NHK受信料横領問題(5):経営委員、会長更迭要求を黙殺

 
日本放送協会との受信契約を解約する自由がわたしたちにはあります。
解約したくなったら解約しましょう。
 

NHK、不正経理の被害額1240万円 当初発表の2倍
http://www.asahi.com/national/update/1117/023.html
被害総額は1240万円 NHK元職員の不正支出
http://www.kahoku.co.jp/news/2004/11/2004111701003361.htm
NHK:架空請求総額は1240万円 警視庁に被害届
http://www.mainichi-msn.co.jp/geinou/tv/news/20041118k0000m040073000c.html
NHK海老沢会長辞任要求で日放労が19日会見
http://www.sanspo.com/geino/top/gt200411/gt2004111913.html
「NHK会長辞任」などの交渉は決裂
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/flash/KFullFlash20041119032.html
NHK:相次ぐ不祥事に会長辞任を要求 労組の主張は?
http://www.mainichi-msn.co.jp/geinou/tv/news/20041116k0000e040107000c.html

さらに決定的だったのが視聴者の動き。電話やメールの抗議に加え、9月末で受信料不払いは3万1000件。海老沢会長も「過去に記憶がないほどの数字で重く受け止めている」と述べるほどに。岡本書記長は「不祥事よりも経営側の対応に批判が集まっています。不払いは10〜11月も減るとは考えられません。直接集金だけでなく、口座引き落としでどの程度減るか。NHKはじまって以来の危機です」と語る。

NHK不祥事:労組、海老沢会長への辞任要求を決定 「経営責任、明確化を」
http://www.mainichi-msn.co.jp/geinou/tv/news/20041110ddm041040138000c.html

NHK経営委員会終了後、須田寛委員長(JR東海相談役)は「・・・委員会として意思表示する対象ではない。受信料支払い拒否と会長の辞任という問題は、今の段階では直結しない。受信料支払い拒否は毎年あるし、景気が悪いと増える。決算を見れば(影響は)ある程度わかるが、それが会長の責任なのか、というのもある。会長の進退はもっと総合的判断が必要」と述べた。

NHKの労組が海老沢会長への辞任要求を正式決定
http://www.asahi.com/culture/update/1109/008.html
NHK:日放労の不祥事シンポ 24時間特番で妨害?
http://www.mainichi-msn.co.jp/geinou/tv/news/20041108k0000m040060000c.html

シンポジウムには、ジャーナリストの田原総一朗さん、立教大の服部孝章教授、連合の笹森清会長らが出席。
長村委員長によれば、シンポジウム開催日が決まったのは1カ月前で、24時間特別番組が決まったのは1週間前だった。このことが取り上げられ、田原さんらは「組合つぶしとしか思えない」と批判した。
海老沢会長は4日の定例会見で「(10月)30日に新潟の被災状況を視察し、翌31日に緊急理事会を開いて放送を決めた。(組合のシンポジウム妨害との指摘があるが、との記者の質問に対しては)関係ない。何でそんな勘繰りをするのか。(24時間番組は)NHKとして当然の仕事だ」と説明している。

記者の目:不祥事ラッシュのNHK
http://www.mainichi-msn.co.jp/geinou/tv/news/20041125ddm004070049000c.html

NHKはどのような経営戦略を立てるべきなのか。今こそ全組織をあげての議論が必要だ。しかし職員たちは、会長留任、辞任、外部からの起用の是非について、あちこちでヒソヒソ話である。「早く辞めてもらいたい」「外部からへんなのが来たら困る」「会長より側近の一新を」といった具合だ。
非常時に何を、と思う。優秀な番組制作者は多いし、優れた番組もあるのに、これがNHKの現実なのだ。会長辞任を要求した日放労(長村中委員長)の文書にも、同僚職員が不祥事にかかわったことへの反省は書かれていなかった。

みんなの心はひとつ。海老沢会長辞任。NHKの改革はトップ人事の刷新から。
以下、日本放送協会の情報。

日本放送協会
元職員架空請求 NHK被害届 NHK - 2004年11月17日 身内だけ匿名報道
http://www3.nhk.or.jp/knews/news/2004/11/17/t20041117000199.html
www3.nhk.or.jp/knews/news/2004/11/17/t20041117000199.htmlのGoogleのキャッシュ

