神の刑罰:「共謀罪」法案、国会審議入り


共謀罪は、「神の刑罰」とも呼ばれます。神は実際に罪を犯したのと同じように心の中で犯した罪を裁くとの聖書の教義がありますが、共謀罪は、身体で実行したことではなく、心で考えたことを罪に問う効果をもたらします。“神の審判”を代行するのは天使ではなく、大審問官*1たる警察官であり、検察官であり、裁判官。
たとえば、人を殺していなくても、会話で犯意を共有すれば有罪。「死ねばいいのに」「死んで当然」という言葉を使えば有罪。
盗んでいなくても、会話で犯意を共有すれば有罪。「あんな奴の金は泥棒にでもくれてやるべきだ」という会話で有罪。
爆弾を爆発させていなくても、会話で犯意を共有すれば有罪。「あいつをぶっとばしてやりたい」という会話に拍手したら有罪。
児童ポルノを販売していなくても、会話で犯意を共有すれば有罪。「ロリータ画像は金になる」という会話で有罪。
実際に犯罪を犯していなくても、そういう内心を持っていることを誰かと共有すれば犯罪を実行したのと同じように罰することができます。なにをしたかではなく、なにを心の中で思ったかが、有罪になるかならないかの判定基準。それが共謀罪の恐さです。
誰もが誰もをお互いに監視し合い、密告が横行し、信頼は崩れ、恐怖と不信感だけが増大し、暴力的実力を持つ警察官と犯罪集団だけが堂々と社会を動かし、誰もが口を閉ざす社会。そんな究極の監視社会は、もはや夢物語ではありません。究極の監視社会を作る土台となる法案は、来週には「共謀罪」が国会で成立しているかもしれないのですから。
実際に上記のような事例で逮捕されるかどうかはわかりません。しかし、法を運用する側にとって都合の悪い人物を社会的に葬るぞと脅迫する道具としては充分使えます。
 

福島みずほ
http://www.mizuhoto.org/
福島みずほの国会どきどき日記 
http://blog.mag2.com/m/log/0000027778
2005/06/24号
http://blog.mag2.com/m/log/0000027778/106131562

6月22日(水)
難民の問題について、NGOの人たちと法務省との交渉に出席。
共謀罪が、審議されると言われている。
共謀罪が成立すると、贈収賄罪も共謀罪の対象となる。同じ団体に所属していて、贈収賄の共謀をしただけで、処罰される。となると共謀罪は、贈収賄根絶法といえるのかもしれない。だって、共謀だけで成立するのだから、お金の授受もいらないのだから。
国会議員の人たちは知っているのだろうか。

 

自分だけは大丈夫だという根拠の無い自信のようなものが、法案審議に同意している議員たちにはあるのかもしれません。
そういえば6月30日は「長いナイフの夜」*2の71周年の日ですね。
 

衆議院
http://www.shugiin.go.jp/
衆議院公報 第162回国会 第104号 平成17年6月23日木曜日
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kouhou.nsf/html/kouhou/2016C6_162623.htm

明24日次のとおり開会する。
▲法務委員会
 午前11時40分 第14委員室
 会議に付する案件
 犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百五十九回国会閣法第四六号)
 少年法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)
 民法の一部を改正する法律案(枝野幸男君外六名提出、第百五十九回国会衆法第四〇号)
 軽犯罪法の一部を改正する法律案(長妻昭君外五名提出、第百六十一回国会衆法第一九号)

犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案
経過
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1D9A9A6.htm
本文
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/g15905046.htm
提出時法律案
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g15905046.htm

(組織的な犯罪の共謀)
 第六条の二 次の各号に掲げる罪に当たる行為で、団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者は、当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。
一 死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪 五年以下の懲役又は禁錮
二 長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められている罪 二年以下の懲役又は禁錮
2 前項各号に掲げる罪に当たる行為で、第三条第二項に規定する目的で行われるものの遂行を共謀した者も、前項と同様とする。

衆議院TV
http://www.shugiintv.go.jp/jp/
2005年6月24日 法務委員会 *3
http://www.shugiintv.go.jp/jp/video_lib2.cfm?u_day=20050624

 
実質審議入りした組織犯罪対策高度化法案は共謀罪だけが提案されているのではなくて、攻撃にも使える不正アクセス防御のためのプログラムを作ったら罪に問うプログラム作成罪の創設とか、ネットとつながっているパソコンにわいせつ画像データを置いただけでわいせつ画像頒布にしてしまうとか、サーバのアクセスログ保全(事前盗聴)とか、もうメチャクチャな感じです。
 
