東京都:青少年問題協議会「答申」の意見を募集(その2)

渋井哲也さんが、意見を出したそうです。なるほど。
 

都条例改正に反対する「都民意見」を出しました
http://d.hatena.ne.jp/hatesbtetuya/20050128/p1
「有害」情報へのフィルタリングをする条例改正への疑問
http://sbtetuya.tea-nifty.com/megane/2005/01/post.html

 
たしかに東京都の提案は子どもの意見表明権を限定し過ぎているし、子どもの権利条約で求められているポジティブリソースの拡大についての提案に欠けています。
 

子どもの権利条約の「意見表明権」、ポジティブリソース
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jido/zenbun.html

第12条
1 締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。
2 このため、児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手続において、国内法の手続規則に合致する方法により直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる。
第17条
締約国は、大衆媒体(マス・メディア)の果たす重要な機能を認め、児童が国の内外の多様な情報源からの情報及び資料、特に児童の社会面、精神面及び道徳面の福祉並びに心身の健康の促進を目的とした情報及び資料を利用することができることを確保する。このため、締約国は、
(a) 児童にとって社会面及び文化面において有益であり、かつ、第29条の精神に沿う情報及び資料を大衆媒体(マス・メディア)が普及させるよう奨励する。
(b) 国の内外の多様な情報源(文化的にも多様な情報源を含む。)からの情報及び資料の作成、交換及び普及における国際協力を奨励する。
(c) 児童用書籍の作成及び普及を奨励する。
(d) 少数集団に属し又は原住民である児童の言語上の必要性について大衆媒体(マス・メディア)が特に考慮するよう奨励する。
(e) 第13条及び次条の規定に留意して、児童の福祉に有害な情報及び資料から児童を保護するための適当な指針を発展させることを奨励する。

 
トラックバックをみたらwww.kojinjoho.orgでも都の提案について議論がなされている模様。
 

個人情報保護
http://www.kojinjoho.org/

子どもを無知にしようという政策に反対します
http://www.kojinjoho.org/kodomo/internet/

 
私も仕事で中学生や高校生に指導する機会がありましたが、子どもは大人が想像するよりも情報に対してかなり柔軟です。
個人的には、東京都が考えている問題は、子どもの問題ではなくて、実は大人の情報に対するリテラシーの問題、あるいはフィルタリング業界の利益拡張戦略の問題なのではないかとも思っていたりします。
ほら、「口臭が気になりますねぇ」とかCMで大量に宣伝して香料入りの水の購買意欲をかきたてて大量に売りさばくメーカーがあったりしますが、それと同じようなことがフイルタリング業界にもあるのではないかと。
 
それから、「淫行」規定の創設ですが、テレビニュースなんかで女子高生にインタビューして「いいんじゃない? エンコーとかやっている子もいるし」とか言わせて東京都の提案を肯定的に報道していましたが、アレって明らかにミスリードですよね。
誤解のないようはっきり書いておきますが、別にお金のやりとりが一切無くても「淫行」で処罰されるんですよ、今回の提案は。援助交際児ポ法の適用があって既に規制済み。今回の東京都の提案は、お金のやりとり一切無しでも、処罰されるかもしれないってあたりがポイントです。
たとえば、ラブホテルから17歳の女性と20歳の男性のカップルが出てきたところを、点数ノルマに追われた警察官が「おまえのセックスは淫行だ。逮捕する」と男性を逮捕しても、淫行ではないことを男性が証明できなれば100万円の罰金になってしまうかもしれないわけです。
「恋愛の場合は淫行ではない」と東京都は判断しているようですが、そんな基準は条例の中にも国家公安委員会規則にもどこにも明文化していません。
百歩譲ってこれからそういう明文ルールを作ると仮定しても、恋愛を東京都が定義しなればならなくなるということに変りありません。
恋愛の定義を東京都知事や渋谷署の少年課長とかが実質的に決定する。それって異常なことだとは思いませんか?
異常だから、過去2回の青少年問題協議会は淫行処罰規制案を廃案にしてきたわけですが、第2期石原知事では淫行条例会議派を排除してそれをやってしまった。
まあ選挙に投票した都民が悪いと言ったらそれでおしまいですが、それでも異論反論が全く無いなかで規制されるのと、異論反論が続出している中で規制されるのとでは、条例を執行する当局の態度が違ってきますから、意見を出すことには意味があると思います。
 
この問題の過去ログ。
 

東京都:青少年問題協議会「答申」の意見を募集
東京都青問協答申:性交とネットアクセスの制限義務を盛り込んだ条例改正を提案
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050125

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■参考情報
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http://blog.goo.ne.jp/egrettagarzetta/e/9f69df034f64a69e40d2ccb6e12c8914

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■追補2005.02.03
  
青少年性行動委の報告や青問協答申の問題点や背景などが議論されています。
 

メディカルトリビューン
http://www.medical-tribune.co.jp/
セクシャルサイエンス
http://www.medical-tribune.co.jp/ss/index.html
2005年2月号:
座談会「中学生以下セックス禁止」条例とは?
東京都「青少年の性行動」委員会の実際と背景
http://www.medical-tribune.co.jp/ss/2005-2/ss0502-1.htm

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