成人向けアニメ・ゲーム追放議連発足(2)
成人向けアニメ・ゲーム追放議連発足:野田議員「わいせつでなくても取り締まれ!」
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050422#p1
の続きです。
「アクティブ」=ジュベネイルガイドの鎌田繁雄氏(元セガ事業部長代理・クールネット社長)について調べたところ、鎌田繁雄氏は以前から低品質ソフトがソフト市場を「アタリショック」のように崩壊させるとの認識を持っていたと思われる情報がありました。
「アタリショック」観の変遷
http://diary.hatena.ne.jp/hally/20040523#p1●「米国におけるビデオ・ゲーム産業の形成と急激な崩壊 - 現代ビデオ・ゲーム産業の形成課程 (1) -」『経済論叢』1998年11・12 藤田直樹 (京都大学)
1983年という年はアタリ社だけでなく米国家庭用産業全体にとっても大きな後退の年であった。市場規模は30分の1に縮小する。このメカニズムは一般に以下のように説明されている。「アタリ社の在庫処分によるダンピングと値引きが製品の値崩れを起こすとともに、当時多数のメーカーがソフト市場に参入し利益を求めてソフトを粗製濫造した。それに加えてアタリ社自身も技術力の低下から質を維持することができず、質悪なソフトの氾濫が消費者の信用を破壊し、米国家庭用ゲーム市場を崩壊させることになったのだ」と。もとより筆者もこのような側面があったことは否定しないが、しかし当時の米国家庭用市場に対するこうした評価は家庭用市場内部における競争関係にのみ限定された考察の結果であって、業務用との関係を無視している点で非常に一面的と言わざるをえない。特に、アタリショックの時期および急激性を十分説明できてはいない。
(略)
# id:hex125 『以下は『マイコンBASICマガジン1989年8月号・山下章のコンピュータ・ゲーム・ホンキでPlayホンネでReview!! TARGET12 セガ・メガドライブ』(P264-267) からの抜粋です。アタリショックという言葉はありませんが、これを見た後にアタリショックという言葉を知った人も多いのではないでしょうか。』
# id:hex125 『(前略)また、サードパーティとの交流について、鎌田氏は、こうつづける。「アメリカのアタリが、あまりにも自由にソフト開発の市場を開放したため、悪質なソフトが数多く出回り、ユーザーが離れていってしまったという例もありますので、ある程度のソフトのチェックはさせていただきます。極端な話、あまりにもクオリティが低い場合は、発売を見合わせていただくなんてこともあるかもしれません。サードパーティとしての資格や、年間発売タイトル数を制限するつもりはありませんが、そのぶん質の高いソフトを作っていただきたいですね。サードパーティさんとは、密に連絡を取り合いながら、お互いの開発をすすめていく予定です」(後略) 』
# id:hally 『Hex125さん: 鎌田氏というのは鎌田繁雄氏ですかね。「新電子立国」でインタビューを受けている佐藤氏もそうですが、セガがありきたりなアタリショック観に疑問を持たなかったのは結構不思議です。コレコビジョンの日本展開までやろうとしていた会社なのに。』
どうやらジュベネイルガイドの鎌田繁雄氏(アクテイブ)は、「新規参入で価格が下がったのは、ソフトの品質が悪いからだ!」と考えていたようにも見えます。
ひょっとして、ジュベネイルガイドの鎌田繁雄氏の頭の中は、こういうことなんじゃありませんか?
【鎌田氏の脳内思考過程 予想チャート】 ソフトウェア会社の新規参入増大 ↓ 低品質なソフトの増大 ↓ ユーザーの減少 ↓ 価格の下落 ↓ それがアメリカのアタリショックだ! ↓ アタリショックはなんとしても防がねばならない! ↓ 日本でもソフトウェア会社の新規参入が増大している ↓ 低品質なソフトの増大しているに違いない ↓ そういえばエロいゲームがアクティブ以外でも売られているようだ ↓ ソフトウェアの低品質化が始まっているのだ! ↓ きっと近い将来ユーザーが激減するに違いない! ↓ 将来ユーザーが激れば価格が暴落してしまう! ↓ 日本でアタリショックが再現されてしまう! ヤバイ! ↓ なんとしても、どんな手段を使っても アタリショックを防せがねばならない! ↓ ソフ倫には何も期待できない。無くなった方がいい。 ↓ 青少年団体をでっちあげて美少女ソフトをつぶせ! ↓ 健全で優良なソフトだけに浄化 ↓ コンビニでゲーム大量流通販売 ↓ 消費者激増、健全派ウマー
もしこんな具合に考え美少女ゲーム撲滅に走っているのだとしたら、ちょっと、というかかなり飛躍しているのではないかと。
高品質のものだけほしいという人もいるでしょうが、いろんなゲームを試行して楽しみたいという人だっているでしょうし、安いゲームでも自分なりの楽しみ方を見つけてやりこみたいという人だっているでしょう。
かくいう私もその一人で、実際にプレイしているゲームの9割は同人ソフトだったりします。プロの高価格ゲームに較べれればクオリティは低いですが、アマチュアにはプロには無い魅力があり、アマチュアでしかできないおもいきった表現というものもあり、そういうのが楽しいわけです。喩えるなら、宝石店に行って金塊を買うよりも、10トンの砂を水で洗って一粒の砂金をみつけるような作業の楽しみとでも言いますか。そういうのが楽しいと感じる人だっているわけですよ。
