特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案

 

衆議院
特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案
衆議院で審議中 経過
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1D9ADDA.htm

総務省
第162回国会(常会)提出法案
http://www.soumu.go.jp/kyoutsuu/syokan/t_an.html
特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案
http://www.soumu.go.jp/kyoutsuu/syokan/t_an.html
新旧対照条文(PDF)
http://www.soumu.go.jp/kyoutsuu/syokan/pdf/050311_1_d.pdf

 
改正案の簡単な解説。
 

1 特定電子メールの定義については、現行法では「事業のために電子メールの受信をする場合における個人」を受信者とする場合を除外していましたが、この例外は改正案では削除され、適用範囲が拡大します。
2 「架空電子メールアドレス」の定義が新設され、「架空電子メールアドレス」による送信が禁止されます。
「架空電子メールアドレス」の定義は、現存しないアドレス、現存していても送信者の自動生成によって作られたアドレスは「架空電子メールアドレス」になります。
3 「送信者情報」という概念が新設され、「送信者情報」の詐称を伴う電子メールの送信が禁止されます。違反者は懲役一年または100万円以下の罰金。
「送信者情報」とは、送信に用いたメールアドレスと送信のために用いられた文字、記号、符号を指します。一般的にはReceived、Date、Fromの詐称が禁じられると考えられます。
4 「架空電子メールアドレス」を用いたメールや「送信者情報」の詐称を伴うメールの送信の送信者に対して、総務大臣は必要な「措置命令」を発する権限が与えられます。措置命令違反者は懲役一年または100万円以下の罰金。
5 「送信者情報」の詐称メールを受信した受信者に、総務大臣に適当な措置をとるよう申し出る権限が与えられます。申し出があった場合、総務大臣には調査義務が発生し、法律上問題がある場合は措置命令を発する義務が発生します。
6 「登録送信適正化機関」が新たに設置され、総務大臣への申し出者への指導・助言、申し出に関する調査、情報収集と情報提供が行われます。「登録送信適正化機関」の活動の情報公開・透明性は高度に確保されます。
7 プロバイダーに、「架空電子メールアドレス」への送信がサービス提供に支障がある場合にサービスの提供を中止する権限が与えられ、特定電子メールや「送信者情報」の詐称メールを防止するための情報提供を行う努力義務が課されます。

 
まあ海外からのメールには実効性は無い制度ですよね。
from詐称に罰則が課されるといっても、特定電子メール適正化法が存在しない国のプロバイダーでアドレスを用意してプロバイダーの利用登録を詐称するという方法の詐称は発生し得ますし。
「登録送信適正化機関」(例によって天下り先を増やして業界をコントロールしたいんですか?)が実質的に調査するなら、総務大臣なんかにやらせずに、市町村長の所管で十分だと思うのは私だけでしょうか。
たとえば発信者が北海道で沖縄県民に詐称メールが届くようなこともあるので、行政効率では国がやるべきだという判断もあるのでしょうが、自治体の電子化が促進されて電子申請ができるなら地方公共団体が所管しても問題ないと思うんですけどね。近い将来、所管を自治体に移すべきでしょう。

───────────