資料:平成14年9月大阪府議会教育文化常任委員会質疑

平成14年9月大阪府議会定例会教育文化常任委員会-10月17日−02号
◆(若林まさお君) 自由民主党の若林まさおでございます。
私はまず、インターネット上で最近大変ひどくなってまいりました有害な情報への対応について質問をいたしたいと思います。
青少年健全育成条例は、平成三年の改正で、青少年の健全な育成の立場から、悪い影響を与えている有害な情報から青少年を守るために、有害図書類指定制度というものが導入されたわけであります。この図書類の自動販売機の傾向、これを最近調査をいたしますと、いわゆる自動販売機でそういった図書類が売られている、その設置台数の推移であるわけなんですが、平成四年で九百二十台ほどであったものが現在では千七百十四台と、十年ほどの間に着実に増加をしていると、こういう傾向であるわけなんです。青少年を取り巻く環境が大変悪化をしてきたということがこの数字で見てもわかるわけなんですが、さらに現在の規制の中ではとらえることのできない、殺人あるいは窃盗、万引き、薬物取引など犯罪を起こすことにつながりかねないような情報を掲載する図書類がまちに出回っていると。このような青少年に有害な情報のはんらんが社会の規範意識を低下させ、青少年非行とか、あるいは青少年が関係する犯罪の増加につながっているのではないかというふうに危惧をいたしているわけであります。
そこで、現在大阪の青少年非行の現状がどういうふうになっているのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
◎青少年課長(服部道代君) 大阪府警がまとめたデータによりますと、平成十三年の大阪の刑法犯少年の検挙補導人員でございますが、一万四千六百三十三人でありまして、平成九年をピークに減少はしておりますものの、平成六年から八年間連続して全国第一位を記録しております。全刑法犯検挙補導人員に占める二十歳未満の人数は、四三・七%を占めている状況でございます。また、検挙補導件数の内訳を見ますと、万引きや自転車盗など初発型非行、比較的簡単に行える犯行が全体の七〇・五%を占めておりまして、青少年に規範意識やルールといった社会性が十分に身についていないことなどもその要因と考えられます。
◆(若林まさお君) 青少年非行の現状では、残念ながら大阪が第一位という非常に深刻な状態が続いているというふうな説明であるわけなんですが、私は、このインターネット上で、いわゆる青少年に対する情報のはんらんというものが、青少年を取り巻く環境悪化で、性的ないわゆる逸脱行為、あるいは残虐な行為、そういうことを容認する風潮の助長につながっているのではないかと思うわけなんです。何らかの対策を早急に立てる必要があると私は思います。
そこで、インターネットの話に入るわけでありますが、最近のインターネットの普及状況についてお伺いします。特に青少年がインターネットを利用しているケースが増加していると思うわけなんですが、その点についてもあわせてお答えをいただきたいと思います。
◎青少年課長(服部道代君) 総務省が行った調査によりますと、平成十三年末における我が国のインターネットの利用者数は五千五百九十三万人と推計されておりまして、一年間で八百八十五万人の増加を示しており、人口当たりの普及率で見ますと四四%となっております。また、インターネットの世帯普及率につきましては、平成十二年末の三四・〇%から、平成十三年末には六〇・五%と、全世帯の六割を超えておりまして、家庭でのインターネットの利用が急速に進んでいるという結果が出ております。
 また、小中高生のインターネットの利用頻度につきましては、財団法人コンピュータ教育開発センターが平成十二年十一月から十三年二月に行いましたアンケート調査によりますと、高校生では、ほとんど毎日利用している割合が三四%を占め、週に三、四回利用を含めますと約五割に達しております。ほとんど毎日または週に三、四回利用する中学生は四割強、小学生で二割弱となっておりまして、年代が低くなるに従い利用頻度も低くなっておりますものの、日常生活において、小中学生においてもインターネットの利用が浸透しつつあることがうかがえます。
◆(若林まさお君) 今の御説明でもわかりますように、高校だけではなく、小学校とか中学においてもインターネットの利用が急速に高まっているということであります。
