東京都議会議員選挙:当落結果と選挙の総括

 
皆様のご支援ご協力により、推薦者のうち18名が当選し、都議会に送ることができました。
ご支援をいただいた皆様には心から感謝とお礼を述べさせていただきます。ありがとうございました。
 

都議会議員候補推薦者当落結果
 
当選18名 ********** ********
落選40名 ********** ********** ********** **********
 
千代田区
 落 柏崎泰正 37 共新 党地区役員
中央区
 落 桑名文彦 34 共新 党地区役員
港区
 落 窪田光 46 共元1 党地区役員
 ※窪田候補は次点。最下位当選者とは3091票差
新宿区
 当 大山とも子 49 共現3 会派役員
 落 富田俊正 46 民現1 会派政調会長
 ※富田候補は次点。
文京区
 当 小竹紘子 63 共元1 党地区副委員長
 ※小竹候補はトップ当選
 友愛現職の鳩山太郎落選と
 自民現職の中屋文孝落選はダブル金星!
台東区
 落 秋間洋 46 共新 党地区役員
墨田区
 落 阿藤和之 34 共新 党地区常任委員
江東区
 落 東巨剛 68 共現4 議会公企委役員
品川区
 落 藤田美佳 31 共新 都議秘書
目黒区
 落 宮本栄 43 共新 党地区副委員長
 当 伊藤悠 28 民新 区議
大田区
 当 可知佳代子 57 共現2 党都役員
 落 中村稔 59 共新 前区議団幹事長 
 落 飯島時子 52 ネ新 党政策委員
世田谷区
 落 大久保青志 54 社元1 元都議
 落 佐藤政子 49 ネ新 党地区事務局長
 当 田副民夫 55 共元2 元都議
渋谷区
 落 小峰久雄 49 共新 党地区委員長
中野区
 当 植木こうじ 61 共元3 党東京都委員
 ※ネット現職の樋口候補は落選
杉並区
 当 福士敬子 66 無現2 自治市民代表
 当 吉田信夫 55 共現3 会派幹事長
 落 堀之内敏恵 32 ネ新 党政策委員
 落 長谷川英憲 67 諸元1 団体代表
豊島区
 落 渡辺久美子 54 共新 党地区役員
北区
 当 曽根肇 53 共現3 会派政調委員長
荒川区
 落 小林行男 49 共新 党地区役員
板橋区
 当 古舘和憲 58 共現2 会派副幹事長
練馬区
 当 松村友昭 60 共現3 会派副幹事長 
 当 山口文江 57 ネ現1 ネット代表委員 
 落 土屋俊測 66 無新 会社役員
足立区
 当 渡辺康信(渡辺やすのぶ) 67 共現5 党東京都委員
 ※自民現職の三原候補は落選。自民現職の近藤候補は当選。
葛飾区
 落 高橋信夫 51 共新 区議
江戸川区
 当 河野百合恵(河野ゆりえ) 55 共現1 都環境建設委員
 落 佐々木美貴(佐々木みき) 43 ネ新 環境デザイナー
 ※自民現職の田島候補は落選
八王子市
 当 清水秀子(清水ひで子) 53 共現2 会派役員
 落 佐久間寛子(佐久間ひろ子) 51 ネ新 党地区役員
立川市
 落 浅川修一 50 共元1 党地区役員
武蔵野市
 落 宮本徹 33 共新 党地区役員
 ※自民現職は落選、民主が当選
三鷹市
 当 伊沢けい子 40 無現1 都議 (市民の党)
 落 大城美幸 41 共新 市議
青梅市
 落 工藤敬一 56 共新 党地区役員 
府中市
 落 小林幹典 38 共新 党地区役員
昭島市
 落 星篤麿 52 共新 党地区役員 
町田市
 落 室谷友英(むろや友英) 56 共新 党地区役員
小金井市
 落 岩永徹 33 共新 党地区役員
小平市
 落 井出重美津子(井出重みつ子) 41 共新 党地区委員
日野市
 当 村松美枝子(村松みえ子) 58 共元2 党都委員
 ※ネット現職の執印候補は落選
西東京市
 落 藤岡智明 57 共元1 党地区役員 
西多摩
 落 鈴木治 48 共新 党地区委員長
南多摩
 落 石渡あきら 42 共新 党地区役員
 当 原田恭子 58 ネ新 多摩ネット役員
北多摩1
 落 小松恭子(小松きょう子) 65 共現2 党准東京都委員
 落 馬場貴子(馬場たか子) 43 ネ新 党地区委員
北多摩2
 落 前田武彦 61 共新 党地区委員長 
北多摩3
 落 田中智子(田中ともこ) 47 共元1 党地区役員
北多摩4
 落 篠原重信(しのはら重信) 53 共新 党地区役員
島部
 落 梅田孝雄 61 共新 党地区役員 