以下、マスメディア様の(とってつけたような)報道。
 

Googleニュース「共謀罪」
Yahoo!ニュース「共謀罪」
───────────
共謀罪」審議入り 法相、提案理由を説明 - 共同通
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050624-00000097-kyodo-pol
http://www.kobe-np.co.jp/kyodonews/news/00014639kd200507241200.shtml
http://www.shizushin.com/national_politics/2005062401001053.htm
http://www.sanin-chuo.co.jp/newspack/modules/news/232168010.html
http://www.sanyo.oni.co.jp/newspack/20050624/20050624010010531.html
http://www.iwate-np.co.jp/newspack/cgi-bin/newspack.cgi?politics+CN2005062401001053_1
http://www.topics.or.jp/Gnews/news.php?id=CN2005062401001053&gid=G02
http://kumanichi.com/news/kyodo/politics/200506/20050624000198.htm
http://www.shikoku-np.co.jp/news/news.aspx?id=20050624000225
http://www4.oita-press.co.jp/news.cgi?D=CN20050624&ID=CN2005062401001053.1.N.20050624T120008&J=Politics&UP=20050624T120008
http://www.minyu-net.com/news/2005062401001053.html
http://www.toonippo.co.jp/news_kyo/news/20050624010010531.asp
http://www.sakigake.jp/servlet/SKNEWS.NewsPack.npnews?newsid=2005062401001053&genre=politics
http://www.kahoku.co.jp/news/2005/06/2005062401001053.htm
犯行前の謀議だけで訴追 「共謀罪」24日審議入り 朝日新聞
http://www.asahi.com/politics/update/0624/004.html
<組織犯罪処罰法>「共謀罪」の新設盛り込んだ改正案審議へ 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050624-00000008-mai-pol
共謀罪」創設の組織犯罪処罰法改正案が実質審議入り 日本経済新聞
http://rd.nikkei.co.jp/net/news/shakai/headline/u=http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20050624AT1G2400924062005.html

 

関連リンク。
市民運動としてはかなり断続的に抗議活動は続けていますが、如何せんマスメディアは完全沈黙を決めこんでいます。
みなさん自身で「共同行動ONLINE」にアクセスし、すこしでも意思表示しましょう。
 

■共同行動ONLINE
http://www.hanchian.org/index.html

●緊急:審議入り阻止国会前昼集会
6月21日(火)12〜13時 衆院第2議員会館前
●6月25日(土)13時〜15時 銀座マリオン前大情宣
●7月7日(木)「共謀罪を廃案へ」大集会
(18時〜21時、星陵会館、斉藤貴男・海渡雄ーさんら
呼びかけ実行委主催)の賛同と参加を!
●7月8日(金)国会前座り込み・昼集会 
8時30分〜13時 衆院第2議員会館
 
6月7日(火)12時〜13時 院内集会(衆議院第2議員会館第3会議室)
主催:盗聴法の廃止を求める署名実行委員会
6月14日(火)8時30分〜16時 国会前全日行動
11時30分〜13時 国会前情宣 

現在、衆院法務委に未審議で残っている法案は少年法改悪と共謀罪法案のみである。昨秋臨時国会終盤以降続けられている修正制定策動への民主党取り込み策動の難航、そして民主党の審議入り引き延ばしによる時間切れ廃案路線に業を煮やした法務省・与党が、今国会に上程された少年法大改悪を後回しにしても、なんとしても共謀罪法案を成立させる決断を下したということである。
去る14日、共同行動の国会前座り込みのなかで画策された審議入り策動は、午前と急遽設定された昼休みの法務委理事会が物別れに終わったことで挫折したが、政府・法務省は19日からの週の審議入り、都議選後の7月3日の週での衆院突破を目論んでいると伝えられる(それ以上遅れれば、参院成立が危うくなる)。
事態は極めて流動的な攻防局面に入っている。6月2日付け共同通信が“『共謀罪』たなざらし国際公約、提出から2年”などと制定を煽動、悪質なことに「民主・共産両党も共謀罪の新設に反対していない」とのデマによって修正制定へ誘導する記事を配信した。制定策動は翼賛国会内だけのことではなく、知らしめず、かつ協力させる形で全社会的に進められているのだ。

ビラ (サンデー毎日の山岡さんの記事があります)
http://www.hanchian.org/images/00616_002.jpg
http://www.hanchian.org/images/0616_001.jpg
緊迫した衆院の審議入りにさいし、今度こそ共謀罪法案を廃案にしよう
http://www.hanchian.org/2005-0531.html
共謀罪が適用される法律名・罪名(法務省資料による)
http://www1.neweb.ne.jp/wb/zinken/kyoubou.html