 国は、情報教育の一層の充実を図るということで、平成十三年度までにすべての公立学校においてインターネットに接続できるように整備を進めることとしてきたということから、児童生徒が授業などでインターネットを利用する機会も大変多くなるというふうに聞いているわけであります。
 そこで、大阪において、公立の小学校、中学、そして高校等でのパソコンの整備状況、さらにそのパソコンがどの程度インターネットに接続をされているのかと、こういった点についてと、さらに今後の整備計画等についてお答えをいただきたいと思います。
◎教務課長(西川仁志君) 大阪府の公立学校におきます教育用コンピューターの整備状況についてでございますが、平成十四年三月末時点におきまして、小学校で十九・五人に一台、それから中学校で十一・九人に一台、高等学校で九・八人に一台の割合で設置されております。小学校、中学校、高校の順に整備状況もよくなっておるという状況であります。
また、インターネットに接続されている学校の割合でございますが、小学校で九八・五%、中学校で九九・八%、高等学校におきましては一〇〇%となっておりまして、小学校、中学校、高等学校いずれにおきましても、児童生徒が学習活動にインターネットを利用できる環境が整いつつあるという状況であります。
 今後の整備計画についてでございますが、国におきましては、平成十二年度から十七年度までを新たな教育用コンピューターの整備計画として策定しておりまして、これは、小学校、中学校、高等学校のコンピューター教室にパソコン四十二台を整備いたしますとともに、将来の学校内の情報通信ネットワークの整備を想定いたしまして、各普通教室に二台、特別教室等に学校当たり六台のパソコンの整備と、それからプリンター、プロジェクター等の各種周辺機器の整備も含まれているものとなっておるところであります。府教育委員会といたしましては、この新整備計画にかかわります情報機器につきまして適切な活用方法を研究いたしますとともに、市町村教育委員会に対しまして計画的に整備されるよう指導してまいりたいと存じます。
◆(若林まさお君) ただいまの答弁でもわかりますように、家庭とか学校ともにインターネットが急速に普及をしておると。それだけに、インターネットを通じて有害な情報に接する危険性、機会も高くなっているということになるわけなんです。このような有害情報から青少年を守る必要が、今後ますます大切に、必要になってくるのではないかと私は思います。
 私は、ことしの二月の我が党の代表質問の中で、今後の青少年を取り巻く環境が大変な早さで変わってきたと。その中で、今の青少年健全育成条例は機能していないのではないかと、早急に改正をすべきであるというふうに申し上げました。知事からは、今年度を目途に条例改正などの必要な対策を講じていくという回答を得たわけであります。
ここに、「青少年の健全育成条例のしおり 大阪の未来をつくる青少年が健やかに育つために」という冊子があります。これは皆さんもよく御存じだと思うんですが、これは平成十四年の三月に発行されたものであるわけなんですが、この中をずっと読んでまいりましても、平成四年にいわゆるこれが改正をされてから、その後大きな改正がされていないと。しかし、十年たっているわけなんです。十年一昔と申しますが、その間に、インターネットとか、いわゆる情報ということに関しては実にさま変わりをしてまいりました。この条例の中でせいぜいあるのは、ビデオテープとかこういう言葉があるぐらいで、全然今の社会の状況を反映していないというふうに思うわけであります。
それで、知事にそういう答弁をいただいて、その後現在まで府としてどういった取り組みをされてきておられるのか、その取り組み状況をひとつお願いをいたしたいと思います。
◎青少年課長(服部道代君) 本年七月五日に、青少年の指導、育成、保護等に関する重要施策につきまして調査審議をする大阪府青少年問題協議会に対して、時代の変化に対応した青少年育成環境の整備について諮問をさせていただいたところでございます。現在、この協議会のもとに、学識経験者、インターネット情報の仲介業者でありますプロバイダーや携帯電話の事業者、青少年関係団体の代表者などから成る青少年育成環境問題特別委員会を設置をいたしまして、青少年を取り巻く情報環境が大きく変化する中で、インターネットなどの新たな情報媒体を通じての有害情報への対応も含めまして、さまざまな今日的な課題について御審議をいただいているところでございます。
