フジTV「ワッツ!?ニッポン」:「性犯罪者再犯率は七割が常識」諸澤発言

前記メーガン法の記事で、フジテレビのワイドショーについて少し触れたところ<
いくつかトラックバックをいただき反響が大きいようですので、番組内容の一部を抜粋して引用し、日本におけるメーガン法の検討の資料として供したいと思います。
フジテレビの番組についてなにか情報をお持ちの方はトラックバック等でご連絡頂ければ幸いです。
 

■フジテレビ
http://www.fujitv.co.jp/
「土曜LIVE ワッツ!?ニッポン」(毎週土曜10:00〜11:45放送)
http://www.fujitv.co.jp/b_hp/satlive1/
2005年1月8日オンエアの音声の一部(784kb / 6m41s / mpeg3)
http://members.at.infoseek.co.jp/kitanok/0108fuji.wav

2005年1月8日オンエア

大塚範一編集長:小林容疑者の逮捕にともないまして、周辺の親御さんあるいはお子さんはホッと一安心なんですが、こういった容疑者がたぶん日本にもたっくさんいるだろうというところで、子を持つ母親父親ほんっとうに怖い想いをしているでしょうね、いま。
政井マヤ副編集長:はい。スタジオには常磐大学理事長の諸澤英道教授にお越し頂いております。

諸澤英道常盤学園理事長:どうぞよろしくお願いします。
大塚:まず小林容疑者の生い立ち、それから犯行歴をもういちど見てみましょうか。
政井:1968年に大阪で長男として生まれております。10歳の時に母親が死亡してその後から様子が変ったと近所の人は言っていました。そして10代半ばで女の子へのわいせつ事件をおこして補導されています。さらに20歳でも8人の女の子に対する強制わいせつ容疑で逮捕。その執行猶予中に女の子の首を締める殺人未遂容疑で3年の懲役を受けています。そして36歳になった去年、奈良の女の子に対する誘拐殺害を起こしました。
大塚:犯行をくり返しエスカレートしている様子がこれでよくわかりますけれども、性犯罪の再犯率と言うのはどれくらいになりますか?

政井警察庁の調べでは、平成15年度のわいせつ罪の検挙者数は3,769人、そのうちおよそ三割が再犯というのですが、これ、諸澤先生、三割に留まらないということなんですよね?
諸澤:ええ。これは日本の統計の取り方と申しますか、そもそも犯罪者登録ができておりませんので、ということは犯罪者ひとりひとりに番号がついておりませんので、バラバラにデータが存在しています。それで国際的な常識で言えば、性犯罪者の再犯率というのは七割八割と言われておりまして…

政井:七割ぃ!(大げさに驚く)
大塚:七割八割っ!(大げさに驚く)
諸澤これは日本の現状もたぶんそうだろうと思われます。
大塚:うーん。
諸澤:もちろんこれは強姦やったひとはまた強姦というわけではなくて、性犯罪という少し大きなくくりですから、強姦強制わいせつその他性的な犯罪を全体としてみると、それぐらいのくり返しがあります。
大塚:その中で先ほど小林容疑者でみたようにだんだん犯罪がエスカレートしてくるということも言えますね。
諸澤:ええもちろんです。特にまだ思春期のうちになにか対策をとらないとですね、20代30代になってもうどうしようもない状態になっていく。で、我が国ではそこの政策というか対策がほとんどといって良いほどなされていない、ということが言えるような気がします。
大塚:その有効な手だてがなされていないこの性犯罪の再犯に対して、海外ではどういう対応をしているんでしょうか。

政井:ええとですね。アメリカでは94年にメーガンちゃんという女の子が殺害された事件を受けてメーガン法が成立し、出所者の名前と居住地と写真をインターネット等で公開しています。またイギリスではこちらまだ実験段階なんですが、GPSの監視システムを腕輪のような形でそういう前歴のある者につけて監視をする。韓国でもアメリカと同じような個人情報の公開、そのほかの国ではDNAをデータベース化して再犯があった時にすぐ犯人に辿りつけるような体制がとられています。
大塚警察庁の閏間長官の発言もございまして、このメーガン法に似た個人情報の公開、日本でも必要ではないかと言う議論が急に高まってきたわけですけれども、どうでしょう、日本のこの土壌にすぐに受け入れられるものなんでしょうか?
諸澤:犯罪者登録からすぐにメーガン法というところに飛ぶところが若干飛躍があるのですけれども、警察庁長官の話、私たちはああいう問題があるということを認識しておりますけれども、一般の人にとってですね、おそらく驚かれた方が多いんじゃないか、つまり出所情報が警察に届いていないと、日本はまだこの程度なんだということですね。
政井:引っ越してしまうともうデータがなくなってしまうんですね。

