メディアの裏側(第七回)

 
今回もなかなか。
「毎日の記者が退席した時なぜ全社が退席しなかったのか」という問いかけは、今のマスメディア関係者にそのままそっくり指摘できる問題のように思います。
自分さえチヤホヤされたい。そのためになら業界全体の自由なんてどうでもいい。そういう残酷なエゴイズムがマスメディアの中に蔓延していないでしょうか。
 

国会TVマガジン No.1509 1/31
メディアの裏側(第七回)
第二章 「記者クラブ」というギルド社会司法記者クラブ(3)
http://backno.mag2.com/reader/BackBody?id=200502012010000000021957000

私が司法記者クラブを離れた後で後輩の記者からこんな話を聞いた。ロッキード事件の翌年に起きたダグラス・グラマン事件で、毎日新聞が朝刊一面でスクープ記事を掲載した。それは取り調べ検事から直接情報を得て書かれた記事と思われた。
その日の記者会見で検察幹部は、「毎日の記者はいるか。毎日の記者がいる限り、俺はしゃべらん」と言った。しばらく沈黙が続いたという。
どの社の記者も黙ったままだった。十分ほどして毎日新聞の記者が立ち上がり、「退席する理由はないと思いますが、他社に迷惑をかける気はないので、退席します」と部屋を出ていった。その後何事もなかったように会見が始まったという。
その話を聞いて、毎日の記者が退席した時なぜ全社が退席しなかったのか、なぜ全社で毎日新聞のスクープを擁護しなかったのかと思った。
特ダネを取られたねたみなのか、検察からにらまれて情報提供をされなくなる事が怖いのか、しかしそれでは自らの首を絞める結果になる。そう思った。

 
過去ログ。
 

メディアの裏側・司法記者クラブ:権力の現場
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050128#p1
国会TVマガジン:メディアの裏側
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050106#p1

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