東京都青少年問題協議会:1月24日に緊急答申を採決

 
青少年健全育成条例改正をふまえ新たな青少年政策を審議していた東京都青少年問題協議会は、2005年1月24日、ウェブサイトへのアクセスを規制し、青少年のセックス環境を規制する政策を盛り込んだ「答申」を採決する予定です。
東京都青少年問題協議会の委員は、小澤委員などネガティブな制度論に慎重な委員もいますが、基本的には全員、実証不能な強力効果論学説を実証されているとの誤った前提の認識を持っている委員だけで構成されておりますので、委員の議論は多少の温度差がありますが、メディアが子どもに悪影響を与えるとの誤った前提そのものは検証されていません。
喩えるなら、泥棒と泥棒が空き巣の入り方で玄関から入るか裏から入るかというような議論を延々と続けていて「空き巣は正しいことなのか?」と指摘する人がひとりもいないような、あくまでも喩えですけれど、そんな会議なわけです。
なんたって「だったらフィルタリングソフトを買わない親は子どもに携帯電話を与えるべきじゃないよ!」(第3回起草委員会)と叫ぶ委員までいる始末ですから。
恐いのは、そういうヘンテコな委員に「それは違うよ」と言う委員があまりいないということ。
というわけで、1月24日に行われる東京都青少年問題協議会の緊急答申の採決は、当初内容が大きく変更されることなく、全会一致採択により決定される見込みです。
 

■東京都生活文化局 
平成17年1月17日 第26期東京都青少年問題協議会第2回総会の開催について
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/2005/01/40f1h100.htm

1 開催日時
 平成17年1月24日(月) 午後2時から4時まで
2 開催場所
 東京都庁第一本庁舎 北側42階 特別会議室A
3 審議内容
 「緊急答申」について審議決定・手交

■東京都生活文化局都民生活部男女平等参画・青少年対策室
審議会等
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/index9files/singi.htm
第26期東京都青少年問題協議会
委員名簿
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/index9files/26ki/26ki_meibo.pdf
諮問
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/index9files/26ki/26ki-simon.pdf

1 インターネット・携帯電話からの有害情報に対する効果的な対策
2 青少年の性に対する関わり方
3 青少年に対する保護者の養育のあり方

議事録
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/index9files/26ki_menu.htm
第1回総会(H16/11/2)(PDF)  
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/index9files/26ki/26s1giji.pdf
第1回専門部会(H16/11/2)(PDF)
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/index9files/26ki/26b1giji.pdf
第2回専門部会(H16/11/8)(PDF)
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/index9files/26ki/26b2giji.pdf
第3回専門部会(H16/11/15)(PDF)
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/index9files/26ki/26b3giji.pdf
第4回専門部会(H16/11/19)(PDF)
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/index9files/26ki/26b4giji.pdf
第5回専門部会(H16/11/24)(PDF)
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/index9files/26ki/26b5giji.pdf
第1回起草委員会(H16/11/24)(PDF)
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/index9files/26ki/26k1giji.pdf
第2回起草委員会(H16/12/13)(PDF)
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/index9files/26ki/26k2giji.pdf
第3回起草委員会(H16/12/17)(PDF)
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/index9files/26ki/26k3giji.pdf
第6回拡大専門部会(H16/12/24)(PDF)
未公開
第4回起草委員会(H17/1/12)(PDF)
未公開

 
関連ニュース。
 

05年度・都予算原案 4年ぶりプラス 回復へ「参考記録」 /東京
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/tokyo/news/20050115ddlk13010232000c.html

◇来年度・都の主な事業
青少年の健全育成では、インターネットの有害情報から子供を守るための取り組みを進めるほか、中学生の職場体験も実施する。
■治安・防災
条例による指定薬物制度の創設や不健全図書の調査など、子供を犯罪に巻き込まない取り組みも推進するほか、街頭防犯カメラ増設や留学生を受け入れる専修学校への指導強化などを通じて組織犯罪の抑止も図る。

