立川反戦ビラ事件一審判決:良心の囚人に無罪判決、ビラ配布に可罰的違法性無し


冤罪に問われた三人のみなさん、無罪判決おめでとうございます。当然の判決主文だと思います。この事件、海外では「日本で発生した良心の囚人」として注目を集めていた人権弾圧事件でした。判決の良し悪し以前に、警察官や検察官が逮捕権や訴追権を濫用しているという司法の異常さをまず強く指弾しなければならないと思います。
裁判を支えた立川・反戦ビラ弾圧救援会他関係者のみなさん、ご苦労様でした。検察庁は裁判の判決を受け入れ、国民の利益のために控訴しないでいただきたいものです。
以下、関連報道。さすがアジアプレスです。
 

■アジアプレスネットワーク (APN)
http://www.asiapressnetwork.com/
【日本】無罪判決文要旨 立川反戦ビラ逮捕事件 04/12/16
http://www.asiapressnetwork.com/0.html

主文
 被告人らはいずれも無罪。
 
 結論
1. 以上のとおり、被告人らが立川宿舎に立ち入った動機は正当なものといえ、その態様も相当性を逸脱したものとはいえない。結果として生じた居住者及び管理者の法益の侵害も極めて軽微なものに過ぎない。
さらに、被告人らによるビラの投函自体は、憲法21条1項の保障する政治的表現活動の一態様であり、民主主義社会の根幹を成すものとして、同法22条1項により保障されると解される営業活動の一類型である商業的宣伝ビラの投函に比して、いわゆる優越的地位が認められている。そして、被告人らの本件ビラ配布と同様の態様でなされた商業的宣伝ビラの投函に伴う立ち入り行為が何ら刑事責任を問われずに放置されていることに照らすと、被告人らの各立ち入り行為につき、従前長きにわたり同種の行為を不問に付してきた経緯がありながら、防衛庁ないし自衛隊又は警察からテント村に対する正式な抗議や警告といった事前連絡なしに、いきなり検挙して刑事責任を問うことは、憲法21条1項の趣旨に照らして疑問の余地なしとしない。
以上、諸般の事情に照らせば、被告人らが立川宿舎に立ち入った行為は、法秩序全体の見地からして、刑事罰に処するに値する程度の違法性があるものとは認められないというべきである。
2. この点、検察官は、本件各立ち入り行為が刑事処罰の対象とならないならば、居住者や管理者は、被告人らの立ち入りを受忍しなければならなくなり、また、ビラ投函を隠れ蓑とした不当な目的による立ち入りに対しても排除する手段を持ち得なくなり、かかる結論は不当であると主張する。
だが、前述のとおり、被告人らが居住者や管理者の反対を押し切ってビラを投函する意図は有していなかったと思料されることからすれば、テント村に対して正式に抗議の申し入れをすることによって、敷地内に立ち入ってビラを投函することを止めさせることは可能であったと考えられる。そのような申し入れによって、居住者や管理者が敷地内への立ち入りを強く拒否していることが明らかになっても、立ち入りの頻度が著しく増える、立ち入りの際に居住者との面会を求めるなど、立ち入りの態様が立川宿舎の正常な管理及びその居住者の日常生活に悪影響をおよぼすようになった場合には、立ち入り行為の違法性が増し、刑事責任を問うべき場合も出てくると思料される。また、不当な目的を秘した立ち入りを排除できないとの点については、必ず時もビラ仮装したものであるか否かは、従前のものも含めた立ち入り行為の態様、立ち入ったものが所属している組織の性格等から、ある程度合理的に推認することができると考えられる。
よって、検察官の主張には理由がない。
したがって、結局、本件各公訴事実のいずれについても犯罪の証明がないことになるから、刑事訴訟法336条により被告人らに対し無罪の言い渡しをする。

映像 無罪判決!!!立川反戦ビラ逮捕事件(12/16)
http://www.asiapressnetwork.com/asxdocs/eye/041216n.asx
【日本】 立川反戦ビラ逮捕事件で無罪判決 04/12/16
http://www.asiapressnetwork.com/3.html

反戦ビラ訴訟、3被告に無罪 地裁八王子支部
http://www.asahi.com/national/update/1216/020.html

東京都立川市防衛庁官舎に今年1月〜2月、自衛隊イラク派遣反対を訴えるビラを入れたとして住居侵入の罪に問われた、市民団体「立川自衛隊監視テント村」に所属する3被告に対する裁判で、東京地裁八王子支部(長谷川憲一裁判長)は16日、3人全員を無罪(求刑はいずれも懲役6カ月)とする判決を言い渡した。
被告らがビラ入れのために官舎に立ち入ったという事実関係に争いはなかった。裁判では、ビラ入れという一つの表現行為を事実上規制する今回の逮捕・起訴が、憲法が保障する表現の自由とのかねあいでどう評価されるかが争われた。
検察側は、官舎に関係者以外立ち入り禁止とする札が掲示されていたことや110番通報があったことなどを挙げ、被告の行為は住民の意思に反すると指摘。ビラの中身も「反自衛隊的」で居住者に不安や不快感を与えるもので、違法性が強いと主張した。

