取材の自由:身の保全のため調査報道に無断録音は欠かせない

ジャーナリストの山岡さんが、一般論として同意録音が基本だとしながら、無断録音はケースによってはジャーナリストとして必要なことであり合法であると「ストイドッグ」で書いています。「サンデー毎日」の「NHKVS朝日  調査報道に無断録音は欠かせない」という記事でも山岡さんのコメントが載った模様。
 

ストレイドッグ
http://straydog.way-nifty.com/yamaokashunsuke/
本紙・山岡、『サンデー毎日』の「NHKVS朝日  調査報道に無断録音は欠かせない」記事でコメント
http://straydog.way-nifty.com/yamaokashunsuke/2005/week9/index.html#a0003530447

もちろん、コメントを載せてくれたのは、単なる意見ではなく、本紙・山岡自身、「無断録音」していたお陰で、記者生命をまさに救われたという体験があったからだ。
 本紙2月21日記事でも述べているが、それは、本紙・山岡宅の盗聴を命じた武富士武井保雄元会長との「示談」の件。冒頭に『サンデー毎日』記事のコメント該当箇所も載せているので、是非、ご覧いただきたい。

サンデー毎日』の「NHKVS朝日  調査報道に無断録音は欠かせない」
http://straydog.way-nifty.com/yamaokashunsuke/images/12_332.html
2005.02.21
NHK番組改編問題、朝日記者のテープ録音は違法でも何でもない。堂々と証拠提出すべき
●身の保全のため、“隠し録音”することは当然ながらある
http://straydog.way-nifty.com/yamaokashunsuke/2005/week8/index.html

本紙・山岡の場合、武富士前会長・武井保雄との面談が記憶に新しい。
騙され、武井に会ってしまった山岡だが、武井はその席で「冤罪論」を主張した。武井は、検察が作文を作り、また、自分は持病があるため、盗聴をやったと認めないと保釈にならず死んでしまいかねないので、不本意ながら認めた旨、主張したのだ。まさか、被害者の自分に、そんな“大芝居”を打つとは想像駄にしてなかった山岡は、それにころっと騙され、同情し、「示談書」に無償でサインしてしまった。
その後、共闘しているフリーライター仲間の寺澤有氏に指摘され、騙されていたことに気づいたのだが、普通なら、後の祭り。世間から見て、否、誰が見ても「示談書」へのサイン=カネをもらったに写る。当然である。
だが、山岡の場合、その場の会話をすべて“隠し録音”していた。
そこで、これを証拠として法廷に提出。山岡のいっていることが真実だと、裁判所も認めてくれた。
もし、あの場で身の保全のため、“隠し録音”してなかったら、誰も武井の「冤罪論」に同情してなんて信じてくれなかっただろう。

サンデー毎日
http://www.mainichi.co.jp/life/family/syuppan/sunday/
3月13日号
http://www.mainichi.co.jp/life/family/syuppan/sunday/2005/0313/index.html

NHKvs.朝日 退社処分の元朝日記者が語る
「調査報道に無断録音は欠かせない」

 
たしかに、無断録音があたかも違法であるかのような主張をいちいちマに受けていたら、ジャーナリストは裁判になった時の対策はとれないですし、パワーエリートの巨悪に立ち向かえないだろう、と私も思います。
朝日新聞がいまだに安倍・中川両氏から告訴されていないのはなぜか。それはやっぱり動かぬ「事実」を証明する証拠を持っているからだ、と安倍・中川両氏が思っているからでしょう。何万回嘘の弁解をしても、それが嘘であることを証明する事実がひとつあれば、彼らの立論は崩れます。
朝日であろうとフリージャーナリストであろうと、ジャーナリストが巨悪に立ち向かう時、「事実」だけが剣であり盾となります。その「事実」を証明するものがなければ、ジャーナリストとしての活動は大幅に制限されることは容易に想像できます。
そして一番大事なことは、ジャーナリストの取材活動が制限を受けて失うのは、国民の知る権利であり、困るのは結局は国民だということです。
うっかりミスで語った失言が録音されて報道されてしまうということはあり得るでしょう。その程度の失言いちいち報道せんでもいいじゃないか思える報道は、私も見たことがあります。しかし、その報道が妥当かどうか、報道の公益性といった価値判断は、最終的には報道を読んだひとりひとりが判断してその報道を評価すべであって、録音を一概に悪とする主張には私は賛成できません。

