衆院青少年問題委員会関連情報

衆院青問委で審議された「青少年育成施策大綱」にはメディア規制や私権制限の項目を含んでいますので、「大綱」の施行状況と改訂の動向には要注視。
たとえば、「大綱」には非行少年の家族への働きかけとして「保護者の再教育」という項目がありますが、これは強制収容所に不健全な家庭の親を収容し、隔離し、再教育という名目で説教したり反省文を毎日書かせるなどの事実上の懲罰と制裁を加える措置を想定したものです。
前任の青少年担当大臣の「市中引きまわし」発言は有名ですが、再教育という言葉は中国の再教育*1などを連想させることもあり、信頼できません。個人の価値観に介入できるという前提で「再教育」なる言葉が使われているのだとすれば、個人の尊厳を憲法の基本原理としている日本では問題だと思います。
現時点では「大綱」で書かれた内容の多くは法的根拠が無く、単なる「設計図」にすぎません。あくまでも現時点では。だからこそ、設計図に基いて法律、官僚組織、予算がつくられる前に政府や議会が「大綱」の設計図をどう取扱うのかを監視しする必要があります。

第159回国会 青少年問題に関する特別委員会 第6号(平成16年6月3日(木曜日))
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/007315920040603006.htm

○上川委員
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 一昨日起きました佐世保女児殺害事件、大変大きな衝撃を与えました。犠牲になられました御手洗怜美さんに、心から御冥福を申し上げるところでございます。
 この二日間に、この事件の背景ということで、インターネットによるチャットという形で、エスカレートした言葉で、友達を殺害するまでに至るというような、原因が次第に明らかになってまいりました。コンピューターによるコミュニケーションの持つすさまじい力と、そして、この分野におきましては、法整備も含めまして秩序がまだしっかりと確立していないということでございます。そうしたバーチャルな世界に子供たちが巻き込まれている。本当にすさまじい現実を見せつけられたわけでございます。
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先週、当委員会におきまして、また、衆議院の本会議におきまして、児童買春、児童ポルノの禁止法の改正案が採択されたわけでございます。この法律は、四年前に成立したわけでありますが、議員立法という形で成立したものであります。その背景には、国際社会からの日本に対する強い批判があったものと聞いております。
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 そこで、この法律が施行されて以降、この間の取り組みの状況につきましてお尋ねさせていただきたいと存じます。
 この法律で検挙された買春、ポルノ犯罪、それぞれの件数も含め、国外犯の検挙の状況、また、取り締まり上の問題点とそれに対する警察の対応、また今後の取り組みなどにつきまして、今回、改正案ということで出させていただきましたので、その新しい課題も含めましての取り組みの方針等につきまして、警察庁の方からお願いを申し上げます。
○伊藤政府参考人 お答えいたします。
 平成十一年十一月の児童買春、児童ポルノ禁止法施行後、平成十五年末までに検挙しました児童買春事件は、六千四十八件、三千九百十四人に上っております。また、児童ポルノ事件では、七百四十三件、六百七十一人を検挙したところでございます。また、国外犯の事件につきましては、児童買春事件が三件三名、児童ポルノ事件が二件八名の、計五件十一名を検挙しているところでございます。
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 しかし、最近におきます児童買春事案や児童ポルノ事案は、IT技術や出会い系サイトなどを利用した新しい形態の犯罪が発生しているという状況にありますことから、警察といたしましては、これらのITあるいは出会い系サイトといった問題に対しまして、サイバーパトロールの強化や捜査技術の向上に努めているところでございます。
 また、警察庁におきましては、本年四月、情報技術犯罪対策課*2を新設いたしまして、ネット社会における児童買春、児童ポルノ事案の捜査体制を強化し、取り締まりの徹底と児童の保護に努めているところでございます。
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○葉梨委員 おはようございます。自由民主党葉梨康弘です。
 十分しか時間がありませんので、早速質問をさせていただきます。
 六月一日に、長崎県佐世保で、小六の女子が同級生をあやめるという痛ましい事件が発生いたしました。私も、小六の女子の父親として、人ごとではないなというふうに思います。実は、これは昨年も長崎ですけれども、十四歳未満の中学生でしたけれども、凶悪事件が発生した。
 このような触法少年の事件が発生した場合に問題となる論点ですけれども、一つは、触法少年に対する調査の問題があります。それからもう一つは、親の責任という問題があろうかと思います。
 それで、十四歳に満たない触法少年がこういった凶悪事件を起こした場合の調査の仕組みを検討することについては、昨年十二月の青少年育成施策大綱、これに記載されて、現在、法務省を中心にプロジェクトチームが設けられると聞いております。これについては、きょうは質問はいたしません。
 ただ、この問題というのは、単に刑事責任年齢を引き下げればそれで済むという問題ではなくて、やはり、私個人的には、多方面からの検討が必要だろうというふうに思っています。
 もう一つの、保護者の責任の問題があるんです。これは、親の責任という論点について、実は、昨年、鴻池大臣が非常に過激な発言をされたものですから、逆に誤解をされてしまった面があろうかと思います。
 ただ、私個人的に考えているのは、親を罰するということじゃなくて、例えば親としても被害者に対して謝罪をする、あるいは、これまでの家庭教育のあり方について真摯に反省する。場合によっては、イギリスみたいに、親に対してカウンセリングをさせるという仕組みもあるやに聞いているんですけれども、これについて、昨年の青少年育成施策大綱では、「非行少年の家族への働きかけ」として、保護者の再教育等を念頭に、実効性を確保するための介入などの仕組みについて検討すると書いてあります。

第159回国会 青少年問題に関する特別委員会 第5号(平成16年6月1日(火曜日))
第5号 平成16年6月1日(火曜日)
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/007315920040601005.htm

 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案起草の件

コンピューターによるコミュニケーションの分野において法整備も含めた秩序がまだしっかりと確立していない? 冗談は休み休み言えと。


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*1:再教育の例 http://www.faluninfo.jp/2004/04/html/040430_phss.htm  中国政府の法輪功迫害死亡例は http://www.faluninfo.jp/phss.htm を、最新情報は http://www.faluninfo.jp/alldoc.htm を参照

*2: 警察庁情報通信局技術対策課 http://search.e-gov.go.jp/servlet/Organization?class=1050&objcd=100120&dispgrp=0080 「所掌事務 電磁的記録の解析その他情報通信の技術を利用する犯罪の取締りのための情報通信の技術に関する事務をつかさどる。総括部署の電話番号 03-3581-0141(代表) 」