イラク派兵自衛官の子どもが被爆畸形に?

自衛隊員がイラクから帰国したあと産れた子どもが被爆畸形だったとの話があるようです。事実だとすればこれほど悲しいことはありません。もちろん、イラク現地ではもっと大変なことになっているわけですが…。
 

サマワ被爆した自衛隊員たち
http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2005/06/post_2dda.html

2004年11月6日の日記、「自衛隊に入ろう!」*1の中で、実際にイラクへ行って来た、北海道A駐屯地の陸上自衛隊員から聞いた、サマワでの呆れ果てた自衛隊の実態、テレビや新聞で報道されているのとはまったく違う真実の姿を報告したけど、今度は、その自衛隊員から、ついに怖れていたメールが届いた。前回に引き続き、絶対に個人を特定できないようにすると言う約束で日記への転載を許可してもらったので、メールの全文を紹介するワケには行かないけど、あたしが内容をまとめて書くよりも、できるだけ本人の書いた原文を紹介しようと思う。
陸自第一次派遣隊の隊員の中に、帰国後に奥さんに赤ちゃんができた先輩がいるのですが、今年の3月末に生まれた赤ちゃんは、手の指が2本しか無く、カニのハサミのようになっているのです。*2噂には聞いていましたが、自分の目で実際にその赤ちゃんを見た時には言葉を失ってしまいました。」
「他にも障害を持った赤ちゃんが生まれたという噂は耳にしますが、皆、事実を隠そうとしているので、実態は分かりません。先輩の赤ちゃんの事も、生まれたという事は皆知っていますが、障害の事を知っているのは数人だけです。」
「自分も帰国後から、その先輩と同じ様な頭痛や吐き気がおさまらずに、不安な日々を送っています。」
「帰国した隊員が体調不良を訴えても、簡単な検査しか受けられません。自分も検査を受けたのですが、尿と採血をして、2週間後に『異常なし』と報告されただけで、細かい数値などは教えてもらえません。その後は体調不良を訴えても聞き入れてもらえません。」

 
もしあなたが自衛官で、子どもが奇形というとり返しのつかない姿になって、子どもから「どうしてボクの体はこんなふうになったの?」と質問された時に、子どもに向って何と言うでしょうか?
もしあなたが自衛官の妻または夫だったら、相手にどんな態度をとってほしいですか?
「金だよ金。日給3万円が欲しかったからだよ」と言える人は、外道としてイラクで仕事をすることができ、死んだらA級戦犯といっしょに軍神になることができます。
イラクなんかに行ったのが間違いだった」と後悔できる人は、親として、あるいは人として生きることができます。
 
北海道A駐屯地は、おそらく旭川駐屯地のことでしょうね。
 

陸上自衛隊 旭川駐屯地(旭川駐屯地業務隊長 岩本賢一)
http://www.jda.go.jp/j/info/kagaku/2003/002.htm
旭川駐屯地の地図(航空写真)
http://tinyurl.com/a6evf
陸上自衛隊 旭川駐屯地沼田分屯地(司令 太田耕嗣)
http://www.jda.go.jp/j/info/kagaku/2004/004.htm

 
こちらの情報では「被爆奇形の発症率は4〜6倍」という数字があります。(ただし出典不明)
 

DUによる重篤な先天性の奇形
http://homepage1.nifty.com/KASAI-CHAPPUIS/ExtremeBirthDeformities.htm

ペンタゴンとイギリス国防省劣化ウランによる危険は無いとし、そして米国が主導の多国籍軍による核関連施設に対する攻撃が原因ではないかとしている。しかしながら、ほとんどの研究者は奇形とガンの原因は劣化ウランによるものであると指摘している。特に劣化ウランが集中的に使われたイラク南部で顕著であるが、医学的症例が増えてゆくことで米英の主張を危ういものとしている。イラクの医師たちは、このような症例に今まで出くわしたことがなかった。また、日本での原爆投下後の状況(ガンと奇形の増加)が裏付けになるとしている。ガンの発症率は7〜10倍に、奇形の発症率は4〜6倍となった。