NHKの元職員が、外部の音楽プロダクションに架空請求させて不正な支払いを行わせ、その大半を受け取っていた問題で、NHKは、17日までに、警視庁に被害届けを出しました。元職員側は、不正支払いの全額を弁済しています。この問題は、番組の効果音やテーマ音楽の制作を担当していたNHKの元職員が、実際には自分で作曲していたのに、外部の音楽プロダクションに依頼したように見せかけて架空の請求書を発行させて不正な支払いを行わせ、その大半を受け取っていたものです。その後の内部調査で、不正に支払わせた額が、580万円余りになることがわかり、NHKは、17日までに、警視庁に被害届けを出しました。また、刑事事件として既に時効になっているものの、元職員が不適切な経理処理だったと認めたものが、660万円余りあり、被害届けを出した分とあわせて、元職員側が全額弁済しています。NHKは、この元職員を、11月1日付けで懲戒免職としています。

NHK 倫理行動憲章 行動指針 (指針を検証する第三者組織は無し)
http://www.nhk.or.jp/pr/o-img/1001.pdf
NHK経営情報
http://www.nhk.or.jp/pr/
日本放送協会第982回経営委員会議事録(平成16年11月9日開催分)
http://www.nhk.or.jp/pr/keiei/giji/index.html
http://www.nhk.or.jp/pr/keiei/giji/g982.html

(3) 会計検査院の検査結果について
(和崎理事)
本日11月9日、会計検査院は、NHKの平成15年度決算検査報告書を内閣総理大臣に提出しました。その中にNHKの平成15年度業務に関する検査結果の記載があります。今回初めて「指摘事項」が記載されました。通常「指摘事項」と呼ばれるものに4つのものがありますが、そのうち最も厳しい「不当事項」として記載されています。具体的には、芸能番組制作費不正支出にかかわる事項、平成13年の公金着服にかかわる事項、平成9年の公金着服にかかわる事項の3件です。また、損害額が少額であるとして検査報告に件数のみ記載されたものが他に2件あります。
(委員) 不当事項という一番厳しい指摘を受けたことを重く受け止めなければいけないと思います。これを記載したことにより、今後会計検査院はNHKに対してどのように対応することになるのでしょうか。
(役員) NHKのコンプライアンスへの取り組みについて、職員倫理の徹底や経理処理の適正化、再発防止への取り組みの実施状況等を注視するとしています。
(委員) 不当事項というのは非常に重いものですが、この報告が内閣総理大臣に提出されることによって、何か新たな措置*1が必要になるのでしょうか。必要な場合は必ず報告してください。
(役員) すでに懲戒処分を行い、公表もしている事項ですので、国会の決算審議の際に関連の質問が行われるものと思われます。
以上で本日の付議事項を終了した。