 
選挙結果ですが、今回の選挙の勝利者は、棄権党のみなさんです。棄権者の総数は564万7,429人。
43%の有権者しか投票に参加せず、残りの半分以上は、今回の選挙で当選した都議を無条件で信任しました。棄権者の半分が投票に参加していたら、議席の内容はかなり違っていたと私は推測ます。東京市民は四年に一度しかない、かけがえのない絶好のチャンスを逃してしまいました。
個々の当落について分析すれば希望は見えてくるだろうと思いますが、一言で総括すると、都民は政治の悪化を信任した、と私は判断します。
棄権が増えて政治が良くなった例はありません。今後4年間、政治は今よりも悪くなるでしょう。
NHKの調査では、都民の政党支持率はこうなっています。
 

NHK出口調査結果
政党支持率
自民34% 公明10% 民主23% 共産8% ネット2% 社民1% 政党支持無し22%
 
うち無党派の政党投票率
自民19% 公明11% 民主28% 共産20% ネット7% 社民15%

 
私がある選挙対策事務所で出口調査を確認したところで、投票した人の8割が組織票で、無党派は全体の2割であるとの情報がありました。NHKの出口調査もこれとほぼ同じ出口調査結果となっています。
投票した人の8割が組織票で無党派は全体の2割ということは、無党派1票に対し、党派票は4票。党派は無党派の4倍の票を持っていたことになります。
だからあれほど「棄権するな」と書いたのに…。書くまでも無いことですが、棄権したからといって条例にしたがわなくてもよいということにはなりませんし、支払った税金が返ってくるわけでもありません。税金もルールも、投票した人だけのものです。それがこの社会のルールなのですから。
 
政党の獲得票の傾向を見ると、こうなります。
 

議席数は以下のとおり(カッコ内は選挙前)
自民党 48 (51)
公明党 23 (21)
民主党 35 (19)
共産党 13 (15)
生活者ネットワーク 3 (6)
諸派  1 (1)
無所属 4 (4) 

 
簡単にいうと、公明が自民の議席を食い、民主がネット・共産・無所属の議席を食った、ということだと思います。自民党は公明と連立を組めば組むほど、公明に票を吸われて減っていく構造になっているようです。
民主党は、国政選挙では野党ですが、都議会では与党です(都庁提案の98%に民主党は都議会で賛成している)ので、都議会の党派勢力で比較すれば、結果的に野党が議席を減らし、与党が83%の絶対安定多数議席を占める状況になっています。
結論を書くと、今回の選挙は与党が増えて野党が減った、ということになります。
まぁ、あれだけ棄権者がいるのですから、当然の結果といえば当然の結果ではありますね。
 
