岡田史子さんのこと

 
少女漫画を描いた漫画家はたくさんいますが、三人だけ推薦するとしたら次の三氏を挙げます。
 

手塚治虫
竹宮恵子(竹宮惠子)
岡田史子

 
手塚さんは創造者として、竹宮さんは完成者として、岡田さんは超越者として。
もちろん他にも推挙すべき漫画家たくさんいますが、三人だけとなるとこの方たちかと。
このうち、漫画家としてひとりだけあげるとすると、岡田史子さんでしょうか。
 

ODESSEY1966〜2003 岡田史子作品集〈episode1〉
オデッセイ1966~2003―岡田史子作品集 (Episode1)
http://d.hatena.ne.jp/asin/4870315602
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ODESSEY1966〜2003 岡田史子作品集〈episode2〉ピグマリオン
ピグマリオン岡田史子作品集
http://d.hatena.ne.jp/asin/4870315610
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岡田史子作品集 (1)
ISBN:4871881938
http://d.hatena.ne.jp/asin/4871881938
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岡田史子作品集 (2)
ISBN:4871881946
http://d.hatena.ne.jp/asin/4871881946

岡田史子作品年表
http://www.momiji.sakura.ne.jp/~werdna/okada/list.htm

 
問いに対する答えが漫画である必要は無い、問いそのものが漫画となり得る。そう考えたきっかけは、岡田史子さんの漫画がきっかけだったと思います。
人はなぜ生きるのか。善とは何か。愛とは何か。美とは何か。
人はなぜ問い続けるのか。
様式や文体を創造したり完成することよりも、表現それ自体の自由さの中で生きることを問い続けた漫画家という印象が、岡田史子さんにはありました。
 
岡田さんが筆を折ってしまったとの報を知ったとき、漫画に問いは描けるが答えは描けないかもしれないと思ったものですが、その後、岡田さんがキリスト者の道を歩んでいるとの報を聞いて、答えを知ることができると思うこと自体が傲慢ではないかと思ったものです。
答えを知ることができると思うことは傲慢ですが、知りたいという欲望を捨てられないのも人間という存在。知りたいという欲望を捨てられないという原罪を自覚し、赦しを求めた時、人は神に祈るのでしょう。岡田さんの断筆はそのようなものだったのかもしれません。
 
2005年4月3日岡田史子さん(本名・高田富美子さん)召天。享年55歳。
 

http://book.asahi.com/news/TKY200504080334.html

岡田史子インタビュー
http://media.excite.co.jp/book/special/okada/
http://media.excite.co.jp/book/special/okada/p01.html

その頃、嬉しいとか楽しいとか、そういう気持ちはありましたけど、完全に心が満たされるということはなかったですね、漫画を描いていても。私は喪失感というか、ずっと持っていた疑問みたいなもの、それを埋めてくれる人を探し求めて、漫画を発表していたんです。だけども、誰もいなかった。私がそういう人を求めているということに気づいた人さえいなかったから。

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