日本放送協会第981回経営委員会議事録(平成16年10月19日開催分)
http://www.nhk.or.jp/pr/keiei/giji/g981.html

1 会長報告
海老沢会長
NHKのコンプライアンス活動については、引き続き法令遵守コンプライアンス)推進委員会を中心に活動を行っています。10月を推進強化月間とし、行動憲章、指針を徹底させる研修等を職場ごとに行っています。13日には、本部でコンプライアンスに詳しい弁護士を招いてセミナーを開催し、450名ほどが参加しました。
前回の経営委員会で業務相談室の受付を7件と報告しましたが、その後3件の相談がありました。その中のひとつに調査を要する案件があることがわかりましたので、現在、鋭意調査を進めております。事実関係が明らかになれば、責任審査委員会を開き、外部にも公表することになりますが、もう少し時間をかけて調査し、全貌を把握して経営委員会に報告したいと思っています。また、丸の内法律事務所に外部相談窓口を設けましたが、こちらには今のところ相談はありません。
引き続き総点検活動を行うとともに、よい番組を制作して、視聴者の信頼を取り戻すために頑張ります。
・・・・・
2 経営委員長報告
(須田委員長)
一連の不祥事を契機として、経営委員会のよりよいあり方について議論をしようということで、前回、経営委員と監事のみで勉強会を実施しました。そこでの議論をご報告します。現在の制度の枠内でどうあるべきかという視点と、法律や制度の変更を前提とした将来論がありますが、当日は現在の制度の枠内での議論を行いました。将来論については今後改めて機会を持ちたいと考えています。
まず最初に、経営委員会からより積極的な問題提起や提案を行うべきではないかという意見がありました。これまでは執行部からの提案・付議を受けて審議していましたが、経営ビジョン等NHKの基本指針策定の場合、その骨子を委員会側から提案し、執行部と論議を重ね成案を得ることがあってもよいのではないか、また日常案件についても、その方向・取組方針について委員会側から具体的な考え方や問題提起をあらかじめ示し、執行部側と意見を交換しながら、具体的方向を練り上げるような進め方があってもよいのではないかというものです。
次に、議事録の改善についての意見がありました。まず内容について、執行部との意見や質疑のやりとりがわかるように、より詳しく掲載してはどうかという意見がありました。また公開スケジュールについて、現状では公開までに1か月ほどかかっているので、所要日数を短縮することが公開の趣旨に沿うものだという意見がありました。
さらに、会議のもち方についても意見がありました。現在は2時間で実施していますが、時間を延長して議論を充実させる必要があるのではないか、また委員のみによる勉強会等の機会を増やしてはどうかという意見でした。
以上のうち次の2点については、早急に実施したいと考えています。第1点は、今後の審議において、経営委員会からより積極的な問題提起や提案を行うこととします。11月から1月の間で平成17年度予算編成の審議がありますが、その基本方針について、執行部から提案を受ける前に、経営委員会から提言を行うこととします。この後、経営委員と監事のみで打合せを行って提言をまとめます。第2点は、議事録の改善です。公開までの所要日数を約2週間早めることとし、本日確認分(第980回)の議事録から実施します。また、掲載内容については、11月を試行期間として検討を重ね、12月公開分から本格実施を目指します。*2
今回の問題について委員から意見が出ていますので、説明してもらいます。
(委 員) 芸能番組制作費不正支出問題とソウル支局長のずさんな経理処理問題について、不正請求額がほぼ同じなのに、前者は免職と弁済、後者は停職6か月と処分の差が大きく、外から見て理解しづらい点があります。
