取材源秘匿問題:10月31日付讀賣社説

報道の自由やニュースソースの秘匿の倫理は認められるべきだとは思いますし、公権力の介入には反対です。
ですが、讀賣の社説はしらじらしい。「おまえらいままでさんざん圧力をかけてきた側に“ご注進”して甘い汁吸ってきただろうが」という感情が湧いてくることを、私はなかなかおさえることができません。

10月31日付・読売社説(2)[奈良・百条委]「報道を巡る証言要求は不当だ」
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20041030ig91.htm

報道の自由、国民の知る権利を侵しかねない不当な要請だ。容認できるものではない。
奈良県平群(へぐり)町議会が、読売新聞奈良支局の記者に百条委員会への出頭を求めてきた。町が実施している高齢者向け配食サービス事業で特定の社会福祉法人が優遇されている、と報じた本紙奈良版の記事についての証言を要求している。
本紙記者は百条委に出頭するが、取材の経緯などの証言はしない。
報道・取材に関する情報を新聞やそれに関連する場以外で使ってはならないのは記者活動の基本である。
ことに取材源秘匿は記者の最も重い職業倫理だ。取材源との信頼関係のうえに報道は成り立っている。相手の同意なしに情報の出所を明かしては、信頼関係が崩れ、取材活動が制約される。ひいては国民の知る権利が損なわれるからだ。
取材源が、民事訴訟法が証言拒否を認める「職業の秘密」に該当することは、最高裁で確定した司法判断である。

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