■人権・報道・インターネット
http://homepage1.nifty.com/nik/
情況に対して発言する
共謀罪等の国会審議入り必至の情勢を迎えて
http://homepage1.nifty.com/nik/jyoukyou2.htm

通常国会の会期の前後から、与党側においては、特に共謀罪について、政府案のままで成立させるのは困難と考えて、共謀した者のうちの一人が「準備のためにする行為」をした場合に共謀罪として処罰することができるとする修正案を作成し、民主党に提案したと伝えられていた。
しかし、今までのところ、民主党ではその修正案を受け入れることなく、与党と民主党との修正協議もなされまま現在に至っている。
そのような中で、民主党簗瀬進議員(ネクストキャビネット法務大臣)は、本年4月20日参議院本会議における法務大臣に対する代表質問において、「憲法の保障するすべての人権の出発点が憲法19条の内心の自由であります。内心は自由である、内心は罪に問われるべきではない、その基本思想が刑法典に反映した結果、犯罪の実行行為に着手する前の段階で罪に問う予備陰謀罪は現行刑法ではたったの6つしか認めておりません。国連越境犯罪防止条約の国内法化を図るいわゆる共謀罪法案は、前々国会から継続中でありますが、これをそのまま成立させては、共謀関係をむしろ原則化し、刑法の大原則どころか憲法19条を形骸化し、安易な警察権力の発動を導くことによって、この国の自由な精神社会は根本からむしばまれていきます。それで良いはずがありません。」として、「その重要な歴史的意義をどう認識しているのか、また法案審議をリードしていく大臣としての基本的な指針をどう考えているのか」と質問している。
これに対して、南野法務大臣は、「犯罪の国際化等に対処するための刑法等改正案は、近年の犯罪情勢にかんがみ、国際的、組織的な犯罪やハイテク犯罪に適切に対処するための法案であり、我が国の治安の回復のみならず、国際協調の観点からも極めて重要な意義を有しております。この法案が定める共謀罪は、特定の組織的な犯罪を実行しようとする具体的、現実的な合意をする行為を処罰するものであり、人の内心や思想を処罰するものではありませんが、御指摘の点も含め、十分に御審議いただきたいと思っております。」と答弁している。
このやりとりは大変に興味深い。簗瀬議員の質問は、共謀罪の本質の核心をずばりと突いた迫力のあるものであった。これに対する南野法務大臣の答弁は、いかにも官僚的な内容に終始していることがよく分かる。
ところで、南野法務大臣の答弁のうち、「人の内心や思想を処罰するものではありませんが」という点に注目したい。
そもそも、現在の民主主義国家において、「人の内心や思想」そのものを処罰する法律は憲法に違反するから作れないのは当然である。
共謀罪も、表面的には、「当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行」を「共謀」する行為を処罰するという形式をとっている。しかし、組織に関わる人と人のコミュニケーションそのものを処罰の対象とすることから、その背後にある「人の内心や思想」を間接的に処罰することになるという点に共謀罪の本質があるのである。南野法務大臣の答弁はその批判に正面から答えないでただ逃げるだけなのである。

 
参考文献。
 

社会評論社
共謀罪と治安管理社会−つながる心に手錠はかけられない
監修:足立昌勝
共謀罪と治安管理社会―つながる心に手錠はかけられない
http://www.shahyo.com/1444.html

第一章 Q&A 共謀罪とは何か
はじめにー情報操作は政治を腐敗させる
用語解説
第二章 「治安」という魔術
犯罪は本当に増えているのか? 大山武(統一獄中者組合獄外事務局)
進む警察国家化 山下幸夫(弁護士)
超危険な国際的組織犯罪条約 石橋新一(破防法・組対法に反対する共同行動)
第三章 警察国家グローバル化
共謀罪新設と戦後治安法の変遷 足立昌勝(関東学院大学教授)
改憲有事法制 小田原紀雄日本基督教団牧師)
「司法改革」という名の戦時司法の確立を許すな 鈴木達夫(弁護士)
共謀罪と包括的反テロ法制 藤井剛(龍谷大学大学院)
第四章 治安法反対闘争10年の苦闘から−破防法・組対法反対闘争の記録−
ワシントン大行進に参加して 下岡暁(10万人保釈署名運動)
ハンガーストライキに参加して 島耕一(日本基督教団労働組合
台風直下、共謀罪廃案を掲げハンストを貫徹 菊池安長(破防法に反対する連絡会)
破防法・組対法との闘いの10年(破防法・組対法に反対する共同行動を中心に)
第五章 治安弾圧との闘い
全日本建設運輸連帯労働組合、関西地区生コン支部立川自衛隊監視テント村、争議団連絡会議、迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧被告団、国鉄千葉動力車労働組合、全国金属機械労働組合港合同、笹島連絡会、救援連絡センター
資料篇
犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案
国連「越境組織犯罪条約」締結にともなう国内法整備に関する意見書について
国際的組織犯罪条約第二条、五条、三四条
年表でみる反「テロ」包括法への歩み
コラム
海渡雄一白井佳夫、吉村英二、筒井修、永井美由紀、「つぶせ!破防法・盗聴法」静岡県連絡会、
片桐元(組対法に反対する全国ネットワーク新潟、全金本山労働組合