立川・防衛庁官舎ビラ配布、きょう判決 /東京
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/tokyo/news/20041216ddlk13040046000c.html
防衛庁官舎でのビラ配りに無罪判決(TBS)

http://news.tbs.co.jp/headline/tbs_headline1094506.html
映像
http://news.tbs.co.jp/ram/news1094506_11.ram
http://news.tbs.co.jp/asx/news1094506_12.asx
反戦ビラ配布、3人に無罪=「憲法保障する表現活動」−住居侵入「検挙は疑問」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041216-00000926-jij-soci
表現の自由か、犯罪か 反戦ビラ配布事件16日判決
http://www.kahoku.co.jp/news/2004/12/2004121501000768.htm
ビラ配りの3人に無罪 逮捕「憲法に照らし疑問」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041216-00000119-kyodo-soci
防衛庁官舎で「派兵反対」のビラ、3被告に無罪判決
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041216-00000008-yom-soci
自衛隊宿舎でビラ配り、逮捕の3人無罪・東京地裁支部
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20041216STXKE046216122004.html
自衛隊宿舎のビラ配り無罪 :12/16 17:42
http://www.kansai.com/newsDetail.do?news_cd=tk20041216010
表現の自由か、犯罪か 反戦ビラ配布事件16日判決
http://www.excite.co.jp/News/society/20041215114343/Kyodo_20041215a495010s20041215114400.html
表現の自由か、犯罪か/反戦ビラ配布事件16日判決
http://www.shikoku-np.co.jp/news/news.aspx?id=20041215000144
自衛隊宿舎のビラ配り無罪 東京地裁八王子支部
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=YNS&PG=STORY&NGID=main&NWID=2004121601002167
写真
http://flash24.kyodo.co.jp/photo/PN20041216/PN2004121601002732.-.-.CI0002.jpg
ビラ配布で自衛隊宿舎に立ち入り…3被告に無罪判決(惨刑新聞)
http://www.sankei.co.jp/news/041216/sha052.htm
防衛庁官舎で「派兵反対」のビラ、3被告に無罪判決(闇売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20041216it08.htm

 
関連記事
 

反戦ビラ配布、初公判で被告側が公訴棄却求める
http://www2.asahi.com/special/jieitai/TKY200405060221.html
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20040514/mng_____tokuho__000.shtml

調べは一日六時間から八時間。「運動なんかやめろ」「この寄生虫」「自転車で立川を走れないようにしてやる」「おまえは鉄砲玉。ほかの連中は責任を押しつけるつもりだ」。高田さんが覚えている取調官の言葉だ。実家にも「娘さんはヤクザの使い走りをしている」と電話があったという。

 
以下、立川・反戦ビラ弾圧救援会の情報。
 

■立川・反戦ビラ弾圧救援会
http://www4.ocn.ne.jp/~tentmura/
公判報告
http://www4.ocn.ne.jp/~tentmura/kohan.html
http://www4.ocn.ne.jp/~tentmura/kohan2.html

