208nhk_yobikake.pdf
3月7日 NHKからの回答(PDF:6KB)
http://www.geocities.jp/shiharaiteishi/material/050307kaitou_from_nhk.pdf
3月14日 NHKからの回答に対する見解と再度の申し入れ(PDF:11KB)
http://www.geocities.jp/shiharaiteishi/material/050314nhk_moushiire2.pdf
5月13日 NHKからの回答(PDF:5KB)
http://www.geocities.jp/shiharaiteishi/material/050513kaitou_from_nhk.pdf
6月3日
NHKからの回答に対する見解(PDF:25KB)
http://www.geocities.jp/shiharaiteishi/material/050603kenkai.pdf
橋本会長への公開質問書(PDF:18KB)
http://www.geocities.jp/shiharaiteishi/material/050603question2kaityo.pdf
経営委員会への公開質問書(PDF:22KB)
http://www.geocities.jp/shiharaiteishi/material/050603question2keiei.pdf
Q&A
http://www.geocities.jp/shiharaiteishi/
2005/01/24 東大教員有志による「NHK番組への政治介入についての声明」(呼びかけ人:東大教官14名)
http://www.nulptyx.com/nhk_seimei.html
2005/02/04 報道・表現の危機を考える弁護士の会(呼びかけ人:杉浦ひとみ弁護士ら20名)による声明文
http://www.geocities.jp/shiharaiteishi/material/050204bengoshi_seimei.pdf
2005/02/16 NPO法人「株主オンブズマン」(共同代表:辻公雄(弁護士)、上脇博之(憲法学者)、木村陽吉(市民))による「報道番組に対する国会議員等の介入等に関する要請書」
http://www1.neweb.ne.jp/wa/kabuombu/nhk2.html
2005/02/24 論文 醍醐聰(東京大学教授) 「受信料支払い停止運動の論理」
本文
http://www.geocities.jp/shiharaiteishi/material/daigo_paper/manuscript.pdf
受信契約における同時履行の抗弁の概念図
http://www.geocities.jp/shiharaiteishi/material/daigo_paper/figure.pdf
「支払い停止」シール販売

http://www.geocities.jp/shiharaiteishi/hanbai.html

 
指摘されている「録音テープ」については、その存在については推測にとどまりますが、仮に本人の許諾を得ない録音であったとしても、そのこと自体がメディアの活動として非難されるべき取材方法とは言えないことは、すでにkitanoのアレでも指摘しました。
無断録音だからといって、その行為がただちにジャーナリズムの倫理に反した逸脱行動だということにはならないし、録音された会話の事実性が左右されることもない、と私は考えます。
その根拠については下記ログ参照。
 

取材の自由:身の保全のため調査報道に無断録音は欠かせない
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050304

 
取材源の秘匿については、匿名の告発者の地位の保護という観点では必要なものであり、その意味では朝日新聞の姿勢は原則的には正しいです。
しかし、安倍・中川両氏への取材のケースについては、匿名を前提にした取材ではなく、現に実名を示して本人取材の結果を報道しているのですから、朝日新聞社は録音テープを公開し、正々堂々と事実を実証すれば良いし、公開することは国民の知る権利に適うのではないかと思われます。
録音テープの音声の公開については、報道主体である朝日新聞社に編集権があるわけですから、朝日新聞社が適当と思う時期と方法で自主的に判断して録音テープの音声を公開すればよいのではないかと思います。
もちろん、テープを公開すればしたで「無断録音は許せない」といった取材の自由について無知な意見が出るだろうし、取材した記者の記者生命はその時点で終わってしまうかもしれません。
しかし、くり返しになりますが、取材方法がどうであれ事実は事実ですし、今回のケースではありのままの事実を伝えることは国民の知る権利に応えることになりこそすれ、読者の信頼を裏切ることにはならないと考えます。
 
安倍・中川両氏による番組改変圧力の問題点ついては、ここでは書きません。
NHK問題に関する緊急記者会見とアピール」における議論が参考になりますのでそちらを確認してください。
 

NHK番組政治家介入疑惑(6):メディア関係者緊急記者会見
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050203
───────────
ビデオニュース
【映像】ジャーナリストやメディア関係者によるNHK問題に関する記者会見とアピール (2005年1月18日)
http://www.videonews.com/asx/011805_nhkappeal_300.asx