性の情報、自主規制を 中高生向けの雑誌やサイト*1
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050112-00000175-kyodo-soci
http://www.kahoku.co.jp/news/2005/01/2005011201004235.htm
http://www.shikoku-np.co.jp/news/news.aspx?id=20050112000386
http://www.chugoku-np.co.jp/NewsPack/CN2005011201004235_National.html
http://kumanichi.com/news/kyodo/social/200501/20050112000356.htm
http://www.toonippo.co.jp/news_kyo/news/20050112010042351.asp
http://www.sakigake.jp/servlet/SKNEWS.NewsPack.npnews?newsid=2005011201004235&genre=national
http://www.topics.or.jp/Gnews/news.php?id=CN2005011201004235&gid=G06
http://www.minyu-net.com/news/2005011201004235.html
http://www.iwate-np.co.jp/newspack/cgi-bin/newspack.cgi?national+CN2005011201004235_1
http://www.shizushin.com/national_social/2005011201004235.htm
http://www.sanyo.oni.co.jp/newspack/20050112/20050112010042351.html
雑誌やサイトの性の情報、自主規制を 都に条例改正を提言(産経)
http://www.sankei.co.jp/news/050112/sha084.htm
インターネット協会KDDIなどの携帯電話向けフィルタリングデモンストレーションシステムを開発
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=89871&lindID=1

株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ(以下、NTTドコモ)の携帯電話向けに、インターネット上の不適切な情報をフィルタリングするデモンストレーションシステム
http://www.iajapan.org/rating/press/20030707-press.html
SFSブラウザの詳細
http://www.iajapan.org/rating/mobilefiltering/index.html
SFSブラウザのダウンロード(携帯電話)
http://rf.iajapan.org:8141/ez/SFSBrowser.html (KDDI au用)
http://vappli.com/BPID100091/DID00100090/SFSBrowser.html (ボーダフォン用)
http://rf.iajapan.org:8141/i/ib.html (NTTドコモ用)
携帯電話のフィルタリングに関するアンケート
http://fs.pics.enc.or.jp/mob/

───────────

*1:この記事、見事に通信社の記事が各新聞社にコピーされていますね。まるで戦前の同盟通信社時代の大日本帝国の報道状況が再現したかのようです。東京都情報連絡室報道部報道課の仕事=マスコミ接待が効果を挙げているのかもしれません。東京都第一庁舎の6階に行ったことがあるひとはわかると思いますが、あのフロアの1,147平方メートル(年間賃貸料800万円相当)もの広いスペースを記者クラブ(有楽クラブ7社と鍛冶橋クラブ15社)加盟の22社・登録記者約140人が独占的に無料で使えるなど、記者クラブ加盟のマスコミはさまざまな便宜を受けているわけですよ、都民の税金で。しかも岩瀬達哉氏の『新聞が面白くない理由』によれば、記者クラブ有楽クラブ(NHK、共同、読売、東京、日経、朝日、毎日の七社)の「コピー室」が本来の目的で使われず麻雀ルームになっていたという事実まであります。 ISBN:4062088576

東京都次世代育成支援行動計画

 
宮澤内閣の時に作られたエンゼルプランの次世代政策のための制度として昨年作られた次世代育成支援対策推進法という法律があります。この法律では全地方自治体に自治体ごとの次世代育成支援計画を策定することになっています。
と、ここまでは良いのですが、東京都で策定される「次世代育成支援東京都行動計画」の中間取りまとめである「次世代育成支援東京都行動計画に関する検討状況」には、子どもの安全と安心を確保という名目で、「青少年健全育成条例に基づく、青少年の環境の整備促進」がこっそり盛り込まれてしまっていることが判明しています。
もし仮に東京都が指摘するように「都内の犯罪被害に占める少年の割合は、全国に比べて高くなって」いたとすれば(という認識にも疑問がありますけれど)、既存の行政がそのような状況を回避できなかったということであり、そういう状況を作ってきた青少年健全育成条例は廃止するべきであって、継続させるとの前提で「青少年の環境の整備促進」をすすめるとの計画は矛盾しています。
尚、次世代育成支援対策推進法地方自治体に計画の策定を求める義務規定の施行は、今年の4月1日であり、未施行です。未施行法を施行されたたとの前提で計画を策定している東京都の動向には疑問があります。
 