【弁論要旨】
平成16年(わ)第488号、同618号 住居侵入被告事件
・・・・
第5 表現の自由憲法21条)に対する重大な侵害
1 政治的表現の自由の侵害
(1) 政治的表現の自由の優越的地位
日本国憲法は、個人の尊重(13条)を最高の価値とし、個々人の個性・思想のかけがえのなさの尊重がその本質に包含されている。思想はその本質上、外に発表されることを欲するものであるから、個人の尊重は、必然的に表現の自由の尊重を要求するものである。よって、個人の精神作用の所産を外部に発表する精神活動の自由である「表現の自由」は、個人の全人格的な発展、自己実現のために不可欠であって、人間の精神活動の自由の実際的・象徴的基盤として、人権の中でも「優越的地位」を占める。
最高裁も、小売市場営業の許可制に関する大法廷判決で、いわゆる二重の基準説を採用したとされているところである(最大判昭和47年11月22日)。
特に、政治過程においては、政治・社会に関する知識・思想などが不断に流通し、自分の意見を表明する権利が与えられ、他人の意見を聞く権利が与えられることなしに、選挙権を効果的に行使することはできないし、日常的に政治に参加し、政治に働きかける自由がなければ、主権者は代表者の暴走を次の選挙時まで忍従しなければならないことになるから、政治に関する多種多様な情報が自由に流通している状態を確保することが制度的に保障されていなければならない。また、政治的自由は、他の全ての人権の成立・展開を支える原動力となるものであり、憲法上特別な価値付与がなされているといえる。さらに、多数派や支配層に対して批判的な表現が迫害にあってきたことは、歴史上明らかな事実であり、この点についても特殊な配慮が必要になる。
よって、表現の自由の中でも、特に政治的表現の自由については特別な地位が認められるべきであり、このことは、判例・学説の等しく認めるところである。
 たとえば、京都地判昭和43年4月3日(判時518号37頁)は、公安条例に関する裁判例で、「表現の自由は、人権保障の構造体系の中でも優れて重要な地位を占めるものである。けだし、近代民主制国家においては、国民は、通常その主権を選挙を通じて行使するが、選挙には政治的、思想的意見の存在を前提とする。表現の自由は、この政治的、思想的意見の醸成を促し、選挙の本来の目的を発揮させる必須の条件であり、したがって、表現の自由は民主制社会の基礎とされ、憲法の保障するすべての自由の母体であるとさえいわれている。このように、民主制社会は、民衆の話す自由のみならず、民衆の聴く自由、知る自由、反対する自由が完全に保障されることによってはじめて成立するのである」という。
 また、代表的な学説は、こぞって政治的表現の重要性を指摘する。たとえば、「表現の自由は、知識・情報を獲得するための第一要件であり、人が真理に近づくための不可欠の前提である。それはまた、個人の形成や自己実現の方法であるとともに、社会のメンバーが政治的意思決定に参加するための基本条件でもある。この自由を欠いては、参政権なども実質的な意味を失うであろう。表現の自由こそ、デモクラシーの存立と発展の必要要件であり、民主的な近代国家の礎石として、その侵害から厳しく守られなければならない」(小林直樹憲法講義・新版・上」東京大学出版会389頁)。
憲法学者の奥平証人は、表現の自由に優越的地位が認められるのは、「人格の発展のために、あるいは、人と人とが交流して人格を展開するということのために重要だという、いってみると個人主義的な価値が非常にある…ということが第1点。第2点は、この表現の自由の場合には、極めてしばしば単に個人主義的な利益を確保するというだけではなくて、およそ人間が共同社会を組み、特にいわゆる民主主義的な社会を組んでいって、人々がそういう共同社会をよき共同社会にしていくということとの関係で不可欠なもの、その意味で優越的な価値というふうに理解している」(3頁)からであり、その根拠からすると、政治的な内容の表現の自由は、「民主主義的という政治共同社会、政治的なコミュニティーのために不可欠なものである」(4頁)から特に保護されるべきであると述べている。
従って、政治的表現が占める優越的な地位は、規制の合憲性に関して、きわめて慎重な判断を要求している。
・・・・
3 表現の自由と規制の限界
(1) 「迷惑論」のおかしさ
 本件言論を規制する際の対立利益として、居住者の「ビラを受け取りたくない」という利益を考えることができる。
しかし、これは、表現の自由の制約根拠となる「プライバシー権」とは異なる事実上の利益にすぎない。
もちろん、個々人がビラ投函に対して拒否の意思表示をすることは自由である。しかし、その意思表示は、個々のポストに「ビラを入れないでほしい」というステッカーを貼るなどの方法によって行えることである。表現を受け取らないという効果を実現するために、国家が、ビラ投函に伴う立入行為を住居侵入であるとして、刑罰を科することは許されない。
ある人が迷惑と感じるもの全てを刑罰規定で取り締まれというのは、おかしい。不愉快である、迷惑であるという「感情」は、表現の自由を規制する根拠にはならない。
商業的な活動、公的な広報、政治的な主張など「様々な意味を持ったビラが展開しているときに…ビラ一般をつかまえて…それを法律でもって適用して、そして、およそすべてにとって全く同じように迷惑だということを前提にした上で住居侵入罪を適用して、およそビラは、全くそれ自身がコミュニティーにおいて防衛しなきゃならない害悪であるというふうに考えたら問題であると思う。だから迷惑だから取り締まれということの意味が、そのこと自身が実は問われなくちゃならない、表現の自由との関係で。…現在の社会は、迷惑だと思いながらも、許容限度の関係で人々は受忍していると。…迷惑のうちのある種のものは取り締まらなくちゃならないと考え、そうであることについて、憲法上の自由を蹴散らすことができる程度の害悪があるかどうかという問題になってくる」(奥平・8〜9頁)のである。
(2) 情報社会における「受忍」限度
現代社会は、よくもあしくも、自分にとっては無価値なものも含む多数のメッセージが飛び交うメッセージ社会となっている。
もちろん、情報の送りつけが受け手の本質的な人権に抵触するような場合、そのメッセージの送付が問題とされることはありうる。しかし、ビラを投函されることは、現代社会の中では社会生活に随伴する軽微な不利益にすぎず、しかも、ビラ投函を受けた者は、ビラを捨てる・捨てない、読まない・読むという選択をする自由がある。本件でも、ビラを不要だと感じる人、不愉快だと考える人は、そのままビラを捨ててしまっているのが通常である(浅霧・47頁)。
仮に意に添わない内容のビラ投函があったとしても、そのことは「ある種の生活の慣行として受忍」されている(奥平・12頁)というのが現実であり、奥平証人が言うように、「ある人にとっては迷惑だけれども、社会一般にとっては迷惑だから取り締まるというレベルで、例えば刑法で130条、あるいは、また特別な法律を作って、迷惑防止法みたいなもので、およそビラ貼りは、およそビラまきはできないというような意味を持たせるような、そのような社会にはもはやなっていないということです。…そういう社会の中でビラまき一般が行われているし、そのビラまき一般の中で、さっきから言っている様々なビラまきが、よかれあしかれ行われていて、僕たちはそれをある程度受忍している。で、そういう社会であって、そこから様々な情報を人々がピックアップする、あるいは、捨てる、そういった格好になっているのがよかれあしかれ現状だと思いますし、その現状の中で表現というものをどう考えるかという問題だ」(11〜12頁)ということである。
「異論にさらされることによる感受性あるいは気分の侵害が甘受されなければ、民主主義社会は成り立たない」(2004年8月号「法学セミナー」・市川正人「表現の自由と2つのポスティング摘発事件」)のであって、民主主義社会では、各個人に情報の処分権がゆだねられていることを前提に、それぞれに「寛容」が求められている。何でも警察に持ち込んで公権力に判断をゆだねる社会ではなく、寛容と自律が根幹にある社会が、現行憲法下ではめざされてきたのではなかったのか。
この観点からすれば、ビラ入れを規制するための対立利益として「意に反するビラを入れさせない権利」を持ち出すことは、そもそも許されない。

活動報告
http://www4.ocn.ne.jp/~tentmura/katsudo.html
抗議声明
http://www4.ocn.ne.jp/~tentmura/seimei.html

立川自衛隊監視テント村
http://www4.ocn.ne.jp/~tentmura/tentoHP-top.htm
立川反戦ビラ弾圧裁判での無罪判決を求める署名
http://www4.ocn.ne.jp/~tentmura/shomei.doc

