憲法記念日 

毎年のことですが、5月3日の憲法記念日には国内のほとんどの新聞が憲法についての社説を掲載していたようです。
20紙ほど読み比べてみましたが、一番印象深かった論説は、愛媛新聞社の社説。
世界がよく見えている人は日本国憲法の先進性、改憲論の古臭さもよく見えていることの一例ではないかと。
愛媛新聞は、その全部の主張に賛同するわけではありませんが、全国紙が書かないような地方紙ならではの社説を提供する新聞の一つで、なにか大きな事件が起きたときには社説のバックナンバーをウォッチしておきたい新聞です。

愛媛新聞社説 2004.05.03(月)憲法記念日 ABCの追悼番組は問いかける
http://www.ehime-np.co.jp/shasetsu/shtsu20040503.html

「現行の憲法では国家の安全を保てない。それを覚醒させてくれたのは米中枢同時テロ以降の新たな現実」
安倍幹事長はそのように語り集団的自衛権の行使に道を開くため九条改正の必要性を力説したという。
安倍幹事長にしてみれば自民党の主流派の声を代弁したに過ぎないのであろう。しかし、ネオコンへの共感を織り交ぜながらの改憲論である。そんなところに私たちは日本の針路に対する強い不安を覚える。
ネオコンが主導して始めたイラク戦争。その犠牲者は増えるばかりで、もはや抜き差しならぬ事態となっている。テロ対策という名の軍事行動が、逆にテロを無限に拡散している。ブッシュ政権は世界を恐怖の淵へ追いやっている。
このようなブッシュ戦略に寄り添いながら憲法を改正するというのであれば、日本国民が受けるリスクは計り知れない。報復テロの直接のターゲットになるばかりか、米国と相似形の悲劇をそっくり引き受けなければならない。
例えば、外電は伝えている。米三大ネットワークの一つABCが特別番組を放送した。このため米国民はショッキングな形でイラク戦争に向き合うことになった、という。
番組は、ブッシュ大統領による「主要戦闘の終結宣言」から一周年となるのに合わせて放送された。イラク戦争で死亡した米軍人七百二十一人を写真入りで一人ひとり紹介するという異例の追悼番組だ。三十五分の持ち時間をフルに使ったが、五百人ほどで後は読み上げられなかった。
番組を担当した看板キャスターテッド・コッペル氏は「正しい戦争なら五百人でも五千人でも五万人でも堪え忍ぶことができる。しかし、間違った戦争なら五人でも多い」とコメントしたと伝えられる。
イラク戦争に対する米国民の疑念は確実に広がっている。安倍幹事長の言葉とは逆の意味で米国民は「新たな覚醒」を始めている。

社説 バックナンバー
http://www.ehime-np.co.jp/shasetsu/shasetsuback.html