町山ダイアリー画像削除問題:株式会社はてなに対する公開質問

町山ダイアリー画像削除問題について、はてなスタッフの規約運用と、画像掲載・論評の自由について考えるため、私がはてなに対して送った「問い合わせ」を公開します。

北野桂
ki@tree.odn.ne.jp
はてな会員(市民権あり)のid:kitanoです。
id:TomoMachi:20041106 で紹介されている、はてなスタッフ田中氏がid:TomoMachi:20041030 に対し“利用規約(6)禁止事項の第1項”を適用した規約の運用について、問い合わせをします。
id:TomoMachi:20041106 で紹介されている、はてなスタッフ田中氏の規約運用は事実でしょうか?
仮にそのような運用が事実だとすれば、当該掲載写真によってのみ可能な公正な論評を不当に妨げており、当該運用によって保護される益よりも公正な論評の喪失によって失われる益の方が大きく、言論を過剰に制限することになるという意味において、疑問を感じます。
株式会社はてなは、“利用規約(6)禁止事項の第1項”の運用につき、今後も同様な判断を続けるおつもりでしょうか?
株式会社はてなの“利用規約(6)禁止事項の第1項”の運用をイラクの人たちが知ったら、イラクの人たちは株式会社はてなをどう評価するでしょうか? イラク国民からありがとうと感謝されるでしょうか? それともアメリカの侵略の事実を隠蔽する会社だと憎悪が生れるでしょうか? そのような想像力は株式会社はてなに今後も期待できず、事実に対する論評の自由は事実上制限されると理解してもよろしいでしょうか?
当方としては、id:TomoMachi:20041106 で紹介されているid:TomoMachi氏からはてなスタッフ田中氏に対する返信の見解に同感であり、はてなスタッフ利用規約(6)禁止事項の第1項のはてなスタッフ田中氏の運用に関し、公正な論評の不当に妨げているのではないかとの疑問について、株式会社はてなから釈明があれば伺いたいと思います。
 
尚、この問い合わせとその回答は、ダイアリーなどで一般に公開されることを申し添えます。

同じ疑問を持った方は、よろしければ同様な問い合わせをはてなダイアリーに送っていただければ幸いです。(上記質問の著作権は放棄しますので、適当に編集して使っていただいてかまいません)

株式会社はてな
はてな質問箱 問い合わせフォーム
http://www.hatena.ne.jp/faq/q?c=9
はてな利用規約(2004年4月12日最終改定)
http://www.hatena.ne.jp/help/rules

(6)禁止事項
本サービスにおいて、ユーザー各位が行ってはいけない禁止行為は次の通りです。
本規約ならびに法令、公序良俗に反すること、他人が持つ特許権実用新案権意匠権、商標権、著作権などの知的財産権やその他の権利を侵害すること、他人の名誉を毀損すること、他人のプライバシーを侵害すること、民族・人種差別に繋がること、犯罪を引き起こすおそれのあること、他人に精神的、経済的損害を与えること。

はてな情報削除ガイドライン
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%a4%cf%a4%c6%a4%ca%be%f0%ca%f3%ba%ef%bd%fc%a5%ac%a5%a4%a5%c9%a5%e9%a5%a4%a5%f3

わたしの感情は死体写真に嫌悪感を感じています。
しかし私の理性は削除すべきだとは判断しません。
なぜか。
嫌悪感の根源は死体というオブジェそのものではなく、罪無き人が他者に生命を奪われたこと、そして生命を奪った側に自分が立たされていることに由来していると私の理性が私の感情に訴えているからです。
感情的な善意が、常に善なる行為を為すとは限りません。いや、むしろ善意だからこそ悪なる行為を自分でやめることができない。「テロとの戦争」はまさにそのようなものではありませんか。
私の死体写真の嫌悪感の根源は、そのような死体を作った人間の悪意がそこにあるということに由来する嫌悪感、あるいは自分の理解できない他者の悪意によって自分もそうなったとしたらたまらないという恐怖感です。
たとえば、私は先日、病院で知人の死の瞬間を看取りました。そして知人の死体を見ました。病気と何箇月も病気と戦って苦しみぬいて命尽きた知人のの死体には、敬意は感じこそすれ、嫌悪は感じません。死ぬほど苦しかったのによくもあれだけ生きることを全うできたものだと尊敬し、誉めてやりたいぐらいです。自然死の死体からは、悪意に由来する嫌悪感は生れません。
私は、削除された画像で表現されていた、あのような死体を作った悪意を決して許しはしません。だから、たとえ死体写真が削除されても、少なくとも私の心の中で写真を削除したりはしませんし、削除したくてもできません。
加害事実を忘れることが加害者にとって罪であるように、加害者になんらかの形で「支援」してしまっている国民が加害事実を削除することもまた、罪であると思います。
誰か、死体画像を削除できますか、私の心のまで?
できるものならやってごらんなさい。
削除すべきだと言った人たちは永遠に負けつづけることでしょう。

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私の個人意見ですが、町山さんは自分で削除しないで株式会社はてなに削除させて踏み絵を踏ませるという選択肢もあったと思うナァ。
個人の判断なので批判めいたことは言いませんが、もし私が同じ立場だったらはてなに削除させた方が議論しやすいし、自分の立場も説明しやすいのではないかと考えると思います。ケースバイケースで、削除した方がメリットが大きい場合もあるとは思いますが。

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