「ないしょのつぼみ」が過激な性教育漫画?

 

ないしょのつぼみ (1) (ちゃおフラワーコミックス)
ないしょのつぼみ 1 (1)」
http://d.hatena.ne.jp/asin/4091370799
ないしょのつぼみ 1 (1)」を含む日記
http://d.hatena.ne.jp/asin/4091370799#asindiary

 
一部のメディアがやぶうち漫画の販売状況に注目していたようです。
性教育がテーマの少女漫画にトキメク男がいる? だからなんなんだ、というのが私の率直な感想。
これはわたしの直感ですが、一部純潔擁護系オヤジたちの「“過激”な性教育批判」の潮流と無関係ではないかもしれません。
 

■Google検索「小学生向け性教育漫画に興奮する男達」
未来検索 livedoor「ないしょのつぼみ」の検索結果
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ないしょのつぼみ
http://www.usamimi.info/~infomation/img/1114764945095.jpg
http://www.usamimi.info/~infomation/img/vip14172.jpg
http://www.yuko2ch.net/naitubo/1115205391389.jpg
http://www.yuko2ch.net/naitubo/1115205442680.jpg
東京スポーツの記事「小学生向け性教育漫画に興奮する男達」(画像)
http://www.yuko2ch.net/naitubo/1115508933397.jpg
あるスポーツ新聞の記事(「倉田真澄」の署名入り)
http://fileman.n1e.jp/TOP.PHP?mnu=SHOW&ft=2&fid=5-127e369h
http://fd1.serverman.tv/~f/DATA/MOVIE/5-127e369h/5-127e369h.jpg
ないしょのつぼみ 1 (1) アマゾン売れ筋ランキング成績
http://www.kirokuya.com/archives/000733.htm
生えてる
http://image.blog.livedoor.jp/ani_lave/imgs/8/9/89265d58.jpg

週刊新潮 5月26日号
http://www.shinchosha.co.jp/shukanshincho/

【6】小学生向け「性教育マンガ」を完売にした「意外な購入者」

http://www.zassi.net/bin/Posters/WSHINCYO/20050526/WSHINCYO20050526_000.jpg

週刊新潮 5月26日号
http://www.yuko2ch.net/naitubo/uporg102759.jpg

 
東京スポーツ」も「週刊新潮」も、「性描写は性教育にあらず」とのオヤジ基準を前提に記事を書いているように思います。
ないしょのつぼみ」は性描写がウリの漫画ではなく「過激」という評価はどうかと思いますし、性教育に性描写は無いという認識も事実と異なる意味で、二重の誤解があるのではないでしょうか。
 

やぶうち優公式サイト「ユートピア
http://www.dab.hi-ho.ne.jp/yabuuchi/
http://www.dab.hi-ho.ne.jp/yabuuchi/gazou/nt_1_c.jpg
ひとりごと 2005年5月16日(月)
http://www.dab.hi-ho.ne.jp/yabuuchi/main.htm
http://www.dab.hi-ho.ne.jp/yabuuchi/kakohito/200505.htm

単行本『ないしょのつぼみ(1)』が売れてます!
現在、このサイトからリンクを張っている小学館Amazon.co.jp(アマゾン)のほうでは在庫切れ…。
そんなわけで、先週、担当さんから“緊急重版”の報告がありました! こんなに早く(発売から2週間で)重版がかかるなんて、自分史上初のことです!
お買い上げくださったみなさん、本当にありがとうございます! 見つからない&手に入らないという方は、すみませんがもうしばらくお待ちくださいね。
自分の作品を多くの人に知っていただき、読んでいただけるのはうれしいことです。
これからも、みなさんに楽しんでいただけるよう、がんばります!

やぶうちの作品についての質問
http://www.dab.hi-ho.ne.jp/yabuuchi/QandA_ys.htm

Q 『小学五年生』で連載中の「ないしょのつぼみ」は、第一期と第二期で、登場キャラクターやストーリーが違うんですか?
(遥華(はるか) さん他複数の方から同じ質問がありました。)
A はい。タイトルは同じですが、主人公のキャラもお話も全然ちがいます。
過去の質問でも一度答えてますが、編集部のほうから“次の年もタイトルは同じで、でも主人公を変えて”と注文されたので、そういうことになってます。
言いかえれば、タイトルと主人公の“名前”と“性教育風味のファンタジー”というところだけが同じの、まったくの別作品です。
Q 「ないしょのつぼみ」を連載する前に、性教育をテーマに考えたのは、やぶうち先生ですか?
それとも、編集者が考えたのですか?(ペンネーム クワトロ・ヴァジーナ さん)
A 「ないしょのつぼみ」は、連載前に編集部のほうから“性教育風味のファンタジーもの”というふうに依頼されたので、性教育をテーマに…と決めたのは編集部です。
ただ『小学五年生』は毎年、性教育がテーマの漫画が1本あって、「ないしょのつぼみ」の前は他の作家さんが別の漫画を連載していました。つまり「ないしょのつぼみ」から私に性教育漫画の担当が移っただけ、ともいえます。