 
NHK改変問題を、朝日VS安倍中川という対立構造で状況を把握している方が一部にいらっしゃいますが、そういう対立軸は一部マスメディアの報道における演出であって、「朝日VS安倍中川」という対立構造は番組改変問題の核心問題ではないということを付しておきます。
番組改変問題の核心は、あくまでも日本放送協会とVAWW−NETジャパンとの裁判であり、NHKの経営責任がメインであるという事を忘れるべきではないでしょう。
 

「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク Violence Against Woman in War - Network Japan(VAWW−NETジャパン)
安倍晋三氏の事実歪曲発言について
http://www1.jca.apc.org/vaww-net-japan/nhk/appeal050117.html
NHK裁判
http://www1.jca.apc.org/vaww-net-japan/nhk/index.html
VAWW-NETジャパン
政治家によるNHK番組介入問題について
http://blog.livedoor.jp/vawwnetjapan/

 
NHKへの政治圧力については、安倍・中川両氏のケースが最初のケースではなく、以前から続いていた圧力事例のひとつにすぎないことは、20年以上前から様々なメディアで指摘されていたことです。
また、安倍・中川両氏による介入があったとの伝聞情報を告発したNHK職員の長井告発では、狂牛病問題をテレビで最初に特集を組んだNHKスペシャルの再放送が、自由民主党農林部会で番組への批判があった後につぶれたという驚くべき事実も告発しています。
安倍中川問題が存在しても存在しなくても、自民党関係者がNHKに政治圧力をかけたとの事実は揺らぎ得ません。
 

NHK番組政治家介入疑惑(2):長井記者会見(その2)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050115

私がデスクでやった番組で、同じ2001年の9月に放送されたNHKスペシャル「狂牛病 感染はなぜ拡大したのか」という番組がございました。
これはまだ日本で狂牛病というものがそれほど注目されていない段階で、私共の班の非常に優秀なディレクターがですね、イギリス政府が出した膨大な狂牛病に関する英文の報告書を全部読んでですね、企画を出してきた番組です。それで主にイギリスやヨーロッパを取材しですね、いち早く狂牛病の感染源が肉骨粉であるというようなことを番組で明らかにし、ヨーロッパからの輸入がされているので日本でも狂牛病が発生するおそれがあるということを初めて伝えたNHKスペシャルでした。
これは2001年9月16日の日曜日に放送されたんですけれども、それで視聴者からの非常に大きな反響があってですね、当時は再放の枠で「あなたのアンコール」という枠が日曜の午前中にあったんですね。翌週の「あなたのアンコール」という枠でこのNHKスペシャルが放送される予定が決まりまして、放送されるんだろうというふうに私共は思っておりましたが、自民党の農林部会でこの番組に対する批判が出まして、それがどういう形でNHKに伝えられたのかは私は存じあげませんけれども、海老沢会長の意を受けた当時の諸星報道局長がこの再放送をつぶしに回ってつぶしました。その時の理由としては、「政府が」、その時にはもう狂牛病の第一号が出ていたのだと思いますけれども、「政府がいま対策を考えているので再放送するんだったらそういう対策をいれてから再放送したらいいんじゃないか」というような、理由はそういう理由でしたが、その後結局再放送されないという事態になっております。

NHK番組政治家介入疑惑(9):長井告発以前にもあった政治介入
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050315

 
そういえば武部幹事長狂牛病問題発生当時の農林水産大臣でしたね。中川昭一議員も農林水産大臣経験者。
安倍晋三議員(当時幹事長)は、週刊パロディ・タイムズ(マッドアマノ氏)のパロディ作品にムキになって中村敦夫参議院議員にパロディの削除を要請したことがありました。
いつから自民党議員は、細かいことに怒鳴り声をあげるような小物ばかりになってしまったのでしょうか?
 