 
DU等放射性物質の催奇性のデータについては、事例についての研究そのものがあまりすすんでいません。軍の研究部門は研究しているかもしれませんが、仮に研究が進んでいるとしても、軍事機密ですのでデータが公表されることは無いでしょう。
もしDUの放射能の影響によって発生した奇形であるとすれば、戦争という状況によって発生している結果ですので、一般の疾病と同じようなデータを得ることは難しいと思われます。一部の阿呆が「データを見せろよ」と叫んで否定していたりしますが、その言葉はそっくりそのまま政府に求めるべき言葉であると私は考えます。
尚、一般の奇形種類別発生順位は下記データの通りです。
 

先天異常データベース 外表奇形等統計調査結果
http://www.icbdms.jp/data.html
1999年度外表奇形等統計調査結果 奇形種類別発生順位
http://www.icbdms.jp/data/1999_9.html

 
合指症は奇形種類別発生順位の上位20位以内に無い奇形の中でも稀な奇形のようです。
たとえば、欠指症の場合だと、90,110人が出産して4人程度発生しており、発症率は約0.0044%。大雑把に言って2万人に1人です。
イラクに派兵された自衛官(すでに帰国している人)は約800人。日本の人口の0.0008%が派兵自衛官ですので、派兵自衛官が産んだ子どもが欠指症となる確率は0.0000035%。
しかし、前述のウェブログの報告では、800人派兵されて少なくとも一人が発生しています。ということは、偶然に奇形が発生している可能性はゼロではないにしろ、それだけ低いと推測されます。
アメリカでは軍人のカップルの多くが子どもを作らないと決めているとも言われていますが、そう判断するだけの情報が存在しているということなのでしょう。派兵自衛官には派兵されることによって発生する危険を知る権利があると思います。と同時に、政府は、自衛隊員に危険を充分に告知する義務があると思われます。
 

イラク戦争:毒の遺産 世代を越えた犠牲スタン・ゴフ
http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/places/goff0309.html

 
世界で劣化ウラン弾の影響が危惧されていることは事実ですが、残念ながら「劣化ウラン弾の影響により健康の被害が増加した事実を確認する情報は有していない」というのが、劣化ウラン弾の影響についての政府公式見解です。
自衛官が危険に遭うのは自己責任であり、自業自得かもしれません。しかし、奇形になって産れてくる子どもには何の罪もありません。政府の安易な認識の結果としてなんの罪も無い子どもの生命が危険にさらされるとすれば、これほど不道徳な施策はありません。
政府は事前に危険を告知する義務があります。告知して志願が減るのは困るとか、責任はとれないといった理由で「危険は知らない」ととぼけ続けることは許されないでしょう。尿検査ひとつしないで「知らない知らない」と言っている政府の態度は不自然過ぎます。
 

福島みずほ党首の記者会見(2004年1月14日)要旨
http://www5.sdp.or.jp/central/kaiken2004/kaiken0114.html

2.劣化ウラン弾の問題
 (陸上自衛隊の赴任先とされる)サマワは、市民団体の調査によると通常レベルの300倍の放射能が検出されています。劣化ウラン弾の可能性が非常に高いということです。
私も、前回の国会で(イラク戦争での劣化ウラン弾の使用について)質問趣意書を出しました。イギリス軍は劣化ウラン弾の使用を認めています。アメリカ軍は報道によると大量に使ったと言われています。日本政府の答弁は、米国が劣化ウラン弾を使用したかどうかについて関知するところではない、というものです。
 日本政府は米国に対して、劣化ウラン弾をどこに落としたのか調査するように要請することが必要です。その上で、空中に飛び散らないようにきちんと処理すること、あるいは劣化ウラン弾の被害に苦しんでいる白血病患者への医療援助をすることなどが求められているのではないでしょうか。

イラク戦争における米英軍の劣化ウラン弾使用に関する質問主意書
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/syuisyo/156/syuh/s156044.htm

