公文書管理法案

内閣府
公文書等の適切な管理、保存及び利用に関する懇談会
http://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/
「公文書等の適切な管理、保存及び利用に関する懇談会」の開催について
http://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/kondankai01/kaisai.html

趣旨
 国の機関が作成し、又は取得した公文書等は、組織の活動記録であるだけでなく、国民にとっても貴重な記録であり、我が国の歴史を後世に伝えるための資料として不可欠なものであることから、これを体系的に保存することは、国の責務である。
 公文書等を適切に管理し、後世に残すべき価値のある歴史的に重要な公文書等の体系的な保存を行うとともに、国民の利用に供するための制度を整備することは、我が国における重要な課題である。
 このため、「公文書等の適切な管理、保存及び利用に関する懇談会」(以下「懇談会」という。)を開催し、諸外国の現状等を踏まえつつ、我が国にふさわしい公文書等の管理、保存及び利用に係る制度の在り方を検討することとする。

構成員
http://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/kondankai01/bessi.html
第1回 平成15年12月17日(水) 議事次第・配布資料 議事要旨[PDF形式]
http://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/kondankai01/index.html
http://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/kondankai01/youshi.pdf
第2回 平成16年1月26日(月) 議事次第・配布資料
http://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/kondankai02/index.html

公文書のデジタル化はかなり進んでいるのですが、デジタル情報の保存や蓄積は紙媒体がほとんどで、デジタル情報としては公文書の移管や保存が進んでいないのが現状です。
たとえば、内部的にはパソコンで文書処理しているのに、実際に保存される文書は紙に印字させた文書として作成・公表され、デジタルファイルは破棄または非公表情報になっています。
ですから、たとえば国民や政治団体が情報公開法で公文書の開示請求を出した場合、文書を作る過程でデジタル化されていても、公表・蓄積されている文書は紙媒体=アナログなので、紙媒体として文書が渡されますし、当然、複写費用A4一枚20円を国民は負担しなければなりません。これは、公文書館への移管の段階でも同じです。
ある特定の政策問題をきちんと検証しようとすると、最低でも紙媒体換算で2000枚ぐらいの請求が必要ですので、国民は4〜5万円程度を負担することになります。もし文書がデジタル化された状態で蓄積され、デジタル媒体で出力できれば、1/10以下の費用で済むはずです。ネット上からダウンロードできるようになれば、郵送費や窓口まで取りに行く経費も削減されるでしょう。
ということは、公文書のアナログ化をやめただけで、情報公開の資金の利用可能性が10倍以上に膨らむことになるわけです。
逆に言えば、自己保身しか考えていないゴミ官僚たちは、自分の都合の悪い情報公開請求が10倍に膨らむかもしれない、と考えるかもしれません。
これは、情報公開法とその実際の運用、機密管理のための内規、各省で作っている保存年限ルールとの関わる問題です。
自己保身しか考えていないゴミ官僚たちにとって、自分の都合の悪い情報公開請求が10倍に膨らむのを阻止し情報開示を現状維持するために、情報公開法とその実際の運用をさらに抑止し、機密管理のための内規を強化し、各省で作っている保存年限ルールより短くする可能性があります。
国民にとって文書開示が便利になればなるほど、官僚たちは自己保身のためにその利便性を無効化しようと文書作成制度が守られなかったり、文書作成制度が悪化するという問題が発生し得ます。
実際、情報公開法の施行時には、大量の文書が霞ヶ関でシュレッダーにかけられ、多くの貴重な文書が失われたという前例もあります。
福田内閣長官は第一回会合の席上、

政府は、歴史というものに対して責任がある。歴史の事実を、また史実を正確に保存するといったようなことも、これも国の責任であり、なおかつ国家として、国家のかたちづくりという観点からも大事なものではないか

と発言していましたが、たとえば、森内閣小泉内閣の文書は保存して、細川内閣や村山内閣の文書は破棄するといった恣意的情報蓄積によって、歴史なんていうものは容易に修正されてしまいかねません。
いかなる歴史も、存在する情報でしかその是非を判断できないのですから。
座長の高山正也氏は、記録管理学、図書館経営学の研究者で、デジタル化の第一人者と政府から評価されているようですが、情報公開法の運用実態とか、行政機密の運用実態についてどう理解しているのかはよくわかりません。
公平公正な情報蓄積をどうやって確保するのか、懇談会の議論を見守りたいところです。

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