松沢成文知事、ゲーム規制を熱く語る「ゲームが犯罪を招くので全体規制を考える時期だ」

少し遅れましたが、神奈川県松沢成文知事のゲーム規制発言について報告します。
神奈川県の松沢成文知事(民主党)は、2005年3月2日の定例記者会見で、「少年はバーチャルなものに影響され過ぎて犯罪に走る」「ゲームソフトに対し私は国全体としての法的な措置が必要だ」「国の方で全体規制を考える時期だ」などと発言しています。
 

■神奈川県
http://www.pref.kanagawa.jp/
知事のページ
http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/hisyo/chiji/toppage.htm
松沢成文知事定例記者会見
http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/hisyo/chiji/kaiken/kaikenhyou.htm
(2005.3.2)結果概要
http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/hisyo/chiji/kaiken/050302.htm

(有害ゲームソフトの規制について)
Q: ゲームの規制の問題なんですけれども、県の方で一部ですけれども、暴力シーン、残虐なシーンが含まれている規制を検討しているということなんですけれども、これは知事ご自身のご発案、あるいは知事ご自身が進めようとしておられる政策、取組なんでしょうか。
A: 私自身ではありません。これは青少年課、あるいは県民部の中で青少年保護育成条例を見直す中で、こういう視点もあるのではないかと、さまざまな議論をしている中で出てきた方向性であります。ただ、有害図書の問題は、私も問題意識がかなりありましたので、首都圏サミット(八都県市首脳会議)等でも、この共通化を図るべきだということも言ってきましたので、問題意識は持っておりましたが、こういう形できちっとやっていこうというのは、県庁内の議論で決まった方向であります。付け加えるならば、やはり今の少年たち、ゲームなんかの影響でですね、バーチャルとリアリティーの区別がつかなくなってしまって、バーチャルなものに影響され過ぎて、それで犯罪に走ってしまうということが多々あるんですね。例えば、これは、暴力関係じゃないですけれども、レインボーブリッジの下をジャンボジェットがくぐるゲームソフトがあってですね、それに影響されて、もう3年ぐらい前ですけれども、コックピットに入った少年はですね、そのゲームを自分も一度やってみたかったということを証言しているわけですね。これなんかを見ても、テレビゲームの影響というかバーチャルとリアリティーの区別がつかなくなって犯罪に走るということがあるわけで、そういう意味では今の子どもたちにとってゲームソフトだとかですね、こういうものが与える影響というのはすごく大きいというふうに思っています。あまりにも残忍な行為とか、描写がちょっと常識から逸脱しているような、あるいは暴力を誘発するような、そういうソフトというのは、きちっと規制をしていくべきではないかと。ただ、難しいのは、この規制する基準が大変難しい。このゲームソフトの度合いをどう計るかというのは客観的にはなかなか計りにくい部分がありますので、これは児童福祉審議会の専門家の皆さんに、やはりきちっと見ていただいてご判断をまず一義的にお願いして、それで私も最終的にその方向でいいと思ったら指定をしていくという、こういう形を取りたいと思っています。それで、青少年保護育成条例のことは、前の首都圏サミットでも議論していますが、例えば、多摩川を越えて向こうへ行けば、そのソフトが買えるというのでは、今、例えば新宿や渋谷に買い物に行く子も多いわけでそれは機能しなくなりますので、最低限、首都圏全体で同じような規制ができるように、私はまた首都圏連携の一環として、この問題も提起していきたいと考えております。
Q: それは、把握はどうされるんですか。ゲームソフトってものすごく膨大なものが・・・。
A: そうですね。だから、最初から一挙にすべてというのはできないかもしれませんが、特に問題となっているソフトというのは声が上がってきますよね。このソフトはちょっと中身がきついじゃないかと。そういうものを常に審議会でも見てもらうようにして、県としてはきちっと規制していくと。その場合には陳列の規制の中に入りますので、ボックスのような形にするか、まあ本の場合はビニールに包むような形にして、中を見えないようにするわけですけれども、店での陳列も当然規制対象になるということですね。
Q: 雑誌類は包括指定だったと思うんですが、ゲームは個別指定という形で。
A: これも児童福祉審議会の皆さんにも諮って相談しなければいけないと思いますが、ゲームの場合は個別でやらざるを得ないんじゃないかと思います。ただああいうものもシリーズで出てるわけですよね。私もあまり見たことがないので、これを機にですね、自分自身も見てみたいと思っています。うちは二人とも女の子なんで、あまりそういうゲームソフトは家にないんですよね。ちょっと勉強してみたいなと思っています。
Q: 5月の審議会でまずお示しするということですけれども、実際指定するのはいつごろになりそうなんですか。
A: まだちょっと分かりません。例えば先程言ったように5月の審議会にどこまでのソフトを委員の方に見ていただけるかということも、まだ、私のところでは把握していませんので、指定時期がいつになるかはまだ決めているわけではありません
Q: 基準というのは、委員の方に、何か明文化して作ってもらうのか、それとも見てもらってその時の判断に委ねるのか・・・。
A: 県が今持っている大まかな基準はあるんですよ。だからその範囲でまず判断をしてもらうということですよね、それに照らし合わせて。たぶん、これは例えば、そういう描写が何秒以内とか、そんなところまで作っていっても、これ計り切れないと思うんですよね。ちょっとその辺もまだ細かくは・・・。
Q: 全部クリアしないと審査できませんと・・・。
A: そうですね。
Q: 雑誌とかはですね、コンビニで見ないようにビニールを掛けるというのは分かるんですけど、ゲームソフトはですね、どういうふうな扱い、要するに免許証とか、免許証は駄目ですよね。何か身分証明書を提示しないと買えないとか、そういう方向で使うんですか。