一 劣化ウランは人体に有害な影響を与えるアルファ放射能である。また重金属として人体に対する化学的毒性も持っている。このような物質を環境中にばらまき、一般住民に無差別に被害を与えることは、国際法上も許されない。例えば、一九九六年国連人権小委員会は、劣化ウラン弾は非人道兵器・大量破壊兵器であると決議している。また欧州議会も今年二月、劣化ウラン弾使用禁止の決議を行っている。政府は、これら決議を承知しているか。また、これらの決議を尊重すべきものと考えているか。
(略)
四 二〇〇三年七月一日の衆議院イラク人道復興支援並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会で、参考人として意見陳述した藤田祐幸氏は、委員会で配付した参考人意見陳述書の中で、イラクでの現地調査において、イラク計画省の「建物の周辺で多数の劣化ウラン弾を発見しました。劣化ウラン弾にとってコンクリートは紙のように柔らかいため、ウラン弾は発火せず、弾頭のまま散乱しておりました。建物の中にはさらに多量の弾頭が散乱していることが想像されます。測定すると六マイクロシーベルトほどの放射線を放出しており、環境放射線の百倍ほどの値を示しておりました。」と述べている。藤田氏は、ほかにも多数の劣化ウラン弾頭を発見し、高い数値の放射線を測定している。また、劣化ウラン砲弾で撃ち抜かれた戦車の貫通口から高い数値の放射線を確認している。藤田氏だけでなく、日本や米英の多くのマスコミ関係者、ジャーナリストがイラクに調査入りし、いずれも劣化ウラン弾を発見し、高レベルの放射線を確認している。例えば、米紙クリスチャンサイエンスモニター紙五月十五日に掲載されたスコット・ピーターソン記者による「劣化ウラン弾から千三百倍の放射線を確認」という記事などがある。米軍がイラク戦争において劣化ウラン弾を使用したことを証明する数々の証拠事例について、政府はこれを否定するのか。否定するのであれば、その理由は何か。

答弁書
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/syuisyo/156/touh/t156044.htm

一及び二について
 千九百九十六年八月二十九日に国際連合人権委員会の下に設けられていた差別防止・少数者保護小委員会が、劣化ウランを含む兵器等、大量破壊兵器又は無差別に影響を与える兵器の製造及び拡散を制限するよう各国に求めること等を内容とする「人権、特に生命に対する権利の享受のための必須条件としての国際平和と安全に関する決議」を採択したことや、本年二月十三日に欧州議会が、欧州連合加盟国に対し劣化ウラン弾等の使用の一時停止を求めること等を内容とする「不発弾及び劣化ウラン弾の有害な影響に関する決議」を採択したことは承知している。また、国際連合環境計画が、同年三月のボスニア・ヘルツェゴビナにおける劣化ウランに関する調査報告書において御指摘のような勧告を行っていることは承知している。しかし、政府としては、劣化ウラン弾の影響について国際的に確定的な結論が出されているとは承知しておらず、国際機関等による調査の動向を引き続き注視していく考えである。
(略)
四について
本年七月一日の衆議院イラク人道復興支援並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会における藤田祐幸氏による参考人としての意見陳述の内容については承知している。また、イラク共和国(以下「イラク」という。)内において劣化ウラン弾を発見し、又は高レベルの放射線を確認したとの内容の報道についても承知している。しかし、アメリカ合衆国(以下「米国」という。)が今回のイラクに対する軍事行動において劣化ウラン弾を使用したか否かについては承知していない。

参議院会議録情報 第161回国会 イラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会 第3号 平成16年11月10日
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/161/0079/16111100079003c.html

尾立源幸*3 次に、イラクに派遣されました自衛隊員の健康についてちょっとお伺いしたいと思います。
私の地元大阪にも自衛隊信太山駐屯地というのがございまして、その隊員の中にも、今後イラクに派遣される可能性があると言われておりまして、家族の中には劣化ウラン弾の影響が心配だと、また、非常な極限状態で任務に当たられるわけですから、精神的なヘルス、メンタルヘルスというものに不安を覚えていらっしゃる方がいらっしゃると、こういう声を聞いておりますが、特に劣化ウラン弾は、イラク南部のサマーワ周辺でイラク戦争の際、米軍が使用したと言われております。日本政府は劣化ウラン弾健康被害の関係は認めていないと聞いておりますが、同じく劣化ウラン弾と隊員の健康被害の関係を認めていないイギリス政府は、劣化ウランに被曝した可能性のある湾岸戦争イラク戦争からの帰還兵に尿検査を実施しております。
そこで私は、劣化ウラン弾が引き起こす健康被害を予防あるいは監視していくために最低限、隊員の健康診断を継続的に行う必要があると考えますけれども、政府のお考えをお聞きしたいと思います。
○政府参考人(西山正徳君) 劣化ウランに関しましては、今の、現在、一般論としての認識を申し上げれば、我が国としてこれまでのところ、劣化ウラン弾の影響により健康の被害が増加した事実を確認する情報は有しておりません。
しかしながら、万が一に備えまして、イラクに派遣される陸上自衛隊の部隊には、まず一点目ですけれども、放射線検知器類を携行させると。要するに、環境中のアルファ線を把握すると。これが通常と異なる放射線レベルを検知した場合には、当該地域に立ち入らない等の対応をすると、それが二点目でございます。三点目でございますけれども、砂あらしが起きた場合には防塵マスクを着用することとしております。
さらに、必要な健康診断や臨床経験の豊富な医官を配置することにより健康管理を行っておりまして、したがって、現時点ではこれ以上の健康管理の必要性は必要ないというふうに考えております。
以上でございます。

