ハンマー殺人未遂事件再び

少年がハンマーで子どもを殺しかけたという報道がありました。*1
また「結論のための動機さがし」がはじまるのでしょうか。
 

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大量殺人計画、ネット残虐写真きっかけ──男児殴打、容疑の少年供述 日経ネット関西版
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/26183.html

大阪府東大阪市の公園で、幼稚園の男児(4)がハンマーで頭を殴られ重傷を負った事件で、殺人未遂容疑で逮捕された少年(17)が、「インターネットで子どもの焼死体の写真を見て大量殺人を考えた」と供述していることが23日、枚岡署の調べで分かった。同署は少年宅から押収したパソコンやノートを分析し、詳しい動機解明を進める。
(略)
少年は2年前からハンマーや包丁などの凶器を買い集め、バッグに入れて自宅に隠し持っていたと話しており、「通り魔のように大量殺りくをしたかった」とも供述。

ハンマー少年「学校襲う計画だった」…試しに男児殴打 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20050424it01.htm

少年は「この日のために買いそろえた。人を大勢殺したかった」と供述。

神戸児童殺傷事件に関心 ハンマー事件の17歳少年 朝日新聞
http://www.asahi.com/national/update/0424/OSK200504230010.html

少年の中3時の同級生は「(少年は)インターネットにある殺人に関するサイトをよくみていた」と話した。なかでも神戸連続児童殺傷事件に関心があり、殺人などの容疑で逮捕された当時14歳の少年が犯行声明文で名乗った「酒鬼薔薇聖斗」という名前を口にしていたという。

17歳少年「中3秋に大量殺人計画」と供述 日刊スポーツ
http://www.nikkansports.com/ns/general/f-so-tp0-050423-0020.html

同級生らによると、少年は中学3年のころから変わった言動が目立つようになり、「人殺しをしたい」「みんな殺したろか」などと話していた。

ハンマー少年「神戸事件」に関心か、生徒手帳に顔写真 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20050423i115.htm
「焼死写真見て殺人に関心」 NHK
http://www3.nhk.or.jp/knews/news/2005/04/23/t20050423000134.html

逮捕された17歳の少年は「中学生の時に子どもの焼死した写真を見て人の死に興味を持ち大量殺人計画を考えるようになった」と供述していることがわかりました。

17歳少年「1人の子襲った」−−30分前からうろつく 毎日新聞
http://www.mainichi-msn.co.jp/kansai/news/20050423ddf041040034000c.html

東大阪市花園中央公園で遊んでいた幼稚園児、西津翔太ちゃん(4)がハンマーで頭を殴られ重傷を負った事件で、殺人未遂容疑で逮捕された無職少年(17)が「1人で遊んでいたので襲った」と供述していることが分かった。現場付近では事件の約30分前から、少年とみられる若い男が様子をうかがっていることも判明。府警枚岡署は、少年が襲撃しやすい幼児を探していたとみて、事件当日の少年の行動を詳しく調べている。【高橋一隆、石川隆宣、岩尾真宏】
(略)
調べでは、少年は21日午後3時40分ごろ、遊具がある公園内の「わんぱく広場」で、翔太ちゃんの背後から無言で頭をハンマーで1回殴りつけた。翔太ちゃんの周辺には、4〜5メートル離れたところで女児が遊んでいただけで、少年は「子ども1人だったので狙いやすいと思った」と供述している。母親はそばにいたが、目を離したすきに殴られたという。
さらに、少年は「襲いやすい相手がいないか探していた」と新たに供述していることも判明。わんぱく広場付近で落ち着かない様子で、うろうろしている少年らしい姿が目撃されていた。

ハンマー殴打の少年送検 「酒鬼薔薇より残虐」 押収ノートには「殺」 産経新聞
http://www.sankei.co.jp/news/050423/sha088.htm