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こちらのリンクも参考になりました。
 

「裏ワザ」としての無断録音
http://halberstam.blogtribe.org/entry-94b16301b91967989744634c383a9c81.html
「裏ワザ」としての無断録音
http://d.hatena.ne.jp/bullet/20050215#p3
NHK・朝日問題について (現役記者さんのブログ)
http://blog.goo.ne.jp/yudofu/e/e49dc3c73b6cb65f9c9fa44014ba4b2b

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NHK番組政治家介入疑惑(7):放送番組審議会・経営委員会

 
日本放送協会が番組改変問題に触れた経営情報の一部を公開しています。
新会長になっても、コンプライアンス推進室はあいかわらずNHK幹部に対する調査は止まったままで、改革の道筋を明確になっていません。社員の不祥事対策は実施しても、幹部に対する不祥事はしない。そんなNHKを見て、NHKに受信料を払っているひとはどう思うでしょうか。
放送番組審議会では、一部委員から「改変前のビデオを公開せよ」との声が複数あがっていることなどは、好ましい動向として注目さますが、肝心の会長サイドがこうした意見をことごとく却下しているのは残念です。
受信料の支払い留保、受信料の拒否、受信契約の解除といった意思表示はこれからも続けることには意味があるし、私がそう言わずとも意思表示は増えてゆくでしょう、NHKが「みなさまのNHK」になる日まで。
以下、放送番組審議会と経営委員会の会議録より番組介入関連の部分を抜粋。私的コメントは脚注参照。
 

日本放送協会
中央放送番組審議会
http://www.nhk.or.jp/pr/keiei/bansin/bansin.htm

平成17年1月17日
(出席委員)委員長 澄川喜一 (前東京芸術大学学長)
副委員長 佐藤勝彦東京大学大学院理学系研究科教授)
委員 朝倉敏夫 (読売新聞社常務取締役論説委員長)
市川晋松 (元日本相撲協会理事長)
大河内美保 (主婦連合会常任委員)
開原成允国際医療福祉大学大学院長)
柏木博 (武蔵野美術大学教授)
菊池哲郎毎日新聞社論説委員長)
篠田節子 (作家)
鈴木勝利 (電機連合顧問)
野村吉三郎 (全日本空輸(株)取締役会長)
松岡佑子 (同時通訳者・翻訳家・(株)静山社社長)
山田俊男全国農業協同組合中央会専務理事)
若宮啓文朝日新聞社論説主幹)
 