◆(若林まさお君) 私は、まず何よりも、インターネット上の有害な情報が青少年に流れないような措置を講ずるべきであるというふうに考えるわけなんです。特別委員会では、この点に関しましてどのような議論が行われたのか、お願いをいたします。
◎青少年課長(服部道代君) 特別委員会におきましては、インターネット情報は、国内はもとより海外からも自由に発信されるなど、非常に広域性を有することから、発信者やプロバイダーに対して条例による規制をかけることは困難であるという意見が多数を占めたところでございます。とりわけ電気通信事業法の適用を受けますプロバイダーといたしましては、法律上情報の流通に制限をかけることが原則としてできないという事情がございますこと、また青少年にとって有害とする情報の基準が明確ではないということ、さらに膨大な数のサイトをチェックすることが物理的にも困難であることなどから、情報の発信や流通に対して条例で規制をするよりも、受信者側での対応を検討していく必要があるのではないかという意見が数多く出されました。
◆(若林まさお君) 今お話がありましたように、有害情報というのはどこから飛んでくるかわからんと。たとえ大阪だけでそれを規制しても、他府県からも飛んでくる、あるいは世界じゅうからそれが流れてくるというふうなことで、有害情報の発信者とか、あるいはプロバイダーへの規制が非常に難しい、受信者側での対応を検討していく必要があると、そういうことであります。されば、この受信者側での対応の措置として一体どのようなものが考えられるのか、お教えいただきたいと思います。
◎青少年課長(服部道代君) 青少年に有害な情報に対する受信者側での対応といたしましては、実際に青少年が有害な情報に接触しないようにブロックする考え方と、青少年自身のそのような情報に対する取捨選択能力−−メディアリテラシーと言っておりますが、そういう能力を高めるという考え方がございまして、双方相まって効果が高まるものと認識をしております。
 とりわけ、有害な情報から青少年を守るためには、そうした情報への青少年のアクセスを防止することが直接的、効果的な手段であると考えられます。その一つといたしまして、フィルタリング技術の活用が考えられます。フィルタリングを使用しました場合でも、青少年に有害な情報を完全に遮断するということは困難ではございますが、家庭や学校などにおきまして今後ますます青少年によるインターネットの利用機会が拡大することを考えますと、このフィルタリングを効果的に活用できるよう、その普及促進を図っていく必要性は非常に大きいと認識をしております。
◆(若林まさお君) 有害情報に対する受信者側の対応の措置の一つの方法と申しますか、手段として、フィルタリングという方法があるということであります。このフィルタリング、これは英語ですので、日本語に訳せば、ふるいにかけるというか、どう訳したらいいのかよくわからないんですが、一体どういったものなのか、またその仕組みも含めまして、もう少しわかりやすく説明をしていただきたいと思います。
◎青少年課長(服部道代君) フィルタリングは、受信者側の判断によって、インターネット上の情報の受信の可否を選択するシステムでございます。フィルタリングの方式としては、さまざまなものがございますが、一例といたしまして、情報の発信者あるいはフィルタリングソフトの製作者が、一定の基準をもとにいたしまして個々のサイトに格付を行いまして、受信者側が青少年の発達段階に応じて遮断する情報のレベルを設定していく仕組みのものなどがございます。遮断される情報の種類ですとか範囲などを受信者側で選択できるというのがフィルタリングの大きな特色であると考えております。
◆(若林まさお君) 今すらすらと言われていくと、何かわかったようなわからんような気がするんですけれども、要は、例えば家にあるインターネットを子どもがいらったと。そのときに、その子どもが一遍ポルノを見てみたいということで、ポルノという何を入力するわけですね。そして、ぽんと押せば、それに関する情報が出てくると。ところが、フィルタリングをかけた場合には、例えば子どもがその文字を選択しても画面に出てこないと、こういうふうな仕組みというふうに考えていいわけなんですか。
