NHK不祥事:生活ほっとモーニング事件最高裁判決

訂正放送は、判決が出る前にすべきでしたね。

NHKが訂正と謝罪の放送 プライバシー侵害の判決受け
http://www.asahi.com/national/update/1126/007.html
http://d.hatena.ne.jp/http?//www.asahi.com/national/update/1126/007.html

訂正は総合テレビ「生活ほっとモーニング*1で、4分45秒間にわたって放送された。判決内容を示し、96年6月当時の番組の内容を放送。その上で「結果としてプライバシーが公表され、夫に対する思いやりのない自己中心的で人間性に欠ける女性だとの印象を与えた」と説明。「(女性の)名誉を傷つける結果となったことを深くおわびし、訂正します」と述べた。

訂正放送命令を破棄 離婚巡るNHK番組で最高裁
http://www.asahi.com/national/update/1125/016.html
プライバシー侵害・最高裁判決受け、NHKが訂正放送
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041126-00000504-yom-soci
NHKが自主的に訂正放送 最高裁判決受け
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041126-00000059-kyodo-ent
http://www.kahoku.co.jp/news/2004/11/2004112601000578.htm
http://www.nikkansports.com/ns/entertainment/f-et-tp0-041126-0016.html
<NHK>最高裁判断受け、自主的に訂正放送
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041126-00000019-mai-soci
NHKの離婚番組で「被害」 訂正放送要求認めず 最高裁逆転判決
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041125-00000038-san-soci
http://www.sankei.co.jp/news/041126/sha041.htm
http://www.zakzak.co.jp/gei/2004_11/g2004112510.html
訂正は放送局が自主的に…離婚放映訴訟で最高裁初判断
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041125-00000404-yom-soci
最高裁>訂正放送は訴訟対象外 NHKへの賠償命令確定
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041125-00000042-mai-soci
裁判で訂正放送請求できず 最高裁が初判断
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041125-00000072-kyodo-soci
訂正放送命令を破棄=放送法規定で初判断、賠償は確定 NHK離婚番組訴訟
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041125-00000576-jij-soci
Google 検索:NHK、自主的に離婚特集の訂正放送

最高裁判所
日本放送協会生活ほっとモーニング事件判決
判例 平成16年11月25日 第一小法廷判決 平成13年(オ)第1513号、平成13年(受)第1508号 訂正放送等請求事件 http://courtdomino.courts.go.jp/judge.nsf/dc6df38c7aabdcb149256a6a00167303/da595f68c821d59049256f57000d75ee

このように,法4条1項*2は,真実でない事項の放送について被害者から請求があった場合に,放送事業者に対して訂正放送等を義務付けるものであるが,この請求や義務の性質については,法の全体的な枠組みと趣旨を踏まえて解釈する必要がある。
憲法21条*3が規定する表現の自由の保障の下において,法1条*4は,「放送が国民に最大限に普及されて,その効用をもたらすことを保障すること」(1号),「放送の不偏不党,真実及び自律を保障することによって,放送による表現の自由を確保すること」(2号),「放送に携わる者の職責を明らかにすることによって,放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること」(3号)という三つの原則に従って,放送を公共の福祉に適合するように規律し,その健全な発達を図ることを法の目的とすると規定しており,法2条以下の規定は,この三つの原則を具体化したものということができる。
法3条*5は,上記の表現の自由及び放送の自律性の保障の理念を具体化し,「放送番組は,法律に定める権限に基く場合でなければ,何人からも干渉され,又は規律されることがない」として,放送番組編集の自由を規定している。
すなわち,別に法律で定める権限に基づく場合でなければ,他からの放送番組編集への関与は許されないのである。法4条1項も,これらの規定を受けたものであって,上記の放送の自律性の保障の理念を踏まえた上で,上記の真実性の保障の理念を具体化するための規定であると解される。
そして,このことに加え,法4条1項自体をみても,放送をした事項が真実でないことが放送事業者に判明したときに訂正放送等を行うことを義務付けているだけであって,訂正放送等に関する裁判所の関与を規定していないこと,同項所定の義務違反について罰則が定められていること等を併せ考えると,同項は,真実でない事項の放送がされた場合において,放送内容の真実性の保障及び他からの干渉を排除することによる表現の自由の確保の観点から,放送事業者に対し,自律的に訂正放送等を行うことを国民全体に対する公法上の義務として定めたものであって,被害者に対して訂正放送等を求める私法上の請求権を付与する趣旨の規定ではないと解するのが相当である。

NHK不祥事問題にしろ、人権侵害番組の問題にしろ、政府や国会は人事や予算決算によって政治的に問題を解決する権力を持っています。
しかし、その権力はあまりにも大きく、露骨な人事や決算による介入が放送事業への不当な政治介入になるおそれがあり、そのような前例が放送番組の政治介入につながる危険もあります。
放送に対する政治介入を阻止するためには、日本放送協会の経営者は自ら不祥事の責任をとり、自浄できていることを社会に示す必要がありますが、残念ながらいまの日本放送協会にはそうした自浄が期待できないというのが現状でしょう。
NHK受信料横領問題における海老沢会長以下の経営陣の無責任さは、もはや疑い得ません。*6
人権侵害番組の問題については、訂正放送を裁判判決確定後に自主的に実施したことは当然とはいえ、判決確定前に訂正放送はしていませんし、しないと言い続けてきたわけですから、自浄体制が一貫しているとは言い難い状況です。
不祥事問題や人権侵害番組の問題を政治介入なしで解決するためには、日本放送協会内部から人事も含めた経営刷新圧力の発生が必要で、労組や関連職員の会長辞任要求は放送の政治介入を阻止するという意味でも評価できる動きです。
残念ながら、経営委員は労組の要求に公称の場も作らずダンマリを決め込んでいるわけで、結局、政治が人事刷新に着手し、政治の介入に依存しなければならないというあたりが、現在の日本放送協会における最大の問題なのかもしれません。
 
関連過去ログ。

■kitanoのアレ
NHK受信料横領問題(1)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040914
NHK受信料横領問題(2)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040915
NHK受信料横領問題(3)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040916
NHK受信料横領問題(4)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040917
NHK受信料横領問題(5)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20041126

参考リンク。

■My News Japan
http://mynewsjapan.com/
NHK
http://mynewsjapan.com/kobetsu.jsp?sn=161
坂本衛
受信料とは?(NHKはだれのもの 50年目の曲がり角 曖昧・受信料をどうする?)
http://www.aa.alpha-net.ne.jp/mamos/tv/nhk.html

Google 検索: NHK

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*1: 生活ほっとモーニング http://www.nhk.or.jp/hot/ 番組へのご意見・お問い合わせ https://www.nhk.or.jp/plaza/mail_program/hot.html NHK視聴者コールセンター電話0570-066066

*2: 放送法4条1項 「第四条  放送事業者が真実でない事項の放送をしたという理由によつて、その放送により権利の侵害を受けた本人又はその直接関係人から、放送のあつた日から三箇月以内に請求があつたときは、放送事業者は、遅滞なくその放送をした事項が真実でないかどうかを調査して、その真実でないことが判明したときは、判明した日から二日以内に、その放送をした放送設備と同等の放送設備により、相当の方法で、訂正又は取消しの放送をしなければならない。」 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO132.html

*3:日本国憲法21条 「第二十一条  集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。 」http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S21/S21KE000.html

*4: 放送法1条「第一条  この法律は、左に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。 一  放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。 二  放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。 三  放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。 」 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO132.html

*5: 放送法3条「(放送番組編集の自由) 第三条  放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。 」 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO132.html

*6:「NHK受信料横領問題」参照。