反性教育の動向(4):報道2001:「つくる会」八木秀次氏が立ち往生(2)

性教育の動向(1):青少年保護に禁欲教育は逆効果
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050522
性教育の動向(2):自民党の反性教育ジェンダーフリーキャンペーン
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050523
性教育の動向(3):報道2001:「つくる会八木秀次氏が立ち往生(1)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050525

 
の続きです。
 
報道2001」では、性教育についても議論がありました。
川崎市の教育を考える会(仮)」という右傾化工作サイト(アンチジェンフリ厨)で番組の一部を文字起こしてくれていますので、ここでは省略します。
 

川崎市の教育を考える会(仮)
フジ報道2001性教育ジェンダーフリー大論争・2[承前]
http://plaza.rakuten.co.jp/mizuhonet/diary/200505010001/
フジ報道2001性教育ジェンダーフリー大論争・3[性教育編1]
http://plaza.rakuten.co.jp/mizuhonet/diary/200505010002/
フジ報道2001性教育ジェンダーフリー大論争・4[性教育編2]
http://plaza.rakuten.co.jp/mizuhonet/diary/200505020000/
フジ報道2001性教育ジェンダーフリー大論争・5[性教育編3]
http://plaza.rakuten.co.jp/mizuhonet/diary/200505020001/
フジ報道2001性教育ジェンダーフリー大論争・6[性教育編4]
http://plaza.rakuten.co.jp/mizuhonet/diary/200505020002/
フジ報道2001性教育ジェンダーフリー大論争・7[性教育編5]
http://plaza.rakuten.co.jp/mizuhonet/diary/200505030000/

 
川崎市の教育を考える会(仮) 」はいわゆるその筋の活動家の巣窟のようで、対話不能。いろいろ議論されていますが、軽くスルーでも問題無いでしょう。
 
ちなみに、この「川崎市の教育を考える会(仮)」は、「有害」図書排斥運動にも加担している団体のようで、そのテの活動もしているようですが、情報源が「「有害」規制監視隊」に依存していたりします。*1規制状況に関する意見などがいろいろあるので、規制サイドの心理分析をするには便利なサイトですね。(ここは、笑うところね)
 
以下、「報道2001」を観た方の反応いろいろ。
 

報道2001性教育討論
http://blog.goo.ne.jp/hagukumukai7/e/00022c3a59d52afb1e63b729d93ee74e

私個人の感覚として人間が生きるうえでエロスは重要だと思うし、アブノーマルな行為も否定しない。
けれども、たとえば横浜市立今宿小学校のように女性上位、騎乗位の詳細な図解を教えたり、ラブ・アンド・ボディBOOKでピルを使うことを奨励してるととれるようなことを教えることは、かえって健康な性への関心を奪っているように感じる。

 
「女性上位、騎乗位の詳細な図解」などと書くとあたかも性技を教育しているかのような誤解を与えるので、性技を教育させているわけではないということは事実として書いておきます。
「セックス」「妊娠」がどんなものかを理解できなければ、セックスや妊娠の管理抑制もできません。人は死んでもリセットボタンで自動的に生き返るとか、子どもはどこかの工場で作られていると本気で誤解している子どももいる中で、生命とは何なのか、誕生とは何かを教えることは容易ではありません。大人は実際にセックスしてるのでわかりますが、子どもにはわからない。だから説明する。あたりまえのことをしているだけで、過激なことでもなんでもありません。
コンドームを配ると同性愛者になるといった「迷信」のように、知識を与えると不道徳になり姦淫に走るといった「迷信」で教育を左右することは、子どものためにはならないでしょう。
一般論ですが、性の知識があればあるほど、性についての判断や行動は慎重になります。
 

http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050522

 
それから、「ラブ・アンド・ボディBOOK」は私も見ましたが、「ピルを使うことを奨励してる」という点はミスリードで、ピルによる避妊という選択肢もあり、ピルの使用には医師の診断が必要といった知識を与える記述になっていることは、「ラブ・アンド・ボディBOOK」を確認すれば直ぐにわかることです。
ピルの使用の知識が無いがために子どもがピルの服用を誤ったり使うべき時に使えなかったら、傷つくのは子ども自身です。子どもが知るべきことを教えない方が、子どもの健康を奪います。
 

性教育ジェンダーフリー教育の是非など
http://d.hatena.ne.jp/urasimatarou/20050501

ウガンダや米国で純潔教育をしたら効果あり、というデータがある。米国でもブッシュ大統領が予算を付けて性体験が遅くてもかっこいい、という政策が推進された。それも効果が上がっている」と反対派が主張。一方賛成派の人は「米国の性感染症学会やWHOの発表では純潔教育しても効果はないし、かえって性病が広がる恐れがある」と反論。
どっちのデータが妥当なんだろう?
議論を聞いた結果、様々な機関の調査結果を引用し、「純潔教育に効果あり」のデータを出した団体が実は純潔教育推進機関だ、と話す賛成派の方が統計としても妥当のように感じられた。
ブッシュ大統領が予算倍増させた云々と、ブッシュ氏を印篭のように出す山谷氏。しかしブッシュ氏は熱心なキリスト教徒、つまり純潔は良い、禁欲は良い、と考える立場の人である。そこんところを忘れてはならない。

 
なるほど。そうですね。
ウガンダの禁欲プログラムですが、ウガンダキリスト教信仰者の割合が国民の約6割で、伝統宗教2割、イスラム教1割という人口構成です。*2日本とまったく違う前提のもとでの結論をそのまま信じて日本でも効果が上がると判断するのはいかがなものかとも思います。
 
教会活動として禁欲を推進したり個人的信仰で禁欲をするのは自由ですし、良いことですけれど、「教義」や「思想」を共有していない子どももいる公教育や社会福祉の場で、学校が禁欲を選択することは、多様な思想信条を前提とする民主主義社会では問題があるでしょうね。
教会のことは教会で。公共のことは公共で。公私の区別をしっかりつけなければなりません。禁欲させたいなら、そう思う親の子どもに対してだけ自己責任でやればよろしいでしょう。
 
合衆国では民主党共和党も、宗教勢力から強い政治圧力を受けていて、選挙の時には公約合戦になります。選挙で勝つために、宗教ロビーといわれる人たちが教義にもとづく政治課題を売りこみ、パソコンにフィルタリングソフトを入れろだとか禁欲教育をやれといった公約をとりつけるわけです。
たとえば、全米家族教会(AFA)は、キリスト教系圧力団体ですが、禁欲プログラムの推進も要請項目になっています。このサイトは読んでるとウンザリさせられます。(特に反ポルノとか)
 

■AFA (American Family Association)
http://www.afa.net/

 
禁欲教育についてはたとえばこんなニュースがあります。
 

AMA's Critical Stance on Abstinence-Only Education Challenged
By Mary Rettig and Jody Brown December 13, 2004
http://headlines.agapepress.org/archive/12/afa/132004g.asp

 
関連ログ
 

性教育の動向(5):ここまでするのか「過激な性教育ジェンダーフリー教育に関する実態調査」
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050527

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