◎青少年課長(服部道代君) はい。そういう仕組みでございます。
◆(若林まさお君) 非常にわかりやすいことだと思います。ただ、そのフィルタリングの中身についてはまた後ほど議論をしたいと思うんですが、現在、公立の小学校、中学校でフィルタリングの実施状況というのはどういうふうになっているんでしょうか。
◎教務課長(西川仁志君) 府内公立小中学校のフィルタリングの実施状況でございますが、小学校、中学校におきましては、市町村ごとにフィルタリングがさまざまな形態で実施されている状況でございます。例えば、ある市におきますと、アダルト、アルコール、たばこ、デートサービス、こういったことに関します、いわゆる有害な情報を含みますホームページ、これを遮断するというためのソフトウエアがつけられておると。また、それをその市の教育委員会が管理するサーバーに整備されてあるという状況であります。また、ある市では、各学校のそれぞれ学校のインターネット端末パソコンにフィルタリングのソフトウエアが導入されている。それで、有害な情報を含むホームページの閲覧ができないようにしてあるという状況もあります。また別には、有害情報遮断についての内容を盛り込んだ契約をプロバイダーと交わすことによりましてフィルタリングを行っているという市もございます。
なお、機器の更新等の都合でフィルタリングが行われていない市、これが若干ございますが、これにつきましては、教員の指導のもとで学習活動に取り組むなど、さまざまな方法によりまして有害情報の遮断に努めている状況でございます。
◆(若林まさお君) それじゃ次に、高校での実施状況を続いてお願いします。
◎教務課長(西川仁志君) 府立高等学校におきましては、授業などでインターネットを活用する際に、コンピューターウイルスを発信しておりますホームページなどへのアクセスの制限でございますとか、インターネットによる文字対話、いわゆるチャットでございますとか動画の閲覧ができないように、大阪府教育センターでのフィルタリングシステムを運用しておるところでございます。
◆(若林まさお君) 今、御説明の中では、小中高ともフィルタリングを実施していると、こういうことなんです。ところが、実際はそうじゃないんじゃないですか。ということは、情報モラル指導資料−−これは府の教育委員会が平成十四年の三月に発行されて、それぞれの学校、府下市町村に全部これを配られた、そういう資料というふうに聞いておりますが、これのまず「はじめに」というところに、この有害情報について、生徒に有害情報を見せないのではなく、生徒自身が有害情報を見ないというような、生徒が自主的、主体的に情報に接する姿勢を育成する指導が望まれると。生徒に判断させろというわけですね。しかし、そんなことができるんやったら、健全育成条例なんか要らんわけですわ。さらに、このページの、ちょうど二十八ページなんですけれども、法規制やフィルタリングなどに頼らずとも、情報を取捨選択できる力を生徒自身が身につけることが大事であると、こない書いてあるんですね。そして、この最後の部分に、それはこの資料の四十五ページ、学校情報ネットワークでは、有害情報のフィルタリングは行われていないのですかというクエスチョンですね。それに対するアンサーとして、いわゆる有害情報のフィルタリングは行っていませんと。その理由として、校内で制限できたとしても、実社会ではさまざまな情報に触れることができる環境にあるということを書いてあるわけです。
 私は、これを読んで、本当に今の答弁と一体どないなってんのかなという気がするわけなんですよ。特に、校内で制限ができても、社会でしてないから校内でしない、あべこべじゃないかと思うんですね。社会でできていなかったならば、なおさら教育機関としてそういうものが青少年の目に触れないように指導していくというのが私は教育者としての立場ではないかと思うんです。この指導資料というものが出されているということですし、今の答弁はフィルタリングはやっていますと、これは必要はないということなんですけれども、これはどちらを信用したらいいんでしょうかね。根幹にかかわる問題ですから、教育長、答弁してください。