■大沢ゆたか東京都立川市議会議員
http://homepage2.nifty.com/osawa-yutaka/index.htm
平和のページ
http://homepage2.nifty.com/osawa-yutaka/heiwa-top.htm
立川反戦ビラ弾圧救援会メールニュース
http://homepage2.nifty.com/osawa-yutaka/heiwa-iraku-dannatu-news1.htm
http://homepage2.nifty.com/osawa-yutaka/heiwa-iraku-dannatu-news2.htm
http://homepage2.nifty.com/osawa-yutaka/heiwa-iraku-dannatu-news3.htm
http://homepage2.nifty.com/osawa-yutaka/heiwa-iraku-dannatu-news6.htm
http://homepage2.nifty.com/osawa-yutaka/heiwa-iraku-dannatu-news7.htm
http://homepage2.nifty.com/osawa-yutaka/heiwa-iraku-dannatu-news8.htm
http://homepage2.nifty.com/osawa-yutaka/heiwa-iraku-dannatu-news9.htm
http://homepage2.nifty.com/osawa-yutaka/heiwa-iraku-dannatu-news10.htm
http://homepage2.nifty.com/osawa-yutaka/heiwa-iraku-dannatu-news11.htm

 
立川反戦ビラ事件については、齋藤勁参議院議員(民主/神奈川県選挙区)*1が、6月14日の参議院イラク人道復興支援特別委員会で小泉純一郎総理に質問しています。
小泉総理は「ああだこうだと言う立場にないので、ああだこうだと私は言うべきではない」と総理としての自覚に欠けた答弁を繰り返してます。正直、こういう男にまだ4割近い国民が支持していることが私には信じられません。ったく選挙行けよ。
 

参議院 第159回国会 
イラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会
第18号 平成16年6月14日
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/159/0079/15906140079018c.html

齋藤勁議員(民主党)
○齋藤勁君 戦争というのはおびただしいほどの人間の命を失い、そしておびただしいほどの財産を失い、そして百年、二百年、千年、二千年、三千年たってもなかなか忘れることができない。今イラクと立ち向かうときに、私はそのメソポタミア文明という三千年、四千年という長い歴史を持っているという中で、今英米軍連合軍が様々な今行為を行っているときに、そのイラク国民の受ける心情というのはどういう気持ちなんだろうかというのを理解をしようと思っても、なかなかし切れないほどがございます。
今回、国民保護法制ほか関連法案で、私どもは衆議院から参議院それぞれ審議をしてまいりました。憲法の枠内、そして、あるいは基本的人権については可能な限り最大限尊重するんだというようなことがベースになっていることは事実だというふうに思います。しかし、今同僚の平野先輩からのお話のとおり、どうもこの間の議論を聞いていて、確かに法案そのものについて我々は三党合意なり修正協議に参加をしてまいりましたけれども、本当に憲法の枠内なのか、基本的人権を守っているんだろうか、守ろうとしているんだろうかということについて、現自公連立政権、小泉政権を見る限り、甚だ心もとないというのが率直なところでございます。
現実に、今の一例だけ申し上げます。
過日もお話ししたかどうか。私は、この方たちと直接面識もございませんし、新聞紙上でしか分からないんですが、東京都立川市防衛庁宿舎で、ポストに自衛隊イラク派遣反対のビラを入れた市民活動家三人が住居侵入罪で逮捕、起訴されました。このことについて、本当にこんなことがということで、記事を見れば見るほど、一、二、議会でもやり取りさせていただきましたけれども、今なお裁判中だそうであります。
アムネスティという国際機関がございます。良心の囚人ということで、日本で初めて良心の囚人としてこの方たちが認定されたそうです。良心の囚人、世界でこの起訴も六十か国、合計八千九百六十人に上る、こういう数字が上がっております。
総理、直接このことについての経緯だとか今日の状況は細かく分からないと思います。しかし、これは大変な問題なんですよ。これは自分と違った価値観を認め合うということが民主主義社会なんですね。そして、自由に意見を交わす、それが民主主義の社会であり、国際社会が今民主化民主化、最初はアルカイダ、テロリストがあるんだと、その次に大量破壊兵器があるんだと、その次が民主化だと。もう大量破壊兵器の話、私ども幾ら幾ら言っても、それはなかなか今もう通り過ぎてしまっている話としてあるのは非常に残念です、いわゆるイラク戦争大義の問題。国際社会がイラクに今国づくりを求めるというのは、こうした私は言ってみれば民主化言論の自由ということについて、かつてフセイン政権ではなかったんではないかということも比較しながら議論していますが。
我が民主国家と言われる日本で、ビラ配りで逮捕されるということが白昼公然と今、小泉内閣の下で行われている、小泉内閣の下で行われている。どういう認識に立ちますか、あなた。
細かい話はいいんです。細かい、細部は別にして、総括、総括です。
内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、どういう事情か詳細には知っておりませんが、そういう事件については双方に事情があるんだと思います。今ここで特別ああだ、こうだと言う立場には私はないわけでありますので、ああだ、こうだと私は言うべきではないと思っております。
これは今後、今法廷中、法廷、裁判中ですか、この場で判断が下されるのではないかなと思っております。
○齋藤勁君 一つ一つの事件を総理自身が把握をしてそれに答えるというのはなかなか難しいと思いますから、私は事件の概要については結構なんですよ。しかし、言ったことは、私も国会議員である以上、今こうして委員会で発言している、事実をお話しさせていただいているわけでありまして、そういうことだと思うんですね、民主主義社会というのは、様々な価値観を持った人たちが認め合うということですから。
こういうことが今現実に日本の国内、東京都で起きているわけでありまして、勝手に敷地内に入ったと、勝手に敷地内に入ったということがいけないと言われれば、これはビラをまいた人たちに全く、全く非がないということではない、それは言えないと思いますが、それでは、そういう意味では気持ち、自衛隊員の人たちの家族とかいろんな気持ちを、長官にこれ質問しませんけれども、そういうことだと思います。だからとなって、いきなり逮捕したり、こういうことについては私は行き過ぎだということで、今ここで議論をしておりますこの法案そのものについて、国民の保護法制だと、言論を守りますよ、報道機関は自由ですよ、基本的人権をと言っても、今の小泉政権が、今一例申し上げさせていただきましたけれども、そういったことについては、率直に言って小泉政権というのは言うこととやることが違うんではないかということをあえて指摘をさせていただいているわけでございます。
先ほど、イギリス議会の話は、あえて付け加えて言わせれば、選挙の話でいえば、近々参議院選挙もございます。これ、やってみなけりゃこれも分からないですよ、選挙というのは。多分、良識ある私は国民の方々は、様々、今、今回、通常国会や年金の問題様々ございましたけれども、賢明なる御判断をいただいて、私は小泉政権、小泉さんのやっていること、政権やっているということが極めて問題だということで、多数の国民の方が審判を、ノーという審判を下していただく意味で、民主党として頑張っているということを加えさせていただきたいというふうに思います。

