情報鎖国と「記者クラブ」という名の“出島”

今回の田中康夫氏の「奇っ怪ニッポン」は面白い。
とかく内向きになりがちなメディア論が量産される中で、田中康夫氏のメディア論は世界に目が向いている。知事になって批判される機会が増えましたが、田中康夫の目はまだ曇ってはいない。
 

韓国大統領盧武鉉と小泉純ちゃん ここが違う
田中康夫
初出:奇っ怪ニッポン2005年6月23日 掲載
http://eritokyo.jp/independent/nagano-pref/tanakayasuo-col0161.html

韓国大統領の盧武鉉は、良い意味で端倪すべからざる人物です。推し量れない、
見通しが立たない、といった否定的意味合いで用いられる「端倪」なる単語で敢えて形容した理由は、以下の彼の発言を一読したなら大きく頷けるでしょう。
曰く「新聞は最早、巨大な権力であり、故に部数が多すぎては、自由な競争の下での自由な言論を阻害し、独禁法に抵触する」「本大会では新聞の危機と革新戦略に関する議論が主題だと聞いているが、結論を言えば、新聞の民主性と責任性をより高める事が成功の鍵になる」
これは、5月末にソウルで開催された世界新聞協会総会に於けるスピーチです。
実に秀逸、痛快ではありませんか。
グーテンベルグの偉大なる発明は、同時に多くの人々に情報を伝える社会を実現し、その結果、マスメディアは第4の権力の座を獲得しました。然し乍ら、第4の権力たる彼等の在り方を「評価」する場は未だ確率されていません。どころか、護送船団記者クラブなる既得権益集団に所属する彼等は、自身への批判を受け入れようとせず、その「報道」の在り方に関し、「弁証法」的議論を否定しているのです。
自らを映し出す鏡を内包し得ない日本の新聞社は、日韓首脳会談に関しても21日付朝刊で一様に「溝埋まらず」なる大見出しの下、二項対立論に基づく表層的な捉え方で終始しました。

 
関連リンク。
 

世界新聞協会(WAN : World Association of Newspapers)
http://www.wan-press.org/
世界新聞協会 2005年総会 於ソウル
http://www.wan-press.org/seoul2005/wef.php
What they're saying about the 2003 and 2004 World Newspaper Congresses
http://www.wan-press.org/seoul2005/index.php?zone=02&action=07
新聞の自由
http://www.wan-press.org/rubrique.php3?id_rubrique=1
WAN 2003年新聞の自由調査
http://www.wan-press.org/article2980.html

In Japan, the violent murder of a freelance journalist Satoru Someya*1, suspected to have been carried out for his investigation of activities of Chinese criminal gangs in Tokyo, was an exception in a country which is widely held to be a stalwart of press freedom in the region.

■長野県
サイト内キーワード検索「記者クラブ
http://tinyurl.com/73j6h
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Declaration of Departure from the Press Club System
http://www.pref.nagano.jp/hisyo/press/kisya_e.htm
「脱・記者クラブ」宣言
http://www.pref.nagano.jp/hisyo/press/kisya.htm
ようこそ 「表現センター」へ
http://www.pref.nagano.jp/hisyo/press/hyodojou.htm
会見録2001年
5月15日(火)
知事会見 「『脱・記者クラブ』宣言」 
http://www.pref.nagano.jp/hisyo/press/20010515n.htm
5月22日(火)
知事会見 長野県政記者クラブからの申し入れ他 
http://www.pref.nagano.jp/hisyo/press/20010522n.htm
6月26日(火)
知事会見 「『脱・記者クラブ』宣言」その後 
http://www.pref.nagano.jp/hisyo/press/20010626n.htm
表現センター(旧「表現道場」)の利用方法に関するお知らせ
http://www.pref.nagano.jp/hisyo/press/hyodojou.htm
車座集会「知事と語ろう 信州の明日」(第41回)
平成17年2月20日(日)
http://www.pref.nagano.jp/keiei/callc/kurumaza/hp-up/20050220.htm

私たちは、他人任せの他律的ではなくて、自律的にしましょうと。あるいは1カ所に大きな建物をつくる集中型ではなくて、分散型にしましょうということを言ってきました。
(略)
これは「脱記者クラブ宣言」という、私たちの県では、例えばこれは何かと言いますと、下諏訪市民新聞の記者の人は、私の知事会見には参加することができませんでした。今までの最初に記者クラブに入った人たちだけが知事の会見に出られるという形でした。のみならず、仮に松本にも市民タイムスという新聞があって、7万部、8万部出ていますけれども。松本の人が県に来て会見をするときにも、市民タイムスの人は入れなかったんですね。だからこれはおかしいんじゃないのと、スポーツ新聞の人も聖教新聞の人も赤旗の人も入れないのはおかしいから、それをみんなに開放するようにしましょうというのが「脱記者クラブ宣言」です。これは全国で唯一本県だけが行っていることです。

 
関連ログ。
 

NEWS23多事争論記者クラブ」カテゴリー
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20041129
武富士盗聴事件:記者クラブにエコヒイキする裁判所
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20041118
記者クラブ」というギルド社会
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050302/p1
韓国で記者クラブ全廃、日本は今も記者クラブ全盛
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040714/p2
国境なき記者団事務局長インタビュー
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20041212/p2

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