◎教育長(竹内脩君) そちらは、先ほど御指摘いただきました十四年三月にまとめました情報モラル指導資料につきましては、教育のありようの問題として、情報リテラシー、それをきっちり身につけさす、そのことの重要性というものを申し上げたわけであります。しかし、その後、その状況につきましては日々変化しているわけでございまして、先ほど来ございます青少年健全育成条例、これの改正の動向を見きわめる中で、我々としましても、その情報モラル指導資料におきまして、それだけをやっておれば十分であるとも我々も思っておりませんので、御指摘いただいておりますようなことを踏まえまして、その指導資料の改訂に努めたいと考えております。
◆(若林まさお君) ということは、この資料は改訂をすると、こういうふうにとっていいわけなんですね。
◎教育長(竹内脩君) さようでございます。
◆(若林まさお君) 平成十四年の三月というたらついこの間ですから、そういう中でこういうことがはっきりとうたわれているということは、私はやはり教育委員会の姿勢として府民の批判を受けるのではないかと思うんです。やはりその辺は、情報モラル指導資料ですから、府教委のモラルが問われるようなことの資料であってはならんと思います。ひとつその辺十分指導をしていただきまして、徹底をしていただきたいというふうにお願いをいたします。
 それから、引き続いて質問させてもらいますが、インターネットが今いろいろ説明がありましたように爆発的に普及をしてきた今日、児童とか生徒がインターネット上にはんらんする膨大な有害情報に日々さらされているという現状を見てまいりますと、現在のフィルタリングの程度とか、あるいはその範囲では不十分であるというふうに考えるわけなんです。特に府立高校において早急に有害情報に対するフィルタリングの程度を強めるということが必要であるというふうに考えるわけなんですが、府教委の考え方として、もう一度、どういうふうな姿勢で臨まれるのか、御確認をしたいと思います。
◎教務課長(西川仁志君) 先ほど教育長も申しましたように、私ども、この情報モラル指導資料につきましても、いわゆる両面から、フィルタリングとともに、いろいろなモラル、リテラシーを高めるということで策定したつもりでございますけれども、その辺、現在の条例改正の動向、またフィルタリングシステムそのものが非常に現在いいものになってきておるという状況もございますので、いい情報は入れながら悪い情報はシャットダウンするということもできるように、非常に技術が向上しているということを踏まえまして、私ども、子どもたち、生徒にこういういわゆる情報を使う光の部分、また影の部分、これも教えながら、情報教育の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。
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◆(横倉廉幸君) 青少年の健全育成ということにつきましては、すべての府民の願いでありまして、この委員会でもさまざまな角度から提言や質問が行われております。私も、昨年の九月の定例会の一般質問におきまして、新聞に載っているテレビ番組の欄にドラマとか映画などが表示されている中で、そのドラマがどういった年齢層を対象とした番組であるかというふうな表示をわかりやすく新聞に載せればいいのではないかなというふうな提言もさせていただいたんですけれども、さまざまな理由があって、いまだにまだ実現はないわけなんですけれども、その番組の意図がどういった年齢層を対象につくられているかということを表示するだけでも、これは成人向きなのか、あるいは若者向きなのかというようなことがわかる中で、ある程度家庭の方も、新聞の番組欄を見ながら、子どもに見せるテレビの内容についても、いろいろと自分たちで選択ができるというような観点から、そういう提言もさせていただいた。先ほどは若林委員の方から、インターネットの問題で、有害情報が大変多く流れているということで、フィルタリングというようなことを質問で提言されたわけでございますけれども、残念ながら、テレビや雑誌、インターネットなどでは、有害情報、特に性に関する情報がはんらんをいたしておりまして、若者の性に関する意識や行動というものが大きく変化が起こっているということであります。