(役員) ご指摘の2件については、不正請求によって得た金銭の使途の点で大きな違いがありました。前者は業務に使ったものかどうか明確ではありませんでした。後者は取材活動等の経費に充てていました。特に後者については、今回再度、私的流用がなかったかどうか詳細に調査を行い、その結果をもとに責任審査委員会を開いて処分を決定しました。
(委員) 受信料を払う視聴者の立場から見れば、不正もずさんな経理処理も大きな違いはないと見えます。放送サービスの面で質の高い番組を提供して頑張っているNHKが、視聴者に誤解されることは非常に残念です。役職員が強くまとまってコンプライアンスを徹底しなければ信頼回復はできません。 *3
(役員) 委員の意見を深く受け止めます。NHKは視聴者の信頼なくしては成り立ちません。役職員の姿勢が問われていますので、謙虚かつ真摯に対応していきます。
・・・・
(3) 受信料収入について
(和崎理事)
受信料収入は、平成元年度から平成11年度まで増収額が毎年100億円を超えていましたが、平成12年度以降は100億円を割って毎年逓減しています。*4そのため、予算額を確保できないことによる予算と決算のかい離が続いています。また、契約増加の面では、契約総数の増加数が近年大きく落ち込んでいます。
(委員) 今回の問題について、訪問した際のお客様の反応は様々だと思いますが、その理由をきめ細かく把握して、継続してお支払いをお願いすることが重要です。
(委員) 受信契約の廃止の意思表示があった時に、なんとか引き止めるようなシステムを考える必要もあるのではないでしょうか。
(役員) 今回の管理職による訪問時はもちろん、今後の対応においても、視聴者のご意見を十分にお伺いして、ご説明、お願いをしていく考えです。
(委員) 放送法によって支払義務が規定されているわけで、本来支払を拒むことはできないのですが、罰則がないということもあり、今回の件でも現場の地域スタッフの方々は大変苦労されています。営業現場を支援する何かいい方法はないものでしょうか。
(委員) 放送法による支払義務規定のみを強調するのではいけないと思います。非常に難しいことだとは思いますが、NHKには、年齢や生活圏の違うさまざまな視聴者のニーズにこたえる魅力的な番組を編成し放送していく責任があります。 *5
(役員) 罰則規定を設けるべきという議論は受信料制度が始まって以来ありますが、我々はその立場はとらず、視聴者の皆さまとの信頼関係に基づく現在の制度のもとで、いい番組を放送し、それと連動した文化事業を展開することに力を注いでいます。そして、競争力のある組織を作り、技術の開発と国際展開を進めて、公共放送NHKの存在感を高めていきたいと考えています。
(委員) 受信料制度を将来どうするかということは、国民的議論の必要な大問題ですが、現在の最重要課題は受信料収入を確保していくことですので、各委員の意見を体してご努力いただきたいと思います。
・・・・
5 経営委員打合せ
予算編成に対する提言について
(委員) ここ数年、受信料収入について予算と実際のかい離が起こっています。今のところ業務改革等による経費節減でなんとか収支均衡を保っていますが、今後に向けて何らかの是正が必要だと思います。
(委員) 収入見積を下げるのは簡単ですが、その結果契約率が下がることになると、視聴者の間に不公平感が広がる恐れがあり、受信料制度の荒廃を招きかねません。
(委員) 非常に難しい作業になるとは思いますが、それぞれの視点を押さえた「適正な」予算を編成する必要があると考えています。
(委員) 都会で仕事を持つ人たちは、日々忙しくて、職場で受信料が話題にのぼることもまずありません。受信料制度を認知してもらうための広報活動なども必要だと思います。
(委員) そういった活動は必要ですね。ただし、来年度の大前提は信頼回復です。そのためには、やはり公共放送として魅力的な質の高い番組を放送することが不可欠です。
(委員) 受信料の認知度を高めるためには、他の民放等といかに差異化するかだと思います。その決め手は、NHKならではの番組制作理念と制作手法だと思います。プロ野球中継も必要なソフトかもしれませんが、「NHKならでは」の追求が必要だと思います。

