武富士盗聴事件:記者クラブにエコヒイキする裁判所

インフィニティ


武富士盗聴事件をめぐる報道は、記者クラブ特権の悪影響とフリーランス記者の存在感が比較的わかりやすい形で見えた事件だったと思います。

■情報紙「ストレイ・ドッグ」(山岡俊介取材メモ)
武富士前会長、武井保雄に懲役3年(執行猶予4年)の判決
東京地裁、本紙・山岡にだけ判決要旨交付
カネで買った執行猶予
http://straydog.way-nifty.com/yamaokashunsuke/2004/week47/index.html#a0002243273

http://straydog.way-nifty.com/yamaokashunsuke/6_006.jpg
http://straydog.way-nifty.com/yamaokashunsuke/6_007.jpg
http://straydog.way-nifty.com/yamaokashunsuke/6_008.jpg
http://straydog.way-nifty.com/yamaokashunsuke/6_009.jpg
http://straydog.way-nifty.com/yamaokashunsuke/6_010.jpg
http://straydog.way-nifty.com/yamaokashunsuke/6_011.jpg
http://straydog.way-nifty.com/yamaokashunsuke/6_012.jpg

東京地裁、本紙・山岡にだけ判決要旨交付
上記の判決要旨は、本来は記者クラブに属している社の司法担当記者にだけ交付される。
しかしながら、記者クラブに属する大手マスコミは、今回事件について、当局が武井被告を逮捕するまで、事実を知りながらも、大スポンサーであることに配慮し、沈黙を保っていた。
これに対し、本紙・山岡を始めとするフリーライター4名は、大手マスコミに先立ち、また、もっとも詳細にこの問題を報じて来たことから、記者クラブ所属社だけに傍聴席確保、判決要旨を交付するのでなく、我々にも同等の報道への配慮をせよと東京地裁に要請したことは、本紙既報の通り(「フリー記者の権利求め、東京地裁に要請書提出」10月26日)。
しかしながら、東京地裁はこれを認めないと回答(「東京地裁、本紙・山岡等4名の11・17武富士盗聴事件判決公判の傍聴席確保、判決要旨交付要求を拒否」11月11日)。ただし、山岡にだけは判決要旨を交付することを検討していると回答して来ていた。そして当日、山岡が出向くと、判決要旨を交付して来たのである。

東京地裁、本紙・山岡等4名の11・17武富士盗聴事件判決公判の傍聴席確保、判決要旨交付要求を拒否
http://straydog.way-nifty.com/yamaokashunsuke/2004/week46/index.html#a0002178767>>
フリーライターの権利は従来通り一切無視。被害者たる山岡にだけ、判決要旨交付を検討中との回答

記者クラブ制度の弊害を世に問うと共に、フリーライターの地位向上を目指し、本紙・山岡も加わり、目前にいよいよ迫った11月17日の武富士盗聴事件の一審判決公判(午前10時より。東京地裁104号法廷)において、この間、この問題を一番報じて来た、フリーライター仲間の寺澤有氏ら3名と共に、当日の傍聴席確保、判決要旨交付を求め、東京地裁に要請文を出したのは本紙既報の通り(04年10月26日付「フリー記者の権利求め、東京地裁に要請書提出」記事)。
これに対する東京地裁の回答が、11月9日、総務課から電話にてあった。
その内容は、「フリーランスに傍聴席と判決要旨は用意できない。ただし、山岡さんには被害者という立場から、従前どおり傍聴席を用意するし、判決要旨の交付も検討している」とのことだった。

フリー記者の権利求め、東京地裁に要請書提出
http://straydog.way-nifty.com/yamaokashunsuke/2004/week44/index.html#a0002015653

●11・17武井判決公判で、傍聴席4席確保、判決要旨交付を!
●クラブ所属記者は、警視庁が動くまでほとんど報道しなかった
以下、要請文の内容を紹介する。
「私たち4人は武富士(被告)および武井保雄前同社会長(同)の反社会的な行為の数々につき、継続して報道してきました(後出の「執筆記事一覧」を参照)。これらは質と量の両面において、新聞やテレビの報道を凌駕しています。
そもそも、新聞やテレビは、2003年12月2日、武井前会長が電気通信事業法違反で警視庁に逮捕されるまで、同会長や武富士に関する報道をほとんどしていませんでした。その原因は、武富士が新聞やテレビに大量の広告を出していること、同社が批判的な報道に対し、高額の名誉毀損訴訟を提起すること、が挙げられます。
しかし、新聞やテレビが報道機関としての使命を放棄する中、私たちは武富士や武井前会長に対する追及を続けました。その結果、三宅、山岡、寺澤の3人は、武富士から高額の名誉毀損訴訟を提起されました(三宅に対する訴訟は第1審で武富士の請求が棄却され、同社が控訴。山岡、寺澤に対する訴訟は第1審で武富士が請求放棄)。
もちろん、私たちは、2004年2月24日の武富士と武井前会長の初公判以来、傍聴取材を続けています。これは青柳勤裁判長や職員の方々もご存じと思います。
来たる11月17日の武富士と武井前会長の判決公判は、私たちがどうしても傍聴取材しなければならないものです。また、正確な報道を期するため、判決要旨がどうしても必要です。
以上のような経緯をおくみとりいただき、11月17日の公判では、私たちに傍聴席1席ずつ(合計4席)と判決要旨1部ずつ(合計4部)をご用意いただけるよう要請いたします」

ジャーナリスト・寺沢有氏、国を提訴!
http://straydog.way-nifty.com/yamaokashunsuke/2004/week42/index.html#a0001922676

●なぜ、記者クラブ所属というだけで特権を享受できるのか?
●判決文要旨をもらえなかった、警官の犯罪判決言い渡し(札幌地裁)
●傍聴すらできなかった武富士恐喝未遂事件初公判(東京地裁
●警官が拳銃やらせ押収のために覚醒剤を密売? をすっぱ抜くための取材
記者クラブ所属記者は、本当に役割を渡しているのか?