中村敦夫公式サイトのマッド・アマノ作・自民党ポスターパロディに自民党が削除圧力
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040706

 
安倍晋三氏が顔を真っ赤にして削除を求めたパロディ画像は木村氏のサイトで見ることができます。
画像を掲示している木村氏のところには自民党から削除要請はまだ届いていない模様。あははっ。
 

構造改革」に不具合が生じましたので回収・修理・辞任の要望にお応えします。
http://www.jca.apc.org/~altmedka/2003mad/mp040622.html
http://www.jca.apc.org/~altmedka/2003mad/mp040622.jpg

 
自民党は、1998年の参議院選挙における橋本経験敗北のあとに「報道モニター制度」*6を展開し、1999年3月には自民党脳死移植報道・ダイオキシン報道などを理由に「報道と人権等のあり方に関する検討会」*7を設置し、森内閣末期の時には「テレビ報道番組検証委員会」(座長・尾身幸次幹事長代理)*8というメディア監視調査機関を党内に設置して暗黙の圧力をメディアにかけていたことがありました。
 
自民党にかぎったことでもないのでしょうが、政党はピンチになるとマスコミ批判を展開する傾向がありますね。
小泉内閣も、その例外ではなかったということでしょうか。
「小泉フィーバー」などともてはやされ、純一郎まんじゅうを買い求めてはしゃいでいたオバちゃんたちは、今、なにを想っているのでしょうか?
 
以下、取材拒否通達を出した自民党の情報。
 

自由民主党
朝日新聞のわが党に対する取材「自粛」求める 取材資料流出問題受け朝日新聞問題報道PT 平成17年8月1日
http://www.jimin.jp/jimin/daily/05_08/01/170801b.shtml

朝日新聞の問題報道に関する調査プロジェクトチームの佐田玄一郎座長は1日、国会内で記者会見し、朝日新聞のわが党役員に対する取材について「公式の記者会見を除き、記者懇談や個別取材など、すべて自粛していただく」との通知書を発送したことを明らかにした。
この措置は、月刊現代・9月号の記事について同紙が29日深夜「取材資料が流出した疑いがある」旨の会見を開いたことによるもの。同チームは、同紙が月刊現代を発行している講談社や執筆者に対して抗議していないことや、重大な取材倫理違反となる無断記録や取材資料の流出について謝罪もしていないことから「あたかも取材のやりとりを記録した取材資料があるということを世間に強調したかっただけの『やらせ』ではないか」と指摘。「貴社自身が今回の取材資料流出に深く関与しているのではないかと大きな疑念を感じる」として、月刊現代9月号の記事掲載に関する事実関係が明らかになるまでの間、同紙の取材について「自粛」を求めることとなった。

武部幹事長定例記者会見(役員連絡会後) 平成17年7月26日(火)

http://www.jimin.jp/jimin/kanjicyo/1707/170726.html

朝日新聞問題報道について
《佐田筆頭副幹事長発言》
昨日、朝日新聞の朝刊に検証記事が出た。これはなんの検証にもなっていない。逆に捏造であったことが証明されたようなものである。党としては今後とも真相究明のために公開討論会の参加を要求し続ける。
これに関連して安倍幹事長代理からもご発言がありました。

武部幹事長定例記者会見(役員会後)平成17年8月1日
http://www.jimin.jp/jimin/kanjicyo/1708/170801.html

武部幹事長発言
朝日新聞問題報道について》
わが党としては、わが党所属の国会議員が万が一にも不当卑劣な方法による取材で被害を受けることがない様に、8月1日、朝日新聞に通知書を送り、本件の事実関係が明らかになるまでの間、わが党の役員に対する取材は公式の記者会見を除き、記者懇談や、個別取材など、全て自粛してもらうこととした。各役員においてもご了解いただきたい。この件については役員会で了解を得たところです。
(略)
Q: 朝日新聞からの取材に対しての自粛について、党役員に対する取材の自粛をすることにしたという了解を得たとありましたが、この対象は党役員ということでよろしいでしょうか?
A: そうです。対象は党役員です。
Q: 自粛ということの意味ですが、努力規定的な意味合いなのか、なんらかの強制力を持つものなのか、お聞かせ下さい。
不A: 自粛はあくまでも自粛であります。
Q: 自粛について、何をもってこれを解除するお考えでしょうか?
A: 朝日新聞の資料流出と月刊現代の記事掲載の経緯や状況が明らかになるまでは、少なくとも自衛策としてこれを実行してまいります。朝日新聞の調査結果を受けて、わが党でも検討していくことになるだろうと思います。どこで判断するかについては、この問題については、執行部の下、プロジェクトチームが設置されているわけであり、第一義的にはPTで判断するということでしょうが、執行部が関わっておりますので、最終的には執行部の判断になると思います。
Q: 朝日新聞の件について了承される際には、どのような意見があったでしょうか?
A: 役員会では了承するということだけでございます。