衆議院会議録情報 第159回国会 武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会 第10号 平成16年04月27日
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/159/0134/15904270134010c.html

○鎌田委員*4
(略)
最後になんですが、委員長、お許しいただいて資料をお配りをいただきたいと思うんです。残りの時間を、これらの法案にも若干は関連していると思います、もう報道等でも大分言われておりますけれども、米軍によります劣化ウラン弾の使用について、少し質問させていただきたいと思います。
予算委員会でも、我が党の小林千代美議員が石破長官あるいは川口大臣とこの劣化ウラン弾のことについてやりとりをさせていただきましたけれども、それも議事録を拝見いたしました。それから、前もっての、事前の打ち合わせもさせていただいた中で私が感じたことを先に、時間もないので質問いたしますと、この劣化ウラン弾の健康影響被害調査というものについて、そのデータを集めたり、分析をしたり、統計をとったりということが非常に受け身の態勢になっているというふうに感じました。
今回の国会にもこうやって法案が幾つも出ていますけれども、これから先、日米安全保障条約のもとで日米間の協力というものがさらに緊密になっていくというときに、湾岸戦争からこの十年余り、米軍がどれだけあの地域に対して劣化ウラン弾を使い、そして、あの地域でどれだけ劣化ウランが影響をして白血病の患者がふえているかということを、もう少し自主的に、受け身ではなく調べていったらいいのではないかなという思いを持っております。
それで、皆様のところに配付をしていただきましたのは、劣化ウラン弾のことについて調査をし、そしてまた現地で支援をしている方々のところで出している冊子ですけれども、国防総省劣化ウラン弾のプロジェクトの元責任者の方の証言というものがインタビュー形式で載っております。それからさらに、劣化ウランがなぜ恐ろしいのかということ、これは沖縄の琉球大学の教授がレポートとして載せているその冊子から抜粋をして、この本の作者も了解をし、ぜひこの劣化ウランの今のイラクにおける状況をもっと広く、多くの人に知ってもらいたいという思いも、私もそれを体してきょうは申し上げました。
それでなんですけれども、先ほどの質問、もっと主体的にこの問題について調査を進めるべきではないかということ、それから、今あちらに渡っている自衛隊の皆さんに対して、この問題についての教育ですとか、あるいは装備、対応、十分になされているのかどうか等々をお聞かせいただきたいと思います。
○石破国務大臣 これは答弁したことを繰り返すつもりはございませんが、私どもとして、劣化ウラン弾というものが人体に影響を与えるというふうには認識をいたしておりません。おりませんが、しかし、世の中に一〇〇%完全などということは多分ないのであって、したがいまして、私どもは、派遣をしております自衛隊員、自衛官がそういうことになりませんように、まず、微量ガンマ線測定器というものを持っていって、自分たちが行動する地域がそのような汚染というものがないかどうか、そのことを確認して作業を行うということでございます。
もう一つは、個人一人一人がガンマ線線量計*5というものを持ってまいりまして、自分の体内に、体内といいますか、その線量計に蓄積をされてくるということになりますと、どれぐらいの放射能というものを浴びたかということがわかるようになっておるわけでございまして、どちらも今まで私どもが使いまして、そういうような被害があった、そういうようなことについて何か明確なサインが出たということはございません。
しかしながら、私ども、隊員の安全というものを考えまして、その二種類の装備というものを持っていっておるわけでございます。絶対にそういうようなことについて懸念がないように、さらに万全を尽くしてまいりたいと考えております。
○鎌田委員 質問時間が終わりましたので、やめにしますけれども、長官、初めの言葉、私たちは劣化ウランが健康に影響が出るとは思っておりませんけれどもとつけましたが、その冒頭の言葉、それは余りにも、余りにも世界に目を向けていないと思います。向けていると思いますけれども、長官が向けていらっしゃるところはこれまた一部であって、私たちも一部かもしれない、しかし、それぞれの一部に事実がある以上、そして一国の長官としてこれは非常に残念な言葉でありますから、ぜひそこのところはお考えを改めていただきたいということを要望して、終わります。