武富士盗聴事件におけるフリーランスに対する東京地裁の対応は不充分且つ不適当だと思いますし、山岡さんに判決要旨が例外的に交付されたとはいえそれは、真実という壁の向う側を覗く穴としてはまだまだ小さい穴だと思います。
しかし、その小さい穴は、いずれ大きな窓となり、誰でも通行できる門にまで発展するかもしれません、わたしたちのフリーランス記者に対する支援次第では。
とりあえず、小さい穴ではあっても、判決要旨を獲得した山岡さんの努力は評価したいし、エコヒイキした国に訴訟を提起した寺沢有さんにエールを贈りたいです。ガンバレ。

寺沢有氏の「記者クラブ裁判」で意見書
http://www1.doshisha.ac.jp/~kasano/FEATURES/2001/terasawa.html

ビデオニュース・ドットコム
シンポジウム『記者クラブ制度』 2003年3月15日・
http://www.videonews.com/fccj-kishaclub.html

───────────
関連ログ

2004年報道の自由度世界ランキング
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20041031#p1
防衛庁・民放連・新聞協会の取材検閲協定
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20041030#p1
韓国で記者クラブ全廃、日本は今も記者クラブ全盛
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040714#p2
警察裏金問題 犯罪者を捕まえる人も犯罪者?
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040701#p2

■北の系
http://zirr.hp.infoseek.co.jp/
資料/取材差別撤廃と記者クラブ制度廃止
http://zirr.hp.infoseek.co.jp/020219.html
国境なき記者団/反記者クラブ声明
http://zirr.hp.infoseek.co.jp/020158.html
資料/メディア規制に言及する長野県田中知事
http://zirr.hp.infoseek.co.jp/020126.html
長野県/「『脱・記者クラブ』宣言」
http://zirr.hp.infoseek.co.jp/010603h.html

その他記者クラブに関連した発言。

2004.11.11〈月刊メディア批評〉 権力監視機能を果たさないメディア
http://210.145.168.243/sinboj/j-2004/05/0405j1111-00002.htm

テレビ朝日
ザ・スクープ
キャスターズオピニオン 10月30日 長野智子
http://www.tv-asahi.co.jp/scoop/Frameset/caster.html

日本の記者クラブが「閉鎖的」である具体例としてEU側は英国人女性ルーシー・ブラックマンさんの失踪・殺害事件でクラブ未加盟の外国人記者が警察での会見に出られなかったことを挙げている。こういった記者クラブの閉鎖性については、外国人記者に限った問題ではない。実際、私も取材中「会見は遠慮してください」と記者クラブの人に言われたことが何度もある。「出席してもいいけど、質問はしないでください」と言われることもある。最近は取材対象と番記者によるオフレコ懇談が重視される傾向にあると聞いた。その結果、正式な記者会見は表面的なやりとりとなることもあるだろうし、さらには、夕刊や夕方のニュースといった時間制限がある中で、取材対象と関係を作っていないフリーの記者が割り込んで、あれこれ掻きまわされてはたまらないのだろう。会見は事情通の番記者がそつなく質疑応答をして済ませたい、という思惑があるのかもしれない。

長野智子氏の文は率直で良いですね。

───────────
関連リンク

■駐日欧州委員会代表部(日本語サイト)
日本新聞協会の見解に対する駐日欧州委員会代表部のステートメント(03/12/16, ニュース)
http://jpn.cec.eu.int/CGI/topiclink.php?page=/home/news_newsobj76.php&language=jp
EU、日本経済のために双方に有利な改革を提案(03/11/14, ニュース)
http://jpn.cec.eu.int/CGI/topiclink.php?page=/home/news_newsobj86.php&language=jp
EU、日本政府に対し国際会議への外国人記者のアクセス改善を要求(02/12/3, ニュース)
http://jpn.cec.eu.int/CGI/topiclink.php?page=/home/news_newsobj205.php&language=jp
「大胆な規制改革により日本企業は便益を受ける」EU高官が日本政府に指摘(02/11/25, ニュース)
http://jpn.cec.eu.int/CGI/topiclink.php?page=/home/news_newsobj209.php&language=jp
ジャーナリズム
http://jpn.cec.eu.int/gettopic/index_jp.php?topic=topicobj161&lng=jp

最悪な日本新聞協会編集委員会

日本新聞協会編集委員会記者クラブ問題検討小委員会
2003年12月4日
者クラブ問題検討小委員会・2002−2003活動報告
http://www.pressnet.or.jp/info/seimei/club20031204.html
記者クラブに関する日本新聞協会編集委員会の見解
2002年(平成14年)1月17日 第610回編集委員会
http://www.pressnet.or.jp/info/seimei/kenk20020117.htm

───────────