続続・週刊文春3月25日号

週刊文春3月25日号を買った人で「オレは裁判所の命令通り、記事を切りとって焼き捨てたよ」という人はいますか?
「裁判所の判断支持!」のブログを30ほど眺めましたが、行動が伴っている人はひとりもいませんでした。いたら教えてください。
「買ったよ、週刊文春ケシカラン、裁判所正しい」と言っている人たちの言動のダブルスタンダードの無自覚さっていったい何なの? という疑問については、週刊文春事件にとどまらない問題を含んでいるようにも思えますので、後日改めて。

文藝春秋 声明文 平成16年3月19日
http://202.32.189.64/seimei/index.htm
お知らせ
http://202.32.189.64/mag/shukanbunshun/index.htm

事前の販売差し止めを例外中の例外とした最高裁判例が示した「差止め認定基準」の概要は以下の通り。

・記事が真実でないとき
または
・明白な公益性の不在、かつ、重大で回復困難な損害が発生する恐れがあるとき

この最高裁が判断した基準が正しい認定基準だという前提で考えた場合、プライバシーの侵害を認めるとしても「事前差止め」という方法は不適当だろう、と。
「公益目的」該当性については疑問もありますが、ジャーナリズムの中では、たとえば、議員の子どもの情報は、国会議員の多くが二世、三世議員で占められているという事実に照らして将来の議員候補者の情報としての公益性があるという考え方があります。
また、子どもがどのような人物かによって親の議員の資質を有権者として計ることができるという公益性も認め得るという考え方もあります。
たとえば、最近では、埼玉県参議院選挙の民主党公認候補から現職の藤井俊男参院議員が「長男が大麻取締法違反罪などで実刑判決を出された影響」により外されたという報道

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040311-00000003-mai-l11

がありました。これなどは、「現職の藤井俊男参院議員の長男がなにをしたのか」という情報が有権者にとって投票行動に影響し得る関心事のひとつであることの証左かもしれません。
だとすれば、事前差止めの条件を満たしていないことになります。
もうひとつ論点として、今回の仮処分決定によって、マスメディアの「議員世襲批判」は萎縮し、今後は少なくなっていくかもしれないという可能性があるのではないかと。
たとえば、

《候補者誕生 影落とす「世襲」乱立:中》後継「私物化」に反発
http://www2.asahi.com/senkyo2003/localnews/saga/OSK200310280025.html

のような世襲批判記事は、今後はたくさん出ることは無くなるだろうし、「世襲」を阻むことにつながる候補者に対する情報の報道は、世襲議員おべんちゃら記事は報道されるかもしれませんが、批判的な情報は少なくなるかもしれません。
以前、北の系で「表現の自由合憲性基準メモ」というものを作ったことがあります。参考まで。

表現の自由 合憲性基準メモ
http://zirr.hp.infoseek.co.jp/020121.html

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