漫画界では、同人誌に膨大な数の読者がいます。プロの表現技術に較べれば表現技術などは落ちるかもしれないですが、同人には同人の良さがあります。コミケットの主催者の一人は「表現の広がりをみんなに知ってもらいたい」と言っていましたが、まさにそういうことです。
同人誌なんかがあるから漫画全体が低レベルになって漫画人口が減るんだ!などと言っている人がいたら、漫画を読んでいる人たちから笑われるでしょう。ゲームソフトウェアも同じことではないでしょうか。
性表現についていえば、そもそも品質の高い低いという序列問題ではなく、もともと多様なニーズに対して多様なソフトウェアを提供していると解釈すべきでしょう。
たとえば、ソフトウェアの全部がセガの超大作のような水準の作品をすべてのソフトウエア会社に求めるのは無理がありますし、ユーザーの側もそんなソフトだけを求めているわけではありません。
もしも、性表現が無いから高品質(だから客が増える)、性表現があると低品質(だから客が減る)と鎌田氏が考えおり、青少年健全育成というタテマエを掲げた偽装青少年団体のもとで「劣等ソフトウェアに対する粛清」を実行しようと考えているのだとすれば、その判断は間違っている、と私は考えます。
参考情報。
■メディアクリエイト
http://www.m-create.com/
Digital Entertainment Business バックナンバー目次
http://www.m-create.com/jpn/d_backnumber.html#TOP
2005年2月20日号 第118号
“18才以上対象”タイトルも規制対象となる可能性 「青少年健全育成条例」の波紋
http://www.m-create.com/jpn/d_050220.html2月1日から施行された「埼玉県青少年健全育成条例」。青少年に対する有害図書などの販売等を規制する条例の一部には、将来的にビデオゲームも規制対象に含まれる可能性が示されていた。その改正の意図とは何なのか? また、この問題にゲーム業界、団体はどう対処するのだろうか? 県をはじめ、CERO、小売店、メーカーなどへのヒアリングをもとに、今回の条例により浮かび上がった問題点などを整理し、今後業界がとるべき方向性を検討してみることにする。
2003年3月20日号 第72号
http://www.m-create.com/jpn/d_030320.html巻頭特集
検証「美少女ゲーム」市場
〜衰退の主要因はユーザー数の減少〜
コアユーザーに強い訴求力を持ち、安定感に満ちた市場を誇る美少女ゲーム。しかし、2002年における美少女ゲームの市場は2001年に比べ、約36%も減少している。手堅いはずの市場がなぜ、これほどまでに落ち込んでいるのか。どうやらそこには、ユーザー層の推移や新しいデジタルコンテンツの登場など、ゲーム以外の要素も含まれているようだ。2002年11月5日号 第63号
http://www.m-create.com/jpn/d_021105.htmlゲームソフトの対象年齢表記「レーティグ制度」発足
〜ユーザーの自己責任による購入を促す〜
コンピュータエンターテインメントレーティング機構は、10月1日(火)からゲームソフトに購入者の対象年齢を定める「レーティング制度」を発足させた。メーカーとユーザー間の中立な立場として、客観的な基準を定めるとされた同制度の主旨、それに伴うメーカーサイド小売店サイドの意向を紹介しよう。そして、今後「レーティング制度」が社会に浸透していくために何が求められているかを探る。2002年4月25日号 第50号
http://www.m-create.com/jpn/d_020425.html■コンビニ流通の現状と課題
コンビニエンスストアでのゲーム流通が始まって早5年半が経過した。その間、ゲーム市場の変化とともに様々な試みを取り入れつつ歩みを進めてきたコンビニ流通だが、最近では初の値引き販売を取り入れるなど、今また大きな曲がり角にさしかかろうとしている。常にその中心をなしてきたデジキューブを取材し、変わりつつあるコンビニ流通の現状、そして課題を探る。
その他の記事
■ インタビュー…株式会社クールネット エンタテインメント 代表取締役社長 鎌田繁雄 氏
■「有害」規制監視隊
「残虐なゲームソフトの有害指定」にかかわる主な動き
http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/data/kiseki/game.htm
愛知県・神奈川県等
ゲームソフトの「有害」指定 規制を誘発するマスコミ
http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/news/archive/2005/49.htm
「愛知県における青少年条例の改定(平成17年3月改定)」
http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/data/jyourei/taisyohyo/aichi/H17-3.htm
関連ログ。
成人向けアニメ・ゲーム追放議連発足(3)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050426#p1
成人向けアニメ・ゲーム追放議連発足(4):週刊新潮の記事について
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050428
に続く。
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