新聞社の広告詐欺:新聞発行部数は実際には37%少ない
My News Japanのスクープです。素晴らしい。
これは広告主と消費者に大損害を与えた新聞社の巨額詐欺事件です。
なぜこんな大ニュースをどこの新聞社もとりあげないのか。それはどこの新聞社でも長年続けてきた詐欺システムだからでしょう。批判は自分への批判となり損害を受ける。だから書けない。
■My News Japan
毎日新聞140万部“水増し詐欺”の決定的資料
http://mynewsjapan.com/kobetsu.jsp?sn=234&e=2
http://mynewsjapan.com/displayimage.jsp?picname=ReportsIMG_I1108571179308.jpg私がこのほど東京本社幹部から入手した「参考 朝刊 発証数の推移」と題された資料によれば、2002年10月時点の発証数(=読者から領収証を貰えている数)は250万9,139で、店扱い部数(=新聞社が販売店に売った分)の395万3,644と比べ、37%も少ないことが分かった。これは、行政を含む広告スポンサーに対する水増し詐欺の決定的証拠となるものだ。
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私はかつて毎日新聞販売店の店主を経験し、現在は全国新聞販売労組の顧問をしているが、この問題に取り組んで45年になるので情報が集まる立場にある。この資料は、別の幹部から入手した同社の「新中期経営計画」(全26頁)の内容とも合致しており、経営会議での参考資料として作成されたものと考えられる。
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◇新聞社は“広告詐欺”
新聞社が強引に公称部数を増やしたがるのは広告料金を高くしたいからだ。実際、表にもあるように、97年からの5年間で公称部数は増えたが、実売数は減っている。「毎日は広告効果がない」とよくいわれるが、当然だ。4割は読者に届かないのだから。
政府や政党の広報広告も定価で支払われているため、全国規模で税金がドブに捨てられている。彼らはコスト意識がないから値引き交渉も一切なし。これは納税者に対する詐欺だ。
◇明治時代から続く不平等な契約形態
販売店は、契約上、売れもしない新聞を押し付けられても、本や雑誌、およびコンビニ扱いの新聞のように返品がきかない。仕方がないので販売店のほうも折込詐欺でスポンサーを騙し、やりくりしているのだ。このような不平等な契約になっているのは新聞販売店だけで、こうした前近代的な構造は、明治時代から変わっていない。
「参考 朝刊 発証数の推移」なる資料を抜き出すとこうなります。
97/10月 | 02/10月 | |||||
総店数 | 店扱い部数 | 発証 | 総店数 | 店扱い部数 | 発証 | |
東京 | 2253 | 1587290 | 1137371 | 2262 | 1606840 | 1054392 |
大阪 | 1844 | 1425876 | 969410 | 1822 | 1436634 | 864356 |
西部 | 1303 | 673490 | 481925 | 1280 | 663826 | 429715 |
中部 | 659 | 184177 | 123969 | 669 | 173272 | 105186 |
北海道 | 471 | 68972 | 59827 | 424 | 73072 | 55490 |
全社 | 6530 | 3939805 | 2772502 | 6457 | 3953644 | 2509139 |
これをさらにグラフ処理。
ご覧の通り、公表部数は横ばいですが、契約部数は減少しています。
広告主の人へのアドバイスですが、記事にもある通り「部数詐称分の広告費を返せ!」と裁判を起こすのが良いと思いますが、当面の対策として、広告代理店に新聞に折り込みチラシを入れる場合、定数に全部配分せず、三割差し引いた部数で指定するのが良いと思います。
例えば東京のA販売店にチラシを入れる場合、部数の定数が4000部だとすると、そこから1200部を差し引いた2800部だけチラシを入れるという具合です。
144万部の押し紙ということは、販売店のチラシ広告売上が1枚平均で6円で一部あたり月200枚のチラシが入ると仮定すると、6*200*144万ですから、毎日系販売店は17億円の広告費を余分に受けとって利益を得ている計算になります。
チラシは印刷・広告などで1枚当り20円以上の経費がかかっていますから、チラシを作っているスーパーなどの広告主は月57億円程度損をしていることになります。(数字は少なめに見積もっているのでたぶんもっと多い)
ということは年間で600億円という巨額な広告費用がドブに捨てられている計算ですが、読売、産経、日経、朝日など他の新聞だって同様な発行部数詐欺は多かれ少なかれ存在するのではないしょうか。