NHK INFORMATION「NHKトップトーク(会長)」
http://www.nhk.or.jp/pr/keiei/toptalk/kaichou.htm
会長会見 2004/11/4 不祥事関連について
http://www.nhk.or.jp/pr/keiei/toptalk/k0411.html#04

(会長)
今回の不正は、現在、取り組んでいるコンプライアンス法令遵守)活動の一環として設けた『業務相談室』の通報制度によって発覚した。現在、業務総点検を展開しているところだが、平成8年から11年にかけての不正だったため、点検がそこまで及んでいなかった。誠に遺憾で、視聴者国民の皆さまに心よりお詫びいたします。
問題の元職員と、不正に関与した外部プロダクションの社長からは、すでに弁済を受けた。警察に被害届を出す準備を進めている。
(2)日放労の『会長辞任要求』など経営側への要求について
(会長)
日放労から)何も聞いていないのでコメントできない。私どもは不祥事の再発を防ぐため休日返上で対応している。また災害報道にも、ほとんど不眠不休で取り組んでいる。視聴者・国民の皆さまの信頼回復に向け、全力を挙げているところだ。

会長会見 2004/10/7 不正経理問題について
http://www.nhk.or.jp/pr/keiei/toptalk/k0410.html#03

1)業務総点検の実施状況
(会長)
一連の不祥事を深く反省しており、信頼を回復するためには内部改革を一層進め、質のよい番組を作っていく必要がある。『NHK倫理・行動憲章』と『行動指針』を9月30日(木)に制定した。10月中に研修を徹底的に行っていく。今のところ新たな不正は見つかっていない。私に与えられた使命は不祥事の再発防止とNHKの再生に向けて努力することであり、その職責を全うしたいと思っている。
(2)元職員による詐欺の捜査状況
(会長)
告訴状はまだ正式には受理されていないが、私どもの感触では、警察の捜査は着実に進んでいると受け止めている。NHKとしては捜査にできるだけ協力していく。
(3)参考人招致された衆議院総務委員会を中継しなかった理由
(会長)
NHKの予算の審議と同様にわかりやすく論点を整理し、NHKの『調査報告書』の内容も説明しながら放送した方が、視聴者・国民の皆さまにもわかりやすいと考えたからだ。
(4)不祥事関連の受信料支払い拒否・保留表明の件数
(副会長)
BSを含めた契約総数は若干伸びている。9月末の時点での支払い拒否・保留表明の件数はおよそ3万1千件。受信料の集金は8月と9月分の締め切りが9月末。地域スタッフが直ちに報告していなかったケースも多く、必ずしも9月後半に入って拒否・保留が増えたわけではない。こうした方々のところに出向いて不祥事について陳謝し、NHKのことを理解してもらう取り組みを、全管理職も参加して今週末から始めたい。
(5)特別展『プロジェクトX21』について
(会長)
 民業圧迫にはあたらないと考えている。子どもたちに日本人の素晴らしさなどについて勉強してもらいたいと、社団法人の発明協会等と開催した。小中学生は入場料を無料にし、収支は赤字になる可能性があると聞いている。放送総局長が企業を訪ねた事が誤解を招いたとしたら申し訳ないが、特別展の趣旨をわかってもらうため説明に行ったものだ。<<
会長会見 2004/9/7 番組制作費の不正支出問題等に関する記者会見要旨
http://www.nhk.or.jp/pr/keiei/toptalk/k0409-2.html
会長会見 2004/9/2   今回の不祥事について
http://www.nhk.or.jp/pr/keiei/toptalk/k0409.html
会長会見 2004/7/23 職員不祥事についての会長会見の要旨
http://www.nhk.or.jp/pr/keiei/toptalk/k0407-2.html

「芸能番組制作費不正支出問題」等に関する調査と適正化の取り組みについて
http://www.nhk.or.jp/pr/owabi.html

 
会計検査院の報告がネットで公開されました。
 

会計検査院
http://www.jbaudit.go.jp/
「平成15年度決算検査報告」の全文
http://www.jbaudit.go.jp/audit/h15_houkoku_index.htm
第2節 団体別の検査結果
第25 日本放送協会
http://www2.jbaudit.go.jp/h15_houkoku/03/0552-0553.pdf

不当事項
不正行為
職員の不正行為による損害が生じたもの
部局等の名称日本放送協会本部、大阪放送局ほか2放送局
不正行為期間平成9年2月〜13年11月
損害金の種類受信料、番組制作費、現金及び預金
損害額 51,967,940 円
・・・・・
上記3件のほかに、損害額が少額で補てん済みのものが2件あった。そして、このような会計に関係のある犯罪が発覚したときは、会計検査院法第27条*6により、日本放送協会会長は直ちにその旨を本院に報告しなければならないこととなっているが、これら5件のうちには、発覚後その報告が著しく遅滞していたものがあった。
これについて、協会では、今後は、同条に基づく報告を適切に行うとしている。
また、上記5件の発生原因は、1職員において適正な会計経理に対する認識が欠如していたこと、2放送番組制作の業務実態を的確に把握した上での経理審査が行われていなかったことなどにあると認められる。

第2節 歳入歳出決算等検査対象別の概要
第7 政府関係機関及びその他の団体
3 日本放送協会の決算
http://www2.jbaudit.go.jp/h15_houkoku/06/1486-1488.pdf

15事業年度
(放送受信契約)38,156千件
受信料調定額 671,112,144千円
未収金26,804,926千円
収納率(調定額に対する調定年度内の収納額の比)96.01%
 
14事業年度
(放送受信契約)37,952千件
受信料調定額 665,629,915千円
未収金26,625,162千円
収納率(調定額に対する調定年度内の収納額の比)96.00%