 
言及ウェブログ
 

http://amaki.cocolog-nifty.com/amaki/2004/12/1215.html

目を離すな、16日の東京地裁八王子支部の判決
・・・・
証拠調べが終わる11月4日の第七回公判で、裁判長はこう述べたという。
「この裁判は表現の自由の解釈にかかわる重大な論点がある。同じようなビラ入れへの影響も大きい」
朝日新聞の解説はこう締めくくっている。私も同感である。
「・・・マスメディアを通じて自分の主張を表現できない人々にとって、残された表現手段はビラ撒きや集会、デモなどだ。・・・表現活動をめぐる規制としてどう考えるべきか・・・」

http://d.hatena.ne.jp/mustelidae/20041216

しかし読売というところは面白いね。表現の自由に関わる憲法問題だったことには全然触れない。

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20041216#1103183769
http://d.hatena.ne.jp/bullet/20041216
http://d.hatena.ne.jp/oono_n/20041216#p1
http://d.hatena.ne.jp/izuru/20041216#p1
http://d.hatena.ne.jp/hozo/20041216
http://d.hatena.ne.jp/mkimpo/20040510
http://d.hatena.ne.jp/hozo/20040329#p1
http://d.hatena.ne.jp/amegriff/20040318#p1
http://d.hatena.ne.jp/genonocide/20040423#p1
http://10e.org/mt/archives/200405/160304.php
http://si-f.air-nifty.com/bal/2004/03/post_10.html
http://blog.goo.ne.jp/messneko/e/a264b5c0d670c884c4d712c3a8c5eaa5
http://blog.goo.ne.jp/diskpower/e/b070f8e1a1474b55dbb6d0d169a3cbd6
http://blog.goo.ne.jp/husaco_2004/e/ed051ca42e1a0e552b66ea6cf0809cff
http://yogozansu.way-nifty.com/everyday/2004/12/post_6.html
http://le-matin.air-nifty.com/asalog/2004/12/post_46.html
http://kogawa-office.cocolog-nifty.com/webnotes/2004/12/post_8.html
http://blog.livedoor.jp/k_k1/archives/10858437.html
http://blog.livedoor.jp/koyasujun/archives/10855998.html
───────────
http://d.hatena.ne.jp/http?//www4.ocn.ne.jp/~tentmura/
http://d.hatena.ne.jp/http?//www.asahi.com/national/update/1216/020.html
http://d.hatena.ne.jp/http?//www.mainichi-msn.co.jp/chihou/tokyo/news/20041216ddlk13040046000c.html
http://d.hatena.ne.jp/http?//www.sankei.co.jp/news/041216/sha052.htm
http://d.hatena.ne.jp/http?//www.yomiuri.co.jp/main/news/20041216it08.htm

 
立川反戦ビラ裁判、住居侵入罪に関連した最近の雑誌記事。(国立国会図書館雑誌記事検索にて調査)
 

反戦ビラ逮捕事件と「改憲」(中) 」星野安三郎『マスコミ市民』(通号 426) [2004.7]20〜27項/マスコミ市民
───────────
「自由にものも言えない社会へ?--ルポ 立川反戦ビラ配布逮捕事件」(吉田敏浩)『世界』(728) [2004.7] 237〜243項/岩波書店
───────────
「ビラ配りで長期勾留・公務員を逮捕、起訴 イラク反戦運動に異常な弾圧」(竹内一晴)『金曜日』12(13) (通号 512) [2004.4.2] 8〜10項
───────────
「論点講座 重要論点 刑法各論(5)住居侵入罪」(和田俊憲)『法学教室』(通号 287) [2004.8]56〜63項/有斐閣
───────────
「刑法各論の新展開(4)住居侵入罪と住居権者・管理権者の意思」(木村光江)『現代刑事法』6(1) (通号 57) [2004.1]89〜96項/現代法律出版
───────────
「刑事弁護レポート 住居侵入窃盗被告事件(無罪) 冤罪は身近に起こる」(藤井成俊)/
『刑事弁護』(31) [2002.Aut.] 現代人文社

 
参考リンク。ビラ配布が国家公務員法違反で逮捕された例もありました。
 

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik3/2004-03-07/03_01.html

 
法令。
 

日本国憲法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S21/S21KE000.html

十三条  すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第十九条  思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
第二十一条  集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
○2  検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
第二十二条  何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
第九十八条  この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

刑法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M40/M40HO045.html

(住居侵入等)
第百三十条  正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

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■追補
 
立川反戦ビラ裁判判決についての社説は、どうやらすべてが判決支持を表明しているようですし、ウェブログの議論も、一部を除き、多くは判決を当然なものと受けとめているようです。
 