 例えば、性意識や性行動について言いますと、東京の教師らでつくっております民間団体で、東京都幼稚園小中高等学校性教育研究会というのがあるんですけれども、それが行った性意識、性行動の調査によりますと、高校三年生の女子の性体験率が、平成五年の二二%から、ことしは四六%に増加していると。同じく、高校三年の男子では、平成五年の二七%から、三七%に上昇しているというふうな結果が出ているわけでございます。
 また、八月八日の読売新聞には、昨年一年間に未成年女性の人工妊娠中絶者数が六年連続で前年を上回っているという厚生労働省の調査結果が載っておりました。
 さらに、このような状況に加えまして、若者の性感染症が大変ふえてきているというふうにも聞いているわけですけれども、性に関する誤った知識や情報による行動の変化が若者の心身の健康に好ましくない影響を及ぼしているのではないかと大変危惧いたしております。
 そこで、改めて、若者の人工妊娠中絶や性感染症の現状についてお聞きをいたしたいと思います。
◎保健体育課長(上田俊次君) 厚生労働省の統計によりますと、全国の近年における女性人口に対する人工妊娠中絶の割合は、横ばいか減少傾向にありますが、しかしながら二十歳未満では、平成七年は人口千人当たり六・二人でありましたが、平成十二年には一二・一人となり、この五年間でその割合は約二倍になっております。また、大阪府におきましても、平成七年の人口千人当たり四・六人から、平成十二年には九・二人となり、全国と同様、約二倍になっております。
 また、性感染症は、性行為によって感染する感染症の総称であり、HIV感染もその代表的なものでありますが、同じく国の調査によりますと、現在特に若者に性器クラミジア感染症と淋菌感染症が著しく増加しており、十代の後半、いわゆる十五歳から十九歳の年齢での罹患者数が、この三年間で約一・五倍になっております。大阪府においても、同様の傾向になっております。
◆(横倉廉幸君) 今お聞きしますと、人工妊娠中絶の割合はこの5年間で約二倍、そして性感染症については一・五倍にもなっているという大変憂慮される状況でありまして、こういうことから、若者に対して性に関する啓発というのがなお一層重要であると思うわけであります。
 ところで、ここにあるんですけれども、ラブアンドボディというこういった冊子が全国の中学生に配付されまして、この夏、大変マスコミなどでも話題になったわけでございますけれども、教育委員の先生方、ごらんになられましたですか、内容。−−そうですか。まず、この冊子についてお伺いいたしたいんですけれども、このラブアンドボディブックはどのような経緯で作成され、そして大阪府ではどのような手順で配付をされたのか、お聞かせいただきたいと思います。
◎保健体育課長(上田俊次君) 国におきましては、思春期の子どもたちに、性を初めとした健康問題についての知識を普及するため、啓発冊子の作成の検討を進め、その一環として、厚生労働省が所管いたします財団法人母子衛生研究会が、同省の指導を受けまして、中学校卒業前の生徒を対象とした保健教材として、一昨年度と昨年度に作成されたものでございます。
 府教育委員会は、昨年一月及び本年三月に、府の健康福祉部から同冊子の活用及び配付協力の依頼を受けまして、その内容を検討した上で、健康教育の補助教材の一つとして活用するよう市町村教育委員会あて通知いたしました。その後、中学校第三学年在籍者数分の冊子が母子衛生研究会から市町村教育委員会あて送付されております。
◆(横倉廉幸君) 実は、私も、この冊子の中身を読んでみましたけれども、大変いい本であるという実感とともに、余りにも詳細な避妊法が記載されているということで、中学校の生徒に対しては、こういった内容のものが配付されることによって、逆に興味本位ということが高まって、そういった逆の行動に移らないかなという、少しそういう危惧を感じたわけでございます。この冊子を、内容を検討した上でというお答えでございましたけれども、どこでどういうふうな内容を検討されたのか、お教えいただきたいと思います。
◎保健体育課長(上田俊次君) 近年、性に関する情報がはんらんするなど、児童生徒を取り巻く社会環境は大きく変化しており、学校教育において、児童生徒がこれらの情報に惑わされず、みずから考え、望ましい行動をとるよう指導することは、極めて重要であると考えております。
 性教育におきましては、この目標を実現するため、教科指導を中心に、学校教育全体を通じて、児童生徒の発育発達段階に応じた指導を行うことが必要であり、本冊子はその参考となる補助教材の一つと判断したところでございます。