諸澤:しかも警察の中でも所轄が違う、県が違うとそれがつなかってこないという決定的な問題があるわけです。本来であれば犯罪者情報と言うのは全部一括して国が管轄していなければならないし、それが犯罪者の処遇と社会復帰に有効に使われなければいけない。そこをしっかりやることが大事。その次に、その情報を地域や社会にどう出すかというようなところでメーガン法のような話があるわけですよね。
【中略】
大塚:これをすぐにあてはめたとしても、例えばイギリスの例などを見ますと、性犯罪者がそこにいるということがわかったら、そこに抗議に行ったりあるいは暴行に行ったりすると、そういう例もあるのでそう簡単ではないですよね。

諸澤:ええもちろんです。ひとつ、やはりイギリス人の国民性というのがあります。非常に応報的というか加罰的といいますか、犯罪者を憎む、あるいは悪いと思う国民感情は強いと思うんです。アメリカはまだそれほどでもありませんし、またアメリカのメーガン法も大きく分けて三つぐらいのやりかたがあります。いろんややり方があって、特に極端なやり方、社会に広く公表してしまう、関係者だけではなくて、そういうやりかたをとっているメーガン法についてはもちろんそのまま日本には受けいれられないという批判は多いと思いますけれども、また他方で有効に使っている州もたくさんあるわけですから、諸外国の例からわたしたちが学ぶと言う時にですね、極端な悪い例だけを紹介して「だからやめましょう」というのはあまりにも知恵がないなあと思います。
大塚:有効な使い方とは、どういうふうな感じですか?

諸澤:まず犯罪者に関る専門職の人たちが共通して有効に使うという事は是非すぐにでも日本はやるべきだと思います。それからもう一つは刑務所の中でどれだけ処遇ができているかということに非常に大きな問題があります。VTRの中でも奇しくも指摘しておりましたけれども、特に性犯罪者に対して刑務所の中で、ペナルティという言葉を使っておりましたけれども、罰を与えるような形での教育はほとんど改善が不可能なんですね。たとえば去精をしてしまうとか薬によって性ホルモンを押えちゃうとかということをやればひとつの方法ですけれども、日本の社会でそれをいれようということはなかなか難しい。そうではなくてもっと民主的に人道的に加害者のことを考えながらやろうと言う時に、やはり情報を必要なところに出さざるを得ない。その時の出し方で弊害が起らないようにするということだろうと思うんです。

 
諸澤英道教授(常磐大学理事長)に関する情報。
 

諸澤英道常盤学園理事長(刑法学・刑事訴訟法学・少年法・犯罪学・刑事政策学)
http://www.tokiwa.ac.jp/~jinji/grad/gn_11.html
全国犯罪被害者の会顧問
(全国犯罪被害者の会ではミーガン法の制定を求める動きは皆無なので、全国犯罪被害者の会諸澤英道教授の立場は必ずしも一致しないものと思われます。)
http://www.navs.jp/introduction/introduction.html
JT逆恨み殺人のコメント
http://www013.upp.so-net.ne.jp/n-d005g/mirror/mochidatakashi.htm
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20041014k0000m040058000c.html

一方、被害女性に持田被告の出所情報が伝えられず、警察は身辺警備を怠った。諸澤英道常磐大学理事長(被害者学)によると、欧米では▽出所情報の提供など被害者の知る権利▽国家が被害者を守る義務−−を立法で確立している国が多い。しかし、日本は未整備のままだ。
諸澤理事長は「事件後に運用面で改善が図られたが、まだ『被害者への配慮』のレベル。
教訓を生かすためにも早急に法整備を行うべきだ」と指摘している。

諸澤英道著 「犯罪被害者」
http://d.hatena.ne.jp/asin/4784353364
男女共同参画局 女性に対する暴力に関する専門調査会委員(平成16年7月14日現在)
http://www.gender.go.jp/danjo-kaigi/boryoku/siryo/bo28-1.pdf
平成12年1月17日に犯罪被害者対策関係省庁連絡会議幹事会(第3回)でヒアリングに出席
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hanzaihigai/2000/0413hanzai.html

 
───────────
■2006年4月22日加筆
日本テレビが諸沢氏をメディアバッシングのコメンテーターとして出演させ、諸沢氏が「性犯罪者の所在地情報を公開する時期に来ている」といったことを主張していた模様。
 

日記みたいなモノ。
2006-04-22 またまた日テレ〜〜。
http://umetarou.sakura.ne.jp/diary/?date=20060422#p02


トラバ感謝。
───────────