 
共謀罪」がなぜ、誰にとって必要なのかということを、私たちは考え続ける必要があります。
共謀罪適用をネタに圧力をかけることができる警察・法務官僚は、共謀罪の第一の利益者でしょう。そして、そういう官僚から甘い蜜をもらっている政治家や警察業界は第二の利益者。そういう利益構造の理解なしで共謀罪創設の“動機”は理解できません。
こんな立法がまともに使えるはずがないと思う人もいるでしょう。私もそう思いますが、だからこそ容認はできません。共謀罪を適用する側から見れば、民衆全員に共謀罪を適用する必要はありません。民衆が恐怖を感じるようなかたちで民衆の指導者に対して適用し、萎縮させればそれで立法効果を得られます。警察官僚を管理しようとする政府の閣僚や、警察の暴走をとめようと考えている国会議員は一番狙われやすい謀略の標的となるでしょう。(たとえば盗聴法に反対した保坂展人議員の携帯電話を盗聴したように)
犯罪集団の捕縛のために共謀罪を使うんだという説明がタテマエにすらならない形骸にすぎないことは、「組織犯罪幹部の捕縛のため緊急に制定する必要がある」との理由で制定された盗聴法(通信傍受法)によって検挙された組織犯罪幹部はおらず、チンピラの売人しか検挙実績が無いという事実*4が証明しているでしょう。
将来自らの首をしめることになる共謀罪を含む法案の実質審議に議員たちがなぜ応じたのか、まったく理解に苦しみます。
 
過去ログ。
 
 
関連ログ・資料。
 

共謀罪」に反対する超党派国会議員と市民の集い
国会、議員の共謀罪関連情報
漫談:共謀罪推進派ビラ
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050716
イベント:共謀罪の廃案を求める国会院内集会
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050708
言論テロ:山岡俊介さん宅が炎上
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050703
神の刑罰:「共謀罪」法案、国会審議入り
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050623
共謀罪反対会/「団体」とは誰か・共謀罪/前科者2人だけでも暴力団
共謀罪」の成立は許さない!緊急集会
「団体」とは誰か(その2):組織犯罪法は形を変えた破防法共謀罪との関係
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20041023
共謀罪についての情報(追補)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20041025/p2
思想共有罪:共謀罪国会上程
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20041020
話し合うことが罪になる共謀罪
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040604
サイバー犯罪に関する条約を可決
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040424
続・サイバー犯罪条約児童ポルノ選択議定書
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040320
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■北の系
資料/法制審議会刑事法部会議事録
共謀罪推進派が多数の会議
http://zirr.hp.infoseek.co.jp/020145.html
法制審議会刑事法(国連国際組織犯罪条約関係)部会 第1回会議 議事録
http://zirr.hp.infoseek.co.jp/020198.html
法制審議会刑事法(国連国際組織犯罪条約関係)部会 第2回会議 議事録
http://zirr.hp.infoseek.co.jp/020142.html
法制審議会刑事法(国連国際組織犯罪条約関係)部会 第3回会議 議事録
http://zirr.hp.infoseek.co.jp/020143.html
法制審議会刑事法(国連国際組織犯罪条約関係)部会 第4回会議 議事録
http://zirr.hp.infoseek.co.jp/020144.html
法制審議会刑事法(国連国際組織犯罪条約関係)部会 第5回会議 議事録
http://zirr.hp.infoseek.co.jp/020199.html

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情報鎖国と「記者クラブ」という名の“出島”

今回の田中康夫氏の「奇っ怪ニッポン」は面白い。
とかく内向きになりがちなメディア論が量産される中で、田中康夫氏のメディア論は世界に目が向いている。知事になって批判される機会が増えましたが、田中康夫の目はまだ曇ってはいない。
 

韓国大統領盧武鉉と小泉純ちゃん ここが違う
田中康夫
初出:奇っ怪ニッポン2005年6月23日 掲載
http://eritokyo.jp/independent/nagano-pref/tanakayasuo-col0161.html