逮捕された無職少年(17)の自宅から押収されたノートに「殺」という言葉や生首のような絵が描かれていたことが23日、枚岡署の調べで分かった。少年は中学3年のころ、平成9年の神戸児童連続殺傷事件で「酒鬼薔薇」と名乗った加害男性の顔写真を持ち歩き、「おれは酒鬼薔薇より残虐だ」と周囲に話していたことも判明した。
(略)
少年は高校1年のころ、死体を扱ったサイトを見るなどインターネットにのめりこみ、2学期に不登校になる直前には、父親から注意されてパソコンを取り上げられ家出する騒ぎも起こしていた。

 
伝えられている「供述」は、警察官に対するもので、弁護士やカウンセラーに対する供述ではない、ということは意識して、記事などを読むのが良いと思います。なぜなら、警察は、あくまでも犯罪事実の立証の証拠を集めるために存在する組織であり、社会の歪みを正す根拠を調査するために存在している組織ではないからです。警察は、犯罪を立証していることを裁判官(裁判員)に納得させる証拠を集めるのが仕事であり、それ以上でも以下でもありません。
それ以上の社会政策のための情報を求めるのであれば、弁護士、カウンセラー、刑事政策研究者、教育研究者などが少年や家族に会って、現場をちゃんと調べ、正確な事実に基いてどうすれば良いかを分析してもらうなどして、その結果を待つ必要があります。
大事なことは、結論を急がないことであり、わからない問題については「わからない」と言い続けることです。
「わからない」ということをわかっていないと、わかることはできません。あたりまえのことですが、あたりまえのことができていない事例が過去にありましたので、今回も同じ失敗を繰り返すのではないかと私は懸念します。
 
たとえば、犯罪研究のサイトが犯罪助長したのでは?といった論調の「報道」がかつてありました。その「報道」について、渋井氏のサイトで問題点が示されています。

2003-12-16 殺人サイトみて妹を…
http://d.hatena.ne.jp/hatesbtetuya/20031216/p1

 
ここで紹介されている犯罪研究のサイトはココです。
 

■プロファイル研究所
http://pine.zero.ad.jp/~zac81405/

このサイトは、猟奇殺人を科学的・総合的に研究することを目的としています
当サイトにはグロテスクな表現や画像が含まれておりますのでご注意下さい

 
で、この「プロファイル研究所」が事件に関連があるかのような「報道」について、サイトの運営者のとまと氏がこのようにコメントしています。
 

茨城の中学生がこのサイトを見ていたと報道されたことについて
http://pine.zero.ad.jp/~zac81405/ibaraki.htm

少年犯罪の「凶悪化」「低年齢化」「質的変化」というものが、メディアに創作された虚像であることを以前から指摘してきた。総理府世論調査でも日本人の9割以上が、「少年犯罪が凶悪化している」と回答しているのだが、これは犯罪統計とは正反対の認識であり、マスコミへの過信は深刻な事態だと言えるだろう。
たしかに治安は悪化しているのかもしれないが、社会が根底から崩壊するような深刻な事態ではない。検挙率の低下は警察が事件を受理するようになったことが統計に表れているだけで、犯罪者が進化しているわけではない。アメリカの公立高校のように、薬物の取引や武器の持ち込みを武装した警官が監視している事態を見れば、日本の学校がいまだ健在であることが分かる。
児童虐待にしても、公的な枠組みの中で事件を処理するようになって見かけの実数が増加しているだけだとも言える。
メディアが株式会社である以上、煽情的な事例のみを取り上げてサラ金のCMをひたすら流すのは止むを得ないのかもしれない。ただ、それを見る側の視聴者は、伝えられている事実が「ある意図に基づいて選択されている」ということを忘れず、批判的かつ公平に判断しなければならない。
120万人いる14歳の少年のうち、ごく一部が凶悪な事件を起こした時に、彼以外の圧倒的多数の14歳が犯罪者ではないことを忘れてはならない。久米宏が「最近の少年たちはどうしちゃったんでしょうね」と言っていたが、彼が少年だった頃は凶悪な少年犯罪が現在の2倍以上起きていた。断片的事実によって構成された虚像を信じるということは不健全極まりない。
(略)
人間の実存は非合理なもので、「太陽が眩しい」といって人を殺し、人々から罵声を浴びることを渇望する人もいる。一人の人間がある行動をとるには、動機の総数はゼロから複数であり、その動機を持つようになった要因、あるいは動機なしに行動した要因に至っては、ほとんど無限大に近い。
人間の行動は複雑で難解である。短絡的な説明を乗り越え、客観的に分析出来たと思ってもそれが真実である保証はどこにもない。よって、犯罪の責任は犯罪者本人のみが背負うべきであって、教育・親・テレビゲーム・ハリウッド映画・地域社会など外部要因に責任を転嫁するのは間違っている。