膨大な広告費の損失負担は、結局、価格などに転嫁されて消費者にまわってきます。とんでないことです。
解決方法は、相手がマスメディアなのでとても難しいですね。マスメディアの悪はマスメディア自身が報じないですから。
どこかの新聞社が押し紙を廃止して、押し紙廃止キャンペーンを張れば、そこから突破口が開けるかもしれませんが、ほぼすべての新聞社が押し紙をやっていますからね。
切り札として公正取引委員会が決断して、新聞社の販売活動を管理統制していくという方法論も考えられますが、それで押し紙の解決はある程度可能とは思いますが、今度は公正取引委員会という権力の暴走を誰がどう止めるかという新たな問題が出てきて悩ましいところです。いまの時点では公正取引委員会もっとガンバレと私は言いたいのですけども。
独立した市民メディアを育てたりして、マスメディアの影響力を相対的に小さくしてゆく以外に効果的な方法が無いというあたりが、この問題の深刻なところです。
まず、新聞販売店との月極契約を解除しましょう。そして、ひとりひとりが新聞やテレビに依存せず、必要な一次情報を得る新しいメディアを使ったり育てる努力をしたいものです。
関連リンク。
■My News Japan
http://mynewsjapan.com/index.jsp
マスコミカテゴリー
http://mynewsjapan.com/index.jsp?cid=2
えっ?まだ新聞、定価で読んでるんですか!?
http://mynewsjapan.com/kikaku.jsp?sn=16
新聞社の欺瞞商法―「押し紙」「折込広告」の実態を追う
作者:サワダオサム
作者:黒藪哲哉
http://d.hatena.ne.jp/asin/4898001599
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4898001599/
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新聞ジャーナリズムの「正義」を問う―販売現場からの告発
作者:黒藪哲哉
http://d.hatena.ne.jp/asin/4898001173
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4898001173/
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経営の暴走―合理化と首切りに異議あり!
作者:黒藪哲哉
http://d.hatena.ne.jp/asin/4898001289
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4898001289/
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■リム出版新社
http://www.bekkoame.ne.jp/~rim/
サワダオサム個人誌『壁』 2003年10月31日
書評「新聞社の欺瞞商法」を読んで
http://www.bekkoame.ne.jp/~rim/sho73-1.html
http://www.bekkoame.ne.jp/~rim/sho73-2.html
http://www.bekkoame.ne.jp/~rim/sho73-3.html
押し紙―新聞配達がつきとめた業界の闇
作者:森下琉
http://d.hatena.ne.jp/asin/4886835112
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4886835112/
黒藪さんの本で紹介されている国会会議録を抜粋転載。
質疑をしているのは吉井英勝衆議院議員*1、答弁者は山田昭雄公正取引委員会事務総局経済取引局長*2。
147 - 衆 - 商工委員会 - 12号 平成12年04月19日
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/147/0010/14704190010012c.html○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
新聞を含めて著作物の再販制度というのは、知る権利と、それから表現の自由を物質的に支えることによって民主主義社会の発展を進めるということと、もう一つ、文化政策的見地からこれがあるわけですが、これを維持していくことは非常に重要だと考えているわけです。これに逆らって、あるいはまた、真の消費者利益を裏切って行われているのが、悪質な拡張販売、拡販と言われている問題です。
そこで最初に、新聞の不当拡販の問題、そして、独禁法、不当景品類及び不当表示防止法にかかわる問題について質問したいと思います。