部幹事長定例記者会見(役員連絡会後) 平成17年8月2日(火)
http://www.jimin.jp/jimin/kanjicyo/1708/170802.html

朝日新聞問題報道ならびに今後の取材対応について》
朝日新聞社内における取材資料流出問題について、朝日新聞の問題報道に関する調査プロジェクトチームから、朝日新聞社社長宛に通知書を発出した。ついては、役員連絡会メンバー各位においては、公式の記者会見を除き、記者懇談、ぶらさがり取材、ブリーフィング、いわゆる夜討ち・朝駆け取材など、一切の取材を自粛してもらうことを昨日の役員会で申し合わせた。併せて、党所属国会議員においても、朝日新聞社の取材には十分注意され、対応していただきたい。各位のご協力をお願いしたい。
(略)
朝日新聞問題について
佐田筆頭副幹事長から、朝日新聞虚偽報道と今後の取材対応について、詳細の説明がありました。
武部幹事長発言》
今回の取材に関しての自粛の意味は、自己防衛として、こうした方法で正していかねばならないと考える。各位のご理解とご協力をよろしくお願いしたい。
(略)
Q: 朝日新聞の件について、昨日の役員会に続いて、今日の役員連絡会メンバーにも取材の件について求めたということでしょうか?
A: そうです。要するに、あってはいけないことですが、よくテープに録っていたりするということがありますから、今度の場合もそういう問題をはらんでいるわけです。ですから十分注意を喚起しなければならないということです。

関連報道・社説など。
 

JANJAN
自民党の取材拒否について反対声明出される 2005/08/06
http://www.janjan.jp/media/0508/0508050458/1.php
自民党幹部、朝日新聞の取材拒否宣言!
http://www.janjan.jp/nigaoe/0508/0508020297/1.php

取材拒否の理由は、朝日記者は取材される人をだまし、
隠れて無断録音で記録し続けている可能性があるので
自民党議員が、万が一にも不当、卑劣な方法による
取材で被害に遭うことがないようにするためだそうな。

ううむ〜。なるほど、なるほど。もっともな意見だ。
警察の捜査に協力する情報提供者が
犯人からの報復を恐れてそう言うんだったら、すごく納得できる。
だけど、アナタたちは国民の信頼を受けて、税金で高い給料もらっている
国会議員なのだ。
国民の代表が、無断だろうが、隠し録りだろうが、
それに相手が誰であろうと、
録音されてマズイ事をしゃべる方がオカシイんじゃない?

NHK番組改変問題 リンク集
http://www.janjan.jp/link/0501/0501182714/1.php

中日新聞東京新聞
番組改変問題 取材拒否は本質ぼかし
http://www.chunichi.co.jp/00/sha/20050804/col_____sha_____001.shtml
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20050804/col_____sha_____003.shtml

党や政治家は常に国民の目にさらされなければならない。NHKの番組改変報道に関して自民党役員が特定の新聞の取材を拒否するのは、問題の本質をぼかして国民の知る権利を侵害する。
NHKの番組改変報道に関する朝日新聞の取材記録とみられる資料が月刊誌に掲載された問題で、自民党は役員に対する同新聞の取材を公式記者会見を除き拒否するという。
記録は、圧力をかけたとされる安倍晋三自民党幹事長代理と中川昭一経産相、圧力を受けたとされる松尾武・NHK放送総局長(当時)のインタビュー録音反訳らしい。
文面は安倍、中川両氏とも番組内容に注文をつけたことを認めたように読める。朝日報道の「圧力」が必ずしも誤りとはいえない内容だ。事実経過に松尾発言を重ねると、NHK側が安倍氏らの意向に合わせ改変したことも否定できまい。
問題の本質は政治と放送の関係である。真摯(しんし)に反省すべきなのに、取材記録の流出にかこつけた取材拒否は公党としての責務に反する。
政党も政治家も常に国民の監視、チェックを受けるのが民主主義の大原則だが、国民は報道なしには監視できない。取材拒否は、メディア差別というだけでなく、そのメディアを通じて情報を知ろうとする人々の知る権利を侵害する。
報道一般への威嚇ともいえ、ほかのメディアも看過すべきではない。
一九八四年、当時の愛媛県知事は日刊新愛媛新聞の取材を一切拒否した。国政レベルでも自民党は折に触れ報道にクレームをつけてきたが、これだけ極端な対応は異例だ。
圧力を否定しきれなくなって苦し紛れに的外れの反撃に出た、と批判されても仕方ないのではないか。

