国連版青少年健全育成・リャド・ガイドライン

佐世保同級生殺害事件をうけ、国会ではリャド・ガイドラインが議論されたようです。まだまだ足りないですが、いい傾向です。

少年非行の防止に関する国際連合指針(リャド・ガイドライン
http://homepage2.nifty.com/childrights/international/juv_justice/riyadh_guidelines.htm

5.進歩的な非行防止政策と、措置を体系的に研究および策定することの必要性と重要性が認識されるべきである。これらの政策および措置においては、子ども本人の発達にとって深刻な妨げとならず、または他人を傷つけないような行動について子どもを犯罪者扱いおよび処罰することを避けなければならない。そのような政策および措置においては次のような対応がとられるべきである。
(a) 青少年の多様なニーズを満たし、かつ、あらゆる青少年、とくに、目に見えて危険にさらされておりまたは社会的に危険な状態に置かれていて特別なケアと保護を必要とする青少年の、人格の発達を保障する支えとなるような枠組みとして機能する機会、とくに教育上の機会の提供。
(b) 違反を犯す動機、必要および機会、または違反を生じさせる条件を減少させることを目的とした法律、手続、制度、施設およびサービス提供ネットワークを基盤とする、非行防止のための専門的な理念とアプローチ。
(c) 第一義的には青少年の総合的利益のために追求され、かつ公正および公平を指導原理とする公的介入。
(d) あらゆる青少年の福祉、発達、権利および利益の保護。
(e) 社会の全体的な規範や価値観に一致しない青少年の行動または行為は、成熟および成長の過程の一環であることが多く、かつ、ほとんどの場合はおとなになるにしたがって自然に消滅する傾向にあるという考慮。
(f) 専門家の支配的見解によれば、青少年に「逸脱者」、「非行少年」または「非行予備軍」というラベリングを行なうことは、青少年による望ましくない行動パターンの固定化を助長することが多いという認識。
6.少年非行の防止のための、コミュニティを基盤とするサービスとプログラムが、とくにいかなる機関も設置されていない地域において開発されるべきである。社会統制のための公式機関は最後の手段としてのみ利用されなければならない。
 
IV.社会化の過程
D.マスメディア
43.マスメディア一般ならびにとくにテレビおよび映像メディアは、ポルノグラフィー、薬物および暴力の描写水準を最低限に留め、かつ暴力および搾取を好ましくないものとして描くとともに、とくに子ども、女性および対人関係について品位を傷つけかつ侮辱的な表現を行なわないようにし、かつ平等主義的な原則と役割を促進するよう奨励されるべきである。

United Nations Guidelines for the Prevention of Juvenile Delinquency
(The Riyadh Guidelines)
http://193.194.138.190/html/menu3/b/h_comp47.htm

「描写しないこと」ではなく「描写水準を最低限に留め」ること、「暴力および搾取を好ましくないものとして描く」ことについて「しなければならない義務である」でなく「奨励されるべきである」こと。
外交文書ではこうした表現の書き分けによって、思想信条の自由や言論表現の自由が確保されることが前提となっていることに、私たちは留意して読む必要があります。


第159回国会 青少年問題に関する特別委員会 第6号(平成16年6月3日(木曜日))
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/007315920040603006.htm