韓国大統領の盧武鉉は、良い意味で端倪すべからざる人物です。推し量れない、
見通しが立たない、といった否定的意味合いで用いられる「端倪」なる単語で敢えて形容した理由は、以下の彼の発言を一読したなら大きく頷けるでしょう。
曰く「新聞は最早、巨大な権力であり、故に部数が多すぎては、自由な競争の下での自由な言論を阻害し、独禁法に抵触する」「本大会では新聞の危機と革新戦略に関する議論が主題だと聞いているが、結論を言えば、新聞の民主性と責任性をより高める事が成功の鍵になる」
これは、5月末にソウルで開催された世界新聞協会総会に於けるスピーチです。
実に秀逸、痛快ではありませんか。
グーテンベルグの偉大なる発明は、同時に多くの人々に情報を伝える社会を実現し、その結果、マスメディアは第4の権力の座を獲得しました。然し乍ら、第4の権力たる彼等の在り方を「評価」する場は未だ確率されていません。どころか、護送船団記者クラブなる既得権益集団に所属する彼等は、自身への批判を受け入れようとせず、その「報道」の在り方に関し、「弁証法」的議論を否定しているのです。
自らを映し出す鏡を内包し得ない日本の新聞社は、日韓首脳会談に関しても21日付朝刊で一様に「溝埋まらず」なる大見出しの下、二項対立論に基づく表層的な捉え方で終始しました。

 
関連リンク。
 

世界新聞協会(WAN : World Association of Newspapers)
http://www.wan-press.org/
世界新聞協会 2005年総会 於ソウル
http://www.wan-press.org/seoul2005/wef.php
What they're saying about the 2003 and 2004 World Newspaper Congresses
http://www.wan-press.org/seoul2005/index.php?zone=02&action=07
新聞の自由
http://www.wan-press.org/rubrique.php3?id_rubrique=1
WAN 2003年新聞の自由調査
http://www.wan-press.org/article2980.html

In Japan, the violent murder of a freelance journalist Satoru Someya*1, suspected to have been carried out for his investigation of activities of Chinese criminal gangs in Tokyo, was an exception in a country which is widely held to be a stalwart of press freedom in the region.

■長野県
サイト内キーワード検索「記者クラブ
http://tinyurl.com/73j6h
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Declaration of Departure from the Press Club System
http://www.pref.nagano.jp/hisyo/press/kisya_e.htm
「脱・記者クラブ」宣言
http://www.pref.nagano.jp/hisyo/press/kisya.htm
ようこそ 「表現センター」へ
http://www.pref.nagano.jp/hisyo/press/hyodojou.htm
会見録2001年
5月15日(火)
知事会見 「『脱・記者クラブ』宣言」 
http://www.pref.nagano.jp/hisyo/press/20010515n.htm
5月22日(火)
知事会見 長野県政記者クラブからの申し入れ他 
http://www.pref.nagano.jp/hisyo/press/20010522n.htm
6月26日(火)
知事会見 「『脱・記者クラブ』宣言」その後 
http://www.pref.nagano.jp/hisyo/press/20010626n.htm
表現センター(旧「表現道場」)の利用方法に関するお知らせ
http://www.pref.nagano.jp/hisyo/press/hyodojou.htm
車座集会「知事と語ろう 信州の明日」(第41回)
平成17年2月20日(日)
http://www.pref.nagano.jp/keiei/callc/kurumaza/hp-up/20050220.htm

私たちは、他人任せの他律的ではなくて、自律的にしましょうと。あるいは1カ所に大きな建物をつくる集中型ではなくて、分散型にしましょうということを言ってきました。
(略)
これは「脱記者クラブ宣言」という、私たちの県では、例えばこれは何かと言いますと、下諏訪市民新聞の記者の人は、私の知事会見には参加することができませんでした。今までの最初に記者クラブに入った人たちだけが知事の会見に出られるという形でした。のみならず、仮に松本にも市民タイムスという新聞があって、7万部、8万部出ていますけれども。松本の人が県に来て会見をするときにも、市民タイムスの人は入れなかったんですね。だからこれはおかしいんじゃないのと、スポーツ新聞の人も聖教新聞の人も赤旗の人も入れないのはおかしいから、それをみんなに開放するようにしましょうというのが「脱記者クラブ宣言」です。これは全国で唯一本県だけが行っていることです。

 
関連ログ。
 

NEWS23多事争論記者クラブ」カテゴリー
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20041129
武富士盗聴事件:記者クラブにエコヒイキする裁判所
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20041118
記者クラブ」というギルド社会
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050302/p1
韓国で記者クラブ全廃、日本は今も記者クラブ全盛
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040714/p2
国境なき記者団事務局長インタビュー
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20041212/p2

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