A: これも店舗の在り方によると思いますが、例えばレンタルビデオ店みたいな所で借りる場合がありますよね、そういう所はかなり面積が広いので、ボックス型に区切ってもらうというのが一つのやり方だと思います。
Q: それはつまり青少年には貸さないということですか。
A: そうですね、18歳未満はこのボックスには入れませんとか、そういうやり方ですよね。ただコンビニとか小さな書店になると、本の場合はビニール包装でかなり抑止できると思いますが、そういう所ではまずレンタルはやってないでしょう。ですからそうすると、販売している所、レコード店とか玩具店みたいな所、そういうところではやはりボックスを設けてもらうか、あるいは18歳未満は買えませんという棚を設けてもらうかして、区分陳列の方法になるのではないかと思います。ちょっとその辺もまだ具体的な検討までいってないのですが、今後詰めていきたいと思います。
Q: 首都圏で呼び掛けるというやり方は、どういうふうに呼び掛けて、範囲はどのくらいを考えているんですか。
A: 青少年保護育成条例の統一化というのは、もう前々回の首都圏サミットから議論をしてまして、概ねその方向でやってるんですね。今度の首都圏サミットでは、その有害図書の中のゲームソフト類、ビデオ類もきっちりと規制の対象にして、できるだけ共同の基準を作っていこうと、こういう議論になると思います。範囲は首都圏サミットに参加している自治体の範囲になると思います。
Q: 青少年への影響を考えると、規制以外には方法はないというふうにお考えなんでしょうか。
A: これは青少年保護育成条例の条文を使った規制ですよね。有害図書の中にそういうものも含めて、その規制の仕方はこういうルールでいきましょうというのを設けるわけで、今後やはり青少年の犯罪に、こういうゲームソフトみたいなものがかなり結び付いているということが、きちっと調査分析して証明できるようになれば、私は国全体としての、何らかの法的な措置というものも必要になってくるんではないかというふうに思います。
Q: 今回有害指定をするという方針に先立って、例えば業界団体への個別の協力依頼とか指導とか、そういったものはされていたんでしょうか。
A: 県の方でも、作っている団体だけではなくて、販売している方、コンビニエンスストア協会だとか、かなり話し合いをしています。ただ、法律で作ってはいけないと規制されていない限り出回ってしまいますので、いたちごっこになっている部分があるんだと思います。
Q: 具体的な調査とかで、本当にゲームの影響があるのならば法律で規制することもというふうにおっしゃいましたけれど、条例の場合はそういう調査がなくてもやっていいというふうにも聞こえかねなかったんですけれど・・・。
A: どういうふうに調査、分析をするかというのは難しいんですが、もう国の方でもある意味で全体規制を考える時期だと私は思ってます。そういうふうに言った方が正確かもしれません。
Q: ジェット機で橋の下をくぐるゲームというのは規制の対象になり得るんでしょうか。
A: 県が作っている基準を見ると、それはなかなかならないですね。例えば暴力シーンだとか過激な性描写だとか、そういうのではないですからね。まあ、だから、その辺もちょっと審議会の方でも少し相談してみたいと思ってます。どういうふうにやっていったら一番効果的なのかですね。
Q: 今おっしゃった例はあれですよね、橋をくぐってみたいという話と、飛行機を乗っ取ってしまえとか、乗り込んでしまえというふうなところにものすごいギャップがあって、例えば人をひたすら殴っていくゲームをやって、何か殴るようになっちゃったというのは割と結び付きは分かりやすいですけれども、さっきのやつは・・・。
A: だから私はその例が問題だというのではなくて、要するにバーチャルとリアリティーの区別がつかなくなって、ゲームに感化されて、「ああいうこと、自分もできるんだな」と思って犯罪に走ってしまうと、誘発していると、そういう一つの例で出しただけであって、別にほかの例でもいいわけですけれども。
Q: 業界団体が自主的にやっているあのR指定とかありますよね。ああいったものなんかも一つの基準というか・・・。
A: そうですね。業界の方で自主規制のようなものをきちっとつくってもらえれば、一番ありがたいですね。やはり自由主義経済、社会ですから、表現の自由というのも当然保障されているわけでありますが、ただ、それは公共の福祉に反するような表現の自由というのは当然そこは制限があるべきであって、それを民間に任せ、当事者に任せていたのでは進まないからということで法律を作るわけですよね。本来であれば、法的な措置にいく前にですね、業者自身も自分たちの影響力というのを勘案して、自分たちで超えてはいけないラインを自ら議論して設けておくということが本当は望ましいんだと思います。ただ、今、こういうものは儲(もう)けられればいいということで、さまざま規制の網をくぐり抜けて、いろんな知恵を働かせて商売する方もかなり多いので、そういう意味ではきちっとした基準を行政の方で作らざるを得ないのかなというところですよね。

知事へ電子メール(メールフォーム)
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松沢成文
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松沢成文知事を選挙で選んだ神奈川県のみなさん、ほんとうにこれでいいのでしょうか。
バーチャルとリアリティとの区別ができていないのは松沢成文知事の方では無いでしょうか。
公職に就いている松沢成文知事には日本国憲法を遵守する憲法上の義務がありますが、その義務を松沢成文知事が果たすことができないのであれば、日本はやはり民主主義国家ですから、民主主義国の主権者である国民が、次回の知事選挙の投票日に、投票によって国民の公権力に対する命令=憲法を守らせるしかないのではないかと思います。
いずれにせよ、松沢成文知事の発言は問題であり、多くの人による議論が求められていると思います。
 
ダイアリー・ウェブログのコメントいろいろ。
 

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