北海道新聞社 社説
番組改編問題*まだ不透明な点が残る(7月27日)
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/backnumber.php3?&d=20050727&j=0032&k=200507273607

朝日新聞の報道は安倍、中川両氏が放送前にNHK幹部を呼びつけたとしていたが、「これらを直接裏付ける新たな文書や証言は得られておらず、真相はどうだったのか、十分に迫り切れていません」と認めている。
両氏は当初の取材に対してNHK側を呼んだことは否定しなかったと検証記事は言う。取材の際にこの点をきちんと確認しなかったのは、甘かったと言われても仕方がない。
NHKの現場スタッフの多くが「政治介入があった」と受け止めていたとしても、「政治家の圧力による番組改編」を証明するには、もっとしっかり手順を踏んだ取材が必要だった。
政治家の圧力で改編されたかどうかについては、朝日新聞の報道とNHKの言い分は対立している。
三者機関が真偽を判定するというより、報道機関自らが外部の識者らを入れた審査機関で自主的に検証することが必要だ。それによって報道側の自浄力を高めなければならない。
その点ではNHK側にも注文をつけたい。問題となった特集番組をめぐってNHK幹部と政治家との接触があったのは確かだ。番組も放送当日まで内容変更が行われている。本当に政治的圧力に配慮しなかったのか、という疑いは今も強く残る。
朝日新聞に対し、ニュース時間帯で抗議したり、反論の公開質問状を出したりするだけでなく、問題となった番組がどういう経過で改編されたのかを、幹部、現場スタッフ、取材協力者も含めて正確に検証する特別番組をつくるべきではないか。
朝日新聞の検証記事を受けて、こんどはNHKが自らを検証する番だ。

 
関連ログ。
 

「徹底検証! NHKの真相」
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050419
NHK番組政治家介入疑惑(9):長井告発以前にもあった政治介入
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050315#p1
NHK番組政治家介入疑惑(8):国会議員による言及のまとめ(1)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050314#p1
NHK番組政治家介入疑惑(3):各新聞社社説のまとめ
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050116#p1
NHK番組政治家介入疑惑(2):長井記者会見(その2)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050115#p1
NHK番組政治家介入疑惑(1):長井記者会見
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050114#p1
NHK受信料横領問題(5):経営委員、会長更迭要求を黙殺
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20041126#p1
NHK受信料横領問題(4)
不祥事放送局NHK:放送受信契約を解約しよう
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040917
NHK受信料横領問題(3)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040916#p1
NHK受信料横領問題(2)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040915#p1
NHK受信料横領問題(1)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040914#p1

───────────

*1:契約数の約3.2%が不払い。日本放送協会の事業収入6,724億円のうち約100億円が不払いで減るという観測もあるようです。まさに見から出た錆。悪いことをしてきたツケがまわってきました。 Googleニュース検索「NHK 受信料」 (東京新聞)「NHK受信料不払い117万件 NHKは二日、受信料の支払い拒否・保留件数が七月末で百万件を初めて超え、約百十七万一千件に上ったことを明らかにした。また、NHK経営委員会の石原邦夫委員長は同日、今年一月辞任した海老沢勝二・前会長、笠井鉄夫・前副会長、関根昭義・前専務理事の元首脳三人の退職金支払いを凍結する方針を明らかにした。/受信料の支払い拒否・保留件数は、元チーフプロデューサーの番組制作費着服が発覚した昨年七月以降、急増。同九月末の約三万件から、今年一月末に約四十万件、五月末には九十七万件に達していた。六、七月分でさらに二十万一千件増えた。/結局、二〇〇五年度予算で想定した四十五万−五十万件の二倍以上に膨れ上がり、NHKはさらに厳しい経営を迫られることになった。拒否の理由は、一連の不祥事への批判とは別に「隣が払っていない」などの不公平感を訴える声も増加している。」 http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20050803/mng_____sya_____006.shtml