受信料の支払っていない人の未収金は、268億492万1千円。 支払わない者が勝ち、の状態になっています。
16事業年度の収納率は95%を大きく割り込む可能性がありそうですね。
NHK職員が裏で滞納している世帯に“解約をお願い”して収納率の数字をなんとか維持しているとの暗黙の了解があるはいえ、名目にしろ95%の世帯がまだ受信料を支払っているという事は驚きではあります。
民放連の日枝会長が「NHKの業務範囲を超え、放送の二元体制の基本原則に関わること」と批判しています。
日枝会長の批判はもっともで、受信料を払う視聴者の側として考えると、広告費をとって金を自分で調達するような体制なら受信料を支払う必要はねぇじゃねぇかということになります。

日本民間放送連盟
民放連会長定例記者会見概要 平成16年9月17日
http://www.nab.or.jp/htm/press/precon/20040917.html

① NHK「芸能番組制作費不正支出問題」等について
記者:NHKの一連の不祥事について、会長の率直な感想を聞きたい。
日枝会長:民放連会長としてコメントする立場にはないが、率直にとのことであり、個人としての感想を若干述べる。
衆議院総務委員会に先立ち、NHKが9月7日に発表した「『芸能番組制作費不正支出問題』等に関する調査と適正化の取り組みについて」と題する報告書には、「受信料を財源とする公共放送NHKにとって、受信料の適正な使用は、ゆるがせにできない業務運営の基本」と述べている。これがNHKの基本、大前提であり、これを守っていただくことに尽きると思う。個々の事例については、コメントする立場にない。
NHKは受信料を財源として事業を行い、民放は営業活動により事業を行うという異なる形態のもとで、NHKと民間放送は、競争と協調を重ね、我が国は世界でも類を見ない放送先進国となった。今後も、民放とNHKの共存共栄が図れるよう望んでおり、NHKが、国民の信頼を早期に回復され、健全な二元体制が発展するよう願いたい。
一方、今年1月に発表された「2004〜2006年度のNHKビジョン」に対しては、民放連としての見解を示したが、今年度は重点計画の一つとして、「デジタル時代における放送の二元体制」の研究に着手した。現在、会員社にアンケート調査を行っているが、それがまとまったところで、二元体制の健全な発展のために民放・NHKはどうあるべきか、また、NHKに対する我々の考え方等を述べていきたい。
報道されている一連の事例のうち、「プロジェクトX展」の開催に際し、NHK役員が同席のうえ、企業に協賛金を要請していたことは大変気になる。その協賛金が企業の広告費であるということが事実であるならば、受信料で運営しているNHKと、民間放送は、一体どこが違うのかわからなくなってしまう。
記者:この不祥事に関連して、NHKのチーフプロデューサーによる着服の構図は、視聴率不正操作問題の際の放送局プロデューサーと下請け番組制作会社との関係と類似していると思うが、こういったことに関し、民放連としての考えを聞きたい。
日枝会長:民放連では昨年10月に明らかになった視聴率不正操作問題の際、緊急対策委員会で対応を決めたが、その一環として昨年10月29日に、会長名で会員社の代表者あてに、「放送人としての倫理観徹底に関するお願い」とする文書を送付した。内容は、会員各社は、放送の公共的・社会的責任の大きさを自覚し、改めて放送人としての倫理観を徹底することであり、社員一人一人に対し、放送人としての誇りと責任、高い倫理観の更なる徹底をお願いしたものである。キックバックなどあってはならないことは当たり前だが、放送は公共的・社会的使命をもって事業が成り立っており、放送局の社員にはより一層高い倫理観が求められる。日ごろからこうした呼びかけを繰り返していくしかないと思う。
記者:「プロジェクトX展」が広告費だとすると、NHKの業務範囲を超えているということか。また、民業圧迫ということか。
日枝会長:受信料によって成り立っている公共放送と、企業からの広告費によって事業を行っている民間放送との差がどこにあるのかと問われても答えようがないのではないか。民業圧迫だから問題だというのではなく、NHKの業務範囲を超え、放送の二元体制の基本原則に関わることだと思う。

