東京都17年度予算案:不健全図書指定等関連予算に1.15億円

 
現在、東京都議会で平成17年度予算案を審議中ですが、青少年健全育成関連事業の平成17年度予算は大幅な規模拡大となる見込みです。
 

■東京都議会
http://www.gikai.metro.tokyo.jp/index.htm
予算特別委員会の記録
http://www.gikai.metro.tokyo.jp/gijiroku/yotoku/yotoku.htm
平成17年予算特別委員会
http://www.gikai.metro.tokyo.jp/gijiroku/yotoku/2005/d6115001.htm

■東京都
平成17年度主要事業
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KEIKAKU/2005/02/70f2g113.htm
東京都知事本局の平成17年度予算案
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KEIKAKU/2005/02/DATA/70f2g113_01.pdf

1 治安回復に向けた総合的取組 17年度10,889百万円 16年度8,737百万円 2,152百万円
(2) 子どもを犯罪に巻き込まない取組 17年度743百万円 16年度875百万円 △ 132
(3) 外国人組織犯罪を抑止する取組など 17年度7,582 16年度6,741百万円 841百万円
(新)(重)
 落書き防止対策
  キャンペーンの実施
  落書き消去マニュアルの作成 等
2 青少年育成総合対策 17年度1,146百万円 16年度958百万円 188百万円
(1) 子どもの自立を支援する取組 17年度318百万円 16年度119百万円 199百万円
(2) 学校や家庭などをサポートする取組 17年度713百万円 16年度761百万円 △ 48百万円
(新)(重)
 インターネット利用環境の整備
  セーフティガイドブックの作成
  インターネットセミナーの開催 等
(新)(重)
 学校における情報モラルの育成
  情報モラル教育実践モデル校の設置
  情報モラル研修の実施 等
(3) 大人社会のあり方を変える取組 17年度115百万円 16年度78百万円 37百万円
(新)(重)
 青少年をめぐる環境の総合的な調査分析
  青少年に関する諸問題について、さまざ
  まな角度から調査分析を行う。
   青少年の規範意識の研究
   青少年に関する社会学的な研究 等
 青少年健全育成の推進に係る条例の運用
  不健全図書調査
  深夜立入制限施設への調査 等
 心の東京塾 等

東京都生活文化局の平成17年度予算案
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KEIKAKU/2005/02/DATA/70f2g113_04.pdf

7 心の東京革命の推進 17年度2,114百万円 16年度1,607百万円 507百万円
心の東京革命アドバイザー
 心の東京塾
 ものづくり教育支援プログラム
 青少年社会教育施設東京スポーツ文化館・高
 尾の森わくわくビレッジ)
 親子ふれあい教室 等

 
知事部局や生活文化局の青少年関連予算は予算を増やしています。
たとえば、「不健全図書調査」の項目は、知事部局の「青少年育成総合対策」の「(3) 大人社会のあり方を変える取組」の項目の中で予算計上されていますが、青少年育成総合対策経費は1.88億円の予算増、「(3) 大人社会のあり方を変える取組」は3,700万円の予算増となっています。
予算増分のすべてが不健全図書調査に使われるわけではないので、行政当局の裁量判断に依存するところが多いですが、行政当局が不健全図書調査に予算執行の比重を重く判断する場合、不健全図書類の指定件数は増える可能性があります。
これはどこの県でもそうですが、不健全図書類(有害図書類)の指定件数は、予算の増加に比例して増える傾向にあります。なぜなら、調査対象のサンプルが多ければ多いほど、あるいは個別指定のために審査の会議数を増やせば増やすほど、指定件数もそれに比例して増えるからです。
逆に、予算が減った県では指定件数も減ります。東京都以外の自治体で包括指定制度が強化されている背景には、調査や審査の予算が減って指定件数が落ちることに歯止めをかける狙いがあります。
個別指定の調査の予算を強化するということは、包括指定に依存せずに(書店業界に有害性の判断を依存せずに)東京都自身できっちり調査をしようという態度の表れですので、包括指定制度の導入が遠のいたという意味では条例の恣意的運用危険は遠ざかりますが、個別指定件数が増えるという意味では実効性ある規制が強化されるということになり、自由な情報流通が後退する可能性は高まると思われます。
 
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