■立川・反戦ビラ弾圧救援会
http://www4.ocn.ne.jp/~tentmura/
判決のポイント
http://www4.ocn.ne.jp/~tentmura/hanketsu.html

【5】結論
(1)憲法第21条「表現の自由」について
⇒「憲法第21条で保障された表現の自由は、商業的主張より政治的主張の保護の優越性を認めており、商業チラシを黙認している状況で、政治的主張のビラを刑事罰の対象にはできない」
(2)官舎住民の感情について
⇒「そんなにテント村のビラが嫌なら、官舎住民全体で正式な抗議をすればよかった」

反戦ビラ弾圧救援会・福岡
http://tokyo.cool.ne.jp/kunitachi/kyouiku/tento.htm

 
以下、マスメディア様の報道続報。
佐賀新聞社説は「警察・検察の捜査手法は公訴権乱用の批判を免れない」と警察活動の職権濫用を明確に指摘し、愛媛新聞も「警察組織にかかわるすべての関係者が、今回の判決の意味を重くとらえる必要がある」と警察組織を批判しています。佐賀新聞は落書き反戦裁判についても言及しているあたり好感持てます。
一方、朝日新聞は、事件を社説でとりあげたという点で他の全国紙とは違う朝日のスタンスとっているものの、「警察の過敏な取り締まり」とは書いていますが「警察と検察は職権濫用」との認識は明確には示していません。
 

朝日新聞12月17日付社説
ビラ配り無罪――郵便受けの民主主義
http://www.asahi.com/paper/editorial20041217.html

住居侵入に当たる行為ではあるが、配り方は強引ではなく、住民にかけた迷惑も少なかった。刑罰をもって報いるほどの悪事ではない。判決はそう結論づけた。明快な判断である。
イラク開戦とそれに続く各国軍の現地派遣をめぐっては、世界のあちこちで大規模な抗議活動が繰り広げられた。欧州では、ベトナム反戦デモを上回るうねりとなった国も多かったが、日本では際立って低調だった。
滞在中たまたま日本の反戦デモを見た外国人たちはその規模の小ささ、若者の少なさに驚いた。理由はいろいろあるだろうが、ビラ配り事件にあらわれた警察の過敏な取り締まりも一因だろう。
自分の気に入らない意見にも耳を傾けてみる。それは民主主義を支える基本である。派遣を控えた自衛隊員にとっても、同僚や家族と全く違う意見を目にするのは無駄にはならないはずだ。くだらない意見だと思えば捨てればいい。
そんなところにまで警察が踏み込むのは危険きわまりない。判決はそう語っている。

愛媛新聞社社説2004.12.17(金)
反戦ビラ訴訟判決 警察は市民的良識に立ち返れ
http://www.ehime-np.co.jp/shasetsu/

残念ながら、日本の警察には旧憲法下の官憲的な体質を温存させているところがある。このもとで、特定政党や市民グループを狙い撃ちにする微罪逮捕がしばしば問題になっている。
反戦ビラ入れ訴訟をめぐる東京地裁八王子支部の判決は、そのような警察組織に「市民的良識に立ち返る」ことを促した点で大いに意義がある。
裁判で被告となったのは3人の反戦活動家だが、そこで断罪されたのは「警察の反市民性」にほかならない。平たくいえば警察の「おい・こら体質」が問われたのである。
恣意(しい)的な警察権力の執行を許しておけば、市民社会を委縮させるばかりか、民主国家の存立基盤をも危うくする。警察組織にかかわるすべての関係者が、今回の判決の意味を重くとらえる必要がある。
・・・・
3被告に全面的無罪を言い渡したきのうの判決は明快だった。「商業宣伝ビラが放置されているのに、被告らをいきなり検挙し刑事責任を問うことは、憲法の趣旨に照らし疑問」と断じ警察の職権乱用を厳しく戒めるところとなった。
力説しているのは、憲法21条が「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」とうたっている点だ。
商業用のビラよりも表現の自由にかかわるビラは優先的地位にあり、それを狙い撃ちにする行為は言語道断というわけだ。
しかも、あろうことか、公判を通じ「でっち上げ捜査」の側面もあらわになっている。自衛隊官舎の被害届は警察の求めに応じて作られたものだった。
これら捜査を担ったのは刑事部ではなく公安部に所属する警察官だった。市民社会から見えない公安警察の暗部」がのぞいたとみるべきだろう。
そもそも、警察に強い執行権が付与されているのは、一にも二にも社会の秩序を維持するためだろう。犯罪が多発するなか、国民の期待も大きいものがある。
逆に、可罰性のあるなしにかかわらず、特定政党や市民グループをつけ狙うようでは、社会は窒息してしまう。「自らに付与されている執行権をおそれよ」―判決は紛(まが)うことなく、そのように警告を発している。

佐賀新聞社説 2004年12月17日付
反戦ビラ配布判決 表現の自由抑圧に戒め
http://www.saga-s.co.jp/pub/ronsetu/index.html

