犯罪対策閣僚会議が「治安行動計画」を策定

内閣府
・犯罪対策閣僚会議
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hanzai/index.html
・犯罪対策閣僚会議-根拠・構成員
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hanzai/konkyo.html
・犯罪対策閣僚会議第1回会合 9月5日
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hanzai/dai1/1gijisidai.html
(資料1)警察庁資料
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hanzai/dai1/1siryou1.pdf
(資料2)法務省資料
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hanzai/dai1/1siryou2.pdf
(資料4)今後の進め方について(案)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hanzai/dai1/1siryou4.pdf
(資料5)犯罪対策閣僚会議 幹事(案)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hanzai/dai1/1siryou5.pdf
・犯罪対策閣僚会議第2回会合 12月18日
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hanzai/dai2/2gijisidai.html
・小泉総理の動き 犯罪対策閣僚会議(第2回)
http://www.kantei.go.jp/jp/koizumiphoto/2003/12/18hanzai.html
「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hanzai/kettei/031218keikaku.html

(3) 少年に対する暴力団の影響の排除
 児童買春、児童ポルノ、薬物乱用等に関わる少年の福祉を害する暴力団犯罪、少年への暴力団への加入強要や脱退妨害等の取締りを強化するとともに、少年を対象とした暴力団と関わることの危険性についての広報啓発活動を推進し、少年に対する暴力団の影響を排除する。

(4) 深夜徘徊や家出を抑制するための取組の推進
 家出や深夜徘徊をする少年が深夜から翌朝の時間帯にかけて営業する飲食店、カラオケ店、漫画喫茶等を利用している現状にかんがみ、当該時間帯の少年の利用をさせないような措置を講ずるよう、関係事業者に要請する。また、関係法令等の厳正な運用により、家出少年等を輩出する温床となる営業形態の是正を図る。

(5) 有害図書、ピンクビラ等の有害環境の浄化
 「青少年の非行問題に取り組む全国強調月間」や「全国青少年健全育成強調月間」において「有害環境の浄化活動の推進」を重点とするなど、関係機関、地域住民、ボランティアの連携により、有害図書自動販売機の撤去運動、ピンクビラ等の違法広告物の回収等の環境浄化対策を推進する。また、販売店やマスコミ等に対し、暴力や性的逸脱行為を誘発・容認する風潮を生むおそれのある出版物等が少年の目に触れないような措置を講ずるよう要請する。

(6) インターネット上の有害コンテンツ対策の推進
 出会い系サイト対策の推進、民間事業者が主体となった「コンテンツ安心マーク」(仮称)制度の創設に関する検討・協力、携帯電話・PHS端末向けフィルタリング機能の実現、少年の情報活用能力(メディアリテラシー)等の育成、少年及び保護者に対する各種啓発活動の推進等により、少年をインターネット上の有害なコンテンツから保護する。

(6) サイバー犯罪条約の早期締結及び関連刑事法の整備
 世界的に形成されたコンピュータネットワークを利用して敢行される犯罪等のサイバー犯罪に的確に対処するとともに、サイバー犯罪条約を早期に締結し、国際間協力の下にサイバー犯罪の防圧を図るため、コンピュータウイルスの作成・供用等の罪の新設、わいせつ物頒布罪の構成要件の拡充、電磁的記録に係る記録媒体に関する証拠の収集、電磁的記録の没収等に関する国内法の整備を行う。

 12月18日、小泉内閣は犯罪対策閣僚会議第2回会合を開催し、児童ポルノ等福祉犯罪の取締りの強化、漫画喫茶の営業規制、有害図書の規制、ピンクビラの規制、その他「暴力や性的逸脱行為を誘発・容認する風潮を生むおそれのある出版物等が少年の目に触れないような措置」など有害環境の浄化を盛り込んだ「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」を決定しました。
 これまでは「暴力や性的逸脱行為を誘発する出版物」が問題視されてきましたが、今回の「行動計画」では「暴力や性的逸脱行為を誘発する出版物」が問題視されることは既に自明のこととされ、「暴力や性的逸脱行為を誘発する“風潮を生むおそれ”がある出版物」と極めて抽象的かつ広範囲ないし無限定な想定で出版物が規制されようとしている点に、この「行動計画」が孕む問題の深刻さがあります。

 “安全と治安”を錦の御旗に掲げてさえいれば憲法に違反しかねないどんな法制度でもフリーパスで成立させても良い的な「気分」が多数国民の間に蔓延する中、「治安対策」を名目に有害環境規制をしようというその発想は、広範囲の出版流通規制を想定した東京都の「緊急提言」と極めて類似しています。

 放送、映画、映像、出版、ソフトウェア、ネットワークコンテンツ等の表現・創作・流通・消費に関わるすべての「自由の配当者」たちにとって脅威となり得る法規制の制定が、「行動計画」のもとで造られようとしていることは想像に難くありません。
 おそらく、今後は「青少年健全育成対策要綱」と「治安行動計画」+都条例その他の条例改正が原動力として組み合わされることによって、青環二法案、改正児ポ法案、等の法制度の制定が加速化されていくものと思われます。

 いまのところ、個人として「青少年健全育成対策要綱」と「治安行動計画」に対して疑問を呈している人は一部にいるものの、表現者諸団体からの批判的な声明などは、寡聞ながら全く承知しておりません。
 言いたい放題ヤりたい放題の規制推進派の問題性もさることながら、現状に沈黙と恭順を続ける業界諸団体の萎縮ぶり自虐ぶりには、疑問と不信を超えて、ある種の絶望さえ感じざるを得ません。

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