テレビの影響は子どものテレビに向う動機に左右される?

NHK放送文化研究所の「"子どもに良い放送"プロジェクト」の「第一回調査報告書」(2003年1月調査)の結果概要が公表されています。
テレビは情報ではなく「環境」であるという分析は面白いですね。
調査報告書によると、テレビの影響は子どものテレビに向う姿勢に左右されるとのこと。送信された情報によってではなく受容する側の視聴動機などによって影響のされ方によっ変化するとの仮説が、一定程度裏付けられた調査なのかもしれません。

■NHK放送文化研究所
"子どもに良い放送"プロジェクト
http://www.nhk.or.jp/bunken/kodomopro/index.html
第一回調査報告書
http://www.nhk.or.jp/bunken/kodomopro/kodomo01s.pdf

「あなたにとって、テレビはどの程度必要か」を聞く質問に、「絶対必要」という中学1年生の接触時間は167 分、「あったほうが良い程度」の群は157 分、「なくても困らない」と答えた中学1年生は3名のみで、平均接触量は80 分であり、統計的には有意な差とは言えなかった。「時間をつぶすこと」「寂しさを紛らすこと」「日常生活の現実から逃避すること」を中学生は重視しているが、メディアが役に立っていると答えた群と役だってないと答えた群の間にも、テレビ接触量や映像総接触量に有意な差はみられなかった。総じて小学4年生にとっても中学1年生にとっても、テレビゲームに比べ、テレビは、積極的にそこに何かを求めていくものではなくなっている。絶対必要といいながら、視聴時間が長くなるわけでも、また、退屈しのぎに見られるものでもなくなっている。環境的にそこに存在してはいるが、もはや心理的に大きな意味を持たなくなっているように思える。
「子どもによいテレビ」は、子どもがテレビに積極的に向かってきてくれないかぎり、成長に寄与する実効のあるものにならない。子どもの周辺に多様なメディアが多く存在するようになった21 世紀初頭にあって、テレビに専念視聴してもらえるような小中学生向けプログラムを作成していく困難さを予想させる調査結果であった。

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