参議院会議録情報 第159回国会 イラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会 第8号 平成16年04月15日
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/159/0079/15904150079008c.html

○齋藤勁君*6
(略)
そこで、大臣、もう一つお尋ねしますが、先日、元アメリカの軍医、核医学など専門のアサフ・ドラコビッチ博士が日本で講演をされまして、二度、ここ一年で、昨年十一月にもお見えになっているそうですけれども、いわゆる劣化ウラン弾サマワ米兵汚染ということで、こういう米専門家が発表したということで報じられておりますけれども、この記事はごらんになりましたか。
国務大臣石破茂君) 拝見をいたしております。
○齋藤勁君 そこで、私は、今年の二月にやはりこの委員会で大臣と劣化ウラン弾そして劣化ウラン放射能被害の問題でやり取りをさせていただきまして、これはまた繰り返しませんが、最終的に私は隊員の健康がきちんと守られるということについてきちんと健康調査をすべきであろうという話をしまして、大臣の方は劣化ウラン弾に特化をしてとかいうことじゃなくて、すべての面において健康診断を行う、こういう実は答弁をしておりますが、今回のこの博士の報告によりますと、体調不良でサマワから帰還した憲兵隊員九人が博士が所長を務める民間の研究団体に診断を依頼、尿を検査したところ、四人から劣化ウランが検出された、この結果は米紙でも取り上げられた。あるいは、バスラ、イラクの十都市で市民五十五人の尿を採取し、三十人分を検査、二十二人から劣化ウランを検出したということで、実はこのことが先ほどの、冒頭言いました専門家博士の国内におけます報告であります。
先ほどの、私が、二月の五日の答弁ですべての面で健康診断を行う。この今のすべての面で健康診断を行う、あとタイミングの問題もございますが、こういったことも劣化ウラン、尿から検出されるということも想定して健康診断をされる意思なのかどうか。全く念頭にないまま一般的な健康診断を行うんだということ、このときの二月五日の答弁はそうじゃないかと思うんですけれども、あえて、私はこの劣化ウランということについての危惧を持っておりますので、再度この時点での答弁を求めたいと思います。
国務大臣石破茂君) それは、先生、私どもは劣化ウランというもので我々の活動しますような形態におきまして人体に影響があるというふうには認識をいたしておりませんし、諸外国におけるいろいろな公的な調査というものもそのとおりでございます。
しかしながら、一〇〇%ということは世の中にはきっとないのでしょうから、したがって微量ガンマ線測定器でありますとか線量計でありますとか、そういうものを保有をいたしまして、そのような場所には行かない。仮にそれが検知をしなかったとしても、体内に蓄積をされたということがあるならばそれは分かるということで、二重の意味でその劣化ウランというものの影響を受けないように、二重の意味というのは、そういうような報告は受けていないし、世界的にもそうです、しかしながら、そういうような線量計あるいは測定器を持っていくということで、二重の意味で劣化ウランというものに対しての備えというものはしておるわけでございます。
一般的に何か想定していたかということで申し上げれば、それは一般的と申し上げるべきものでございましょう。その中で、尿検査をして、仮に、仮に万々々が一ですね、そういうことがあれば、それは当然分かるということでございますが、現在私どもは、劣化ウランというものに対してきちんとした私どもとしての備えをしておるということでございます。
それは、すなわち劣化ウランに我々の行動の類型において影響があるということを意味しておるわけではございません。
○齋藤勁君 また時間があるときやりたいと思いますが、是非私は再度長官も研究していただいて、この劣化ウランについて、ああ後でこうすりゃよかったなんということのないように、今、私は、もう現地で大変危険な状況に遭っているということで警告を発しているつもりですので、申し上げさせていただきたいと思います。

 
政府が自衛官の家族の身に起きていることを知らないのであれば知っていただきましょう。というわけで、奇形児誕生の情報については、日本政府宛に転送しておきました。
 
尚、国連では、劣化ウラン*7を使用する兵器を、核兵器化学兵器と並ぶ非人道兵器として挙げ、完全な除去のための対策が必要であるとの決議を賛成多数で採択しています。この採択では、アメリカ合衆国一国だけが反対を表明し、日本は棄権。日本の国際的孤立を深めました。
 