個別の選挙区を見てみると、残念な結果と希望が見える結果の両方があるように思います。
残念な結果から先に書くと、表現規制に慎重だった現職の何人かが落選しています。新宿区の民主現職の富田候補は、民主党の中では表現規制の慎重派でしたが、100条委員会での追及を受け、民主党の仲間に足をひっぱられて落選しました。
世田谷区は、社民の大久保さんとネットの佐藤さんの落選は残念でした。大久保さんかネットの佐藤さん、どちらかが立候補をとりやめていたら、どちらか一方が民主の候補をおさえて当選できた可能性があります。結果的に票を食いあって共倒れになってしまったのはとても残念です。
江東区の共産現職の東候補は、条例改悪の時の文教委員会の委員長でしたが、落選しました。東京都議会の文教委員会は代々、共産党議員が委員長職を務めていますが、今回の都議選で共産は議席を減らし、委員長経験者まで落選していますので、もしかしたら文教委員会の委員長が自民党都議や民主党都議になり、条例改悪が加速する可能性があります。
八王子市のネット新人の佐久間候補は次点で落選。最下位当選の自民現職の候補との差は6352票。民主や公明の票をとりこむ努力に欠けていたのかもしれません。生活者ネットは次点に泣く選挙区が目立ちます。
立川市では、民主と共産がお互いに票を食い合って共倒れとなり、自民現職が当選していました。
 
希望の見える結果について総括します。
目黒区では表現規制に明確に反対の意思を表した伊藤悠候補がトップ当選しました。28歳という若い都議なので、民主党党議拘束の壁をどう押し戻せるのかは不安は残りますが、トップ当選に奢ることなく、都民を裏切れば後は無いとの覚悟で誠意を尽して議論していただきたいものです。
文京区は共産元職とネットの候補の両人が当選し、表現規制に積極的だった友愛の鳩山候補と自民の小竹候補の両方が共倒れ落選。ダブル金星になっています。
世田谷区は共産元職が議席を奪還し、自民現職が落選しました。最下位当選の民主の山口候補との差はわずか696票。一票の重みを感じます。
中野区では、共産元職の植木候補が返り咲き、ネット現職の樋口候補を落選させました。
杉並区は、優先公認だった福士都議が議席を確保しました。が、最下位当選で次点の自民候補との差はわずか1737票差。崖っぷちギリギリの当選でしたので、支援が少しでも薄かったら当選できていたかどうかわからない状態でした。支援できてほんとうに良かったと思います。
板橋区は、民主の石原応援団の土屋たかゆきは当選してしまいましたが、自民党支援者の一部が土屋に票が流れて自民現職の稲葉候補が落選しました。保守の分裂作戦がうまくいった感じです。
足立区は表現規制の最右翼の一人だった近藤弥生候補が当選してしまいましたが、自民現職の三原候補が落選。足立区でも保守の分裂作戦が成功しました。
三鷹市では、市民の党現職の伊沢候補が民主の候補をおさえて辛うじて当選。次点との票差はわずか241票! 落選していてもおかしくない選挙でした。共産候補と票を食い合ったことも得票数を減らした一因かもしれません。
日野市では、共産元職の村松候補がネット現職の執印候補を抑えて当選。執印候補は、表現規制を含む条例改悪案に生活者ネットとして賛成することを決めた政調会長でしたので、金星と言えます。
 
自民、公明は全体として世代交代がうまく進んだ印象があります。土屋たかゆきや近藤弥生など、比較的若い世代の表現規制派(はっきり言えば日本会議系)の台頭も一方で進んでいますので、表現規制は今後も続くと予想されます。
共産は、元職は議席を奪還した選挙区もありますが、世代交代が失敗して議席を減らしました。共産は若い世代の候補の育成を真剣に考えなければ党勢を後退させることになるでしょう。共産党は、無党派の政党投票率が20%と、自民党よりも高く無党派からの期待が高まっています。無党派からのとりこみを期待できるような、無党派と対話できる候補者を幹部にして、無党派のとりこみの努力が必要だと思います。(が、私の見たところ、ちょっと現時点では党中央が変らないとどうにもならないなという感じはします。)
 
関連リンク。
 

平成17年7月3日 東京都議会議員選挙
開票結果
http://219.109.9.226/2kaijyo_s.htm
投票結果 投票率
http://219.109.9.226/2toukak_s.htm

 
関連ログ。
 

2005年都議選推薦候補リスト(確定版)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050702
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050701
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050622
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050620
2005年都議選推薦候補リスト(会派別)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050619/p1

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