 
本屋で立ち読みしましたが、「水色時代」よりも恥ずかしさ増で楽しい漫画なのでは? 肉体表現だけを期待している人は、がっかりするか、萌えすぎるかのどちらかかも。やぶうち優テイストな「恥ずかしさ」がウリの“性教育風味のファンタジー”な少女漫画ですので。

やぶうち優氏の漫画のような「恥ずかしさ」を喚起する漫画は、今は貴重だと思うし、ある意味、保守的な少女漫画だとも思うのですが、性的表現部分だけを見てやぶうち優氏の“性教育風味のファンタジー”への評価を「性表現で性的秩序を破壊するリベラルな革新漫画家」みたいなイメージで評価する人がいるとしたら、…そんな人は一部の勘違いメディアや一部の宗教家だけだと思いますが…、漫画の表層さえ読めてない方という気もします。
やぶうち優公式サイト」の「Q&A」で著者が説明しているとおり、連載誌の『小学五年生』(連載当初は『小学四年生』)には性教育がテーマの漫画が以前から連載されていました。性教育がテーマの漫画は数限りなくあり、やぶうち優氏だけが性教育がテーマの漫画を描いていたわけでもありません。
もし「性教育」に対してだけ萌えているのだとしたら、やぶうち氏の「ないしょのつぼみ」だけが注目されていることの説明はつかないでしょう。
 
ないしょのつぼみ」のような漫画が少女漫画界で出てくることは、私は良い傾向だと思うのですが、「萌え男狙い」みたいなありふれた感想はもういいから、そこから先のこと、たとえば「萌え男狙い的な表現を用いることで新鮮さを開発し新規読者を獲得してゆく少女漫画界の保守性とは何か」といった分析がほしいと、かつての少女漫画ファンの私は思っております。
 
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岡田史子さんのこと

 
少女漫画を描いた漫画家はたくさんいますが、三人だけ推薦するとしたら次の三氏を挙げます。
 

手塚治虫
竹宮恵子(竹宮惠子)
岡田史子

 
手塚さんは創造者として、竹宮さんは完成者として、岡田さんは超越者として。
もちろん他にも推挙すべき漫画家たくさんいますが、三人だけとなるとこの方たちかと。
このうち、漫画家としてひとりだけあげるとすると、岡田史子さんでしょうか。
 

ODESSEY1966〜2003 岡田史子作品集〈episode1〉
オデッセイ1966~2003―岡田史子作品集 (Episode1)
http://d.hatena.ne.jp/asin/4870315602
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ODESSEY1966〜2003 岡田史子作品集〈episode2〉ピグマリオン
ピグマリオン岡田史子作品集
http://d.hatena.ne.jp/asin/4870315610
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岡田史子作品集 (1)
ISBN:4871881938
http://d.hatena.ne.jp/asin/4871881938
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岡田史子作品集 (2)
ISBN:4871881946
http://d.hatena.ne.jp/asin/4871881946

岡田史子作品年表
http://www.momiji.sakura.ne.jp/~werdna/okada/list.htm

 
問いに対する答えが漫画である必要は無い、問いそのものが漫画となり得る。そう考えたきっかけは、岡田史子さんの漫画がきっかけだったと思います。
人はなぜ生きるのか。善とは何か。愛とは何か。美とは何か。
人はなぜ問い続けるのか。
様式や文体を創造したり完成することよりも、表現それ自体の自由さの中で生きることを問い続けた漫画家という印象が、岡田史子さんにはありました。
 
岡田さんが筆を折ってしまったとの報を知ったとき、漫画に問いは描けるが答えは描けないかもしれないと思ったものですが、その後、岡田さんがキリスト者の道を歩んでいるとの報を聞いて、答えを知ることができると思うこと自体が傲慢ではないかと思ったものです。
答えを知ることができると思うことは傲慢ですが、知りたいという欲望を捨てられないのも人間という存在。知りたいという欲望を捨てられないという原罪を自覚し、赦しを求めた時、人は神に祈るのでしょう。岡田さんの断筆はそのようなものだったのかもしれません。
 
2005年4月3日岡田史子さん(本名・高田富美子さん)召天。享年55歳。
 

http://book.asahi.com/news/TKY200504080334.html

岡田史子インタビュー
http://media.excite.co.jp/book/special/okada/
http://media.excite.co.jp/book/special/okada/p01.html

その頃、嬉しいとか楽しいとか、そういう気持ちはありましたけど、完全に心が満たされるということはなかったですね、漫画を描いていても。私は喪失感というか、ずっと持っていた疑問みたいなもの、それを埋めてくれる人を探し求めて、漫画を発表していたんです。だけども、誰もいなかった。私がそういう人を求めているということに気づいた人さえいなかったから。

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