衆議院会議録情報 第159回国会 武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会 第11号 平成16年04月28日
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/159/0134/15904280134011c.html

○大出委員 
(略)
そこで、今回の、アフガン以降、クラスター爆弾だとかバンカーバスターだとか気化爆弾だとか劣化ウラン弾だとか、いろいろ指摘されているわけなんですが、残虐兵器ではないのかということ、それを答えていただきましょう。
○荒木政府参考人 お答え申し上げます。
第一追加議定書におきましては、武力紛争における戦闘の方法及び手段について一定の制限というのが課されておりまして、戦闘の方法、手段の規制について規定はされております。ただし、これにつきまして、残虐な兵器というような言葉は用いられておりません。
しかしながら、第一追加議定書の規定というのは、御指摘の個々の兵器の使用、こういうものを含めて特定の種類の兵器の使用について規律するものではないというふうに解されておりまして、むしろ、特定の兵器の規制というものにつきましては、その特性、使用の態様、こういうものに着目して、個別の条約によってその使用が禁止され、また、制限されてきているものというものもあります。
しかしながら、クラスター爆弾、今御指摘の趣旨の兵器でございますけれども、いずれの条約によっても、その使用が禁止され、または制限されているということは承知しておりません。
○大出委員 要するに、残虐な兵器ではないんだということなんですね。
これは一般人が考えるのと軍人が考えるのとは違うし、あるいは戦闘行動に加わっている人が考えるのと違うんでしょうけれども、一般の人を中心に考えるべきなんでしょうから、これはどう見ても残虐兵器ではないんだろうか、そういうことが起こるんだと思うんです。
問題は、日本も、これはやはり残虐兵器ではないかと思えば、国連の中で、こういうのはやめた方がいいというようなことに参加をしていくべきだと思っているんですね。ところが、どうもそういう方向ではなくて、例えば劣化ウラン弾、この本にありますので言いますが、「一九九六年八月、国連小委員会は、劣化ウランを使用する兵器を核兵器化学兵器と並ぶ非人道兵器として挙げ、完全な除去のための対策が必要であると決議した」、賛成十五、反対一、これはアメリカでした。棄権八、日本は棄権をいたしました。
こういう問題は、やはり残虐だと思われる兵器はだんだん減らしていく方向に動くべきだと思うんですが、いかがでしょうか。劣化ウラン弾についてですよ。
○川口国務大臣 劣化ウラン弾についてということですけれども、これは、今まで別な委員会の場でも申し上げてまいりましたけれども、まず、WHOあるいはUNEPというところでその影響についての調査をしていますけれども、今の段階で、それが健康上被害があるということがきちんと言われているということではない、まだわからない状況であるということだと思います。
それで、といって、最終的にそういうことについての問題がないという結論が出たということでもございませんので、引き続き我が国としてはこの健康への影響については十分に注視をしていきたいというふうに考えています。
○大出委員 戦争で原爆を投下された国ですよね。その国の外務大臣が言う言葉ではないなと実は思いますね。
劣化ウラン弾というのは、大体が、一般認識の中で、比重が大きいから戦車等鉄板を破壊できるということで、それで安いということで使っているわけであって、安全だから使っているわけじゃないんですね。そして、被害が問題になっているのも事実でして、そういう中で反対をしないで棄権というのは、まだ棄権をしたということは少しは救いがありますが、こういう問題は、やはり日本の国からすれば、しっかりと、劣化ウラン弾はやめましょうという方向で動くべきだということを申し上げておきます。

広島市
原爆と平和に関するQ&A
http://www.city.hiroshima.jp/shimin/heiwa/q&a.html
Q19 劣化ウラン弾はどのようなものですか。
http://www.city.hiroshima.jp/shimin/heiwa/a15.html


関連ログ。
 

キーワード「劣化ウラン弾
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040611/p2
イラク派兵、放射能汚染対策で2600万円調達
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040205

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■補足

引用した情報については、伝聞とはいえ情報の出所が明確ですので、純然たる匿名告発ではなく、報道に準じた事実の伝達と認識しています。
私は合理的懐疑という方法論には賛成で、信じこむな、確認しろといつも言ってきていますし、それは今でも変りません。ですか、残念ながら私の認識はホソキン氏の判断の前提とは異なると書いておきます。
というわけで、論より証拠、「放射線被曝は遺伝子異常を生じるか?」という疑問への回答として、被爆の影響により奇形発生例として、ロンゲラップの被爆者から産れた子の写真と情報を提供しておきます。ロンゲラップは、フランスの核実験によって発生した死の灰を浴びた地域です。
 