○発言者非公開 平成13年1月に放送された「ETV2001 シリーズ戦争をどう裁くか 第2回問われる戦時性暴力」について、放送前に政治的圧力があり内容が変更されたという朝日新聞の報道があり、この問題をめぐるNHKと新聞社の論争に関心が向けられている。これは非常に深く難しい問題だと思う。いわゆる圧力の有無について、証拠の有無といったことだけを問題にして、済ませようとすれば済ませることもできるだろうが、視聴者の心に残る印象が心配だ。「マスコミに対しては政治の圧力があるものだ」というステレオタイプ化された一般の憶測は消えない。それを解消するのは容易ではない。この番組が放送に至るまでの、編集前と後の内容の両方を見てみたい。事前に削られて放送されなかった部分は視聴者には永遠にわからない。それをそのまま放置しておくよりはきちんと見せた方がよいのではないか。*1
(NHK側)発言者非公開
この問題は時系列できちんと解明していかないと説明がつかない。*2政治家に会ったあとに番組を編集しているから政治家の介入を受けたのではないかということが言われているがそうではない。*3NHKがその前から、公平、公正、客観性が確保されるよう独自に編集作業を行ってきたということが抜け落ちている。
○発言者非公開 今回の問題で気になるのは、なぜこういった形でNHK職員が外部に発表してしまうようなことになったのかという点だ。彼の告発した内容が事実か否かはよくわからない。ただ、コンプライアンス推進委員会に訴えたのに反応がなくやむに止まれず*4、といったことを語っていたようだ。彼の不満や疑問をNHKの内部でできるだけ受け止めてあげられていれば、このような事態にならなかったのではないか。
○発言者非公開 一部の報道にあるように「ETV2001」で取り上げられていた民間法廷が特定の市民団体による一方的な裁判であったならば、そのような裁判を取り上げたこと自体が偏向報道として問題視されるのではないか。*5NHKの編集方針が問われる問題ではないかと危惧(きぐ)される。事実関係はよくわからないが、これだけ大きな問題になっているのだから、視聴者の誤解を招くことのないよう慎重に対応していただきたい。*6
(NHK側)発言者非公開
問題とされている番組は4回シリーズのうちの第2回で、「戦時性暴力」や「人道に対する罪」について考えることを企図したものである。女性法廷そのものを記録することを目的としたものではない。民間団体のかなり特定の方向性を持った人たちによって行なわれたいわゆる模擬裁判であり、これだけで1つの番組を制作するということはあり得ない。公平公正な内容になるよう放送直前まで編集作業を行なったということである。*7
(NHK側)発言者非公開 
今回の問題はジャーナリズムの根幹にかかわる問題だ。NHKという組織がジャーナリズムの一員であるかどうかという瀬戸際に立たされているという受け止め方をしている。*8放送した番組の内容については、昨年3月の東京地方裁判所の判決でも「公平性や中立性といった多角的な立場から編集されており、放送局に保障された編集の自由の範囲内だ」とされている。*9仮に政治的な圧力があり番組の内容を変えたということにでも万一なれば、我々はジャーナリズムとして生きていけなくなるわけであり、あらゆる角度からきちんと調べ事実を国民に伝えていかなければならないと考えている。
○発言者非公開 私は、さまざまな圧力によって編集を変えなければならないことも現実問題として当然出てくるだろうと思う。ただ、その時に“どのくらい変えるか”“どのように変えるか”が問題であろう。*10修正される前と後とで番組の内容がどう変わっているのか、その両方を見せてほしい。それによって見たものが判断をすればよいことなのではないか。*11
(NHK側)発言者非公開 
放送番組に関しては、実際に放送として出したものについて我々は全責任を負わなければならないと考えている。完成前の編集の過程にあったものを見せてほしいという要望に応じることはできない。*12
○発言者非公開 問題になっている「ETV2001」をめぐっては、放送当時、街宣車がNHKに押しかけるなどいろいろな出来事があったのは知っていたが、民間の法廷を扱った番組を作ったということはむしろNHKだからこそできたことであり、よかったと思っていた。NHKにコンプライアンス推進委員会が設置され注目されている中、職員の内部告発という形でこの番組をめぐる問題が今日このような事態に至ったことについては、残念だという思いが強い。公益通報者を保護する法律が今年施行されるが、まず内部できちんと処理、検証されているのかどうかという点が議論になるところだ。コンプライアンス推進委員会が誠実に対応することが重要である。どの組織においても、内部でコミュニケーションをうまくとっていくということは難しく、非常に大切なことなのだとあらためて考えさせられる。*13
○発言者非公開 「ジャーナリズムの瀬戸際に立たされている」という決意の表明は心強くうかがった。しかし、NHKが政治に弱いという印象は広くあるのが現実だ。例えば、ある大物政治家を描いたノンフィクションには、過去のNHK会長人事をめぐる内幕がNHK職員の実名入りでなまなましく書かれているが、間違っているのなら毅然とした対応をとるべきではないか。予算や事業計画について国会での承認を得なければならないという制度上の問題は、民放や新聞社など他にはないものであり、独自の苦悩があるのだろうと察する。無用の介入というものがあり得るわけで、ぜひ毅然とした態度で対処していっていただきたい。*14
(NHK側)発言者非公開 
公共放送であるNHKには、確かにいろいろな方面から意見や抗議、また激励の声などが寄せられる。応じられないことは応じられないときっぱり拒否し、対処していかなければ放送というものは成り立っていかない。そういった点に我々はまさに心血を注いでいるということをどうかご理解いただきたい。
○発言者非公開 今回の問題がたとえ単純な誤解であったとしても、視聴者はそれを真実と信じてしまうおそれがある。私から見ればささいなことだと思うので、放送局と新聞社は互いに争ったりせず、もっと広い視野に立ちこの国を引っ張っていくことが大切ではないかと思う。

