「団体」とは誰か(その2):暴力団ではないが暴力団

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年五月十五日法律第七十七号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H03/H03HO077.html

第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
二  暴力団 その団体の構成員(その団体の構成団体の構成員を含む。)が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体をいう。
三  指定暴力団 次条の規定により指定された暴力団をいう。
(指定)
第三条  都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)は、暴力団が次の各号のいずれにも該当すると認めるときは、当該暴力団を、その暴力団員が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれが大きい暴力団として指定するものとする。
一  名目上の目的のいかんを問わず、当該暴力団暴力団員が当該暴力団の威力を利用して生計の維持、財産の形成又は事業の遂行のための資金を得ることができるようにするため、当該暴力団の威力をその暴力団員に利用させ、又は当該暴力団の威力をその暴力団員が利用することを容認することを実質上の目的とするものと認められること。
二  国家公安委員会規則で定めるところにより算定した当該暴力団幹部(主要な暴力団員として国家公安委員会規則で定める要件に該当する者をいう。)である暴力団員の人数のうちに占める犯罪経歴保有者(次のいずれかに該当する者をいう。以下この条において同じ。)の人数の比率又は当該暴力団の全暴力団員の人数のうちに占める犯罪経歴保有者の人数の比率が、暴力団以外の集団一般におけるその集団の人数のうちに占める犯罪経歴保有者の人数の比率を超えることが確実であるものとして政令で定める集団の人数の区分ごとに政令で定める比率(当該区分ごとに国民の中から任意に抽出したそれぞれの人数の集団において、その集団の人数のうちに占める犯罪経歴保有者の人数の比率が当該政令で定める比率以上となる確率が十万分の一以下となるものに限る。)を超えるものであること。
イ 暴力的不法行為等又は第七章(第四十八条を除く。以下この条及び第十二条の五第二項第一号において同じ。)に規定する罪に当たる違法な行為を行い禁錮以上の刑に処せられた者であって、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して十年を経過しないもの
ロ 暴力的不法行為等又は第七章に規定する罪に当たる違法な行為を行い罰金以下の刑に処せられた者であって、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しないもの
ハ 暴力的不法行為等又は第七章に規定する罪に当たる違法な行為を行い禁錮以上の刑の言渡し及びその刑の執行猶予の言渡しを受け、当該執行猶予の言渡しを取り消されることなく当該執行猶予の期間を経過した者であって、当該刑に係る裁判が確定した日から起算して十年を経過しないもの
ニ 暴力的不法行為等又は第七章に規定する罪に当たる違法な行為を行い罰金の刑の言渡し及びその刑の執行猶予の言渡しを受け、当該執行猶予の言渡しを取り消されることなく当該執行猶予の期間を経過した者であって、当該刑に係る裁判が確定した日から起算して五年を経過しないもの
ホ 暴力的不法行為等又は第七章に規定する罪に当たる違法な行為を行い禁錮以上の刑に係る有罪の言渡しを受け、当該言渡しに係る罪について恩赦法 (昭和二十二年法律第二十号)第二条 の大赦又は同法第四条 の特赦を受けた者であって、当該大赦又は特赦のあった日(当該日において当該言渡しに係る刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなっている場合にあっては、当該執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日)から起算して十年を経過しないもの
ヘ 暴力的不法行為等又は第七章に規定する罪に当たる違法な行為を行い罰金以下の刑に係る有罪の言渡しを受け、当該言渡しに係る罪について恩赦法第二条 の大赦又は同法第四条 の特赦を受けた者であって、当該大赦又は特赦のあった日(当該日において当該言渡しに係る刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなっている場合にあっては、当該執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日)から起算して五年を経過しないもの
三  当該暴力団を代表する者又はその運営を支配する地位にある者(次条、第九条、第十二条の二第一号、第十五条の二第一項及び第十五条の三において「代表者等」という。)の統制の下に階層的に構成されている団体であること。

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律施行令(平成三年十月二十五日政令第三百三十五号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H03/H03SE335.html