「映像のトリック」(新藤健一著/講談社)
http://d.hatena.ne.jp/asin/406148804X

ロンゲラップ診療所で九年間医療に従事してきた保健夫ピアルソン・チョンさんは、「ここは他の島と違い異常児や奇形児が特に多い。目にヒトミのない子、耳のない子、手が短い子、足が細く歩行困難な子、無脳症の子などの出産が七−入年前から増えている」と証言した。
私は思い切って島で再会したジョン・アンジャインさんに、実際にそういう障害児がいるのなら写真撮影させてはしいと額んだ。
ジョンさんは一応、OKはしてくれた。しかし自分からはけっして案内に立とうとはしなかった。私は島を離れる寸前、再び、この件をジョンさんの弟、ネルソンさんに持ち出した。しばらく躊躇したネルソンさんは、私を海辺のテントの中に招いた。まだ十代の若い母親が大事そうにかかえる生後二カ月の女の子の右手を見て、私は正直ギョッとした。指が六本あるのだ。写していいものかどうか逢った。
開けば、この子の母方の祖父母は二人とも、あの実験で死の灰を浴びている。島の人たちの結婚は早い。実験後三十一年、その恐怖は今、孫たちの世代に押し寄せているかのようだ。
子供の母親はジョン兄男のめいだった。ネルソンさんの「子供の名前も顔も出しなさい。日本を通じ、このボクたちの苦しみを世界に伝えてください」という言葉が、私にシャッターを押す勇気を与えてくれた。
ロンゲラップ島民をメジャット島へ移住させた船「レインボー・ウォリヤー」がニュージーランドの港に停泊中、何者かによって爆破、沈没させられたのはそれから一カ月後の七月十日だった。
犯人がフランス情報機関員だったことがわかって、ミッテラン政権は一時、大揺れに揺れた。
レインボー・ウォリヤー号はマーシャル諸島からニュージーランド経由、フランスの核実験場ムルロア環礁に向かう予定だったのだ。
この事件で乗船していたポルトガル人のフェルナンド・カメラマンが死亡した。私は、あのメジャット島で彼と一夜を過ごした。明日、グリンピースのメンバーが島を離れるという日、島民は、移住してまもなく、家もろくにない中で、粗末だが心尽くしの手料理と島歌で感謝の宴をはった。そのお礼にグリンピースからは、フェルナンド・カメラマンが撮影した移住の記録写真パネルが贈られた。ウォリヤー号の船倉には暗室があった。事件当時も同カメラマンは暗室作業をしていたため、爆発直後、すぐに船外に脱出できず死亡した。
狭い国内の、大混乱の中で無意味に個人のプライバシーを犯しながら取材を続けるカメラマンと、広大な太平洋の孤島でじっくり人知れず核の危機がせまっている状況を記録するカメラマンの生き方のどちらが重要か?
「何がニュースか」「原凶は何か」「伝えなければならないこと、知らせなければならないこととは何か」を自問するカメラマンはまだまだ少ない。

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もうひとつ補足。
自衛官の神浦さんがコメントしています。
 

軍事通信員報告
http://www.kamiura.com/report.html

サマワから帰国した隊員の奥さんが奇形児を産みました?(7月13日)
神浦
(略)
これは100パーセント、ウソです。誰かがおもしろ半分に作った想像話です。自衛隊を知らない人は、自衛隊が閉鎖社会と思うでしょうが、自衛隊を知っていれば、逆に内部告発が非常に多い組織ということができます。とてもこのような重大な事実を隠せる組織ではありません。いわゆる都市伝説で、想像が生んだ架空の話しです。騙されないように気をつけてください