国際放送番組審議会
http://www.nhk.or.jp/pr/keiei/bansin/bansin.htm

平成17年1月14日
(出席委員)
委員長 渡辺修 (日本貿易振興機構理事長)
副委員長 勝又英子 (日本国際交流センター常務理事・事務局長)
委員 池上清子 (国連人口基金東京事務所所長)
委員 小泉武夫東京農業大学応用生物科学部教授)
委員 清水優史 (東京工業大学大学院情報理工学研究科教授)
委員 立野敏 (テレコム先端技術研究支援センター専務理事)
委員 平田保雄 (日本経済新聞社専務取締役大阪本社代表)
委員 宮原賢次 (住友商事会長)
委員 吉村作治早稲田大学国際教養学部教授)
 
○発言者非公開 「ETV2001」に関し、「放送直前に政治的圧力があり、放送の内容が変更された」との報道がなされている問題について、政治的介入の事実はなかったということをNHKのニュースのなかで伝えていたが、これはメディアやジャーナリズムの根幹に関わる非常に重要な問題なので、ニュースでその結論のみを伝えるのではなく、NHKのメディアとしての責任を踏まえた上で、解説を含めたしっかりした説明が必要だったのではないかと思う。
(NHK側)発言者非公開
この問題については、すぐに事実解明に乗り出し、関係者に話を聞くなどの調査のもとで事実ではないという結論を出した。*15早急に訂正しなければNHKが政治的介入を受けているというイメージが定着してしまうおそれがあったため、ニュースという形で伝えた。*16これは、NHK存立の基盤に関わることでもあるため、事実をはっきりと究明していかなければならないことだと認識している。

平成17年2月25日(金)公表
日本放送協会第988回経営委員会議事録
(平成17年2月8日開催分)
http://www.nhk.or.jp/pr/keiei/giji/index.html

平成17年2月8日(火)午後3時から午後4時20分まで
<出席者>
〔委員〕
◎石原邦夫 ○堀部政男 深谷紘一
武田國男 小丸成洋 梅原利之
保ゆかり 一力徳子 小柴正則
小林緑 菅原明子
(◎委員長 ○委員長職務代行者)
〔監事〕
成田監事 池田監事 西尾監事
〔役員〕
橋本会長
永井副会長 安岡理事 宮下理事
和崎理事 野島理事 中山理事
諸星理事 出田理事 三宅理事
 