*2:賛同者名は後述のJANJANの記事 http://www.janjan.jp/media/0508/0508050458/1.php を参照のこと。

*3:情報源となる告発者の告発内容を、告発者の意思に反して情報源を排除・制裁しようと考えている側の権力者に情報を流し、政治家や官僚の利益を満足させ、その結果として記者個人の利益や会社の利益を確保することを「ご注進」と言ったりします。

*4:例えば、警察・検察の裏金など司法腐敗の報道では、北海道新聞社がスクープを出したというより、全国紙・通信社が特オチを意図的に続けているような状態でしょう。 公開シンポジウム「おかしいぞ警察・検察・裁判所第2弾」『メディアはなぜ追求できないのか』(2005年7月4日)では、全国紙の記者が警察裏金問題を取材する北海道新聞社の記者の警察による排除に同調し、「権力チェックなんてどうでもいいこと」というような信じられない態度をとっていたことが報告されています。映像→ ビデオニュース http://www.videonews.com/sympo_jurisdiction2.htmlhttp://www.videonews.com/asx/sympojurisdiction/070405_jurisdiction_300.asx

*5:たとえば、JANJANの朝日批判など。

*6:自由民主党報道モニター制度の創設について」という文書により開始したメディア監視体制。 「昨年、目についた動きの一つに、与党自民党が始めた「報道モニター制度」がある。これについて自民党は、ほめられたことではないとの自覚があるのか、取材に応じていない。党情報調査局が98年10月に出した「自由民主党報道モニター制度の創設について」なる文書から、概要を紹介しよう。/それによると、制度の目的は「昨今のマスコミ報道には、日本の進路を決定する重要課題について、誤解や無理解からの誤った報道、明らかに公正さを欠く発言、事実に反する報道が見受けられ、国民の利益を損なう恐れがある。そこで、不適切な報道がなされた場合、報道機関に対し、直《じか》に問題についての理解を促し、必要に応じ抗議、訂正を求めていくこと」(要旨)である。/具体的には、国会議員が推薦し党幹事長が委嘱《いしょく》するモニターを、全国に約2000名配置する。モニターは、テレビ・ラジオ・新聞などで不適切な報道があれば、報道機関に抗議するとともに党本部情報調査局に通報する。局では調査し、当本部執行部に報告し、その報道機関に対して必要な措置を取るという。」http://www.aa.alpha-net.ne.jp/mamos/tv/kainyuu.html

*7:「報道と人権等のあり方に関する検討会」→ 日本民間放送連盟放送番組調査会報1999年12月25日 No.75「本年8月に自民党がまとめた「報道と人権等のあり方に関する検討会」報告書について、日弁連側は、報告書で提案されている報道監視のための国民モニター制度に否定的な見解を述べるとともに、日弁連が活字メディアに提案している"報道評議会"は、あくまでも自主的な第三者機関を想定していることを強調した。/日弁連側は続けて、法務省が人権擁護推進審議会の検討事項として、人権侵害記事の行政命令による事前差し止めを視野に入れている旨を新聞協会に示したことについて、問題提起を行った。法務省の発言は後日撤回されたが、「報道の自由を制限しようとする動きは今後とも注意して見守る必要がある」と警鐘を鳴らした。」 http://www.nab.or.jp/htm/ethics/chosa/chosa75.html

*8:テレビ報道番組検証委員会についての記事→ 「自民、テレビ報道監視の委員会設置 自民党は6日午前、テレビの政治報道が公正、公平さを欠いていないかどうかを監視するための「テレビ報道番組検証委員会」を設置した。党内のモニター制度で、「公正さを欠く番組が見られ、テレビ局の自主規制だけでは改善されないため」と説明している。また政府に対して報道番組の内容をチェックする「第三者機関」を設置するよう働きかけることも決めた。自民党総裁選や7月の参院選などに向けて報道をけん制する狙いだ。/北村直人副幹事長が記者会見して発表した。検証委は副幹事長ら同党の数人の国会議員や顧問弁護士などで構成し、すべてのテレビ報道をチェックした上で報告書をまとめて幹事長に提出。場合によっては名誉棄損で告訴するなどの手段を取る方針だ。」 http://www.asahi.com/politics/update/0406/007.html http://www.asyura.com/sora/bd12/msg/983.html