 ただ、御指摘のとおり、一部内容に誤解を与えたり、説明が不十分なところもありましたことから、市町村教育委員会の学校保健主管課長会議等におきまして、本冊子を補助教材の一つとして使用するに当たっては、各学校の生徒の実態に配慮しつつ、適切に対応するよう指導したところでございます。
◆(横倉廉幸君) 今、適切に対応するように指導したところであるということでございますけれども、いつそういうふうなことを指導されたのか、お教えいただきたいと思います。
◎保健体育課長(上田俊次君) 本年九月三日に、このような形で御指導させていただいたところでございます。
◆(横倉廉幸君) これは、一昨年度と昨年度に作成したということで、昨年の一月と本年の三月に、府の健康福祉部から活用及び配付協力の依頼を受けたということですけれども、昨年の場合は、そうしたらそういう指導をせずに配付されたということですか。
◎保健体育課長(上田俊次君) はい。昨年度につきましては、卒業間近の生徒ということでございましたので、昨年のほとんど中学三年生が卒業する時期ということで、そういったような指導はなく、そのまま依頼を受けて配付を市町村にお願いしたところでございます。
◆(横倉廉幸君) 先ほどもちょっとお聞きしたんですけれども、どの部署で、どういう形でこの内容を検討したかというお答えをいただいてないんですけれども、お教えいただきたいと思います。
◎保健体育課長(上田俊次君) 教育委員会の保健体育課の中で、養護教諭等の指導主事等と一緒に検討して配付するということで、お願いしたところでございます。
◆(横倉廉幸君) 私は、先ほど申し上げましたように、大部分はまあまあこんなもんかなということですけれども、場合によって、これはここまでは記載しなくても、また教えなくてもいいんじゃないかというふうな内容があるということを感じたんですけれども、その検討のときには、そういうふうな意見はなかったんでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
◎保健体育課長(上田俊次君) それぞれの内容につきましては、すべて絵もしくはその他説明文が非常に短いことは事実でございます。中学生が簡単に読みやすく、目から入るといったとこら辺で、先ほども申し上げましたように、誤解を与えたり、一部説明が不十分なところはあるけれども、しかしながらこれが補助教材として学校において利用される場合においては、先生方の指導のもとで、十分その効果が上がる副教材の一つであるということで、判断したところでございます。
◆(横倉廉幸君) これが母性保護という観点から見れば、当然ここまでは必要であるかなと思うんですけれども、果たしてそれが中学三年生までの子どもに、この冊子が行き渡ることによって、そういった部分も入っているわけなんですから、そこが私は適切ではないのかなというふうな箇所があると思うんですけれども、例えばそれを削除して配付するということであればわかるんですけれども、そのままこれを渡して、教材として子どもたちの手元にこれが渡る。ただ、教えるときに、指導するときに、適切に指導するようにということになれば、丸々この本が渡ってしまうわけですから、先ほど若林委員が言いました、例えばインターネットでしたら、フィルタリングによって、見せたくない部分は見せられないようなことができるんですけれども、これは丸々そのまま全部行ってしまうわけですから、そういったフィルターがかかってないわけなんですね。ですから、そういうところをもう少し内容を吟味した上で、私は、配付する必要があったのではないかなと感じるわけですけれども、こういう点についてはどう思うんでしょうか。
◎保健体育課長(上田俊次君) 最近の生徒は、マスコミや友人などからの情報によって誤った知識を得ていることが予想されること、またこのような、先ほど先生御指摘の避妊に関する部分が非常に多いというふうな部分がございましたけれども、不確実な知識や安易な方法は、かえってある意味での望まない妊娠をする結果となるため、避妊についても指導が必要であると考えております。