(委員)不祥事を理由とする支払拒否・保留の件数が1月末で39万7千件ということで、非常に残念な数字ですが、どのように見ていますか。
(会長)大変厳しい状況です。平成17年度予算は、年度末45万から50万の支払拒否・保留を見込んで編成しましたが、件数がこれを大幅に上回らないよう、NHK職員が総動員で取り組んでいく必要があります。
(委員) ETV2001の番組改変問題ですが、いわゆる事前説明を通常業務と言ったNHK幹部の発言に対して、学識経験者などの間にこれを問題視する声があり、不払運動にも結びつく動きがあります。不払いの理由は不祥事だけではないのです。*17
(会長) この問題の本質は、政治との距離です。そして介入を受けたのか、受けなかったのかということです。私は介入は受けていないと考えていて、朝日新聞の報道については、同じマスコミという土俵で毅然とした対応をしていきたいと考えています。
(委員) 会長は記者会見で「政治家に個々の番組の内容について説明をすることは好ましくない」と発言されたと報道されていますね。NHKは政治との距離をしっかり置くことを徹底するための改革や提言を行っていく必要があると思います。
(会長) 事前説明ということの意味は、予算の事前説明という範囲のことです。予算、事業計画は翌年度の番組編成に即して説明せざるを得ません。しかし、個々の番組の内容の詳細についてあたかも伺いをたてるようなことは、放送事業者にとって致命的なことですから、好ましくないと私は申し上げているわけです。NHKとしては、以前から同様のことを申し上げているのですが。

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この問題の過去ログはこちら。

NHK受信料横領問題(1)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040914
NHK受信料横領問題(2)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040915
NHK受信料横領問題(3)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040916
NHK受信料横領問題(4)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040917
NHK受信料横領問題(5)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20041126
NHK不祥事:生活ほっとモーニング事件最高裁判決
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20041127
NHK受信料横領問題(6)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20041220
NHK受信料横領問題(7)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20041222
NHK番組政治家介入疑惑(1):長井記者会見
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050114
NHK番組政治家介入疑惑(2):長井記者会見(その2)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050115
NHK番組政治家介入疑惑(3):各新聞社社説のまとめ
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050116
NHK番組政治家介入疑惑(4):「コンプライアンスの取組み」全文
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050120
NHK番組政治家介入疑惑(5):不正支出問題適正化報告書全文
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050121
NHK番組政治家介入疑惑(6):メディア関係者緊急記者会見
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050203

 
関連リンク
 

NHK不祥事カテゴリー
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/nhk/
NHKに政治介入。政府高官が圧力・干渉、番組内容を改変。受信料問題に影響も。ETV「裁かれた戦時性暴力」で
http://www.aa.alpha-net.ne.jp/mamos/tv/nhk2.html
NHK「女性戦犯国際法廷」番組改竄問題・私家版
http://postx.at.infoseek.co.jp/NHK-kaizan/top.html

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*1:「きちんと見せた方がよいのではないか」。もっともな意見です。

*2:改変前の映像を検証せずして「時系列できちんと解明」できるのかという問題。解明されると困ると思っているからではないかと疑わざるを得ません。

*3:NHK番組政治家介入疑惑:長井記者会見参照 http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050114#p1http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050115#p1 告発に対する調査すら実施していないのにどうして「そうではない」と断言できるのか不明。

*4:NHK番組政治家介入疑惑:長井記者会見参照 「このことについて四年間私も非常に悩んでおりましたけれども、一連の不祥事を経て、去年の九月にコンプライアンス推進室というものがNHKの中に設置され、コンプライアンス通報制度というもの内部通報の制度ができました。そこで私としてはNHKの自浄能力というものに期待をしてですね、去年(2004年)の12月9日に内部通報を行いました。 この事件を調査し、その事実を明らかにしてほしいという旨のお願いをしたわけです。で、結果的にはそれが一ヶ月経ったのですけれども、まだ関係者へのヒアリングすら始められていないという事実を私が知るに到りまして、もうこれは皆様、マスコミの方に事実を語るしかし方がないのではないかなということになりました。」 http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050114#p1http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050115#p1

