末松義規委員(民主党 ・ 無所属クラブ)


末松義規委員はサイバー犯罪条約について質問しました。
通信傍受、リアルタイム収集、エシュロン共謀罪、管轄権についての質問がありましたが、とりあえず話題に触れたという感じで、詰めの甘さを感じました。

末松義規委員 批准国がわずか10ヶ国前後という中で批准しても実効的に意味がないと思うのですがどう思いますか?
○石川国際協力部長 欧州協議会の各国は順次批准するものと思われます。
末松義規委員 テロは最大関心事なんですか? つまりテロのためにサイバー犯罪条約をつくるというような大きな目的になっているんですか?
○石川部長 サイバーテロの確定した定義は無いと承知しているが、国家の根幹を揺るがすものに着目してサイバー犯罪なのかテロと認定するかとの判断があると側聞している。この条約の基本はあくまでもサイバー犯罪を目的にやっております。
末松義規委員 この条約は共謀罪とは関係が無いと思う。
末松義規委員 通信傍受法、盗聴法について民主党は安易に認めるべきではないとの立場から通信傍受法に反対し廃案を提出してきました。盗聴法では管理者、NTT職員立合いのもとで令状をとって盗聴を認めていますが、この条約では必要な時に盗聴を行う場合はプロバイダー立合いのもとでリアルタイムで傍受を認めるということになるのでしょうか?
○条約審議官 条約21条で「この条約は国内の権限のある当局に対してコンピューターシステムによって伝達される自国の領域内において伝達される“特定の通信”に係る通信内容について技術的手段を用いることによりリアルタイムで収集しまたは記録する権限を与えること」。すなわち国である当局自身、その当局がISPの既存の技術的能力の範囲内で当該当局の通信の収集にあたりこれに協力・支援させること、すなわち当局がプロバイダーに協力支援することをお願いすること、と定めております。さらにISPに対してはこの権限の行使を秘密のものとして取り扱うよう義務付けること。こういったことを条約の規定で定められております。
末松義規委員 海外から条約に基いて共助で相互協力の引き合いがでてきた場合、通信傍受をやるということになるんですか?
○刑事局長 国際捜査共助法によれば外国の捜査機関からの要請を受けて通信傍受を行うことはできません。
末松義規委員 国際捜査共助法第8条の中に外国について「できない」とは書いていないです。
○刑事局長 国際捜査共助法第8条は共助に必要な証拠の収集につき定めているところ、取り調べ、鑑定嘱託、実況見分、書類提出、照会、差し押さえ、検証を列挙しておりまして、通信傍受はこれに含まれておりません。
末松義規委員 コンピューターでも電話でもできないと理解して良いですね?
○刑事局長 現行国際捜査共助法に基く限りできません。
末松義規委員 この条約は国家犯罪は対象にまったくされていません。外務大臣エシュロンはご存知ですか?
外務大臣 報道では知っていますが、我々としてはその存在を把握しておりません。
末松義規委員 暗号解読やパスワード解読をしているマニアの方、これは個人的な楽しみでやっている方ですが、こういう人が暗号を解読したと。そのことだで罰せられることになるのでしょうか?
総務省有富総合通信基盤局長 趣味のレベルで暗号解読するという事例については、漏らしたり窃用する目的が無い限りにおいては処罰されません。漏洩窃用すれば罰則があります。
末松義規委員 どこに裁判管轄権があるのか。たとえば、犯罪の主体が日本人で、場所はカナダで、アメリカの国防総省にコンピューターウイルスをかけてハッキングを行い、メキシコに逃亡したという場合、どの国が裁判管轄権のプライオリティーを持つことになるのか?
○門司条約局審議官 仮説例では日本、カナダ、アメリカに管轄権があり、メキシコは領域外且つ自国民ではないので条約上はの義務はありません。複数国で管轄権が競合し各国が裁判権を主張する場合は協議するという規定が第22条にあります。特段の優先順位を定めるものではないと考えられます。