指定暴力団の要件に係る犯罪経歴保有者の比率)
第一条  暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 (以下「法」という。)第三条第二号 の政令で定める集団の人数の区分は、次の表の上欄に掲げるとおりとし、当該区分に係る同号 の政令で定める比率は、それぞれ同表の下欄に定めるとおりとする。
集団の人数の区分 比率
三人又は四人 六六・六七パーセント
五人又は六人 六〇・〇一パーセント
七人から九人まで 四二・八六パーセント
一〇人から一四人まで 三〇・七七パーセント
一五人から一九人まで 二六・六七パーセント
二〇人から二四人まで 二五・〇一パーセント
二五人から二九人まで 二四・〇一パーセント
三〇人から三四人まで 二〇・〇一パーセント
三五人から三九人まで 一七・一五パーセント
四〇人から四四人まで 一五・〇一パーセント
四五人から四九人まで 一三・三四パーセント
五〇人から五四人まで 一二・〇一パーセント
五五人から五九人まで 一一・〇〇パーセント
六〇人から六四人まで 一〇・〇一パーセント
六五人から六九人まで 一〇・〇一パーセント
七〇人から七四人まで 一〇・〇一パーセント
七五人から七九人まで 九・三四パーセント
八〇人から八四人まで 八・七六パーセント
八五人から八九人まで 八・三四パーセント
九〇人から九四人まで 八・三四パーセント
九五人から九九人まで 八・三四パーセント
一〇〇人から一〇九人まで 八・〇一パーセント
一一〇人から一一九人まで 七・二八パーセント
一二〇人から一二九人まで 七・〇九パーセント
一三〇人から一三九人まで 六・九三パーセント
一四〇人から一四九人まで 六・四三パーセント
一五〇人から一五九人まで 六・二九パーセント
一六〇人から一六九人まで 六・二六パーセント
一七〇人から一七九人まで 五・八九パーセント
一八〇人から一八九人まで 五・六五パーセント
一九〇人から一九九人まで 五・六五パーセント
二〇〇人から二〇九人まで 五・五一パーセント
二一〇人から二一九人まで 五・二四パーセント
二二〇人から二二九人まで 五・一六パーセント
二三〇人から二三九人まで 五・一六パーセント
二四〇人から二四九人まで 五・〇一パーセント
二五〇人から二五九人まで 四・八一パーセント
二六〇人から二六九人まで 四・七八パーセント
二七〇人から二七九人まで 四・七八パーセント
二八〇人から二八九人まで 四・六五パーセント
二九〇人から二九九人まで 四・四九パーセント
三〇〇人から三四九人まで 四・四五パーセント
三五〇人から三九九人まで 四・二九パーセント
四〇〇人から四四九人まで 四・二六パーセント
四五〇人から四九九人まで 四・二三パーセント
五〇〇人から五四九人まで 四・二一パーセント
五五〇人から五九九人まで 四・一九パーセント
六〇〇人から六四九人まで 四・一七パーセント
六五〇人から六九九人まで 四・一六パーセント
七〇〇人から七四九人まで 四・一五パーセント
七五〇人から七九九人まで 四・一四パーセント
八〇〇人から八四九人まで 四・一三パーセント
八五〇人から八九九人まで 四・一二パーセント
九〇〇人から九四九人まで 四・一二パーセント
九五〇人から九九九人まで 四・一一パーセント
一、〇〇〇人以上 四・一一パーセント

暴対法で定義される「暴力的不法行為等」は、一般には傷害や恐喝のことだと理解されていますが、実際の適用範囲はとても広く、たとえば、公安委員会に無届で映像送信型性風俗特殊営業を営んでネットで青少年に風俗映像を送信することも含まれます。
ということは、たとえば、3人のグループのうち2人が18歳未満の有害映像*1を無届で販売し青少年にダウンロードさせて有罪になったとすると、そのグループは指定暴力団の要件に係る犯罪経歴保有者の比率を満たしていますので、「指定暴力団」に指定され得ます。

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*1:風適法上の「映像」:性的好奇心をそそるため性的な行為を表す場面を含む映像のこと。アニメーションなどの絵のも含まれると警察当局は解釈している。