 しかしながら、中学生は、避妊の学習において、避妊法を実習等を通して確実に習得させることは、心理的な発達において個人差等あることから、困難が予想されるというふうには思っております。このため、中学生には、避妊の意味や避妊法に対する基礎的な知識を与えて、性行動に対する判断や意思決定を、生命尊重の精神や異性に対する深い思いやりの気持ちとともに指導していく必要があると、このように認識しております。
◆(横倉廉幸君) 先ほどの若林委員の話にもありましたように、大阪府には青少年の健全育成条例というのがあるわけで、青少年にふさわしくない雑誌とかビデオ、週刊誌等をチェックして、有害図書として指定するということなんですけれども、そういった青少年の健全育成という観点から見まして、教育委員会にこの本が送られてきたといいましても、健全育成というのは、人間というのは頭と体と心があるわけですから、その三位一体で健全育成について大阪府というのは取り組んでいかなければならないと私は思っているんですけれども、そういう意味で、生活文化部の中に青少年課があるわけですから、その青少年課がそういった部分を所管されているわけですから、例えば青少年課の方にこの冊子が送られてきたときに、一度これの内容を吟味してほしいというふうな相談はされたのかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
◎保健体育課長(上田俊次君) 本冊子につきましては、青少年課の方とは吟味というか、御相談はさせていただいておりませんでした。
◆(横倉廉幸君) 青少年課の方にもお聞きしたいんですけれども、青少年課では、これをごらんになったことはあるんですか、中身。
◎青少年課長(服部道代君) ことしの夏だったかと思いますが、週刊誌、新聞等でそういう記事を見ましたので、その後、冊子については一応見ました。
◆(横倉廉幸君) 本委員会でもそうですし、本会議の一般質問の中でもいろいろ意見があったんですけれども、いろんな施策を大阪府が実行されているわけなんですけれども、全庁的とか、各部局を横断した形でとかいうふうなことはよく言われるんですけれども、実際今大阪で何が一番大切か。基礎基本というのをよく竹内教育長言われるんですけれども、教育の基礎基本は何かというと、やはり大阪の子どもたちが健全に育成するようにというのが基礎基本であると思うんですね。その中で、教育委員会があったり、健康福祉部があったり、また生活文化部の青少年課があったり、いろいろと分かれているわけなんですけれども、基礎はやはり青少年の健全育成であるという、そういう観点から見ますと、教育委員会の所管だからとか、これは健康福祉部の所管だからとかではなしに、もう一つ目線を高くして、青少年の健全育成といった立場からどうであるかというふうな判断が必要になってくると思うんです。本会議においても、この委員会においても、そういった意見がほかの議員の方からもいろいろ出ておりました。
 ですから、その中で、特に体といいますか、これは精神も大いに関係してくるわけですから、こういった性教育に関して、先ほどの若林委員の話は、フィルタリングによってインターネットを大いに楽しんでくださいということですけれども、この本を見ていると、避妊によって大いに楽しんでくださいというふうにとられる可能性もあるわけなんですから、これは、先ほどのインターネットとは逆に、しっかりと性というもの、そういったものを精神的に教育をしていくということが主であって、避妊というのはその後でつくものであるということをしっかりと考えた上で、三位一体となって大阪の青少年の健全育成に当たっていただきたい。
 これは、ただ一つの例でありまして、そのほかのいろんな施策においても、そういった部局とか縦の組織を意識せずに、大阪の安心安全のため、また青少年の健全育成のためという観点で常に物事を考えていただいた上で、例えば教育委員会だから青少年課が遠慮して、このことに対して意見を言うことは差し控えるとか、そういうことではなしに、青少年課からこの内容のこの部分はふさわしくないと思いますよというふうな意見を教育委員会にどんどん言うといった、そういう全庁的な取り組みというのがこれからますます重要になってくると思いますので、その辺を私からよろしくお願いを申し上げまして、この件についてはこれで終わらせていただきたいと思います。

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