関連ログ。

■kitanoのアレ
NHK受信料横領問題(1)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040914
NHK受信料横領問題(2)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040915
NHK受信料横領問題(3)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040916
NHK受信料横領問題(4)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040917
ネットストリームリンク マスメディア版
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040723#p1
2011年7月24日テレビが終る日:公共事業=地上デジタルテレビ放送の破綻
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040722#p1

何度でも書きますが、受信料は支払わなくても罰則はありません。
支払わない人がいる一方で自分だけ支払い続けるのはバカバカしいと思いませんか?
いやそんなことは無いという方は、こちらの電話番号に契約者の氏名住所を名乗って“正々堂々と受信契約の解約を通告”することもできます。
もちろん、受信料契約は法律上は任意契約ですので、契約の解除は一方的通告のみで足り、NHKの同意は必要ありません。

http://www.nhk.or.jp/eigyo/henko_name.html

NHK営業センター
フリーダイヤル 0120-151515
(午前9:00〜午後10:00/土・日、祝日も受付)

http://www.nhk.or.jp/eigyo/toiawase/index.html

放送受信料に関するお問い合せは・・・
専用のナビダイヤルをご利用ください。
NHK視聴者コールセンター 
ナビダイヤル0570-077-077
(午前9:00〜午後10:00/土・日・祝日も受付)
※上記の電話番号は、全国どこからでも市内通話料金でご利用いただけます。

参考リンク。

坂本衛
受信料とは?(NHKはだれのもの 50年目の曲がり角 曖昧・受信料をどうする?)
http://www.aa.alpha-net.ne.jp/mamos/tv/nhk.html

NHKは不払い問題に対応する契約強要隊員職員が不足しているらしく、現在「フローラルスタッフ」を募集しているようです。

NHKフローラルスタッフ
http://www.nhk.or.jp/eigyo/floral/index.html
http://www.nhk.or.jp/eigyo/floral/set_tokyo.html

内容  NHKの受信料の各種手続きを行っていただきます。
お客様から受信契約の新規手続き、住所変更の手続き、衛星契約の変更手続きから番組のPRや意見収集などをいただくお仕事です。

参考文献。

表現者の自由―映像の力と責任をめぐる対話
日本放送労働組合
表現者の自由―映像の力と責任をめぐる対話
http://d.hatena.ne.jp/asin/4877982078

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*1: 会長の引責辞任という措置を想定した質問でしょうね。残念ながら役員は「すでに懲戒処分を行い、公表もしている事項です」と回答している通り、部下に全部責任をおしつけて責任回避。

*2:議事録掲載内容の改善については、ご覧の通り、発言者氏名は委員長を除いて匿名になっています。匿名ではなく、発言の責任の所在を明確にするため、発言者のフルネームを公表すべきでしょう。

*3:コンプライアンスを徹底が信頼回復に必要なことは当然のことですが、それ以前に、事件を作り出した責任の所在を明確にすべきで、部下に全部責任をおしつけるNHKの判断には疑問を感じます。

*4:平成12年度以降、つまり海老沢会長体制に問題があるということでしょう。不良番組と不祥事を生み出すNHKの経営構造を作り出してきた海老沢会長体制を変えない限り、受信料の下落は止まらないでしょうね。

*5:この委員はいいこと言っています。一番の問題は、受信料に見合う番組を作っていないということです。特に報道部門や特別番組のメチャクチャさは目に余ります。たとえば、国会で法律案が成立したというようなニュースでは、夜7時の定時番組では放送せず24時や午前4時のニュースで取り上げ、国会での議論や議員の意見については一切触れず、政府が作った法律案概要をアナウンサーが一字一句無修正で読み上げているだけという劣悪な番組だったりします。そんな情報がもう4年以上続けている。NHKはプラウダや人民日報と同じだと視聴者が受けとめられてもし方が無い粗悪な番組をなんとかしないがきり、視聴者も受信者も減り続けるでしょう。

*6: 会計検査院法「第二十七条  会計検査院の検査を受ける会計経理に関し左の事実があるときは、本属長官又は監督官庁その他これに準ずる責任のある者は、直ちに、その旨を会計検査院に報告しなければならない。 一  会計に関係のある犯罪が発覚したとき 二  現金、有価証券その他の財産の亡失を発見したとき 」http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO073.html