 
私は、報道機関が事実を報道することに異論をはさむものではありません。事実の報道は必要です。
しかし、事実の切り取り方には主観が入ります。切り取られなかった事実に、私たちの判断にとって決定的な情報が残っている場合もあるでしょう。
警察が切り取った「事実」は、裁判官に事件が犯罪であることを納得させるための事実であり、それ以上でも以下でもありません。
私たちは事件が繰り返されないためにはどうすればよいのかといった社会的な視点で事件を見ている場合が多いのであって、そういう意味では、警察リーク情報は、私たちが知るべき情報の一部ではあってもすべてではないと思われます。
 
なにか猟奇的事件が起きた時、人々はすぐに原因を探す傾向にあります。しかし、判断の前に最優先で知るべき情報は、「わたしたちはなにを知らないのか」という情報です。
「逮捕された少年と逮捕されていない一般の少年の共通点と相違点」や「一般の少年はなぜ犯罪を犯さないのか」という点について、わたしたちは判断できるほどまだ情報を得ているわけではありません。
わからないことについては「わからない」と言いましょう。
「すずかん水曜日」*2に出演していた内申書裁判の保坂展人さん(前衆議院議員)も、「少年問題については、わからないことはわからないと言いつづけるべきだ」と仰っていました。
 

鈴木寛参議院議院(民主党/自称「こども族議員」)
すずかん水曜日バックナンバー
http://www.suzukan.tv/vod1.html

第136回放送 12月8日 ゲスト 保坂展人
56k
http://asx.pod.tv/suzukan/week/v56k_w136_hosaka.asx
200k
http://asx.pod.tv/suzukan/week/v200k_w136_hosaka.asx

保坂展人のどこどこ日記
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/
保坂展人公式WEBサイト
http://www.hosaka.gr.jp/
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佐世保事件からわたしたちが考えたこと―思春期の子どもと向きあう
佐世保事件からわたしたちが考えたこと―思春期をむかえる子と向きあう
http://www.japama.jp/cgi-bin/detail.cgi?data_id=177

3回の取材を通して、「わかってきたこと」はほんの僅かです。むしろ、「わからないこと」を自覚し、意識することが大事だと自分にいい聞かせてきました。
今の子どもたちの生活や行動を見渡してみて、「わからないこと」を確かめながら、一歩一歩と慎重に進もうと思います。これから書き綴ることは、私の感覚で見た「大久保小学校で起きたこと」を再構成し、日本全国の子どもたちの現在を一瞬、照らし出してみようという試みです。
いわゆる「事件取材」からは何歩か距離を置いて、事件の「周辺」にあたる事柄に注目し、佐世保市内の人たちの声を聞き続けました。

 
余談ですが、2005年4月27日(水)11:30〜の「すずかん水曜日」に宮台真司氏がゲストで生出演する予定になってます。ハンマー殺人未遂事件についての話題があるかも。
 

http://www.suzukan.tv/index2.html

次回放送予告
2005年4月27日(水)11:30〜となります。
ゲスト宮台真司氏です。
56k
http://asx.pod.tv/suzukan/live56k.asx
200k
http://asx.pod.tv/suzukan/live200k.asx

