これはいい法案だ−改正刑事訴訟法案

国会に上程され、自民党公明党が審議拒否を続けていた刑事訴訟法改正案(議員立法)が、やっと実質審議に入りました。
いい法案です。
国家の独立を確立する意味でも、是非、党派を超えて支持し、成立させてほしいものです

2004年04月20日  【衆院法務委】民主党提出の刑事訴訟法改正案を審議
http://www.dpj.or.jp/news/200404/20040420_05houmu.html

衆議院法務委員会で20日、民主党河村たかし議員らが提出した刑事訴訟法改正案の趣旨説明と質疑が行われた。
改正案の内容は(1)被疑者の取調べなどで弁護人の立会いを認める(2)被疑者の取調べ状況などの録音・録画を義務付ける(可視化)(3)権利保釈の除外事由を制限する(4)自白の証拠能力を制限する、の4点。

2004年3月30日 刑事訴訟法の一部を改正する法律案要綱
http://www.dpj.or.jp/seisaku/kan0312/houmu/BOX_HOM0058.html
2004年3月30日  刑事訴訟法の一部を改正する法律案
http://www.dpj.or.jp/seisaku/kan0312/houmu/BOX_HOM0057.html

2004年03月30日  刑事訴訟法一部改正案を提出
http://www.dpj.or.jp/news/200403/20040330_03keisohou.html

取調べで弁護士の立合いが認められないとか、完全密室であるとか、自白の証拠能力を偏重しているとか、おおよそ人権規定の存在する先進国では考えられない無人権状態になっているのが日本国という国のオソマツな実態です。
日本の司法がこんな状態だから、日米安保地位協定アメリカのステータスが高くなっていて、沖縄で女の子がアメリカ合衆国海兵隊員にレイプされても犯人の身柄を引き渡してもらえず犯罪者が野放しになるのです。
もし、民主党の出した改正刑事訴訟法案が通過すれば、もうアメリカ軍は「日本に自国民の身柄を引き渡したら自白を強要される」との理由で身柄引渡しを拒否できなくなりますし、それ以前に日本人自身も証拠の無い逮捕や別件逮捕で自白を強要されて冤罪が多発するということも無くなっていくことでしょう。
自白偏重捜査が法改正によって困難になれば、警察は自動的に物証中心の捜査をせざるを得なくなり、「自白させるための捜査」から「自白しなくても証拠で有罪にさせる捜査」に捜査体制が変化せざるを得なくなってゆきます。
民主党の刑事司法手続き制度の改革は、単に被疑者(無罪を推定されている人)の人権を守るというだけではなく、警察組織の自白重視の捜査体制、強いて言うなら「証拠集めを重視しない捜査体制」を変え、日本国の独立を制限している国辱的地位協定の見直しにつながり得る法律案、という見方もできます。

議案名「刑事訴訟法の一部を改正する法律案」の審議経過情報
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1D9468E.htm
付託議案関連情報  刑事訴訟法の一部を改正する法律案
http://www.shugiin.go.jp/itdb_rchome.nsf/html/rchome/Kanren/houmuDA7F9ADF04EDCB5949256E7C00386EFA.htm
刑事訴訟法の一部を改正する法律案 の概要
http://www.shugiin.go.jp/itdb_rchome.nsf/html/rchome/Horitsu/houmuD612B521C4553B1449256E7D00356307.htm

本案は、我が国の刑事司法が適正手続の保障の下での事案の真相解明を使命とする以上、被疑者の取調べが適正を欠くことがあってはならならず、それを防止するための方策が必要であるとともに、また、被告人は訴訟の当事者として十分な防御の機会が保障されなければならず、被告人の不適正な身柄拘束の防止が求められている状況にかんがみ、被疑者の取調べ等について弁護人の立会いを認める制度及び被疑者の取調べ状況等の録音・録画を義務付ける制度を導入するとともに、権利保釈の除外事由を制限すること等を定めようとするもので、その主な内容は次のとおりである。

与党の審議拒否で廃案になった第156回国会刑事訴訟法の一部を改正する法律案(審査経過概要)
http://www.shugiin.go.jp/itdb_iinkai.nsf/html/gianrireki/156_156_shuho_50.htm
与党の審議拒否で廃案になった第157回国会刑事訴訟法の一部を改正する法律案(審査経過概要)
http://www.shugiin.go.jp/itdb_iinkai.nsf/html/gianrireki/157_156_shuho_50.htm

改正刑事訴訟法案は、過去に、自民党公明党の審議拒否で2回廃案になっています。
説明資料を提出しないだとか、無関係な答弁をして実質的に答弁を拒否し続けるだとか、普段から自民党・政府がやっていることに抗議するために審議拒否するならわかりますが、そうではなく、ただ成立させたくない、気に入らないというだけの理由で審議拒否して議論すること事態を拒否することは、「議論すること」が本来の仕事である国会議員にあるまじき職場放棄というよりありません。
国会議員は議論するのが仕事です。
働かざる者食うべからずですよ、自民党議員、公明党議員のみなさん。
 
以下、刑事訴訟法改正とも関連する地位協定などの法令。

内閣府/沖縄関係資料/関係法令・条約等
http://www8.cao.go.jp/okinawa/9/93.html
日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定
http://www.jda.go.jp/j/library/treaty/chii/chii.htm

第十七条
1 この条の規定に従うことを条件として、
(a) 合衆国の軍当局は、合衆国の軍法に服するすべての者に対し、合衆国の法令により与えられたすべての刑事及び懲戒の裁判権を日本国において行使する権利を有する。

日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法(昭和二十七年五月七日法律第百三十八号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S27/S27HO138.html

(逮捕された合衆国軍隊の構成員又は軍属の引渡)
第十一条  検察官又は司法警察員は、逮捕された者が合衆国軍隊の構成員又は軍属であり、且つ、その者の犯した罪が協定第十七条第三項(a)に掲げる罪のいずれかに該当すると明らかに認めたときは、刑事訴訟法 (昭和二十三年法律第百三十一号)の規定にかかわらず、直ちに被疑者を合衆国軍隊に引き渡さなければならない。
2  司法警察員は、前項の規定により被疑者を合衆国軍隊に引き渡した場合においても、必要な捜査を行い、すみやかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。

以下は、改正刑事訴訟法案の立法根拠となるプログラム法。(日本国憲法
国民の統治権力への命令として定められている日本国憲法は、不利益供述の強要を許さない立法義務を国会に課しています。民主党議員立法はこの義務を果たすものです。

日本国憲法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S21/S21KE000.html

第三十八条  何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
○2  強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
○3  何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。

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