 
「重大な事実を隠せる組織ではありません」という点は同感ですが、だからこそこうやって告発が出てきた可能性もあるのではないでしょうか。
旭川の隊員が必ず私に知らせてくれます」というのが神浦さんのご主張の根拠のようですが、神浦さんに最初に告発しなければならないという義務は無いでしょう。
告発は嘘ではないとする根拠もありませんし、元自衛官にはそれなりの理解があるのでしょうが、「100パーセント、ウソ」との判断の根拠が示されたわけでもないと考えます。
政府は「ウソだ」と言うでしょうが、だったらなぜ政府は自衛官の健康管理のための合理的な調査をしないのか、という疑問は残ります。
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*1:きっこの日記2004年11月06日 「北海道に住んでるあたしの親友は、自衛隊員の奥さんだ。そして、そのダンナさんは、実際にイラクへ行って来た。今回、無理にお願いをして、「名前を伏せる」「個人を特定できるような記述はしない」と言う条件で、いくつかの質問を書いて、答えられる範囲で答えてもらった。以下が、その回答メールからの抜粋だ。「現地での活動は、550名の隊員のうち、給水担当が約30名、施設担当が約50名、医療衛生担当が約40名で、残りの400名以上は警備担当です。自分も警備担当でしたが、一日中基地の中にいるだけですから、こんなに楽な事はありません。」「食事は日本にいる時と同じ物が食べられて、何もしないで三食食べて、昼間は本を読んだり将棋をしたりして時間を潰しました。サマワでは外は危険なので出ることが許されず、外を見られるのは警備当番が回って来た時だけでした。日本にいれば辛い訓練がありますが、サマワでは訓練も無く、何もする事が無いので、自分は体が鈍ってしまうので、腹筋やスクワットを日課にしていました。」「現地での状況を教えて欲しいとの事ですが、警備で何度か外に出た他は、一度も外に出ていないので何も分からないです。隊員は完全に隔離された状態で生活しているので、外で何が起こっているのか何も分からないのです。唯一耳に入る情報は、給水担当の隊員からのものですが、彼等も安全な場所でしか活動していないので、お話しできる事は何もありません。」「劣化ウラン弾についても、外に出なかったので何も分かりません。」「我々の日当は、通常の国内での救助活動などの場合は1日1万2000円と決められていて、海外での活動でも2万円を上限としていますが、今回は危険手当が1万円上乗せされ、1日3万円という破格の日当になりました。この日当につられて志願した隊員も多く、自分もその一人です。自分は第二期派遣隊の第二陣として、5月15日に出発して9月5日に帰国しましたので、113日間で339万円になります。電卓を弾きながら、にやにやしてしまいました。できるなら、もっと長く行っていたかったです。」「サマワへ行って来た隊員達の話を聞いて、志願する隊員の数が何倍にもなりました。」」 http://www3.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=338790&log=20041106  

*2:欠指症、合指症、裂手症のいずれかでしょうか。指の奇形にもいろんなケースがあるようです。「カニのハサミのよう」ということは、裂手症かもしれません。冒頭写真参照。http://gooo.net/~gray/ura/ura/freak/file-0011.html

*3: 尾立源幸参議院議員(大阪/民主党) http://www.odachi.com/ 尾立議員の質疑は、イラク市民一人あたりの給水援助経費について、自衛隊とNGOとの比較についての質疑が面白い。同じ給水量だと仮定した場合、フランスのNGOの給水経費はイラク市民一人当り年間640円であるのに対し、自衛隊の給水経費はイラク市民一人当り年間1,173円。倍以上の経費がかかっている計算です。イラクまで行って将棋とかで遊んでないで、とっとと引揚げてNGOを援助しろよ。http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/161/0079/16111100079003c.html

*4:鎌田さゆり衆議院議員(民主党/宮城2区(仙台市宮城野区若林区泉区) http://www.sayuri-kamata.jp/ 鎌田さゆり氏は2003年総選挙でトップ当選しましたが、2004年12月24日、選挙違反事件で連座対象者の有罪が確定した責任を取り辞職願を提出し、補欠選挙では自民党秋葉賢也議員が当選しています。やれやれ。

*5: ガンマ線線量計はもっぱらガンマ線量を計測するための計測機器で、アルファ線を測定することは困難です。

*6:齋藤勁参議院議員(民主党) http://www.tsuyoshi.or.jp/default.html

*7:“劣化”なる表現は兵器産業の側から見た表現ですので、兵器の犠牲となる人のことを考えると、正確には単に「ウラン弾」と表記するべき。「ビデオニュース丸激第159回 2004年4月9日小泉政権の人質事件への対応は正しいのか ゲスト:藤田祐幸氏 (慶応大学助教授)」 参照 http://www.videonews.com/marugeki/marugekirecent5.html