○水島委員
 まず、大臣は、一九九〇年に決議されました少年非行の防止に関する国際連合指針、いわゆるリヤド・ガイドラインを御存じでいらっしゃいますでしょうか。
○小野国務大臣 先生今おっしゃいましたリヤド・ガイドラインというのは、少年が犯罪を生み出さないような態度をはぐくむように、幼児期から人格を尊重し、向上させ、調和のとれた思春期の成長を確保するために社会全体が努力することを基本原則といたしまして、そのもとに一般的な防止策、家庭の教育あるいはコミュニティーなどのさまざまな社会化の過程の中で、青少年を対象といたしました社会政策及び立法、少年司法運営といったさまざまな分野に指針を定めているものでございまして、このガイドラインは、少年非行の効果的な防止を図る観点から、専門的見地からも含めて幅広く検討されて策定されたものと受けとめているところでございます。
○水島委員 では、大臣といたしましては、今かなりこのリヤド・ガイドラインを御評価いただいているというような御答弁でございましたけれども、これが少年非行の防止のための指針といたしまして、一〇〇%というのは難しいかもしれませんが、とりあえず必要十分なものだというような御認識をお持ちでしょうか。
○小野国務大臣 認識といたしましては、十分にそれを心しているものでございます。
○水島委員 先ほど大臣が御紹介くださいましたように、非行の防止と簡単に言いましても、これだけ多くの取り組みが必要とされるわけでございまして、ということは、それだけ子供たちが複雑な要因の影響を受けて育っているということであると思います。
 このガイドラインを見ましても、いろいろな方面にわたって書かれてはおりますけれども、私は、そこに感じられるのは一貫性ということだと思います。大人社会から一貫性のない気まぐれなメッセージを受け取るということは子供たちを混乱させることになりますし、それこそ、大臣がおっしゃった子供たちの倫理観や規範意識というものをまた混乱させていくことになるのではないかと思っております。
 ですから、私は、このリヤド・ガイドラインに従ってきちんと国内のいろいろな制度を整えていくということが政治に問われている責任ではないかと思っておりますけれども、この国連の子どもの権利委員会でことしの一月三十日に開かれました第九百四十六回の会合で、日本の第二回定期報告書への総括所見を採択しているわけでございますけれども、この総括所見の中でも、リヤド・ガイドラインの全面的実施を確保することが勧告をされているわけでございます。
 つまり、日本はまだこれをきちんと全面的に実施していないということが言われているわけでございますけれども、この必要性を十分認識してくださっている小野大臣といたしまして、どうやってこれを進めていかれるおつもりか、お聞かせください。
○小野国務大臣 水島議員御指摘のとおり、児童の権利委員会の最終見解におきまして、少年司法の分野におきまして、リヤド・ガイドラインの完全な実施を確保することが求められているわけでございます。
 このガイドラインの理念というのは、少年の保護、健全育成という我が国の少年司法と相通ずるものであると考えられておりますので、今後、最終見解やこのガイドラインの内容を、よく趣旨を精査いたしまして対応を検討してまいりたい、そのように考えているところでございます。
○水島委員 ということは、小野大臣がその作業をしてくださるということの確認でよろしいんでしょうか。
○小野国務大臣 つかさつかさの者と検討しながら、もちろん、私も全力を尽くしてまいりたいと思っております。
○水島委員 ちょっとここで確認としての質問になりますけれども、そもそも、日本において子どもの権利条約の遂行状況を監視している、その一番の責任主体はどこになっているんでしょうか。
○小野国務大臣 児童の権利条約の実施状況、このフォローアップにつきましては、条約の解釈、実施等、条約全般を担当するのは外務省でございまして、それと、青少年育成施策につきましては、企画立案、総合調整、こういうものを内閣府が連携をして行っているわけでございまして、今後ともこの連携を密にいたしまして、他の関係省庁との協力を得ながら対応してまいる所存でございます。
○水島委員 何か今のお答えだと、その担当は外務省というように聞こえますし、実際に、私もいつも、この子どもの権利条約に関していろいろなことを省庁に伺おうとしますと、それは外務省ですということで外務省の方がいらっしゃるわけでございます。外務省が日本においては子供の権利を守っていく主体なんだろうか、外務というのは本来違う仕事なんじゃないだろうかと、非常に疑問に思うわけですけれども、ことしのその総括所見の中でも、やはり「委員会は、条約の実施を監視する独立したシステムが全国規模で存在しないことを懸念する。」と書かれております。
 つまり、外務省がその条約の実施を監視する独立したシステムと言ってしまうのは余りにもおかしいのではないかと思うんですけれども、そういう趣旨での質問でございますので、もう一度お答えいただけますか。
○小野国務大臣 これは国際条約でございますから外務省という言葉が前面に出てまいりますけれども、青少年育成施策についての企画立案とか総合調整を行うのは内閣府の私どもでございますから、それは外務省が一、私たちが二ということではなく、世界の連携の中で外務省が窓口にはなりますけれども、実動いたしますのは私どもでございます。
○水島委員 ということは、日本で子どもの権利条約の遂行状況を監視していく一番の主体は小野大臣ということでよろしいんでしょうか。
○小野国務大臣 結構でございます。

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