新聞社が販売店に押し紙を強制していたことで、公取が調査に入って、九八年二月十八日に独禁法第四十八条第一項による勧告と審決を出したということを伺っておりますが、まず、この事例の方から伺っておきたいと思います。
○山田政府参考人 御指摘の点は、平成十年の二月に勧告審決いたしました北国新聞に対する件でございます。
北国新聞は、イーグル作戦という増紙計画をつくりまして、そして、販売目標数を決めまして、販売店にそれに合うような注文部数を契約させ、そして、いわば押し紙を行ったということでございまして、当時の特殊指定「新聞業における特定の不公正な取引方法」の第二項に該当いたしまして、独占禁止法十九条で禁止している不公正な取引方法に当たるとしまして審決した事例がございます。
○吉井委員 新聞社の方が販売店に対して押し紙等を強制して、この結果として非常に経済的に困難に追い込まれていく。正常な形で新聞の読者を、販売店もあるいは新聞社そのものも、ふやしていくということで努力するのは当たり前だと思うのですが、ただ、経済的に非常に追い込まれていって、そして無理な拡販に追い込まれる、こういうことになったらやはり大問題だと思うのですね。
ですから私は、今おっしゃったように、新聞社の方が販売事業者に対して押し紙その他をやって、現に私この間も聞いてまいりましたけれども、一五%から三〇%ぐらい常時押し紙がかなり大きい全国紙などでもやられている地域がありまして、こういうことについては、やはり地方の新聞だけではなくて、こういうことによって販売店の方が圧迫されることのないように厳しく対応していくということをやっていってもらわなければならぬと思います。
次に、新聞拡販のために、電子レンジやビデオつきテレビを長期契約者に贈ることをしていた者に対して、不当景品類及び不当表示防止法第三条に基づく公取告示違反で、排除命令を出したものがあるのではありませんか。詳しく聞いておきたいと思います。
○山田政府参考人 最初に、新聞販売発行本社が販売店に対して押し紙をしている点につきまして、ちょっとお答えさせていただきたいと思いますが、販売店の注文部数を超えて発行本社が押しつけてくるということにつきまして、注文契約書ということをつくりますものですから、発行本社の方であらかじめ決めた目標に合った販売数量を注文書に記載させるというような例もございまして、平成十二年、昨年の七月に特殊指定を改正しております。(吉井委員「それはまた後でやります」と呼ぶ)
それで、御質問のもう一つの、過大な景品つき販売ということでございますが、これにつきましては、事例でございますが、ことしの三月に和歌山県の新聞販売店四社が非常に多額な、二千五百円から一万二千円くらい、四社でございます、いろいろ例がございますが、景品制限告示を大幅に超えるような多額の商品券であるとかビール券を提供いたしまして、これにつきまして排除命令を行っております。
最近の公正取引委員会の新聞業界関係に関する主な公表情報へのリンク。肝心なデータソースとかは情報公開請求しないと入手できません。
■公正取引委員会
http://www.jftc.go.jp/
2004年7月9日 第4回著作物再販協議会について
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/04.july/040709.pdf
2002年11月29日 新聞業における景品類の提供の申出等の実態について
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/02.november/02112903.pdf
2001年5月24日 消費者モニターアンケート調査結果に基づく新聞の購読者に対する景品類の提供の申出等の実態について
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/01.may/01052402.pdf
事務総長会見記録 平成16年7月14日
著作物再販協議会
http://www.jftc.go.jp/teirei/0407.pdf
(株)北海道新聞社に対する件 平成10年(判)第2号
函館新聞社参入妨害事件
http://snk.jftc.go.jp/pdfdocs/H120228H10J01000002_.pdf
(株)北國新聞社に対する件 平成9年(勧)第26号
北國新聞押し紙事件
http://snk.jftc.go.jp/pdfdocs/H100218H09J02000026_.pdf
多摩新聞販売同業組合に対する件 平成4年(勧)第5号
新聞折り込み手数料強要事件
http://snk.jftc.go.jp/pdfdocs/H040318H04J02000005_.pdf
新聞販売について独占禁止法違反や景品表示法違反の被疑事実を持っている方は、インターネット上から電子窓口を通じて通報*3することができます。
公正取引委員会電子窓口
http://www.jftc.go.jp/mail.htm
公正取引委員会の電子通報フォーム画面(見本)
