受刑者の人権状況

 
ところで、映画「グリーンマイル」ですけど、あーんな血色のいい死刑囚は、日本にはいないですよね。
刑務所では食事は厳しく管理され、制限されています。
北海道を除き、刑務所には刑務官がいる場所以外の場所には暖房施設が無く、雪が降っていても我慢しなければなりません。衰弱して病気になりやすい環境です。
受刑者が病気の発作でもがき苦しんでいても、医者を呼ばず放置するなんて日本の刑務所ではあたりまえ。「受刑者なんだから苦しむのがあたりまえだろ」という人権感覚の刑務官がどんどん出世してゆきます。
食事は制限され、寒くても我慢を強いられ、医療を受けられず、薬ももらえず、放置され、苦しみもがき、耐えきれずに自殺してしまったという凄惨な事件も、日本の刑務所で発生したこともありました。
みなさんはそういう事件が刑務所で日常的に発生し、刑務所における自殺率が異常なまでに高いという事実をご存知でしょうか。
 

NPO法人 監獄人権センター
http://www.jca.apc.org/cpr/
日本政府、受刑者の人権状況報告書を提出
http://www.jca.apc.org/cpr/nl16/nagai.html

衣食住の生活環境についても、なんの問題もないかのような簡略な報告になっている。しかし、私たちが最近聞いた話だけでも、「寝具がほとんど取り替えられることがなく不快だった」という出獄者がいたし、「カロリー制限のためとはいうけれど食事の量が減っておなかがすいてたまらない」という未決の人からの声もある。「炊場の出身者数人が、キャベツの芯や白菜の芯、魚の骨までカロリー計算に含まれていると言っていました」という情報もあるのだ。
保健衛生・医療の問題については、まず、「詐病」が疑われるために、病状を伝えるのもままならない実態を抜きにしては語れないことだ。さらに外部の病院への移送を希望してもまず認められることはなく、歯科などで自費治療を行う場合も健康保険が使えないこと、医療刑務所のほうが環境・処遇とも劣悪な場合があることなど、問題は多い。
国連最低基準規則が「毎日少なくとも1時間」と求めている運動について明らかに違反する実態がありながら「入浴日以外には最大限の保障がされている」と言いつくろっている。
規律・秩序の項目では、身体検査(「多くの場合、下着を着けさせたまま視認する」と、裸体検診はしていないように書いてある。府中刑務所を出てきたばかりの人にたずねたら「もちろん全裸ですよ。どこのことを言ってるんでしょうかねえ」と不思議がっていた)と昼夜間独居拘禁(協調性のない受刑者が他の受刑者から危害を受けるのを防止するためなどと述べている)の2項目が記されているだけで、皮手錠まで使った懲罰の実態、軍隊式行進などに見られる過剰な規律の強制等は不問にされている。

カウンターレポート(国際人権(自由権)規約委員会第4回日本政府報告書審査に対するNGOレポート)
http://www.jca.apc.org/cpr/1999/counter.html

(3)冷暖房の欠如と防寒のため十分でない衣類・寝具
刑事施設の房に日本の最も北に位置している北海道の地域を除いて暖房設備が稼働していない。すでに高層建築となっている名古屋拘置所の場合、設備は整っていながら、何年も使用されていない。暖房設備のない、もしくは、あっても使われてない施設で冬季の寒さをしのげるだけの充分な衣類、寝具が貸与されていない。拘置所では湯たんぽや使い捨てカイロが使えるが有料である。多くの被拘禁者が寒さからの手足のあかぎれやしもやけ、神経痛等に悩まされている。とりわけ、暖かい地方から来た外国人被拘禁者の健康に対して、重大な障害をもたらしている。先に触れた法務総合研究所の「釈放前受刑者の意識調査」でも、「刑務所で生活して、つらい、苦しいと感じたこと」のうち10.2%が「寒さ暑さ」と答えている。暖房の欠如によって、身体に障害が生じているような実状は規約7条に違反する。
(4)不十分な医療
 適切な医療が提供されないため、健康を害したり、命を失うものまで報告されている。1996年7月25日に島根県浜田拘置支所の保護房において受刑者が熱射病のために死亡した。ひどい暑さの中で、密室の保護房に拘禁されていたためと考えられている。 診断を希望してもまず詐病が疑われるために病状が進行してからの対応になることが多い。法務総合研究所の「釈放前受刑者の意識調査」でも、「刑務所で生活して、つらい、苦しいと感じたこと」の中でも「投薬してもらえない」という回答が5.5%出ている。旭川刑務所のある出所者は93年2月ころ、刑務所内で結核性のせきついカリエスにかかり、腰や胸の痛みを訴えたが、刑務作業をさぼるための詐病だとして黙殺された結果、93年8月には、意識障害に陥り、後遺症が残り、常に介護が必要な状態になっている。

■日本弁護士連合会
刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案
2005-05-18
会長声明(「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律」成立にあたって)
http://www.nichibenren.or.jp/jp/katsudo/sytyou/kaityou/00/2005_07.html

本日,明治41年(1908年)制定の監獄法が約100年ぶりに改正され,「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律」が成立した。
当連合会は,創立以来,監獄法の改正と代用監獄の廃止を訴え続けてきたが,今ようやくにして,監獄から名称を変更した刑事施設と受刑者の処遇が改革されることになった。切り離された未決拘禁者等の処遇と代用監獄問題に関する立法については,これから当連合会と法務省警察庁三者により,協議されることになる。
成立した今回の法律は,受刑者の人間性を尊重し,その改善更生及び円滑な社会復帰を促すことを求めた行刑改革会議の提言を生かし,当連合会が抜本的修正を求めた旧刑事施設法案を改めたものである。具体的には,受刑者に対する矯正処遇として,作業のほか,改善指導及び教科指導を明確に位置づけ,規律を緩和するとともに外部交通を拡大し,刑事施設視察委員会を創設するなど画期的内容を含んでいる。当連合会は,今後も,この法律の施行のための政省令等の制定等の具体化に向けてさらなる努力を続け,法改正後の運用状況にも十分注視していく所存である。
ただ,今回の改正にあたっては,作業賞与金の賃金化や医療の厚生労働省への移管などの抜本的改革はもとより,1日1時間の運動や単独室原則の法定化,不服審査のための独立機関の法制化などが見送られ,抽象的な権利制限条項や期間制限のない隔離収容と保護室収容の存在,非人間的内容の懲罰の存続,弁護士との外部交通の不徹底など,当連合会が改善を求めた諸点が残された。しかし,国会の修正により5年以内の見直し条項が盛り込まれたので,その機会にこれらの諸点の実現を目ざしていきたい。
当連合会は,引き続き未決拘禁者等の処遇の改善と代用監獄の廃止に向けて取り組んでいくものである。

 
関連ログ。
 

刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案衆議院成立
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050513

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