*5:「特定の市民団体による一方的な裁判」かどうかを価値判断するのは視聴者でしょう。多様な見解を伝えるのが放送番組の役目で、なにが正しいかを価値判断することが放送の役目では無いでしょう。NHK「女性戦犯国際法廷」番組改竄問題私家版資料保存庫:2001年版 http://postx.at.infoseek.co.jp/NHK-kaizan/top.html などでも明らかな通り、「特定の市民団体による一方的な裁判」であった事実は認められません。むしろ、性暴力の加害者の明確な証言があったにもかかわらず、その証言を削除したことこそが問題ではないかと。いずれにしても視聴者の判断をさしおいて、裁判の方法論の議論を番組の偏向の問題に議論をスリカエている委員(氏名非公開)の発言には疑問を感じます。

*6:「慎重に対応」というのは、慎重に政治家の意向に従えということでしょうか。だとすればしろそのことの方が政治との距離の問題が生じるのではないかと。

*7:「公平公正の判断」とNHK会長サイドが呼んているものが、特定政治家の同意を前提になされたことが長井告発によって明らかになっていて、その告発について調査も行われていないでいる状況では、公平公正という言葉を何万回言っても意味がありません。

*8:「瀬戸際に立たされている」。たしかに受信料拒否の現状は瀬戸際ですが、そうせざるを得ないぐらい対話や改革を放棄してきたのは会長サイドではないかと。そういえば「瀬戸際外交」という言葉もありますね。含笑

*9:「多角的な立場から編集されている」との判決が出された段階では、長井告発はありませんでした。しかし、今は誰もが長井告発を知っています。裁判の判決でどうであれ、受信料を払うに価するかどうかを決めるのは視聴者です。

*10:「圧力があったときにどのくらいどう変えるかが問題」? つまり政治介入を認めざるを得ないから、介入後に番組を変える内容が問題だと議論のスリカエをしているわけですね。それは、泥棒が「盗んだことが問題ではなく、盗んだ金を何に使ったかが問題だ」と言っているのと同じ屁理屈ではないかと思われます。語るに落ちるとはこのこと。そんな屁理屈で受信料をとれると思っているんでしょうか。なめられてますね、国民は。

*11:「見たものが判断をすればよいこと」に賛成。

*12:放送された番組に責任を負うのは当然のことですが、編集過程に問題があり結果として番組が歪められたとの内部告発を検証するためには、過程を検証する以外にありません。たとえば、人が死んだという事実に医者は責任を負わなければなりませんが、それが医療過誤によって導かれた死なのか、それとも治療しても避けられない死であったかは、治療過程の検証なしで判断することができないのと同じ事です。過失の有無の判断は編集前がどうであったかを見る必要があります。会長サイドの態度は、過失責任を検証すべきでないと言っているのと同義です。

*13:この委員(氏名非公開であるのが残念です)はいいこと言っています。コンプライアンス推進委員会が誠実に対応することが重要で、社員については一定の調査が実施されていますが、経営幹部サイドに都合が悪い告発だけがコンプライアンス推進委員会の活動の中で棚上げされている状態です。コンプライアンスが実施されているかという単純な問題ではなく、その実施内容がフェアかアンフェアかという問題。

*14:NHK会長人事をめぐる内幕を書いたノンフィクションはいくつかあります。最近の本では、一例として「野中広務 差別と権力」第十章。 http://d.hatena.ne.jp/asin/4062123444 野中広務 差別と権力 余談ですが、この本の中でNHKを所管する現職総務大臣が「部落出身者を総理には出来ない」と発言していた事実が記されていました。上流階級は言うことがエゲツナイ。大久保利通牧野伸顕─吉田雪子(吉田茂妻)─麻生和子(麻生多賀吉妻)─麻生太郎

*15:話を聞いたとされる「関係者」とは誰なんでしょうか。肝心の告発者から意見を聞いていないのはどういうことでしょうね。

*16:それもある意味でイメージ操作なんじゃないでしょうか。

*17:NHK番組政治家介入疑惑(6):メディア関係者緊急記者会見 http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050203#p1 NHK番組政治家介入疑惑(3):各新聞社社説のまとめ http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050116#p1