「次世代育成支援東京都行動計画に関する検討状況」全文
テキスト版
http://www.metro.tokyo.jp/INET/BOSHU/2005/01/22f17101.htm
http://www.metro.tokyo.jp/INET/BOSHU/2005/01/22f17102.htm
http://www.metro.tokyo.jp/INET/BOSHU/2005/01/22f17103.htm
http://www.metro.tokyo.jp/INET/BOSHU/2005/01/22f17104.htm
http://www.metro.tokyo.jp/INET/BOSHU/2005/01/22f17105.htm

5.子どもの安全と安心を確保し、子育てを支援する環境づくり
(1)子どもを犯罪等の被害から守るための活動の推進
都内の犯罪被害に占める少年の割合は、全国に比べて高く、特に、凶悪犯、性犯罪の被害割合が高くなっています。
こうした状況に対応し、子どもと子育て家庭の不安をなくすため、子どもを犯罪被害から守る取組を強化していきます。
・学校、警察、関係機関の連携による、子どもや保護者に対する防犯教室の実施
・子どもを犯罪から守り、非行防止を図るためのセーフティ教室の実施
青少年健全育成条例に基づく、青少年の環境の整備促進
・ハイテク犯罪等に巻き込まれないための情報モラル教育の充実 など

http://www.metro.tokyo.jp/INET/BOSHU/2005/01/22f17106.htm
PDF版:1.3MB
http://www.metro.tokyo.jp/INET/BOSHU/2005/01/DATA/22f17101.pdf

次世代育成支援対策推進法(平成十五年七月十六日法律第百二十号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H15/H15HO120.html

(目的)
第一条  この法律は、我が国における急速な少子化の進行並びに家庭及び地域を取り巻く環境の変化にかんがみ、次世代育成支援対策に関し、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業主及び国民の責務を明らかにするとともに、行動計画策定指針並びに地方公共団体及び事業主の行動計画の策定その他の次世代育成支援対策を推進するために必要な事項を定めることにより、次世代育成支援対策を迅速かつ重点的に推進し、もって次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、かつ、育成される社会の形成に資することを目的とする。
(定義)
第二条  この法律において「次世代育成支援対策」とは、次代の社会を担う子どもを育成し、又は育成しようとする家庭に対する支援その他の次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、かつ、育成される環境の整備のための国若しくは地方公共団体が講ずる施策又は事業主が行う雇用環境の整備その他の取組をいう。
第二節 市町村行動計画及び都道府県行動計画
第九条  未施行
附 則
(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から施行する。ただし、第七条及び第二十二条第一項の規定は公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から、第八条から第十九条まで、第二十二条第二項、第二十三条から第二十五条まで、第二十六条第一号から第三号まで及び第二十七条の規定は平成十七年四月一日から施行する。

 
ちなみに今年の4月1日から施行される第九条はこういう感じです。
次世代育成支援計画は各自治体で作られることになっていますので、東京都のようにどさくさにまぎれておかしな内容を盛り込むことがないよう、監視と参画が必要だと思いわれます。
 

都道府県行動計画)
第九条 都道府県は、行動計画策定指針に即して、五年ごとに、当該都道府県の事務及び事業に関し、五年を一期として、地域における子育ての支援、母性並びに乳児及び幼児の健康の確保及び増進、子どもの心身の健やかな成長に資する教育環境の整備、子どもを育成する家庭に適した良質な住宅及び良好な居住環境の確保、職業生活と家庭生活との両立の推進その他の次世代育成支援対策の実施に関する計画(以下「都道府県行動計画」という。)を策定するものとする。
2 都道府県行動計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
 一 次世代育成支援対策の実施により達成しようとする目標
 二 実施しようとする次世代育成支援対策の内容及びその実施時期
 三 次世代育成支援対策を実施する市町村を支援するための措置の内容及びその実施時期
3 都道府県は、都道府県行動計画を策定し、又は変更しようとするときは、あらかじめ、住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。
4 都道府県は、都道府県行動計画を策定し、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表するとともに、主務大臣に提出しなければならない。
5 都道府県は、毎年少なくとも一回、都道府県行動計画に基づく措置の実施の状況を公表しなければならない。
6 都道府県は、都道府県行動計画の策定及び都道府県行動計画に基づく措置の実施に関して特に必要があると認めるときは、市町村、事業主その他の関係者に対して調査を実施するため必要な協力を求めることができる。

 
───────────