京都の市民団体のメンバー三人が、イラク派遣反対のビラを自衛隊宿舎に入って配ったとして、住居侵入罪で逮捕、起訴された事件で、東京地裁八王子支部は三人に無罪を言い渡した。政治的表現を狙って逮捕した捜査に厳しく反省を迫るものだ。
・・・・
判決は「刑罰に値する違法性はない」と、明確に無罪判断を示した。さらに「ビラの投かんは、憲法二一条の保障する政治的表現であり、いきなり検挙し刑事責任を問うことは、憲法の趣旨に照らして疑問」と述べた。
逮捕・起訴そのものに言及したものであり、警察・検察の捜査手法は公訴権乱用の批判を免れない。
三人は自衛官と家族に、イラク派遣を一緒に考えようと呼びかけたまでのことである。それが「犯罪者」扱いされた。
団地などへのビラ配布は、多様な業者による営業宣伝のため、ふだんからどこにでもある光景だ。
住居侵入罪というのなら、同じようにビラを入れている数多い業者らも摘発しなければ整合性が取れないではないか。判決が商業ビラが放置されているのに、三人を検挙したことを疑問としたのは当然のことである。
判決も「内容、表現とも過激ではなく、一つの政治的表現」と認めたビラを配布しただけで、なにゆえ逮捕され、七十五日間も長期拘留されて起訴されなければならなかったのか。
被告らは取り調べの実態について「二重人格のしたたか女」「政府の方針が嫌だったら北朝鮮に行け」「寄生虫」などと、ののしられたと証言しており、常軌を逸している。
思想や表現をめぐる行動が法に触れるとして起訴されるケースが最近、相次いでいる。
君が代斉唱の義務づけに反対し、着席を呼びかけた東京都の元教諭が威力業務妨害罪で今月起訴された。*2三月には東京都内で共産党の機関誌を配った社会保険庁職員が国家公務員法違反で逮捕され起訴された。*3
昨春には東京都内の公園便所にスプレーで「反戦」などと落書きした男性が建造物損壊で起訴され、一、二審とも有罪となり上告中だ。*4
本件を含めて、政治的メッセージを伝えるという、民主主義にとって大切な活動が脅威にさらされかねない状況がある。表現の自由抑圧に歯止めをかけたこの日の判決は、その点でも大きな意味があろう。

反戦ビラ配りに無罪 表現の自由を重視 捜査を批判
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200412162045504

「被告人はいずれも無罪」と裁判長が言い渡すと、満員の傍聴席からは歓声が上がった。判決後の記者会見で、大洞さんは「大変うれしい。無罪判決は当然と思っていた」と述べた。大西さんは「表現の自由にからむ問題で重要な認識を示した。歴史的な判決だ」と評価した。高田さんは「憲法判断まで踏み込んだのは画期的だ。イラク戦争で考えられないことで逮捕されることが増えていった。こうした流れに歯止めをかけていくきっかけになればいい」と語った。
虎頭昭夫弁護士は「常識的な判決だ。この事件は警視庁公安部が主導した。検察は控訴を断念してもらいたい」と語った。内田雅敏弁護士は「検察は警察の暴走を止める役割を果たしていない。検察は劣化している。裁判所は良識、勇気で応えた」と判決を評価した。

イラク派遣反対のビラ配り3人に無罪判決 / MXテレビ
http://www.iiv.ne.jp/news/DN/thursday/1216/3.html
映像
http://www.iiv.ne.jp/news/bb/200412166_high.asx
自衛隊宿舎ビラ配り事件判決要旨/岩手日報
http://www.iwate-np.co.jp/newspack/cgi-bin/newspack.cgi?detail+CN2004121601002728_1
自衛隊宿舎ビラ配り事件判決要旨/山陽新聞
http://www.sanyo.oni.co.jp/newspack/20041216/20041216010027281.html
自衛隊宿舎ビラ配り事件判決要旨/東奥日報
http://www.toonippo.co.jp/news_kyo/news/20041216010027281.asp
☆「ビラ配りの3人に無罪 逮捕『憲法に照らし疑問』」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/detail/20041216/fls_____detail__030.shtml
防衛庁官舎ビラ配り無罪 「判決、胸にぐっときた」−−3被告ら報告集会 /東京
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041217-00000014-mailo-l13

 
社説を書かなかった読売が防衛庁長官の香ばしい発言を報道。闇売新聞は大野長官の「法律的な判断は別」「ビラを撒きたい人が撒くのも自由」という、ある意味で裁判所の判断を容認している発言を記事から削除しています。
 

ビラ配布無罪に防衛長官「こちらの言い分にも正当性」(2004年12月17日読売)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20041217ic08.htm
http://news.goo.ne.jp/news/yomiuri/shakai/20041217/20041217ic08-yol.html

防衛庁官舎敷地内でイラク派遣反対のビラを配布して住居侵入罪に問われた3被告を無罪とした16日の東京地裁八王子支部判決について、大野防衛長官は17日の閣議後の会見で、「法的判断は別として、ビラをまくのは言論の自由と関係することだが、それをしてほしくないというのも自由。まかないでほしいという言い分にも正当性があり、まく方も考えてほしい」と述べた。

防衛庁
防衛庁長官記者会見の概要
http://www.jda.go.jp/j/kisha/index.html
12月17日(10:56〜11:08)(PDF:14K)
http://www.jda.go.jp/j/kisha/2004/12/17.pdf