 
関連ログ。
 

佐藤錬議員「情報メディアの規制をやれ、殺人事件ドラマはやめろ、芸能人は政治に口を出すな」と発言
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050416
内閣府:少年非行等に関する世論調査を公表
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050408
少年犯罪は減少しました
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050318
自民新憲法起草委:「表現の自由」制限を検討
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050307
大仁田厚議員また吠える(吠えただけ)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040724
佐世保同級生殺害事件・マスコミが「求める」情報
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040615
警察庁、少年非行総合対策推進要綱を改訂
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040426
カラオケボックスでの少年犯罪は増えていない
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040420
ビデオニュース:宮台真司氏講演 メディア影響論
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040115

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オマケの画像。ハンマーといってもいろいろあるわけで…。
 

ハンマーで世界一を目指す男
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2004/athens/special/serial/rival/2.html
クマノミハンマー
http://www.akabane-net.co.jp/kyara/html/a019.html
ブッとばしハンマー
http://www.wide.ne.jp/a5s/take.html
ハンマーの対決
http://www.sankei.co.jp/databox/Wcup/html/ore/tokio/fan-thanks01.html
仮想ハンマー
http://www.adores.jp/tenpo/monzen_img/041230/bszt006.jpg
職人に大人気! 流星ハンマー
http://www.mizo.co.jp/mountain/mc04_01.html
漫画「ハンマー君
http://www.suikoudou.co.jp/hanma-kun1.jpg

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*1:「殺人未遂」という表記は、被疑者の少年に殺意が無いと仮定すると間違いである可能性もありますが、殺意があるとの報道がありますのでとりあえず殺人未遂事件と表記します。

*2:「すずかん水曜日」は鈴木寛議員によるインターネット放送。毎週更新しているのはなかなかできることではありません。鈴木寛議員は私とは意見の違う部分もありますが、ネットでの情報発信という点ではなかなか面白いことをゃっていると思います。

クリーピークラウンVSダンシングベビー

 
ブラックジョークなサイトをひとつ紹介します。3Dをやっている人は知っているかも。
猟奇的な表現やブラックジョークに対する審美観や免疫の無い人は見ない方がよいかもしれません。「生命に尊厳は無いし、人権などというものも無い」「子どもはモノであって一切の人権が無い」という設定の架空表現ですので、子どもにひどいことしているといった抗議は無効です。
 

■Creepy Clown Gallery
http://www.creepyclown.com/
Creepy vs The Dancing Baby
http://www.creepyclown.com/creepyversus.htm
Over 25 Club
http://www.creepyclown.com/over25/over25.htm

 
なぜ人は、人を殺してはいけないのか? なぜ人には人権というものがあるのか? 人が生きている価値とは何か? なぜ生命には価値があるのか? なぜ子どもは保護されなければならないのか?
そんな本源的な疑問への回答のひとつが、Creepy vs The Dancing Babyかもしれません。
猟奇は、生命という価値のネガです。
生命というものの価値のポジを共有できるなら、ネガも共有できるはず。
ネガはポジのためにあるのですから。
 
ジョークや笑いの本質は、矛盾の知覚にあります。
Creepy Clownに限らず、非人道表現を含む作品群は、生命である人間自身が生命や人間の価値を否定するという究極の矛盾を内包しています。そこにブラックジョークとしての審美的価値があります。
念のために書いておきますが、暴力の否定は一切の表現の自由の前提です。誤解無き様。
 

某成人向けゲームの起動画面 
某成人向けゲームの起動画面

 
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オマケ。

道化系リンク
http://www.clownsquad.com/?ihateclownscom
Dancing Baby アニメとか
http://dancing-baby.net/Baby/BabyMus1.htm
道化について
http://www.cyber.gr.jp/doyou/tokyomad/clown.htm
ロナルドvsカーネル
http://downloads.poisonville.net/images/ronald_mcdonald/ronaldbig.jpg
http://downloads.poisonville.net/images/colonel_sanders/sandersbig.jpg
http://www.kingpinforever.com/news/archives/arc0-2003.html
格闘ロナルド
http://home.insightbb.com/~jotun/images/Ronald4.jpg
http://home.insightbb.com/~jotun/

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