http://blogs.yahoo.co.jp/kitano_b/archive/2005/02/22
■まだ旧体制下の新聞社と月極契約している人たちへ
http://www5a.biglobe.ne.jp/~NKSUCKS/
新聞業界
http://www5a.biglobe.ne.jp/~NKSUCKS/SITEMAP.html
My News Japanの代表やってる渡邉さんの本も面白いです。圧力がかかってこの本が書店の陳列棚から撤去されているという噂もあったりしますが、どうなんでしょうね。たしかに大手書店で見たことは無いですね。最低評価の会社は読んでからのお楽しみ。
これが本当のマスコミだ―社員が教える企業ミシュラン
作者:渡邉正裕
http://d.hatena.ne.jp/asin/4809404250
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4809404250/
メディアの構造問題についての論考。
■参加型システム研究所
http://www.systemken.org/index.html
定例研究会
http://www.systemken.org/geturei.html
第32回定例研究会 メディアの構造問題と市民メディアの可能性
神保哲生 ビデオジャーナリスト
http://www.systemken.org/geturei/32.html
関係団体など。
社団法人ABC協会(新聞雑誌部数公査機構)
http://www.jabc.or.jp/
財団法人日本新聞協会
http://www.pressnet.or.jp/
新聞広告データ
http://www.pressnet.or.jp/adarc/data/index.html
日刊紙の都道府県別発行部数と普及率
http://www.pressnet.or.jp/adarc/data/1br/01.html
新聞の媒体力を示す部数
※疑わしい公表部数
http://www.pressnet.or.jp/adarc/data/3link/01.html毎日新聞 http://macs.mainichi.co.jp/archives/index7.html
読売新聞 http://adv.yomiuri.co.jp/m-data/index.html
朝日新聞 http://adv.asahi.com/2004/circulation/index.html
日本経済新聞 http://www.nikkei.co.jp/ad/mediadata/mo/
東京新聞 http://www.tokyo-np.co.jp/approach/
中日新聞 http://www.chunichi.co.jp/approach/
産経新聞 http://www.sankei-ad-info.com/chara/chara_cont.php?t-busuu_1.html
北海道新聞 http://www.aurora-net.or.jp/doshin/ad/hanbai.html
デーリー東北 http://www.daily-tohoku.co.jp/k_kokoku/k_kokoku.htm
河北新報 http://www.kahoku.co.jp/pub/media/hakkou/index.html
山形新聞 http://www.yamagata-np.jp/yamashin/ad/yamashin/yamashin.html
下野新聞 http://www.shimotsuke.co.jp/koukoku/koukoku-kyoku/media/media.html
静岡新聞 http://www.edi-s.co.jp/busuu.html
信濃毎日新聞 http://www.shinmai.co.jp/koukoku/data/mediadata.htm
北日本新聞 http://www.kitanippon.co.jp/kns/company/network.html
神戸新聞 http://www.kobe-np.co.jp/ad-data/media_index.html
中国新聞 http://www.chugoku-np.co.jp/Ad/inet_ad/info/index2.html
徳島新聞 http://www.topics.or.jp/Annai/hanbai/
西日本新聞 http://www.nishinippon.co.jp/koukoku/data/media_data2003.pdf
熊本日日新聞 http://lets.kumanichi.com/mediadata2004/pdf_data/15.pdf
琉球新報 http://www.ryukyushimpo.co.jp/hanbai/
関連ログ。
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