Q:昨日、東京地裁の八王子支部の判決で、自衛隊イラク派遣に反対するビラを防衛庁の官舎に配布した市民団体のメンバーに対して無罪判決が言い渡されましたが、これついての大臣の所見を頂きたいと思います。
A:事件はイラク派遣反対ビラを立川公務員宿舎に撒いた人がいるということで、これについて言わば住民の方から、「もうこういうビラは撒かないで欲しい。」という要請が出たわけであります。*5そして立ち入り制限に入ってくれるなということを紙に書いたビラを掲示していたということでありますが、これを無視して入ってきて、そしてビラを引き続き撒いたということで、宿舎維持管理責任者である東立川駐屯地の業務隊長などが警察と相談して、警視庁立川警察署長に対して住居侵入に対する被害届を提出した。これが事実であります。
これに対して裁判の方は、今お尋ねのとおりであります。法的にどう判断するかは別といたしまして、やはりビラを撒くというのは言論の自由であり、報道の自由であり、そういう言論の自由と関係することではありますけれども、問題は、「それが嫌だ。」、「そういうことをして欲しくない。」と言うのも自由なことであります。両方の言い分がそれぞれあると思います。
私は「そういうビラを撒かないで欲しい。」という言い分も、また正当性があると思っております。法律、裁判所の判断は別でありますけれども、そういう意味で私はそれぞれの立場を考えて欲しいと思います。
法律的な判断は、私は全く別だと思いますけれども、そういうビラを撒いて欲しくないという人がいたら、そういう要望があるということも撒く方は考えてもらいたいという気がいたします。
Q:ビラの関係ですが、先程、法的には別だというふうにおっしゃられましたが、嫌だという感情を基に被害届まで出すべきだとお考えになりますか。
A:それは難しい問題です。個人個人の住んでいる方の問題ですから、嫌だと言って掲示をして、そして更に入ってきたということになると、そういうケースも考えられるのではないでしょうか。一概には言えないと思います。それぞれ住んでいる人のご性格は色々あろうと思います。
私はやはりこういうビラを撒かないで欲しいという声もあった*6ということはご認識いただきたいし、撒きたい方もこういうことでビラを撒きたい、これも自由だと思いますけれど、お互いに相手の意見を尊重し合って生活していく、これが人間社会では当然ではないかと思います。

 
ウェブログの言及など。
 

http://www.seiko-jiro.net/modules/news/article.php?storyid=300
http://www.seiko-jiro.net/modules/news/article.php?storyid=299
http://henkyonews.cocolog-nifty.com/articles/2004/12/post.html

「意思に反する」という「居住者ら」が一体何人以上なら「住居の平穏を害する」ことになるのか?(もしかして2人以上?) そもそも、「居住者らの意思」に反したら、なぜ「住居の平穏を害する」ことになるのか?(NHKの会長が嫌だからといって受信料支払いを拒否したい家族が住むマンションを訪れるNHK受信料集金員は「住居の平穏を害」しているのか?)

http://give-peace-a-chance.jp/118/041216.html

反戦ビラ裁判 12/16無罪判決を支持します。
検察側は、表現の自由を保障した憲法21条を守り、
控訴を断念することを、強く求めます。
2004年12月16日
WORLD PEACE NOW 実行委員会

http://himagine9.cocolog-nifty.com/kitaguni/2004/12/post_4.html
http://polestar.way-nifty.com/hagaki/2004/11/post_17.html

 
憲法最高法規性や二重規範を理解していない人が議論するとこうなるという例。というか自分で「思いたい」って言ってますね。まぁ2ちゃんねるぶろぐだからなぁ。憲法が法律に勝ち、精神的自由が経済的自由に勝つのはあたりまえだっつーの。

http://s03.2log.net/home/kb586/archives/blog40.html

このまま控訴されずにこの判決が確定した場合、「『表現の自由』は法律に打ち勝つ可能性がある」という前例になります。嫌な考えですけど、これを盾に取った平和団体や市民団体が迷惑な政治的行動を起こすことも十分ありえますね。「表現の自由」を理由に活動してるわけですから、よほど酷くないと警察とかも動けなくなりますし。
まあ多分控訴して、判決はもう少しもつれると思うし、実際今回のケースを盾に取るような市民団体が出れば、早いうちにこの前例も意味をなさなくなると思います。というか、思いたいです。

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関連ログ。
 

街から反戦の声が消えるとき
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050128#p2
立川反戦ビラ事件:検察が控訴
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20050122
立川反戦ビラ事件一審判決:良心の囚人に無罪判決(その3)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20041223#p1
立川反戦ビラ事件一審判決:良心の囚人に無罪判決(その2)
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20041219
立川反戦ビラ事件一審判決:良心の囚人に無罪判決、ビラ配布に可罰的違法性無し
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20041218
迷惑防止条例改悪案:ビラを持っていると30万円以下の罰金
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20041216
「落書き」事件判決/「何が」汚いのか
http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040212

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*1:齋藤勁参議院議員(民主党) http://www.tsuyoshi.or.jp/profile/index.html 齋藤勁議員が立川ビラ事件についてとりあげたことは評価しますが、「自衛隊員の人たちの家族とかいろんな気持ちを考えるとビラの投函には非がある」というようなことを国会で言ってしまった点については軽率だったかもしれません。愛国心溢れる自衛隊員やその家族であるなら、なおさらイラク派兵には反対ではないでしょうか。事実、自分の心の愛国心自衛官としての立場との矛盾に悩んで、自殺したり鬱で通院する自衛官も現実に多発しているわけですから。

*2:君が代」問題:都立高卒業式で起立反対の元教諭、在宅起訴−−威力業務妨害 http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20041204ddm041040162000c.html

*3:国家公務員法違反」容疑での不当逮捕に厳しく抗議し、適切な対処を求める 日本共産党中央委員会書記局長市田忠義 http://www.jcp.or.jp/movie/2004-03-03-ichida.html

*4:落書き反戦裁判 http://mypage.naver.co.jp/antiwar/graffiti417/ 「「落書き」事件判決/「何が」汚いのか」 http://d.hatena.ne.jp/kitano/20040212#p1

*5:裁判所では住民からテント村に対して要請は無かったと事実認定しています。そもそも住民とは具体的に誰なのか、氏名は明らかではありません。

*6:だから具体的にどこの誰がそう要請しているのかわからないんですよね。何人中どこの誰が要請したのか。ほんとは誰も要請していなくて、上が要請したことにしていただけなんじゃないかという疑問は私にはあります。