東京都次世代育成支援行動計画

 
宮澤内閣の時に作られたエンゼルプランの次世代政策のための制度として昨年作られた次世代育成支援対策推進法という法律があります。この法律では全地方自治体に自治体ごとの次世代育成支援計画を策定することになっています。
と、ここまでは良いのですが、東京都で策定される「次世代育成支援東京都行動計画」の中間取りまとめである「次世代育成支援東京都行動計画に関する検討状況」には、子どもの安全と安心を確保という名目で、「青少年健全育成条例に基づく、青少年の環境の整備促進」がこっそり盛り込まれてしまっていることが判明しています。
もし仮に東京都が指摘するように「都内の犯罪被害に占める少年の割合は、全国に比べて高くなって」いたとすれば(という認識にも疑問がありますけれど)、既存の行政がそのような状況を回避できなかったということであり、そういう状況を作ってきた青少年健全育成条例は廃止するべきであって、継続させるとの前提で「青少年の環境の整備促進」をすすめるとの計画は矛盾しています。
尚、次世代育成支援対策推進法地方自治体に計画の策定を求める義務規定の施行は、今年の4月1日であり、未施行です。未施行法を施行されたたとの前提で計画を策定している東京都の動向には疑問があります。
 

「次世代育成支援東京都行動計画に関する検討状況」全文
テキスト版
http://www.metro.tokyo.jp/INET/BOSHU/2005/01/22f17101.htm
http://www.metro.tokyo.jp/INET/BOSHU/2005/01/22f17102.htm
http://www.metro.tokyo.jp/INET/BOSHU/2005/01/22f17103.htm
http://www.metro.tokyo.jp/INET/BOSHU/2005/01/22f17104.htm
http://www.metro.tokyo.jp/INET/BOSHU/2005/01/22f17105.htm

5.子どもの安全と安心を確保し、子育てを支援する環境づくり
(1)子どもを犯罪等の被害から守るための活動の推進
都内の犯罪被害に占める少年の割合は、全国に比べて高く、特に、凶悪犯、性犯罪の被害割合が高くなっています。
こうした状況に対応し、子どもと子育て家庭の不安をなくすため、子どもを犯罪被害から守る取組を強化していきます。
・学校、警察、関係機関の連携による、子どもや保護者に対する防犯教室の実施
・子どもを犯罪から守り、非行防止を図るためのセーフティ教室の実施
青少年健全育成条例に基づく、青少年の環境の整備促進
・ハイテク犯罪等に巻き込まれないための情報モラル教育の充実 など

http://www.metro.tokyo.jp/INET/BOSHU/2005/01/22f17106.htm
PDF版:1.3MB
http://www.metro.tokyo.jp/INET/BOSHU/2005/01/DATA/22f17101.pdf

次世代育成支援対策推進法(平成十五年七月十六日法律第百二十号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H15/H15HO120.html

(目的)
第一条  この法律は、我が国における急速な少子化の進行並びに家庭及び地域を取り巻く環境の変化にかんがみ、次世代育成支援対策に関し、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業主及び国民の責務を明らかにするとともに、行動計画策定指針並びに地方公共団体及び事業主の行動計画の策定その他の次世代育成支援対策を推進するために必要な事項を定めることにより、次世代育成支援対策を迅速かつ重点的に推進し、もって次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、かつ、育成される社会の形成に資することを目的とする。
(定義)
第二条  この法律において「次世代育成支援対策」とは、次代の社会を担う子どもを育成し、又は育成しようとする家庭に対する支援その他の次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、かつ、育成される環境の整備のための国若しくは地方公共団体が講ずる施策又は事業主が行う雇用環境の整備その他の取組をいう。
第二節 市町村行動計画及び都道府県行動計画
第九条  未施行
附 則
(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から施行する。ただし、第七条及び第二十二条第一項の規定は公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から、第八条から第十九条まで、第二十二条第二項、第二十三条から第二十五条まで、第二十六条第一号から第三号まで及び第二十七条の規定は平成十七年四月一日から施行する。

 
ちなみに今年の4月1日から施行される第九条はこういう感じです。
次世代育成支援計画は各自治体で作られることになっていますので、東京都のようにどさくさにまぎれておかしな内容を盛り込むことがないよう、監視と参画が必要だと思いわれます。
 

都道府県行動計画)
第九条 都道府県は、行動計画策定指針に即して、五年ごとに、当該都道府県の事務及び事業に関し、五年を一期として、地域における子育ての支援、母性並びに乳児及び幼児の健康の確保及び増進、子どもの心身の健やかな成長に資する教育環境の整備、子どもを育成する家庭に適した良質な住宅及び良好な居住環境の確保、職業生活と家庭生活との両立の推進その他の次世代育成支援対策の実施に関する計画(以下「都道府県行動計画」という。)を策定するものとする。
2 都道府県行動計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
 一 次世代育成支援対策の実施により達成しようとする目標
 二 実施しようとする次世代育成支援対策の内容及びその実施時期
 三 次世代育成支援対策を実施する市町村を支援するための措置の内容及びその実施時期
3 都道府県は、都道府県行動計画を策定し、又は変更しようとするときは、あらかじめ、住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。
4 都道府県は、都道府県行動計画を策定し、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表するとともに、主務大臣に提出しなければならない。
5 都道府県は、毎年少なくとも一回、都道府県行動計画に基づく措置の実施の状況を公表しなければならない。
6 都道府県は、都道府県行動計画の策定及び都道府県行動計画に基づく措置の実施に関して特に必要があると認めるときは、市町村、事業主その他の関係者に対して調査を実施するため必要な協力を求めることができる。

 
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